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五十七発目 懺悔室
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「しかし勇者様の願いとはいえ魔族との婚姻は・・・」
ここは教会の裏部屋。神父のプリスターはその白髪頭を抱え眉間に皺を寄せて難色を示す。無理もない。この教会にはこれまでそれなりの寄付をしてきたが魔族であるリリスとの挙式を挙げるなど流石に許容出来るはずもない。
「そうですか・・・仕方ありませんね・・・」
「勇者様のお力添えになれず心苦しいですが流石に限度というものが・・・」
「わかります。良いんです・・・」
ここは教会の懺悔室。薄暗く陰気くさいこの空間が疲れた我が身体にとってはかえって心地良い。先日のリリスが妖気を大放出したおかげで起きた大乱交の後もリリスは連日のように酒を一心不乱に飲みたがる飲兵衛のように事あるごとに俺の精液を求めてくる。朝、下半身に刺激を感じ気がつけばベッドの上でリリスが我が男根を頬張っている。そんな朝も一度や二度ではない。
全く俺を朝食のパンやチーズだとでも思っているのか。そんなリリスの首と胴体がおさらばしない為にも婚姻関係を結ぶ腹だったが神父の言い分も最もである。神聖な神の家で魔族の婚姻など。罰当たりにも程がある。神父の答えを聞いてすぐに帰るつもりだがこうやって懺悔室でひと休みをさせてもらっている。あいにく誰も来る気配は無い。
「面倒くせえなあ・・・」
宙をぼんやりと眺めながらそんな事を独り言ちる。霧のように睡魔が全身を包み込む。ここんとこ無理し過ぎたかな。そんな事を思う。しかし、こんなとこで寝るわけは・・・そう思うも睡魔の霧が頭の中にも侵入してくる。いつしか意識は暗黒に吸い込まれる。
目覚めの時というのは出来れば清々しいものを期待したいものだ。新鮮な朝日に鳥たちの可憐な鳴き声・・・目を開く。我が膝と革製のブーツを履いた足元が目に飛び込んでくる。しまった。寝落ちしてしまった。神の家にこれ以上、長居をするわけにもいかない。腰を浮かせようとすると向こう側から声が響く。
ここで改めて懺悔室の構造について説明したいと思う。木製のふたつの小さな部屋が近接しておりそれぞれ出入り口は黒色のカーテンで覆われており外側から見えないようになっている。内部は薄暗く敷居の格子の細い隙間からかろうじて向こう側にいる人間を伺う事が出来るものの薄暗く視界が心もとない。
「神父様、今日も私めの恥ずかしい懺悔を聞いてくださるでしょうか?」
女の声?敷居の向こうからは若い女のものと思える声が聞こえてくる。どうやら向こうはこちらを神父だと思いこんでいるようだ。確かに今、俺がいる位置は神父が腰掛けて懺悔人の懺悔を聞く場所だ。
「どうぞ・・・」
声をぐっと低く抑えて神父のふりをして答える。似てるだろうか?あまり自信無いが。
「私ほど罪深い女はいません・・・」
若い女は続ける。どうやら俺を神父と思い込んでくれているようだ。調子に乗って声を抑えて威厳を出してみせる。
「続けて・・・」
と答える。若い女は一間の沈黙を置いて口を開く。
「私はこれまで神に仕えてきました・・・」
ん?神職の人間なのか。
「にも関わらず私の心は汚れきっています。このところある考えが私の頭を支配するのです。来る日も来る日もそれはもう執拗にこびりついて離れないのです」
「それは何かね・・・」
好奇心を募らせつつも声を抑えながら一定の威厳を保ち自分を神父だと思って答える。我ながら板についてきた感じがする。若い女はしばし沈黙を貫く。すうっと息を吐く音が敷居の格子越しに聞こえる。女は口は開く。
「はい・・・勇者様のおちんおちんは一体どうなってるのか?そればかりが私の頭を占めるのです・・・」
ここは教会の裏部屋。神父のプリスターはその白髪頭を抱え眉間に皺を寄せて難色を示す。無理もない。この教会にはこれまでそれなりの寄付をしてきたが魔族であるリリスとの挙式を挙げるなど流石に許容出来るはずもない。
「そうですか・・・仕方ありませんね・・・」
「勇者様のお力添えになれず心苦しいですが流石に限度というものが・・・」
「わかります。良いんです・・・」
ここは教会の懺悔室。薄暗く陰気くさいこの空間が疲れた我が身体にとってはかえって心地良い。先日のリリスが妖気を大放出したおかげで起きた大乱交の後もリリスは連日のように酒を一心不乱に飲みたがる飲兵衛のように事あるごとに俺の精液を求めてくる。朝、下半身に刺激を感じ気がつけばベッドの上でリリスが我が男根を頬張っている。そんな朝も一度や二度ではない。
全く俺を朝食のパンやチーズだとでも思っているのか。そんなリリスの首と胴体がおさらばしない為にも婚姻関係を結ぶ腹だったが神父の言い分も最もである。神聖な神の家で魔族の婚姻など。罰当たりにも程がある。神父の答えを聞いてすぐに帰るつもりだがこうやって懺悔室でひと休みをさせてもらっている。あいにく誰も来る気配は無い。
「面倒くせえなあ・・・」
宙をぼんやりと眺めながらそんな事を独り言ちる。霧のように睡魔が全身を包み込む。ここんとこ無理し過ぎたかな。そんな事を思う。しかし、こんなとこで寝るわけは・・・そう思うも睡魔の霧が頭の中にも侵入してくる。いつしか意識は暗黒に吸い込まれる。
目覚めの時というのは出来れば清々しいものを期待したいものだ。新鮮な朝日に鳥たちの可憐な鳴き声・・・目を開く。我が膝と革製のブーツを履いた足元が目に飛び込んでくる。しまった。寝落ちしてしまった。神の家にこれ以上、長居をするわけにもいかない。腰を浮かせようとすると向こう側から声が響く。
ここで改めて懺悔室の構造について説明したいと思う。木製のふたつの小さな部屋が近接しておりそれぞれ出入り口は黒色のカーテンで覆われており外側から見えないようになっている。内部は薄暗く敷居の格子の細い隙間からかろうじて向こう側にいる人間を伺う事が出来るものの薄暗く視界が心もとない。
「神父様、今日も私めの恥ずかしい懺悔を聞いてくださるでしょうか?」
女の声?敷居の向こうからは若い女のものと思える声が聞こえてくる。どうやら向こうはこちらを神父だと思いこんでいるようだ。確かに今、俺がいる位置は神父が腰掛けて懺悔人の懺悔を聞く場所だ。
「どうぞ・・・」
声をぐっと低く抑えて神父のふりをして答える。似てるだろうか?あまり自信無いが。
「私ほど罪深い女はいません・・・」
若い女は続ける。どうやら俺を神父と思い込んでくれているようだ。調子に乗って声を抑えて威厳を出してみせる。
「続けて・・・」
と答える。若い女は一間の沈黙を置いて口を開く。
「私はこれまで神に仕えてきました・・・」
ん?神職の人間なのか。
「にも関わらず私の心は汚れきっています。このところある考えが私の頭を支配するのです。来る日も来る日もそれはもう執拗にこびりついて離れないのです」
「それは何かね・・・」
好奇心を募らせつつも声を抑えながら一定の威厳を保ち自分を神父だと思って答える。我ながら板についてきた感じがする。若い女はしばし沈黙を貫く。すうっと息を吐く音が敷居の格子越しに聞こえる。女は口は開く。
「はい・・・勇者様のおちんおちんは一体どうなってるのか?そればかりが私の頭を占めるのです・・・」
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