性なる勇者シュヴァンツと七人の花嫁

ひらきみ

文字の大きさ
57 / 82

五十七発目 懺悔室

しおりを挟む
「しかし勇者様の願いとはいえ魔族との婚姻は・・・」

 ここは教会の裏部屋。神父のプリスターはその白髪頭を抱え眉間に皺を寄せて難色を示す。無理もない。この教会にはこれまでそれなりの寄付をしてきたが魔族であるリリスとの挙式を挙げるなど流石に許容出来るはずもない。

「そうですか・・・仕方ありませんね・・・」

「勇者様のお力添えになれず心苦しいですが流石に限度というものが・・・」

「わかります。良いんです・・・」



 ここは教会の懺悔室。薄暗く陰気くさいこの空間が疲れた我が身体にとってはかえって心地良い。先日のリリスが妖気を大放出したおかげで起きた大乱交の後もリリスは連日のように酒を一心不乱に飲みたがる飲兵衛のように事あるごとに俺の精液を求めてくる。朝、下半身に刺激を感じ気がつけばベッドの上でリリスが我が男根を頬張っている。そんな朝も一度や二度ではない。

 全く俺を朝食のパンやチーズだとでも思っているのか。そんなリリスの首と胴体がおさらばしない為にも婚姻関係を結ぶ腹だったが神父の言い分も最もである。神聖な神の家で魔族の婚姻など。罰当たりにも程がある。神父の答えを聞いてすぐに帰るつもりだがこうやって懺悔室でひと休みをさせてもらっている。あいにく誰も来る気配は無い。

「面倒くせえなあ・・・」

 宙をぼんやりと眺めながらそんな事を独り言ちる。霧のように睡魔が全身を包み込む。ここんとこ無理し過ぎたかな。そんな事を思う。しかし、こんなとこで寝るわけは・・・そう思うも睡魔の霧が頭の中にも侵入してくる。いつしか意識は暗黒に吸い込まれる。



 目覚めの時というのは出来れば清々すがすがしいものを期待したいものだ。新鮮な朝日に鳥たちの可憐な鳴き声・・・目を開く。我が膝と革製のブーツを履いた足元が目に飛び込んでくる。しまった。寝落ちしてしまった。神の家にこれ以上、長居をするわけにもいかない。腰を浮かせようとすると向こう側から声が響く。

 ここで改めて懺悔室の構造について説明したいと思う。木製のふたつの小さな部屋が近接しておりそれぞれ出入り口は黒色のカーテンで覆われており外側から見えないようになっている。内部は薄暗く敷居の格子の細い隙間からかろうじて向こう側にいる人間を伺う事が出来るものの薄暗く視界が心もとない。

「神父様、今日も私めの恥ずかしい懺悔を聞いてくださるでしょうか?」

 女の声?敷居の向こうからは若い女のものと思える声が聞こえてくる。どうやら向こうはこちらを神父だと思いこんでいるようだ。確かに今、俺がいる位置は神父が腰掛けて懺悔人の懺悔を聞く場所だ。

「どうぞ・・・」

 声をぐっと低く抑えて神父のふりをして答える。似てるだろうか?あまり自信無いが。

「私ほど罪深い女はいません・・・」

 若い女は続ける。どうやら俺を神父と思い込んでくれているようだ。調子に乗って声を抑えて威厳を出してみせる。

「続けて・・・」

 と答える。若い女は一間の沈黙を置いて口を開く。

「私はこれまで神に仕えてきました・・・」

 ん?神職の人間なのか。

「にも関わらず私の心は汚れきっています。このところある考えが私の頭を支配するのです。来る日も来る日もそれはもう執拗にこびりついて離れないのです」

「それは何かね・・・」

 好奇心を募らせつつも声を抑えながら一定の威厳を保ち自分を神父だと思って答える。我ながら板についてきた感じがする。若い女はしばし沈黙を貫く。すうっと息を吐く音が敷居の格子越しに聞こえる。女は口は開く。


「はい・・・勇者様のおちんおちんは一体どうなってるのか?そればかりが私の頭を占めるのです・・・」


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...