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【後日談】
1 独占欲の暴走
しおりを挟む本郷ルカと恋人になった。葛藤の末、本郷ルカを抱いた。一線を越えて、やっと心身共に自分のものになった。
そうなると、喜びだけでなく、奪われることへの恐怖心が湧いて出てくる。
──他人に触れさせてなるものか。
本郷ルカは、自分だけのものだ。
とあるテレビ局の楽屋。中央テーブルにStar Novaと本郷、サイドのソファにL-Novaの三人が座っていた。
「今日挨拶に来た百瀬さんでっかかったなぁ」
しみじみと思い出しながら言うのは、Star Novaの春陽だ。
「あーでもルイよりは小さいよな」
「ルイくんは、規格外ですからね」
続けて、本郷と三井も言葉を重ねる。
ルイとはだれか。L-Novaの三人は話に着いていけず、顔を見合わせる。
「俺なんて、ルイくんの後ろにすっぽり隠れられるよ」
「晃弥はチビだからな」
「本郷さんは平均身長よりは高いもんね。でもルイくんの前だとチビだけどね」
「煽ってる?」
Star Novaと本郷の、六人だけで話が進んでいく。
水島と月城は台本を読みつつも、みんなの会話が気になるようだ。櫻井も六人の方へ視線を向ける。本郷が浮かべる、Starへの信頼が滲み出ているような素の笑顔に、なんだか心が苦しくなった。
「筋肉もあるしなぁ、ルイ」
櫻井はペットボトルを持ち上げたまま、飲むことも忘れていた。本郷の笑顔だけがやけに眩しくて、目に刺さる。
「本郷さんも身体鍛えてんじゃん。……あれ、少し太った?」
「ばか、触んなよ」
晃弥が、本郷のシャツの中を触る。櫻井は思わずムッと顔を顰めたが、二人はきっと、何も思っていない。仲良し同士でじゃれ合っている、ただそれだけの話だ。
それが分かっているから、櫻井は怒ることもできない。
「あの、ルイさんって、どんな方なんですか?」
勇敢にも話に入っていったのは、月城だった。六人の視線が一気にこちらに向く。笑顔を浮かべた本郷が、すぐに口を開いた。
「ああ。昔Novaの一員だった……Ignis Novaのメンバーの一人だ。196cmある」
「デッケ!」
反射的に声を上げた水島に、場に笑いが起こった。一気に場が和やかになる。一人悶々としていた櫻井は、チームメンバー二人に感謝した。
「外見は、そうだな、金髪ロングの……ハンサムな顔付きで……」
本郷がルイの姿を思い出すように、明後日の方向を見た。
「あ、来夢くんを大きくした感じかも」
「確かに、雰囲気似てる気がしますね」
雪乃と三井、二人で櫻井を見ながら、おっとりと笑顔を浮かべた。
「似てるねぇ。本郷さん大好きなところも」
「春陽、それは余計な情報かも」
「えー? そうなの?」
わいわいと盛り上がる雰囲気の中、一部の敏感なメンバーは察していた。櫻井の中に渦巻く、ドス黒い感情に──。
◾︎
Star Novaが先に収録へ向かい、楽屋にはL-Novaの三人だけが残った。
「わ、ルイさんの写真でてきたよ。かっこいいねぇ」
月城がスマホを操作し、表示された写真を三人で覗き込む。
「まぁ、系統は似てるか?」
「似てねぇよ」
「そう怒るなって、来夢」
「怒ってねぇ」
水島の言葉を遮るように櫻井が否定する。抑え込もうとしているのは分かる。それでも、苛立ちは隠しきれていなかった。
「本郷は……俺のものだから」
口にした瞬間、櫻井ははっとする。取り消すには、ほんの一拍遅かった。
「俺のもの、ねぇ。もの扱いして怒られない?」
櫻井が眉を下げる。前の事務所で散々な扱いだった三人にとって、それは地雷ワードでもあった。
「……悪い。失言だった」
その頃。
本郷は忘れ物を思い出し、楽屋へと戻ってきていた。
ノブに触れた指先が止まる。扉一枚越しに、来夢の声が届いた。
「本郷は、俺のものだから」
(俺のもの……?)
胸の奥から、熱いものが溢れていく。きゅん、と鳴る胸の奥とともに、素敵な言葉の響きに浸る。
(俺は来夢のもの……)
そう思った途端、胸の奥がじんわりと熱を持った。
嬉しさがにじみ出る。しばらく、本郷は扉を開けることができなかった。
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