【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨

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番外編

クリスマスデート③

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 フロガと街を歩いてると、お腹が空いてきたので、丁度お昼頃だったのもあり飲食店の中に入った。庶民向けのお店だったがフロガは特に文句もいわず店内に入ったし、出された料理も美味しそうに食べていた。

 毒味はちゃんと僕がしたよ。流石に…王子様にここで倒れられたら、俺の責任だし。むしろ俺の首がとぶが…?


 フロガが「美味しかったな」と店を出るときに呟いてたので、この店は当たりだったようだ。この前ルスが「この店凄く美味しくてオススメだよ!」といっていたから来てみたかった。今度ルスに会ったらお礼言わないと。


「ルアネ…」

「なんですか?」


 また、この子は一人でソワソワし始めている。


「何か言いたい事あるなら早めに言った方がいいですよ」


 何だろう?まぁ、多分察しはついてるんだけど…。明らかに出会った時から持ってる紙袋。多分クリスマスプレゼントだろう。僕がプレゼント用意してないから、貰うのちょっと申し訳ないんだよなぁと考えていると。「あぁ。」とフロガが呟いて、覚悟を決めたようにじっと見つめてきた。


「時計塔…に行きたい」

「ええ。フロガが行きたいなら行きましょうか…」

 そう言って、時計塔に二人で登った。相変わらず、ここは人が多いな…と主にカップルがね。名所スポットだし、今日クリスマスだもんね。

 フロガはそんなに僕を気にせずにズンズンと先に進んでいく。そこ一般の人は入れないんじゃ…?扉の前に立つフロガを引き止めようとすると

「問題ない。鍵を持っている」

 何でだよ!

「えっと、ここには昔からよく来ていて。ここの管理者と仲良くさせてもらってて、スペアキーをくれたのだ。だから、不法侵入とかではないからな!」

 フロガがよく時計塔に来ていたとか、僕知らないんですけど…!?管理者と仲良い?フロガが??人見知り気味のフロガが?

「そ、そうなんですね~」

 と言葉を返すと「うん」とハチミツをとろけさせたような甘い微笑みを向けられながら「こっちだ」と手を引かれ、扉の先に足を踏み入れた。

 不意に、そんな幸せです!見たいな顔されると、ギュン!と心臓が締め付けられるような感覚がして。キュンってしちゃうじゃないか!困るよ!顔が良いのもっと自覚して!!!

 繋がれた手も体温が上昇したのも自分でわかった。

 今、顔が火照ってるのバレないよう下を向いて引かれるまま歩いていると、フロガが立ち止まった。

 顔を上げると外の風景が目に入り、大分高い所まで来たようで、頬を撫でる風が普段より冷たい気がした。

「ここまで登ったの初めてかも…」

「この鍵を持ってないと入れない所だからな。私の…大好きな場所なんだ。ルアネにも見せたかった」

 大好きな場所か…。僕は今までフロガと一緒にいて、この場所の存在なんて一切知らなかったのに、なんかちょっぴり寂しい。

 そう言えば、幼い頃からたまにフロガを探しにいって、部屋にも何処にもいない事があったな…と。ふと思い出した。ここに居たのかな…。

「ありがとうございます。大好きな場所、教えてくださって」

 そう言って、フロガの方を向き笑ってみせた。

「ルアネ。ここは…母上との思い出の場所なんだ。管理者も母上のお父上で、私の祖父なのだ。だから鍵を持っている。まだ母上がお元気だった頃に、何回かきた場所で、母上もここからの街の眺めが好きだった。私は…ルアネと出会うまで…王宮も離宮にも居たくなくて…よくここに入り浸っていたのだ。実は結構、離宮も抜け出していたのだ。だから、さっきも心配してくれて嬉しかった」

 寂しそうに喋るフロガに何かしてあげたいと思うが、いい方が浮かばすに押し黙る。

「だから…その。本当にルアネと出会えて私は幸せなんだ。私を孤独から救ってくれた恩人でもあるから。ネアも…な」

「私も、貴方と出会えた運命に感謝しています」

 一歩、フロガに近づいて、手を伸ばそうとすると、ギュッと手をとられ両手で捕まれた。そして、跪かれる。

「多分、私はルアネ以上に好きになる人は今後現れないとおもう。それくらい好きだ。愛してる」

 臭いセリフに少しクスッと笑ってしまった。

「この前、ルスに現を抜かしてたのに、よく言えますね」

 ちょっと意地悪なことを言うのも許してほしい。あの時は本当にルスに嫉妬をしていたのだから。

「あの時は…申し訳なかったと心から思っている。ルアネが腕を切れというのなら喜んで切る」

「腕は、要らないので切る必要ないです。物騒なことを言わないでください」

 フロガはそうか…と呟き、改まって僕の顔を見上げてきた。

「ルアネ、これを受け取ってほしい」

 そうやって取り出したのは、黒色のBOXに鎮座する紅い指輪だった。

「指輪…」

 えっ?!ゆ、指輪?!?この流れで指輪だよ!?こんなんプロポーズじゃん!!!!URのスチルだよ!!!!!!!オタク心が騒ぎながらも、クリスマスに指輪ベタすぎる!!どんだけ僕の事が好きなんだ…!!?と、2倍の嬉しさで思わず顔がニヤけてしまって、最終的にはニヤけ面を隠すように顔の近くに手をもっていき顔を隠すように笑った。

「指輪とか…!ベタすぎませんか!ははっ!僕が受け取り拒否したらどうするつもりだったんですか…!」

「えっ、受け取ってくれないのか!?」

 急に焦ってオロオロしだすフロガが面白くて更に笑ってしまうし、ちょっと涙出てきた。


「指になにかつけるの、好きじゃないですけど…。フロガが気合いいれて用意してくれた指輪なので、受け取りますよ。折角ならつけてくださいね」

 フロガがパアッ!と明るくなり、「勿論!」と言い僕の手をとり、薬指にはめようとする。

 本物の王子様に跪かれて、指輪をはめてもらうなんて、何処のおとぎ話のお姫様だよ。って感じだけど、僕はお姫様でもないし、原作では悪役だったし、前世のからの推しからこんなシチュエーションを体験できるなんて。こんなに幸せで良いのかな。


「殿下?さっきから全然指輪…はまってないんですけど…。もしかしなくてもサイズあってませんよね?」

「いや、ちゃんと…ネアに、聞いたからあってるはず…」

「何で、ネアなんですか?!ネアが素直に殿下に教えるわけないでしょ?!」

「そんな…バカな!折角…気合いをいれて、サプライズで、ルアネに指輪を用意したのに、こんな格好つかないじゃないか…」

 見るからにショックを受けて…項垂れている。

 しょうがないな…。いくつになっても世話の焼ける人だ。

 フロガに掴まれたままの手を逆に両手で掴み、自分もフロガの目の前にしゃがみこんだ。そして、顔を覗くように首を傾げる。

「殿下…。今度一緒に指輪見に行きましょう。今度はサイズ間違えないように、二人で。ね?」

 フロガはその言葉を聞き、顔を少しあげた。若干潤んだ目をしていて、相当ショックだったんだろうな。かわいいなと思って、そっと唇に触れるだけのキスをした。

 ちゅっ、とリップ音が響いてしまったのがちょっと恥ずかしい。

「だから、今はこの、ブカブカの指輪でかまいません。チェーンでも見繕ってネックレスにでもしますね」

 フロガにそう伝えながらへへっと笑うと、ガバッと抱きつかれた。

「うわぁ」

「好き、かわいい、大好き」

 ぎゅうぎゅうと抱きしめてくるので、背中をポンポンと叩きながら抱きしめ返す。なんか、匂いも嗅がれてる気がするんだが、知らないふりをした。この人は今落ち込んでるので。

 そのうち満足したのか立ち上がり、フロガは指輪をしている手を口元にもっていき、指輪の上から薬指にキスを落とした。

「絶対、次はぴったりの指輪を贈るから。今日はこれで許してほしい」

 そう言いながらも手にすり寄ってくるものだから、可愛くてしょうがなくて。

 今日も推しがこんなにカッコよくて可愛いなぁと感じるのだった。

 僕はとびっきりの笑顔で答えるのだ。

「はい!仰せのままに」


おしまい




イラストはたかだ。様


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