真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

文字の大きさ
43 / 99

第43話 裏切り者の正体

しおりを挟む
マリア王女が部屋から去って、数時間経過した頃、俺はようやく少し回復し、アクティーと会話をできるくらいになっていた。

『アクティー、その…
・・・胸は大丈夫か?』

『すぐ回復させられたから何ともないわ…ただ、左右が重さが違いすぎてちょっと気持ち悪いわね。』


『マリア王女は、想像してた以上に相当ヤバイな…頭がおかしいとしかいいようがない…

これは、なんとしても明日までに逃げないと、明日は何をされるか分かったものではない。』


『そうね…でも逃げ出す手段がないわ。逃げれたら、直ぐにあの女を殺しに行くのに!』
アクティーは悔しそうに言う。


『アクティー、俺のジョブは、異性とのセックスに関わる行為をすることで、経験値を得ることが出来るんだ。

例えば、キスとか胸に触れたりとかな…ジョブレベルを何とかして上げれば何か新しいスキルを覚えるかもしれない…可能性は低いが何もしないよりはいいのかもしれない。』

『そんなことで、レベルを上げれるの?それなら、繋がれてさえいなければ毎日一晩中でも相手をするのに!』

俺はその答えに苦笑するしかなかった。



『また足跡が聞こえる…もう戻ってきたのか?』

『今度は2人みたいよ?』

俺はまたあの苦痛が来るのかと恐怖に固まっていた。



扉が開かれるとそこには、見知った顔があった。
ナディアとマリンだった。

『裏切り者は、お二人だったんですね!?何故ハリーを裏切るんですか?ハリーが、生まれたときから仕えてたと言ってたのに…』


『アラン…こんな形で会うのは心苦しいわ。私もマリンもあなたのこと、とても気に入っていたのよ!勿論ハリー王子のこともね…

でもね、私とマリンは生まれる前から【アリスト教の使徒】だったの。親の代からアリスト教のために生き、アリスト教のために死ぬ。そう運命づけられて生まれてきたの。』


ナディアが予想とは違った話を語ってくる。
 

『アリスト教では、ハリー王子とマリア王女どちらが王位を継いでも構わないスタンスなの。だから、どの王族の陣営にも私たちのようなアリスト教の使徒が混じっているのよ。

でもね…マリア王女が暗殺者を雇って、ハリー王子を殺そうとしたという事実を公にさせる訳にはいかないのよ。「アリスト教の聖女マリア様」として既に有名になってしまった、マリア王女の名が穢れるのはアリスト教にとって大きなマイナスになるからね…

これが、マリア王女を騙してこっそり殺す作戦なら逆に協力できたくらいなのよ…マリア王女は知っての通り、危険な裏側も持ってる方だから…

私たちにとって大事なのは、アリスト教にとってプラスになること。マイナスにならないことなの。


理解しろとは言わないけど、宗教の裏には私たちのような存在もいるってことよ。』


(なるほど、宗教にはどこの世界でも裏側があるってことか…日本人の悪い癖で宗教を甘く見てたのは、俺の責任か。)


『話は分かったんですが、1つ分からないことがあります。

何故わざわざリスクを犯してまで、俺たちに会いに来て、その話をする必要があったんですか?

このまま放っておいたら、マリア王女に残虐に殺される未来が濃厚なのに…』

『それは私が答えるわ…』
マリンが悲しそうに声を出してるのが分かる…


『さっき、ナディアも言っていたけど、私もナディアもアランのことがとても気に入ってるのよ!何とかして助けたいと思っているの。

でも、それがアリスト教にとってマイナスになるのが分かってるのに無理に助けようとすると、私たちは誓約の証の力で死ぬことになるわ。』

『なっ!?誓約の証で信仰を強要されてるのですか?それじゃー奴隷と変わらないじゃないですか?』


誓約の証とは、両者で契約内容と、それを破ったときの罰則を決め、血の契約を結ぶことの出来る不思議な道具である。呪術の一種であると言われている。

誓約が成立すると、それぞれの者の体内に光となって、入り込み、もし契約内容を本人が破ったと自覚すると、自動的に発動し、罰則を即履行することになる。

つまり、マリンの言うことを信じるなら、アリスト教では、アリスト教の使徒と呼ばれる代々アリスト教に仕える一族が複数存在し、自らの命を誓約の証で縛られ、信仰への忠誠を強要されているのだ。


『今の話を私が話したことで、実は余計アランを逃がすわけにはいかなくなったの…今の話が広がれば信仰に疑問が生まれかねないから…

でも、アランを1つだけ逃がしてあげられる方法があるの!

アランにも、誓約の証で私たちと契約をして、アリスト教のマイナスになるような余計なことは、言わない、行わないということを誓って貰えばいいの。もちろん、私たちがアリスト教の使徒だということも、ここでのこと、マリア王女のことも一切漏らすことは許されなくなる。

そうして、今まで通り、レオナルドさんと4人でハリー王子を支えていきましょう!?

それなら、助けることができるわ!!どう?誓約してくれる?悪い話じゃないでしょ?このままじゃ、苦しんで死ぬだけなんだから…』


『それは確かにそう思いますが、1つ気になってるんですが、さっきから、俺のことばかりでアクティーの話がなかったのですが、誓約した場合アクティーはどうなるんですか?』

『アクティーは、このまま死んで貰うわ。元々その予定だったんだし、変わらないでしょ?』
無機質にマリンが述べた。

ナディアも語り始める。
『アクティーの存在は、それだけ特殊ってことよ。いくら誓約をしたところで、プロの暗殺者として任務を放棄して、別の主を見つけたところで、組織が裏切り者を消さないはずがないでしょう?

アクティーを助けることは、裏の世界の者たちと敵対することになりかねない危険な行為なの…

任務通りハリー王子を殺させる訳にもいかない。マリア王女を失脚させる道具にされる訳にもいかない。組織と敵対する訳にもいかない。

助けたところでマイナスにしかならないのよ…アランが望むならこのまま、私たちの手で苦しまずに殺してあげてもいいわ。

その場合、マリア王女の怒りを沈めるのが大変そうだけどね…それくらいなら何とかしてみせるわ。』


『ありがとうございます。話を聞いて、ナディアさんとマリンさんの置かれている立場と状況は理解できました。その中でも、俺なんかのためにかなり頑張ってくれてることも伝わりました。』

『そう!じゃー誓約してくれるわね?』
マリンが前のめりに聞いてくる。


『いえ。俺にはそれが賢い選択と分かっていても、その選択肢を選べそうにないです。

俺はここで、アクティーを見捨てて、自分だけ外に出ても後悔しか残らないと思います。最後まで、アクティーも助けるつもりで足掻いてみます。』

『馬鹿なこと言わないで!!』
アクティーの震える声が響いた。

『私のことはいいから、アランは生きて!
お願い…

助かる道があるのに、私なんかのためにアランが、命を張らなくていい!

私のためにアランが死んだりしたら、それこそ、私は死んでも死にきれない…』

『アクティー、ありがとう。でも、これは俺の気持ちの問題なんだ…アクティーが、責任を感じる必要はないよ。』


『ナディアさん、マリンさん。
もし、奇跡が起きて、ここから無事に出られたとしても、お二人の裏切りのことも、アリスト教の使徒の話も漏らさないことを誓います。

正直お二人の立場では仕方なかったのは理解できました。

お会いできるのもこれで最後になるかもしれないので、お二人に1つお願いがあります。

最後にキスして貰えないですか?
勿論ほっぺたで構いません。』


ナディアは俺に近づいて来て、
『本当に馬鹿な子ね…』
といい、俺の口に濃厚なキスをしてくれた。


ナディアが離れると、マリンは泣きながら、俺の頭をポコポコと叩いて、

『アランのバカバカバカ!何で受け入れてくれないのよ?』

ギュッと胸に俺の顔を優しく抱いてくれた。暫くすると、俺のほっぺたを両手で挟み、いつまでも続くような熱いキスをしてくれた。

マリンは唇を離すと、
『絶対奇跡を起こしてよね!私たちの気持ちを無駄にしないで!!』

『頑張ってみます。』


【ジョブレベルがあがりました】
【スキル フェロモンを取得しました】


2人の気持ちが起こした、奇跡のアナウンスが流れるのだった。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

処理中です...