真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

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第80話 装備一新 中編

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防具屋さんに行くと、様々な物が所狭しと並べられており、生まれて一度も防具という認識の装備を購入したことのない俺にはなかなかのハードルの高さであった。


『いらっしゃいませ。何をお探しですか?』

若い店員のお姉さんに声を掛けられた俺は、要望を伝えることにした。

『全身の防具を新調しようと思ってるんですが、防御力より動きやすさをメインに軽めのものを考えてます。
何かお勧めはありますか?』

『分かりました。ご予算はどのくらいですか?』

『全部で20万ルピーまでと考えてます。』

『20万!?そんなにですか?

それだけあればよっぽどの高級品以外なら、大抵の物は買えますよ。

軽くて動きやすさ重視なら、革製品をオススメします。もしくは、急所の部分だけ金属を使用したものもオススメです。』

『では、オススメを色々と見せてもらえますか?』


色々と見て回った結果、鎧だけは高級なドラゴンの革で出来た軽鎧を購入した。丈夫なだけでなく、炎や氷の攻撃を軽減する効果まであるそうだ。

次に高級なのは、ウインターウルフの革のブーツである。丈夫で、滑りにくく、何より軽い。普通はオーダーメイドなのだが、運良くたまたま見本品がピッタリだったので値引きしてもらった上で購入。寒さに強くなる効果もあるそうだ。

パンツ(ズボン)は動きやすさと蒸れないことを重視で、絹製品にした。防御力はないが、肌触りが良く擦れないので長時間の行動に向いているらしい。

両腕には、防具としては役に立ちそうにないが、付与を付ける目的でリストバンドを購入した。

これで合計で、おおよそ17万ルピーで収まった。




『たくさんご購入頂きありがとうございます。最近はお客様のような大口のお客様は少ないのでありがたいです。』

『戦争前で、装備の需要は高まってる気がするんですが違うんですか?』

『それは、クーデター直後だけですね…今は普段戦わない街の人間が、安くてそれなりの物を買いに来るぐらいです。』

『なるほど。ところでもし良かったら、どこか場所を貸してもらえませんか?』

『構いませんが、どれくらいの広さが必要ですか?』

『今購入した物に付与を付けるだけですので、1メートル四方もあれば可能です。』

『お客様は付与師だったんですね?それでしたら奥の従業員の休憩室をご利用下さい。

それと…もし可能であれば、私も付与をしているところを見ていても構わないでしょうか?』

『構いませんけど、見てても面白くもないと思いますよ。』


これだけの装備を買うと、攻撃速度上昇の素材は4つしかないため、特化するのは諦めた。

俺の場合は手を失うと攻撃することは叶わないので、まずは吸血のナイフとリストバンド2つに攻撃速度を付与する。

名前 吸血のナイフ
種類 ナイフ
ランク A
付与 攻撃速度5.8%上昇


名前 リストバンド
種類 アクセサリー
ランク G
付与 攻撃速度5.4%上昇


名前 リストバンド
種類 アクセサリー
ランク G
付与 攻撃速度4.8%上昇


合計16.0%上昇。
残り1つは、もう1つの武器を手に入れたら付与するために残しておく。


次に、残りの装備に「自然治癒力上昇」をつける。

自然治癒力上昇の付与には

下位素材は、大蜥蜴の尻尾
上位素材は、エリクサラマンダーの尻尾

が必要だ。

エリクサラマンダーの素材はあの時の戦闘で俺が倒した2匹とましろが倒した20匹ほどの全てを回収しているため、それなりにあるのだ。


名前 ドラゴンの革鎧
種類 軽鎧
ランク A
付与 回復速度18%上昇


名前 なし
種類 パンツ
ランク G
付与 回復速度14%上昇


名前 ウインターウルフの革ブーツ
種類 靴右足
ランク C
付与 回復速度10%上昇


名前 ウインターウルフの革ブーツ
種類 靴左足
ランク C
付与 回復速度12%上昇


合計52%上昇。どの程度回復に差が出るかは分からないが、無いよりはましであろう。


『終わりました。場所を貸して下さりありがとうございました。』

『お客様すごいです!!
全ての素材が高級な貴重品ばかり。それをあんなに惜しげもなく使われるなんて…

しかも、マジックバッグ持ち。その若さで付与師としてさぞや成功を納めてらっしゃるのですね!?』

『いや、そんなこともないですよ…』


(昨日生まれて初めて付与しました。とは言わない方がいいんだろうな…)


『お客様…もし、よろしければお願いがございます。私の父を救ってもらえないでしょうか?

私は、アンナと申します。

私の父は、ここから少し離れた場所にある、鍛冶場の棟梁をしております。腕は、王国一と言われておりました。

しかし、ユリウス王子のクーデターが起こり、王子が王になるための式典の剣を打ってくれと依頼があったとき、父はその依頼を断りました。

父は先代の王と親交があったため、王を殺したユリウス王子が許せなかったのでしょう。


そのことで、ユリウス王子の怒りを買った父は、王国内での取引を禁じられ、武器や防具を作っても1つとして、購入してくれる商人、個人ですらいない状況なのです。

もし取引がバレれば王都にいれなくなるでしょうし、下手をすれば殺されてしまうからです。

しかし、ラトルの村にいる王族ならば必ず購入してくれるでしょう。お客様にもしお願い出来るのならば、ラトルの村に行って父の今の状況のことを伝えて頂けないでしょうか?』


『何故それを俺に?アンナさんが直接ラトルに行けば済む話だと思うのですが…』

『父と関わりのあるものが現在門を通ることは出来ません。もし、バレれば一族皆殺しです。』

『そうだとしても、そんな危険を俺が犯す理由がありません。』

『お客様は、優秀な付与師であります。父とラトルの王族を結びつければ、鍛冶師として有名な父の作る装備品にお客様が付与を付けて売ることも可能となります。

その利益は想像を絶するものとなるのではないでしょうか?』


(正直…俺が付与をするにしろ、ハリーたちから、金なんて取る気は全くないんだが、この話ハリーたちにとってはかなりの良い話ではあるんだよな…

それに気になることもある…もう少し確認しとくか…)


『付与を付けることによる利益は、材料の調達の問題でそんなに簡単な話ではないんですよ。俺の装備の分とは数が違いますので…』


『下位素材でよければ、入手のルートは私の方で紹介は可能です。皆父のことは好きなんです。ただ、父と直接の取引が出来ないだけで、こっそりとなら今も力になってくれています。』


(そうか…ビアンカを助けた後なら、そのルートを紹介してもらい、ラトルでみんなに付与をしてあげるのもありだな。)


『そうですか…実は今俺には急ぎの案件があります。

だから、付与の素材のルートの件はそれが落ち着くまで保留とさせて下さい。

だけど、ラトルの王族にお父さんのことを伝えることだけは、今日中にしても構いません。

ただ、その前にお父さんと会わせて下さい。そして、そのたくさん抱える装備品を見せてもらいたいのです。

実は俺は今、出来のいいナイフをもう1本探してるのです。武器屋をたくさん回りましたがありませんでした。その在庫の中に良いものがあれば購入したいのです。』


『本当ですか!?それは、父も喜ぶと思います。

ただ、私と一緒に父のところに向かうと誰が見てるか分からないので、お客様だけで、父のところへ行って頂いても大丈夫ですか?』

『場所を詳しく教われば行けるとは思いますよ。』


こうして、運の良い出会いなのだろうとは分かりつつも、またも余計なことに巻き込まれ、いらぬ時間を食うことになっている俺であった。


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