真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

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第85話 急げアラン 後編

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俺は、エリーと約束した通り休息のための仮眠を取っていた。30分ほどして、エリーに起こされ、目にしたのは今までとは違う光景だった。

これまで馬車1台に護衛8人程度の編成だったのだが、今回は、馬車が10台ほど連なっており、護衛の兵の数も100人ほど、その兵1人1人の装備も今までに比べると立派なものとなっていた。

『これは、帝国の移送隊の本体か!?そうなら、この中に必ずビアンカがいる!!間に合った!!!』

『主、どうしましょうか?この数と兵の質は、今までの通りの作戦ですと、主に危険が伴うかもしれません!?私が蹴散らしましょうか?』


『エリーに聞きたいんだが、エリーがさっき言ってた馬車を救う制約がなければ集団でも問題ないってのは、範囲攻撃をすることができるってことだよね?』

『そうです。自身を中心として、半径50メートルから500メートルまで自由に放電が出来ます。主が乗っていても、主には雷は届きませんのでご安心下さい。』


『そんなことが出来るのなら、楽に奴等を倒せるかもしれないぞ!』

俺の頭は、エリーのお陰で少し休憩を取ることができ、かなり回復していた。そのため、真っ向勝負などしなくてもいいと思えるくらいの余裕が生まれていた。


今までと同様に前に回り込み、声を掛ける。


『聞け!愚かな帝国の兵たちよ!!

我は、神の使徒である。
神は、多くの王国の人間を帝国に連れ出そうとする愚かなお前たちに罰を与えるために、我を1500年ぶりにこの地に遣わせた!!

我はリザードライダー!お前たちに罰を与える者だ!!』


そう言い、いつものように馬車の馬を次々と気功波で攻撃し、馬車を動けなくする。


『何だ!?馬の様子がおかしいぞ!あの神の使徒が何かしたのか?』

『神の使徒なんかの訳ないだろ!さっさと化けの皮剥いでやろうぜ!?』

何頭かの馬が俺たちの方へ飛ばして向かってくるが、俺の気功波によって馬が転倒し、飛ばしてた分、上に乗っていた者も大怪我をすることになる。


『馬は使うな!何かのスキルか何かで馬は役に立たない!歩いて、数で囲め!!』


帝国の兵たちは、馬にしか影響がないと思ったのか、徒歩で俺たちに向かってくる。

『エリーゆっくり後ろに下がって行ってくれ!ゆっくりな!!』

俺は、帝国兵の圧力でエリーが下がってるように演出したのだ。帝国の兵たちは、訓練された動きで、横から徐々に俺たちの後ろに回り込もうとしていた。

包囲をして、逃げ道を塞ぐつもりなのだろう。

時々、弓矢が飛んでくるが、エリーの雨避けのスキルの効果で俺たちには不思議と当たることはない。



俺の目的は勿論先程止めた馬車から50メートルの距離を取ることである。元々それなりに距離があったので、直ぐにその時は訪れる。


『エリー!50メートルで放電だ!!』

エリーが放電を放つと、エリーの尻尾が光輝き、そこを中心として青紫の閃光が走る。次の瞬間周りの視界は真っ白に染まり、ただ紫の雷が唸っていた。

数秒で視界は回復するも…
エリーの放電は想像してた以上に凄まじかった!その範囲にいる者は全て感電死ではなく、消し炭になってしまったのだ!!

『何だ…この威力は!?これは放電なんてレベルでない威力だぞ!!』

『放電は範囲を狭くすればするほど威力が上がります。今のは、範囲は最低だったので、威力は最高だったのです。』


放つように命令した俺ですら、ビビってしまう威力である。

運良く放電の範囲外におり、生き残った僅かな帝国の兵たちも、ただ驚き呆然とするだけで動きは見られない。

俺たちは周りを警戒しながら馬車の方に近づいて行き、再び演説をする。


『聞け!愚かな帝国の兵たちよ!!

これで我の力は分かっただろう!?死にたくなければ素直に投降しろ!1人でも少しでも逆らう様子が見られたら、全員平等に死を与えるものとする。

武器を手にしてることも許さない!まだ持ってるなら3秒で捨てろ!』

『3』

『おい!武器を持ってる奴早く捨てろ!!』

『2』

『まだ持ってるやつがいたら、そいつを殺せ!!俺は死にたくない!』

『1』

『0』



そこには、武器を持つ者は誰もいなかった。俺は、投降した兵たちをマジックバッグから取り出した縄で縛り付け、エリーに見張らせる。

『エリー見張っといてくれ!もし1人でも逃げようとしたら、全員食べていいぞ!!人間の肉好きだっただろう?』

『畏まりました!』

これだけ脅してれば、まず逃げることはないだろう…



後は、本来の目的であるビアンカ探しである。1台1台馬車の人間を助けていくが、ビアンカはなかなか見つからない。

最後の1台になり、この馬車だったかとビアンカを探すが、いくら探してもビアンカはいなかった。

『何故だ!?ビアンカは何処に行ったんだ!?』
俺は狂いそうなくらい乱れていた。

『ビアンカ?神の使徒様が探されているのは、お下げ頭の神の使徒様と同じくらいの年の女の子ですか?』

囚人の女性の1人が声を掛けてきた。


『ビアンカを知ってるのですか!?俺はその子を探してるのです。教えて下さい!何処にいるんですか?』

『先程、神の使徒様が来られて直ぐ、馬車が転倒しました。その直ぐ後、ゲバン大臣が馬車が無事そうな部品を組み合わせ、無事な馬を集め、1台の馬車を作り出しました。

その馬車にも囚人が20人ほど乗っていました。おそらくその中にいたのではないかと…


ゲバン大臣とその側近の兵たちは神の使徒様との戦闘が行われている間にこっそりと何処かへと消えて行きました。

おそらくは、すぐそこにある国境に向かったのだと思います。
時間的にも、そろそろ国境に着いてもおかしくありません!


神の使徒様!お急ぎ向かわれて下さい!!そして、最後の馬車の者をお救い下さい…』


俺はすぐに、エリーに乗って馬車を追った!!
帝国の兵たちは囚人たちに任せた。


『ビアンカーー!!』
俺は叫ばずにはいられなかった。

もう、すぐ側まで近づいているはずなのに、あと僅かに手が届かない愛しい婚約者の姿を追って…


国境は壁のような高い砦に守られていた。

俺たちが国境が見えるところへ差し掛かると、遠くに1台の馬車が国境へ飛ばしてるのが見えた。あれがおそらくはビアンカの乗る馬車なのだろう!

『エリー!あの馬車だ!!絶対に逃がさないぞ!』

『承りました。全力で追います。』


俺たちが近づいて来るのが分かったのか、馬車の周りの兵士たちが馬車から離れこちらに向かってくる。

俺は気功波を打ち、馬を転げさせていこうとするが、本日ずっと使い続けてきたため、とうとう気力がつきたようだ。1回しか気功波は放てず、まだ5頭の馬に乗った兵たちが向かってくる。


エリーは戦うのも時間の無駄だと、全て避けて馬車に近づいて行く…後少しで馬車に届くかと思ってたところ、国境の砦から大量の兵たちが飛び出てくる。

馬車が兵たちの間の道を抜けると、直ぐにその道は閉じ、俺たちの目の前に壁となってくる。

『邪魔だー!!』


大量の人の肉壁を蹴散らそうとするも、多勢に無勢…エリーの走りの勢いは止められてしまう。それでも、エリーはその兵の壁を蹴散らしながら、少しずつ抜けて行く。


兵の壁を抜けた先には…


既に馬車の姿は無く、国境の砦の中に入ってしまっていた。


『エリー!さっきの放電は何回も出来るのか?』

『まだ電力が回復しきれてないですが、だいぶ威力が落ちたものなら放つことは可能だと思います。』

『では、50メートルでもう1度放ってくれ!』


エリーの放った本日2度目の放電は、先ほどに比べれば弱いが、周囲50メートルの敵は生きている者はいないだろう、酷い光景が広がっていた。

おそらくは先ほど壁を作っていた400名ほどの兵士は全滅だろう。

『エリーこのまま、砦の壁を登って国境を越えるんだ!』


俺はその勢いのまま、砦の外をそのまま登って越えてしまうことにしたのだ。それによってかなりの時間短縮になると思ったのだが、甘かった。

帝国の兵たちは、国境という大事な場所を守るということもあり、兵の数はかなり多く配置されていたようで、壁を登ったところへ、次から次に兵が襲ってくるのだ!

『キリがない!威力が弱くてもいいから、放電は放てるか?』

『まだ暫くは無理です。可能になればお知らせします。』

エリーは、帝国の兵たちを蹴散らしながら答える。


『帝国側には入れるなー!ゲバン大臣をお守りしろー!!』

帝国兵も軍事を司っている大臣のために、必死に守ってくる。その包囲を抜けたのはしばらく時間が経過してからであった。

少しだけ回復した電力を使用してもう1度、壁の上にいた多くの兵たちを感電死させたのだ!


しかし、時既に遅く、ビアンカの乗った馬車の行方は分からなくなってしまっていた。

俺もエリーも諦めず帝国内の国境付近のあらゆる道沿いを探したが、とうとう見つけることが出来なかった。


『くそっ!あそこまで側に近づいていたのに…』


こうして俺たちは、完全にビアンカの行方を見失ってしまったのであった…


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