真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

文字の大きさ
97 / 99

第97話 軍師の才

しおりを挟む
俺たちはギルから参考に話を聞くことにした。


『今は一旦、ビアンカ様のお体のことは先伸ばしにするべきかと思われます。命に関わる状況ではないこともありますし、何らかの手がかりがあり、急がなければ捕まえられない状況でもありません。

このまま何のアイデアもなく帝都に向かえば、ここにいる全員が死ぬ可能性はほぼ100%だと思われます。帝都には、それだけ武力に特化した存在が多く在中しております。

わざわざ不利な地へ飛び込み、危険を犯してまでその博士を探すよりも、その博士を表舞台へ出させ、誘き寄せればよいのではないでしょうか?』

『そんなことが可能なのか?』


『今すぐには無理です。まずは、アラン様が今回起こした様々な事柄を平和にまとめ、帝国から王国へ直ぐに攻め込まれないようにするべきかと思われます。

このままでは、帝国はアラン様のことを理由として1~2ヶ月後には王国へ攻めてくることは必定です。

今の王国の2分した戦力では、とても帝国と戦うことは出来ないでしょう。


今の状況で外交上使えそうな手札は、まだ王国内にいるサファイア様の存在です。おそらくは後1~2日でここへ到着することと思われます。

皇帝の性格からも、実の娘のサファイア様を捕虜として人質にとっても何の効果はないでしょう…実の娘の命をも帝国のために死ねと言うお方です。

しかし、10日後に来る使者には効果はあると思われます。使者には、

「神の使徒は、王国とは関係のない個人である。王国側も大変迷惑をしている。神の使徒がしたことは、王国の責任ではない!

敵対する意志がない証明に、我々の国民を帝国へ連れ去ろうという不届きな計画の代表者であるサファイア第2皇女を捕らえているが、和平の証明にそちらへ直ぐに引き渡してもいい。」

とでも言えば、皇女を連れて帰る可能性は高いかと思われます。皇帝としても、和平の証明としてサファイア様を既に受け取ってしまった手前、無理な侵略は周辺諸国への外聞が悪いはずです。ユリウス王子が討たれるまでは、手出しはしてこないはずです。


その間に、ラトルで戦力を整え、ユリウス王子を破り、その後に起こるであろう帝国からの侵略に耐える力を準備する方が賢いかと…

幸い帝国との国境を押さえているのは王国側です。情報の規制はしやすいかと…ユリウス王子が討たれた事実を出来るだけ帝国へと漏らさぬようにすれば、1ヶ月はもたないかもしれませんが、それなりの時間は稼げるかと思われます。


おそらくは、帝国は2万を越える兵を率いて王国へ攻めてくることでしょう。しかし、その最初に攻めてくる兵たちにその博士は混じってこないでしょう。また、強者と言われるような者も数えるほどしか参戦しないでしょう。

その多くの数だけの兵を周到に準備し、罠に嵌め、悉く殺し尽くします。帝国は内戦直後の弱った王国にまさか敗れるとは思っていないので、帝都には強者達とそう多くない兵が残るだけの状況に陥ります。

慌てて再び地方から兵を集めようとしても時間がかかるので、王国の軍が帝都に攻めいる方が早いはずです。

そこまでいけば、帝国の強者たちやその博士も表舞台に出てくるしかなくなるはずです。』


『……』

皆、ギルの話が余りに予想を越えた状況を捉えた先読みだったために言葉を失っていた。

『皆様どうしましたか?やはり長々と下らない話をしてしまいましたか?僕の話なんて参考にもなりませんよね…忘れて下さい。』

『いや、そうじゃないんだ!予想を遥かに越えた立派な内容だったので、皆驚いてるんだ!!

ギルには、【軍師の才】があるようだ。状況を把握し、作戦を練る力がある。凄いことだぞ!!』

『本当ですか?これまでこのように想像したことを人に話したことはなかったので、皆様に嫌な思いをさせてないか心配だったのですが、良かったです。』


『ギルの今の話を聞いて気になったのだが、この砦を返せと帝国は必ず言ってくると思うのだが、それにはどう対応する?』


『ここは、決して王国が武力で奪ったものではありません。帝国が自らの意思で破棄し、1人残らず立ち去った建造物を王国が新たに管理を始めた場所です。

自ら破棄したものを、既に他の者が使用しているにも関わらず正当な理由なく返せというのなら、それ相応の金銭を用意してもらわないと対応出来ないと突っぱねてしまえばよろしいかと…

まずないとは思いますが、それで武力行使すれば帝国はただの侵略行為になりますしね。その時点で、帝国とユリウス王子は戦争状態となります。

その時は、我々はラトルへ急ぎ戻り、ユリウス王子の兵たちが帝国とぶつかってる間に、王宮に攻め入り、ユリウス王子の首を取り、新たな王の名で帝国へその首を差し出せばよいかと。

そうすれば、帝国の敵を倒した新たな王ということで、それ以上の侵略は出来ないでしょうし、この砦を戻すことを理由に和平を結んでもいい、その権利の話し合いの間に準備を進め、話し合いの決裂を理由に帝国と戦ってもいいのかもしれません。

ただし、この場合の戦いは先ほどよりも難しい戦いになるかと思われます。』


『よくそんなに、色々と思い付くな!たいしたものだ。

ビアンカ…俺はギルが言ってることは間違いないのではないかと思うんだ。少しでも早く元に戻りたいという気持ちは分かるが、少し遠回りしてみる気はないか?』


『うん…これだけ皆のおかげで戻れたし、皆の命をほぼ100%の確率で危険に晒すって聞いては、さすがにこれ以上は我儘では済まないわ。

話を聞いてラトルにいる皆のことも心配だし、王国の行く末も心配だし、私の体のことは少し後回しにしましょう!』


『分かった!それじゃーギルには、俺たちの戦力や能力を教えた上で、もっと詳しい作戦を練って貰おうか!?ここの兵士の皆の戦力も上げとくべきかもしれない。

サファイアの確保と、約10日後に訪れるだろう使者への準備も細かくしておこう。

これからの行動はギルの作戦を中心に皆で意見を出し合い決めていくことにしよう!!』



こうして、王国と帝国の未来に大きく関わる水面下での戦いがここに始まった。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

処理中です...