2 / 73
第2話
しおりを挟む
翌朝、僕はみんなと待ち合わせの広場に約束の30分前に到着しました。
昔から遅れるのが嫌なので早めに行くようにしています。自分が待つ分はいくら待っても苦痛にならないのですが、誰かを待たせるのは、たとえそれが1分でも申し訳無さすぎて耐えられない性格なのです!
僕は鞄から1冊の本を取り出した。
題名は「冒険者教本その1ー死なない為の心構え」です。
冒険者になるのなら、ちゃんと知識を知っておかないと危ないと思い、ずいぶん前に小遣いを貯めて購入したものなんです。
もう何百回も読んでるのでだいぶボロボロになってきてますが、他の本を買うような余裕は僕にはないので、ずっと読み続けています。
僕が本を集中して読んでいると、ふいに後ろから声を掛けられました。
「相変わらず早いわね、ロン!」
「ニナがこんなに早いなんてどうしたの?いつも最後なのに…」
「ジョブのことが気になって気になって、気づいたらここに来ていたの!」
「どんだけ楽しみにしてるんだよ?気持ちは分からないでもないけどね!」
「へー!ロンも楽しみにしてるんだ?いつもそれほど興味無さそうにしていたのはただのかっこつけなの?」
「そんなんじゃないよ。自分ではどうせ選べないから考えてもしょうがないって思ってただけだよ。
でも今日ジョブが決まるんだよ!さすがに何のジョブを授かるのか気になってくるよ!」
「そっかーお互いいいジョブを授かればいいね!」
「そうだね。変に凄過ぎるジョブが来ても困るんだろうけど…」
「何で!?私は凄いジョブが授かりたいけどな~!!」
「あまり凄いジョブだと国とかに縛られて、自由が無くなるから程々が一番!ってうちの父さんが言ってたよ!!」
「それは分からないでもないけどさ~それでも憧れちゃうよ!自分が特別な力を持つ未来!!
みんなに期待され、それに応えてみんなが倒せないような魔物をバッタバッタと倒して尊敬されるの!そして貴族や王族からの求婚が殺到…あーん、私はどの殿方を選べばいいの!?」
ニナがうっとりした顔で夢のようなことを言ってると、カッシュとキースが現れた。
「おっ?何だか楽しそうだな?何を話してたんだ!?」
「どうせニナのいつもの夢物語だろ?」
「さすがキース、正解だよ!ニナに貴族や王族からの求婚が殺到してるらしいよ!」
「なんだそりゃ?そんなお高く止まった奴らのどこがいいんだ?男ってのは俺みたいな誠実な奴がいいに決まってんだ!」
「はいはい。キースのバカは放っておいて、さっさと行きましょう!」
ニナがカッシュと僕を引っ張っていき、キースを置いてきぼりにします。
「おいって!それはないだろ?俺を置いていくなよ!!」
僕たちは教会の中に入っていきました。
「おはよう。みんな来たね!!」
「「おはようございます、司祭様!」」
「では早速成人の儀を始めようか!」
「「はい!お願いします。」」
「ではみんな目を閉じて、まずは神様にご挨拶をするんだ。そしてジョブを授かれるように心からお祈りしてごらん!きっと神様の声が聞こえてくる筈だよ。」
僕たちは司祭様が言われる通りにした。
神様おはようございます。僕はロンと申します。本日成人の儀を迎えることとなりました。
神様、僕にもジョブをお与え下さい!
《ロン、あなたにはこのジョブを授けましょう!あなたの未来に幸多からんことを!》
司祭様が言われる通り、神様の声が聞こえてきた!僕のような田舎の村人にまで1人1人お声を掛けて下さるなんてなんて慈悲深い神様なんだろう…
ありがとうございます!一生懸命生きていきます!!
…ところで僕はどんなジョブを授けて頂いたのだろう?
たしか…ジョブを得たらステータス画面が開けるようになるんだったよね?
ステータスオープンと念じると、何もなかった目の前に僕のステータスが表示されました。
《名 前》 ロン
《ジョブ》 ボッチlv1
《スキル》 生活魔法lv1
《魔 法》 飲水、着火
《攻撃技》 なし
これだけ?生活魔法って僕が元々使えた、「飲水」と「着火」の魔法のことだよね…それよりもジョブの名前…ボッチって何!?
初めて聞いたし、どんなジョブなのかさっぱり分からないぞ?戦闘職なんだろうか?生産職なのだろうか?せめてそれだけでも分かればいいんだけどな…
そんなことを考えていると、ステータス画面が突然切り替わり、ジョブの説明が表記されたのです。
ジョブ ボッチ特性
全てのことを1人でこなせるだけの能力を持つジョブ。生産職も戦闘職も全ての下級専門ジョブと同様にスキルを得ることができる特別なジョブ。
メリットも大きいがデメリットも大きい。
メリット
◯1人で行動すると、通常の10倍の速度で経験が積める。
◯あらゆるスキルを習得することができる。
◯自分で作成した生産物を自分に使用した時の効果が3倍となる。
◯自分を対象に放つ回復魔法や補助魔法の効果や効果時間が2倍となる。
◯1人で行動をしているとあらゆる自然回復能力が5倍となる。
デメリット
◯自分以外の存在と共に行動している時、経験は通常の10分の1となる。
◯戦闘時、仲間が存在すると全ての能力が一時的にレベル1まで減少する。
◯ジョブレベルを上げる為の経験は戦闘で敵を倒した時に限られる。
◯他人の作成した生産物を自分に使用した時の効果が3分の1となる。
◯他人から回復魔法や補助魔法を受けた時の効果や効果時間が2分の1となる。
◯他人へ回復魔法や補助魔法を使用することができない。
なっ?このジョブってあまりに偏り過ぎてない?ボッチって「一人ボッチ」のボッチなの?
こんなジョブではみんなと冒険者パーティーなんて組めそうにないじゃないか!
僕はこんなジョブを授かって、これからどうしていけばいいんだろう…
楽しみにしていた筈の成人の儀は、僕にとっては最悪の結果となってしまったようです。
昔から遅れるのが嫌なので早めに行くようにしています。自分が待つ分はいくら待っても苦痛にならないのですが、誰かを待たせるのは、たとえそれが1分でも申し訳無さすぎて耐えられない性格なのです!
僕は鞄から1冊の本を取り出した。
題名は「冒険者教本その1ー死なない為の心構え」です。
冒険者になるのなら、ちゃんと知識を知っておかないと危ないと思い、ずいぶん前に小遣いを貯めて購入したものなんです。
もう何百回も読んでるのでだいぶボロボロになってきてますが、他の本を買うような余裕は僕にはないので、ずっと読み続けています。
僕が本を集中して読んでいると、ふいに後ろから声を掛けられました。
「相変わらず早いわね、ロン!」
「ニナがこんなに早いなんてどうしたの?いつも最後なのに…」
「ジョブのことが気になって気になって、気づいたらここに来ていたの!」
「どんだけ楽しみにしてるんだよ?気持ちは分からないでもないけどね!」
「へー!ロンも楽しみにしてるんだ?いつもそれほど興味無さそうにしていたのはただのかっこつけなの?」
「そんなんじゃないよ。自分ではどうせ選べないから考えてもしょうがないって思ってただけだよ。
でも今日ジョブが決まるんだよ!さすがに何のジョブを授かるのか気になってくるよ!」
「そっかーお互いいいジョブを授かればいいね!」
「そうだね。変に凄過ぎるジョブが来ても困るんだろうけど…」
「何で!?私は凄いジョブが授かりたいけどな~!!」
「あまり凄いジョブだと国とかに縛られて、自由が無くなるから程々が一番!ってうちの父さんが言ってたよ!!」
「それは分からないでもないけどさ~それでも憧れちゃうよ!自分が特別な力を持つ未来!!
みんなに期待され、それに応えてみんなが倒せないような魔物をバッタバッタと倒して尊敬されるの!そして貴族や王族からの求婚が殺到…あーん、私はどの殿方を選べばいいの!?」
ニナがうっとりした顔で夢のようなことを言ってると、カッシュとキースが現れた。
「おっ?何だか楽しそうだな?何を話してたんだ!?」
「どうせニナのいつもの夢物語だろ?」
「さすがキース、正解だよ!ニナに貴族や王族からの求婚が殺到してるらしいよ!」
「なんだそりゃ?そんなお高く止まった奴らのどこがいいんだ?男ってのは俺みたいな誠実な奴がいいに決まってんだ!」
「はいはい。キースのバカは放っておいて、さっさと行きましょう!」
ニナがカッシュと僕を引っ張っていき、キースを置いてきぼりにします。
「おいって!それはないだろ?俺を置いていくなよ!!」
僕たちは教会の中に入っていきました。
「おはよう。みんな来たね!!」
「「おはようございます、司祭様!」」
「では早速成人の儀を始めようか!」
「「はい!お願いします。」」
「ではみんな目を閉じて、まずは神様にご挨拶をするんだ。そしてジョブを授かれるように心からお祈りしてごらん!きっと神様の声が聞こえてくる筈だよ。」
僕たちは司祭様が言われる通りにした。
神様おはようございます。僕はロンと申します。本日成人の儀を迎えることとなりました。
神様、僕にもジョブをお与え下さい!
《ロン、あなたにはこのジョブを授けましょう!あなたの未来に幸多からんことを!》
司祭様が言われる通り、神様の声が聞こえてきた!僕のような田舎の村人にまで1人1人お声を掛けて下さるなんてなんて慈悲深い神様なんだろう…
ありがとうございます!一生懸命生きていきます!!
…ところで僕はどんなジョブを授けて頂いたのだろう?
たしか…ジョブを得たらステータス画面が開けるようになるんだったよね?
ステータスオープンと念じると、何もなかった目の前に僕のステータスが表示されました。
《名 前》 ロン
《ジョブ》 ボッチlv1
《スキル》 生活魔法lv1
《魔 法》 飲水、着火
《攻撃技》 なし
これだけ?生活魔法って僕が元々使えた、「飲水」と「着火」の魔法のことだよね…それよりもジョブの名前…ボッチって何!?
初めて聞いたし、どんなジョブなのかさっぱり分からないぞ?戦闘職なんだろうか?生産職なのだろうか?せめてそれだけでも分かればいいんだけどな…
そんなことを考えていると、ステータス画面が突然切り替わり、ジョブの説明が表記されたのです。
ジョブ ボッチ特性
全てのことを1人でこなせるだけの能力を持つジョブ。生産職も戦闘職も全ての下級専門ジョブと同様にスキルを得ることができる特別なジョブ。
メリットも大きいがデメリットも大きい。
メリット
◯1人で行動すると、通常の10倍の速度で経験が積める。
◯あらゆるスキルを習得することができる。
◯自分で作成した生産物を自分に使用した時の効果が3倍となる。
◯自分を対象に放つ回復魔法や補助魔法の効果や効果時間が2倍となる。
◯1人で行動をしているとあらゆる自然回復能力が5倍となる。
デメリット
◯自分以外の存在と共に行動している時、経験は通常の10分の1となる。
◯戦闘時、仲間が存在すると全ての能力が一時的にレベル1まで減少する。
◯ジョブレベルを上げる為の経験は戦闘で敵を倒した時に限られる。
◯他人の作成した生産物を自分に使用した時の効果が3分の1となる。
◯他人から回復魔法や補助魔法を受けた時の効果や効果時間が2分の1となる。
◯他人へ回復魔法や補助魔法を使用することができない。
なっ?このジョブってあまりに偏り過ぎてない?ボッチって「一人ボッチ」のボッチなの?
こんなジョブではみんなと冒険者パーティーなんて組めそうにないじゃないか!
僕はこんなジョブを授かって、これからどうしていけばいいんだろう…
楽しみにしていた筈の成人の儀は、僕にとっては最悪の結果となってしまったようです。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
107
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる