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第46話
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鳳凰のしらべは、火属性の魔法を得意とするレナ、ルナ、ユナの魔導師3人娘と強力な盾役であるタンクの4人で構成されたパーティーです。
盾役であるタンクがドラゴンゾンビの攻撃や動きを封じてる間に得意の火魔法でドラゴンゾンビの足や手などの部分破壊を狙います。
動きを封じてる間に花びらの採集をする予定だったのですが、ドラゴンゾンビの修復能力は凄まじく、部位破壊に成功しても瞬時に修復されてしまい、どうしても花びらを手にすることができないのです。
苦戦するもう1つ理由は夜でなければ死竜草の花が光ることがない為、ルナのライトボールの僅かな明かりを頼りに慣れない夜の山での戦闘をしなければならないということです。
これは他の2パーティーも同じで、予想以上に苦戦する理由となっていました。
ドラゴンバスターは、その名の通りドラゴンをメインに討伐することを目的とした5人組の熟練パーティーで、ドラゴンゾンビもドラゴンの一種であるには違いないと軽い気持ちでこの依頼を引き受けてしまいました。
しかし蓋を開けてみれば、アンデットモンスターであるドラゴンゾンビには物理攻撃は思った以上に意味を成さず、唯一の魔術師であるカーニャの属性魔法は火水風地と4大属性を全て使いこなす優秀な魔術師にも関わらず、普段火耐性の強いドラゴンたちとばかり戦っていたことが災いし、アンデットモンスターに有効な火属性魔法のレベルだけは極端に低かったのです。
その結果決してやられることはないですが、簡単には倒すことができずにいました。ただそれでも倒すことが目的ならば経験豊富なドラゴンバスターのメンバーなら方法はいくつもあるのですが、何度もいうように目的は花びらの採集することです。
昼間ならそれでも花びらだけをゲットすることくらいはできたのでしょうが、夜の闇の中で、暴れるドラゴンゾンビの体からはなかなか採集することができずにいました。
疾風迅雷は現在王都でも若手のホープとして注目されているパーティーです。リーダーであるムーバと副リーダーのカラスの短剣を使った素早い連携攻撃を得意とする4人パーティーで、この依頼を成功させれば憧れのSランクへの昇格が決まりそうなので張り切っています。
ムーバは短剣に各種属性を付与できる特殊なスキルを持ち、その力で炎属性の連続攻撃でダメージを与えて動きを止めていくつもりでした。しかし、鳳凰のしらべと同じでその修復能力の早さに苦しめられ、現在まで花びらを手にすることができていないのです。
そんな中、他のパーティーから遅れること4日目にこんな場所には似つかわしくない弱そうな男がたった1人でやって来ました。
ドラゴンバスターのメンバーは一般人が迷い混んだのかと思い、その男の元に集まりました。
その男とはもちろん僕のことです。
「我々は現在ここでクエストを行っている冒険者だ!ここは危険な場所なので来た道を戻られることをお勧めする!」
一番前に立っているダンディーな男性が優しく注意を呼び掛けてくれました。
「あっ!僕も皆さんと同じ冒険者です。恐らく皆さんと同じ依頼を受けてここに来ました。死竜草の花びらの採集ですよね?」
「なっ!?お前のような奴がソロでか?」
「はい。ソロで冒険者をしているロンと申します。」
「そうか!それでは余計なお世話だったようだな。一般人が迷い混んだのかと思ったからつい声を掛けてしまった。これからは俺たちはライバルだ。馴れ合いは止めておくことにしよう。」
「ご心配をお掛けしたようで申し訳ないです。」
わざわざ僕のことに気付いて注意をしに来てくれるなんて優しい人たちだな!それに全員がものすごく強いことが、ただ話してるだけでもひしひしと伝わってくる。やっぱり高ランク冒険者ってみんなスゴいんだな!
僕も追い付けるようもっと頑張らないと!!
「では我々はいく。」
「はい!ありがとうございました。」
ドラゴンバスターの皆さんはそのまま名前も語らずに去っていきました。
これからどうするかな…とりあえず対象のドラゴンゾンビを観察してみようかな?
僕はそれから気配を探りながら山の奥に入っていきました。
するとすぐに目的のドラゴンゾンビを発見することができました。その見た目は茶色く変色した骨だけでできたドラゴンそのものの姿でした。
「大きい…」
その大きさは10メートル近くはあり、動く姿はとても骨だけの存在とは思えないほど素早く歩き回っていました。
死竜草は生えてるのかな?
僕がそう意識すると薬草探索のスキルが発動し、ドラゴンゾンビの体に幾つかの光が見えるようになりました。1つ1つ花が咲いていないか確認していきましたが、残念ながらどれも花のない死竜草でした。
うーん。こいつで試しに戦ってみるかな?
僕は試しに回復魔法でドラゴンゾンビを浄化できるか、そして死竜草が枯れないかを実験することにしました。
「ウルトラリジェネーション!」
「グルルルル…グガァーーーオー!!!」
僕の放ったウルトラリジェネーションの効果が発動し、ドラゴンゾンビはものすごい雄叫びをあげました!
ドラゴンゾンビが魔法を放った相手を探してる隙に僕は次々と魔法を放っていきました。
「エクストラハイヒール!エクストラハイヒール!エクストラハイヒール!」
5発のエクストラハイヒールを放ったところで、ドラゴンゾンビは浄化され、消えていきました。そこに残っていたのは5つの死竜草でした。特に枯れている様子もないことから、どうやらこの方法で死竜草も花びらもゲットできそうです。
一応死竜草も異空間収納に入れておきました。
これなら出会うドラゴンゾンビ全てを浄化して回るだけですぐに依頼を達成できそうだ♪
そこでとあることを思い出しました。
あっ!忘れていた!!
フラム師匠から相手の得意とする属性魔法のみで討伐するように言い付けられていたんだった。
ドラゴンゾンビ相手にもそうしないといけないのかな?
ドラゴンゾンビの得意な属性って闇属性だよね…火属性と聖属性以外の属性魔法はどれも殆ど効果なさそうだけど…
よし決めた!!まずは闇属性の魔法のみで挑んで、駄目そうなら火と聖属性以外の属性も使い始めよう。
僕はすぐに依頼を達成できる状況であったのに、本来はもっと弱い魔物の討伐を想定して指示された言い付けを真面目にも守ることにしました。
盾役であるタンクがドラゴンゾンビの攻撃や動きを封じてる間に得意の火魔法でドラゴンゾンビの足や手などの部分破壊を狙います。
動きを封じてる間に花びらの採集をする予定だったのですが、ドラゴンゾンビの修復能力は凄まじく、部位破壊に成功しても瞬時に修復されてしまい、どうしても花びらを手にすることができないのです。
苦戦するもう1つ理由は夜でなければ死竜草の花が光ることがない為、ルナのライトボールの僅かな明かりを頼りに慣れない夜の山での戦闘をしなければならないということです。
これは他の2パーティーも同じで、予想以上に苦戦する理由となっていました。
ドラゴンバスターは、その名の通りドラゴンをメインに討伐することを目的とした5人組の熟練パーティーで、ドラゴンゾンビもドラゴンの一種であるには違いないと軽い気持ちでこの依頼を引き受けてしまいました。
しかし蓋を開けてみれば、アンデットモンスターであるドラゴンゾンビには物理攻撃は思った以上に意味を成さず、唯一の魔術師であるカーニャの属性魔法は火水風地と4大属性を全て使いこなす優秀な魔術師にも関わらず、普段火耐性の強いドラゴンたちとばかり戦っていたことが災いし、アンデットモンスターに有効な火属性魔法のレベルだけは極端に低かったのです。
その結果決してやられることはないですが、簡単には倒すことができずにいました。ただそれでも倒すことが目的ならば経験豊富なドラゴンバスターのメンバーなら方法はいくつもあるのですが、何度もいうように目的は花びらの採集することです。
昼間ならそれでも花びらだけをゲットすることくらいはできたのでしょうが、夜の闇の中で、暴れるドラゴンゾンビの体からはなかなか採集することができずにいました。
疾風迅雷は現在王都でも若手のホープとして注目されているパーティーです。リーダーであるムーバと副リーダーのカラスの短剣を使った素早い連携攻撃を得意とする4人パーティーで、この依頼を成功させれば憧れのSランクへの昇格が決まりそうなので張り切っています。
ムーバは短剣に各種属性を付与できる特殊なスキルを持ち、その力で炎属性の連続攻撃でダメージを与えて動きを止めていくつもりでした。しかし、鳳凰のしらべと同じでその修復能力の早さに苦しめられ、現在まで花びらを手にすることができていないのです。
そんな中、他のパーティーから遅れること4日目にこんな場所には似つかわしくない弱そうな男がたった1人でやって来ました。
ドラゴンバスターのメンバーは一般人が迷い混んだのかと思い、その男の元に集まりました。
その男とはもちろん僕のことです。
「我々は現在ここでクエストを行っている冒険者だ!ここは危険な場所なので来た道を戻られることをお勧めする!」
一番前に立っているダンディーな男性が優しく注意を呼び掛けてくれました。
「あっ!僕も皆さんと同じ冒険者です。恐らく皆さんと同じ依頼を受けてここに来ました。死竜草の花びらの採集ですよね?」
「なっ!?お前のような奴がソロでか?」
「はい。ソロで冒険者をしているロンと申します。」
「そうか!それでは余計なお世話だったようだな。一般人が迷い混んだのかと思ったからつい声を掛けてしまった。これからは俺たちはライバルだ。馴れ合いは止めておくことにしよう。」
「ご心配をお掛けしたようで申し訳ないです。」
わざわざ僕のことに気付いて注意をしに来てくれるなんて優しい人たちだな!それに全員がものすごく強いことが、ただ話してるだけでもひしひしと伝わってくる。やっぱり高ランク冒険者ってみんなスゴいんだな!
僕も追い付けるようもっと頑張らないと!!
「では我々はいく。」
「はい!ありがとうございました。」
ドラゴンバスターの皆さんはそのまま名前も語らずに去っていきました。
これからどうするかな…とりあえず対象のドラゴンゾンビを観察してみようかな?
僕はそれから気配を探りながら山の奥に入っていきました。
するとすぐに目的のドラゴンゾンビを発見することができました。その見た目は茶色く変色した骨だけでできたドラゴンそのものの姿でした。
「大きい…」
その大きさは10メートル近くはあり、動く姿はとても骨だけの存在とは思えないほど素早く歩き回っていました。
死竜草は生えてるのかな?
僕がそう意識すると薬草探索のスキルが発動し、ドラゴンゾンビの体に幾つかの光が見えるようになりました。1つ1つ花が咲いていないか確認していきましたが、残念ながらどれも花のない死竜草でした。
うーん。こいつで試しに戦ってみるかな?
僕は試しに回復魔法でドラゴンゾンビを浄化できるか、そして死竜草が枯れないかを実験することにしました。
「ウルトラリジェネーション!」
「グルルルル…グガァーーーオー!!!」
僕の放ったウルトラリジェネーションの効果が発動し、ドラゴンゾンビはものすごい雄叫びをあげました!
ドラゴンゾンビが魔法を放った相手を探してる隙に僕は次々と魔法を放っていきました。
「エクストラハイヒール!エクストラハイヒール!エクストラハイヒール!」
5発のエクストラハイヒールを放ったところで、ドラゴンゾンビは浄化され、消えていきました。そこに残っていたのは5つの死竜草でした。特に枯れている様子もないことから、どうやらこの方法で死竜草も花びらもゲットできそうです。
一応死竜草も異空間収納に入れておきました。
これなら出会うドラゴンゾンビ全てを浄化して回るだけですぐに依頼を達成できそうだ♪
そこでとあることを思い出しました。
あっ!忘れていた!!
フラム師匠から相手の得意とする属性魔法のみで討伐するように言い付けられていたんだった。
ドラゴンゾンビ相手にもそうしないといけないのかな?
ドラゴンゾンビの得意な属性って闇属性だよね…火属性と聖属性以外の属性魔法はどれも殆ど効果なさそうだけど…
よし決めた!!まずは闇属性の魔法のみで挑んで、駄目そうなら火と聖属性以外の属性も使い始めよう。
僕はすぐに依頼を達成できる状況であったのに、本来はもっと弱い魔物の討伐を想定して指示された言い付けを真面目にも守ることにしました。
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