49 / 78
番外編 瑠可/楓
番外編 Luka-5
しおりを挟む
恋人になってからの初めてのデートは海に行った。
篠崎さんが車を出してくれた。
渋滞に嵌まったせいで海に着いた時はお昼過ぎだった。
目的地の海水浴場は人が多く、渋滞の疲れもあって泳ぐ気にならないボクの足は海の家に向かった。
そんなボクに篠崎さんは怒ることもなく合わせてくれた。
「瑠可、そろそろ僕のこと名前で呼んで欲しいな」
「ええっ……は、恥ずかしい」
篠崎さんはいつの間にか、ボクのことを呼び捨てにしていた。
篠崎さんは年上なのに、お付き合いするまで呼び捨てにされなかったほうが不思議だ。
人の多くてなんか疲れちゃったねと篠崎さんは言い、海の家でかき氷を食べたら帰ることにした。
また渋滞に嵌りたくなかったからボクもそれで構わなかった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「瑠可、キスしていい?」
サービスエリアで休憩して車に戻った時、篠崎さんが聞いてきたからボクはビックリした。
けど、恋人なんだからするよね。
「ボクたち、今恋人同士ですよ。そんなの聞かないで。そっちの方が恥ずかしい…」
「ははっ、そうだね」
恥ずかしがるボクを見て笑った篠崎さんは、助手席のシートに手を掛けてキスをしてきた。
啄むようなキスから、少しずつ深いキスに。
車内に響くリップ音が厭らしくて心臓が高鳴る。
キスは初めてじゃないのに余裕がなくなって、縋るように篠崎さんの服にしがみ付いた。
「んっ…ぁん…そこ…」
篠崎さんの手が服の上から胸の尖を触れた。
「瑠可……触りたい」
唇を少しだけ離して言われてドキドキした。
篠崎さんの匂いに身体が熱くなる。
「しの…春樹さん……触って…」
身体の疼きに耐えきれず篠崎さんの右手をシャツの中に招き入れると、ススっとボクの肌を滑るように上に向かって撫でてきた。
「瑠可の肌はすべすべだね。気持ちいいよ…」
「あ…ぅん…はる…き、さん、ちゃんと触ってぇ…」
胸の尖を避け触る手がもどかしくて、その手を掴んで触れてもらう。
「瑠可は積極的なんだね。でも可愛いよ」
「はぁっ…るき、さんっ…んあっ」
舌を絡ませるキスをしながら、篠崎さんは左手も服の中に潜り込ませて、両手でボクの尖を撫でたり摘んだりする。
ボクは篠崎さんの首に腕を回して、必死に快感に堪える。
気持ちいい。
もっともっと触って欲しい。
身体が求めるまま、声を上げる。
でも、頭の芯は凪いでいた。
篠崎さんとの行為を傍観している気持ちがどこかにあった。
「瑠可、君を抱きたい。いい?」
ハッとして一気に身体の熱が引いた。
見上げると欲情を孕んだ目がボクを見ていた。
「あ、あのっ……此処じゃあ……ダメです…」
こんないつ人が通るかわからないところでするなんて…。
「ふっ、そうだね。僕だけが瑠可のすべてをみたいから、ここでは止めようね。……でも、戻ったらしたい」
耳元で囁かれて、真っ赤になったボクはコクと頷くだけでやっとだった。
でも、結局、この日は何もしなかった。
帰りの渋滞に巻き込まれからだ。
「年甲斐もなく興奮しちゃって、ごめんね」
篠崎さんは苦笑しながら謝ってくれた。
そんな顔を見て、どこかホッとしているボクがいた。
これがあの人だったら……なんて一瞬思ってしまって、フルフルと頭を振る。
「そ、そんなことないです」
「次はリベンジさせて」
「……はい」
篠崎さんは優しい。
ボクを大事にしてくれてるって何度も実感してるのに、なんでボクの胸の奥は冷たいままなの。
胸の位置のシャツを握りしめる。
「瑠可、次のデートどうしようか?」
「宿題少しやらないと。……あ、でも来月、発情期が来るから、その後でいいですか?」
宿題がたくさん出てるから、発情期が来る前には片付けておきたい。
そんなことを考えながら次はいつがいいかなって考えていたら、一瞬、篠崎さんから鋭い視線を感じた。
チラッと見たけど、ニコニコ笑顔だった。
「来月の瑠可の発情期いつ?」
「えっと、たぶん中旬です」
「そう……」
「篠崎さん?」
考え込むような顔の篠崎さんに不思議になって声を掛けるとふふっと笑われた。
「また苗字に戻っちゃったね」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。それより、来月の発情期の時、会えないかな?」
「え…それって……」
まさか…。
「まだ早いってわかってるけど……瑠可が良ければ、その時、君の番になりたい」
突然の申し出にボクの頭の中はグルグル混乱した。
上手く息ができなくて口をパクパクする。
「ふっ、番は瑠可が決心するまで待つよ。大事にするって約束したからね。でも、その前に発情期の瑠可を抱きたい。………ダメ?」
そんな言い方、ズルい。
ボクたちは恋人同士だ。
それはセックス込みだ。
選択肢なんて一つしかない……。
そう言葉を発したいのに、喉が詰まって声が出ない。
それでもボクが小さく頷いたら、篠崎さんは嬉しそうにボクを抱きしめた。
目を閉じ、ボクを包み込む匂いを嗅ぐ。
フルーツが混じるフローラルの匂いに心を落ち着かせようとするけど落ち着かない。
あの匂いじゃない…。
それだけで、心が揺さぶられるのは何故?
ボクは自分の目尻が少し潤んでいたけど気付かないふりをした。
篠崎さんが車を出してくれた。
渋滞に嵌まったせいで海に着いた時はお昼過ぎだった。
目的地の海水浴場は人が多く、渋滞の疲れもあって泳ぐ気にならないボクの足は海の家に向かった。
そんなボクに篠崎さんは怒ることもなく合わせてくれた。
「瑠可、そろそろ僕のこと名前で呼んで欲しいな」
「ええっ……は、恥ずかしい」
篠崎さんはいつの間にか、ボクのことを呼び捨てにしていた。
篠崎さんは年上なのに、お付き合いするまで呼び捨てにされなかったほうが不思議だ。
人の多くてなんか疲れちゃったねと篠崎さんは言い、海の家でかき氷を食べたら帰ることにした。
また渋滞に嵌りたくなかったからボクもそれで構わなかった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「瑠可、キスしていい?」
サービスエリアで休憩して車に戻った時、篠崎さんが聞いてきたからボクはビックリした。
けど、恋人なんだからするよね。
「ボクたち、今恋人同士ですよ。そんなの聞かないで。そっちの方が恥ずかしい…」
「ははっ、そうだね」
恥ずかしがるボクを見て笑った篠崎さんは、助手席のシートに手を掛けてキスをしてきた。
啄むようなキスから、少しずつ深いキスに。
車内に響くリップ音が厭らしくて心臓が高鳴る。
キスは初めてじゃないのに余裕がなくなって、縋るように篠崎さんの服にしがみ付いた。
「んっ…ぁん…そこ…」
篠崎さんの手が服の上から胸の尖を触れた。
「瑠可……触りたい」
唇を少しだけ離して言われてドキドキした。
篠崎さんの匂いに身体が熱くなる。
「しの…春樹さん……触って…」
身体の疼きに耐えきれず篠崎さんの右手をシャツの中に招き入れると、ススっとボクの肌を滑るように上に向かって撫でてきた。
「瑠可の肌はすべすべだね。気持ちいいよ…」
「あ…ぅん…はる…き、さん、ちゃんと触ってぇ…」
胸の尖を避け触る手がもどかしくて、その手を掴んで触れてもらう。
「瑠可は積極的なんだね。でも可愛いよ」
「はぁっ…るき、さんっ…んあっ」
舌を絡ませるキスをしながら、篠崎さんは左手も服の中に潜り込ませて、両手でボクの尖を撫でたり摘んだりする。
ボクは篠崎さんの首に腕を回して、必死に快感に堪える。
気持ちいい。
もっともっと触って欲しい。
身体が求めるまま、声を上げる。
でも、頭の芯は凪いでいた。
篠崎さんとの行為を傍観している気持ちがどこかにあった。
「瑠可、君を抱きたい。いい?」
ハッとして一気に身体の熱が引いた。
見上げると欲情を孕んだ目がボクを見ていた。
「あ、あのっ……此処じゃあ……ダメです…」
こんないつ人が通るかわからないところでするなんて…。
「ふっ、そうだね。僕だけが瑠可のすべてをみたいから、ここでは止めようね。……でも、戻ったらしたい」
耳元で囁かれて、真っ赤になったボクはコクと頷くだけでやっとだった。
でも、結局、この日は何もしなかった。
帰りの渋滞に巻き込まれからだ。
「年甲斐もなく興奮しちゃって、ごめんね」
篠崎さんは苦笑しながら謝ってくれた。
そんな顔を見て、どこかホッとしているボクがいた。
これがあの人だったら……なんて一瞬思ってしまって、フルフルと頭を振る。
「そ、そんなことないです」
「次はリベンジさせて」
「……はい」
篠崎さんは優しい。
ボクを大事にしてくれてるって何度も実感してるのに、なんでボクの胸の奥は冷たいままなの。
胸の位置のシャツを握りしめる。
「瑠可、次のデートどうしようか?」
「宿題少しやらないと。……あ、でも来月、発情期が来るから、その後でいいですか?」
宿題がたくさん出てるから、発情期が来る前には片付けておきたい。
そんなことを考えながら次はいつがいいかなって考えていたら、一瞬、篠崎さんから鋭い視線を感じた。
チラッと見たけど、ニコニコ笑顔だった。
「来月の瑠可の発情期いつ?」
「えっと、たぶん中旬です」
「そう……」
「篠崎さん?」
考え込むような顔の篠崎さんに不思議になって声を掛けるとふふっと笑われた。
「また苗字に戻っちゃったね」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。それより、来月の発情期の時、会えないかな?」
「え…それって……」
まさか…。
「まだ早いってわかってるけど……瑠可が良ければ、その時、君の番になりたい」
突然の申し出にボクの頭の中はグルグル混乱した。
上手く息ができなくて口をパクパクする。
「ふっ、番は瑠可が決心するまで待つよ。大事にするって約束したからね。でも、その前に発情期の瑠可を抱きたい。………ダメ?」
そんな言い方、ズルい。
ボクたちは恋人同士だ。
それはセックス込みだ。
選択肢なんて一つしかない……。
そう言葉を発したいのに、喉が詰まって声が出ない。
それでもボクが小さく頷いたら、篠崎さんは嬉しそうにボクを抱きしめた。
目を閉じ、ボクを包み込む匂いを嗅ぐ。
フルーツが混じるフローラルの匂いに心を落ち着かせようとするけど落ち着かない。
あの匂いじゃない…。
それだけで、心が揺さぶられるのは何故?
ボクは自分の目尻が少し潤んでいたけど気付かないふりをした。
13
あなたにおすすめの小説
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
【本編完結】あれで付き合ってないの? ~ 幼馴染以上恋人未満 ~
一ノ瀬麻紀
BL
産まれた時から一緒の二人は、距離感バグった幼馴染。
そんな『幼馴染以上恋人未満』の二人が、周りから「え? あれでまだ付き合ってないの?」と言われつつ、見守られているお話。
オメガバースですが、Rなし全年齢BLとなっています。
(ほんのりRの番外編は『麻紀の色々置き場』に載せてあります)
番外編やスピンオフも公開していますので、楽しんでいただけると嬉しいです。
11/15 より、「太陽の話」(スピンオフ2)を公開しました。完結済。
表紙と挿絵は、トリュフさん(@trufflechocolat)
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
泡にはならない/泡にはさせない
玲
BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――
明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。
「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
返ってきたのは、冷たい拒絶……。
これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。
オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。
行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。
異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる