至高のオメガとガラスの靴

むー

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乱入

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ヘリコプターは30分ちょっとで目的地に到着した。

ホテル屋上にあるヘリポートに降り立ち、エレベーターを待つ。
タイミング悪く、エレベーターが下に行ってしまったからだ。
落ち着かずソワソワしてしまう僕にお父さんが声をかけてきた。

「ヒロ、お前の名前の由来は知っているよね」
「あ、うん……僕のこの色だよね」

お父さんの方を向き、僕は自分の左眼を指して答える。

「そうだ。ヒロの綺麗な緋色の瞳から名付けたーー」

お父さんはそう言うと、自分の掛けていた眼鏡を外し僕を見つめる。

「あ……おとう、さん…?」
「そうだ。俺の瞳もお前と同じだ。お前ほど綺麗な赤ではないけどな」

お父さんの両眼はよく見ないと分からないけど、確かに瞳は赤みを帯びていた。

「うちの一族には秘密があってね。一族のアルファは皆、瞳が赤くなるんだよ」
「……」
「そして、このような瞳を持つアルファは『レア・アルファ』と呼ばれている」

チン

待っていたエレベーターが到着し乗り込む。

「瞳の色は二十歳を過ぎると発現すると云われていて、俺も二十歳を過ぎてからこの色になった」
「え……?」
「ただ、例外はある。それは……運命の番を見つけた時だ」

言葉が出なかった。
お父さんは眼鏡をかけ直し話を続ける。

「そして番を得たレア・アルファは、番以外のフェロモンを嗅ぎ取り難くなると言われている」
「……ぁっ…」
「俺の言っている意味、判るよな?」

その言葉に大きく頷く。

「だから、ヒローー大丈夫だ」

お父さんとお母さんは僕を見て微笑んだ。

チン

エレベーターはロビーがある1階に到着した。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

会場はホテルの本館から少し離れたところにある別館の宴会場。
ここからは少し遠かった。
長い廊下を抜け、また現れた長い渡り廊下を走る。
タクシーの移動中に目蓋をタオルで冷やしたおかげで僕の視界は良好だ。
それにお母さんが髪型をセットしてくれたから、いつもよりよく見える。

のだけど…

本館からの移動で髪型はボサボサになってしまった。

というのも…

僕の手を引いて走るお父さんとお母さんが速すぎる。

研究職のお父さんは年中運動不足のはずなのに、僕より走れてる。
12月に入ってから突然トレーニングを始めた時は不思議に思ったけど、まさかお父さん、この日のためにトレーニングしてたの?

そしてお母さん。

あちこちに飛び回っているし、元々フットワークが軽いのは知ってる。
けど、7センチくらいあるヒールにも拘らずものすごいスピードで駆ける姿は知らない。
しかも、ちょっとだけお父さんより速い…?

そんな2人に引っ張られ、縺れそうになる足を一生懸命交互に前に出してついていく。
必死に走ってたから、ヘリコプターでのシミュレーションなんて全部吹っ飛んだ。

やっと長い渡り廊下の終わりが見えてホッとしたのも束の間。

「あっ」

渡り廊下と離れの段差でつまづいた。
スローモーションのように僕の顔が離れの赤い絨毯に近づく。

もうダメだ。

と思い目を閉じたけど顔面がぶつかることはなく、代わりに握られていた手をグイッと引き上げられた。
一瞬の浮遊感の後、ガシッと両腕を掴まれた。
腕を掴まれ足の着かなくなった僕を、両親は更にスピードを上げて走っていった。

そして、


バターン


会場の扉を開け放ち叫んだ。

「アカーー」
「ちょっと待ったー!」

僕の声はお父さんたちと見事に被ったうえ、かき消された……。


__________________

ヒロの格好がつかなくてごめんなさい。
そして、ペロッとヒロの秘密を出しました。
捻りのない名前で申し訳ないです。。。

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