33 / 53
閑話:一城可那斗③
しおりを挟む
一城可那斗の家は少々特殊だ。
まず【家族】
両親と子供3人の5人家族だ。
両親は共にベータ。
3人の子供は全て男で、可那斗が長男、2つ下の弟の未那斗はベータ、3つ下の弟の凪沙はオメガだ。
可那斗のバースがアルファ性なのは、両親の父、可那斗からすると祖父に当たる人たちがアルファ性だったからと考えられる。
未那斗は残念なことにベータだったのは順当だが、凪沙がオメガにはまた違った理由がある。
基本的に、ベータ同士の親からオメガ性の子供が生まれる可能性は限りなく低い。
両親どちらかがオメガ性であれば話は違う。
そう、凪沙は父親の愛人でオメガの女が産んだ子供だからだ。
オメガはアルファの子供を産む能力が高い。
だが、それ以外の能力は低く、この世界では生き難い種だ。
女は、可那斗の父親の庇護を受けるために愛人となり凪沙を孕み産んだ。
生まれた子供がアルファならばその庇護を確実に得られたのだが、残念ながら凪沙はオメガだった。
その後、凪沙の母親はアルファの男と番となり、可那斗が中学に上がるタイミングで女から押し付けられる形で両親は凪沙を引き取り一城家の養子にした。
可那斗の母親はベータとはいえ、元々良家のお嬢様だ。
気位が高いため、愛人の子供である凪沙には殊更冷たく、居ないものとして扱った。
そこにはオメガというバースのせいも少なからずあったのだろう。
家でも学校でもカーストの頂点に立っていた可那斗は、事あるごとに凪沙に暴言を吐き、時に暴力も振るった。
それを止めるのはいつも未那斗だ。
アルファで実の兄の自分より半分しか血が繋がらないオメガの凪沙を大切にし、凪沙を守るためには自分に楯突くことも厭わない未那斗が可那斗は気に入らなかった。
そんな未那斗に懐く凪沙も。
だから、中2で発情期を迎えた凪沙を可那斗は襲った。
以降、凪沙が発情期を迎える度、可那斗は性処理の道具として凪沙を扱った。
都度、阻もうとする未那斗は相模に対応させた。
次に父の会社【一城電気】
可那斗の父親にはアルファ性の兄がいる。
その男は社長の座を可那斗の父親に譲り、薄給で開発に勤しんでいる。
元々、経営者としての才がない父親が社長の座に着くと、会社は少しずつ傾いていった。
だが、父親は会社を立て直すため社長の座を兄に譲ることはせず、無駄な投資話に踊らされた。
そこに現れたのが相模という男だ。
3年前、可那斗の父親はある男から相模を紹介され雇うことにした。
相模はベータだが優秀な男で、傾いた会社を一年で立て直した。
相模はそのまま会社に残ることはせず、可那斗の側近となった。
最後のひとつがその【相模】
相模は2年前、自ら可那斗の側近を希望した。
実際、ボディーガードとしても強く優秀で、可那斗が凪沙を抱く時はその腕力で未那斗を黙らせた。
今の高校への編入を勧めたのも相模だ。
そして、終いには発情期のアカリを連れてきた。
発情期中とはいえ、格闘技に長けたアカリをこうも簡単に気絶させて連れてくるほど強い男が自分の側近として働いていることは、可那斗にとって思わぬ誤算だった。
更に相模は可那斗に媚薬を渡した。
「終わりかけとはいえ発情期中のオメガに誘導剤は命を落とす危険がありますので」
そう一言を添えて。
しかし、可那斗がアカリの項を噛んだ後、相模は忽然と消えた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
相模は消えたが、一城可那斗には輝かしい未来が待っている。
はずだったのに…。
何故…?
未那斗と凪沙が家を出て行き、
今は、番のはずのオメガに蹴り飛ばされた。
その答えを知ることなく、可那斗の意識は深く沈んだ。
__________________
アカリに飛び蹴りを受けた時の可那斗の走馬灯的なものです。
可那斗は相当クズです。
まず【家族】
両親と子供3人の5人家族だ。
両親は共にベータ。
3人の子供は全て男で、可那斗が長男、2つ下の弟の未那斗はベータ、3つ下の弟の凪沙はオメガだ。
可那斗のバースがアルファ性なのは、両親の父、可那斗からすると祖父に当たる人たちがアルファ性だったからと考えられる。
未那斗は残念なことにベータだったのは順当だが、凪沙がオメガにはまた違った理由がある。
基本的に、ベータ同士の親からオメガ性の子供が生まれる可能性は限りなく低い。
両親どちらかがオメガ性であれば話は違う。
そう、凪沙は父親の愛人でオメガの女が産んだ子供だからだ。
オメガはアルファの子供を産む能力が高い。
だが、それ以外の能力は低く、この世界では生き難い種だ。
女は、可那斗の父親の庇護を受けるために愛人となり凪沙を孕み産んだ。
生まれた子供がアルファならばその庇護を確実に得られたのだが、残念ながら凪沙はオメガだった。
その後、凪沙の母親はアルファの男と番となり、可那斗が中学に上がるタイミングで女から押し付けられる形で両親は凪沙を引き取り一城家の養子にした。
可那斗の母親はベータとはいえ、元々良家のお嬢様だ。
気位が高いため、愛人の子供である凪沙には殊更冷たく、居ないものとして扱った。
そこにはオメガというバースのせいも少なからずあったのだろう。
家でも学校でもカーストの頂点に立っていた可那斗は、事あるごとに凪沙に暴言を吐き、時に暴力も振るった。
それを止めるのはいつも未那斗だ。
アルファで実の兄の自分より半分しか血が繋がらないオメガの凪沙を大切にし、凪沙を守るためには自分に楯突くことも厭わない未那斗が可那斗は気に入らなかった。
そんな未那斗に懐く凪沙も。
だから、中2で発情期を迎えた凪沙を可那斗は襲った。
以降、凪沙が発情期を迎える度、可那斗は性処理の道具として凪沙を扱った。
都度、阻もうとする未那斗は相模に対応させた。
次に父の会社【一城電気】
可那斗の父親にはアルファ性の兄がいる。
その男は社長の座を可那斗の父親に譲り、薄給で開発に勤しんでいる。
元々、経営者としての才がない父親が社長の座に着くと、会社は少しずつ傾いていった。
だが、父親は会社を立て直すため社長の座を兄に譲ることはせず、無駄な投資話に踊らされた。
そこに現れたのが相模という男だ。
3年前、可那斗の父親はある男から相模を紹介され雇うことにした。
相模はベータだが優秀な男で、傾いた会社を一年で立て直した。
相模はそのまま会社に残ることはせず、可那斗の側近となった。
最後のひとつがその【相模】
相模は2年前、自ら可那斗の側近を希望した。
実際、ボディーガードとしても強く優秀で、可那斗が凪沙を抱く時はその腕力で未那斗を黙らせた。
今の高校への編入を勧めたのも相模だ。
そして、終いには発情期のアカリを連れてきた。
発情期中とはいえ、格闘技に長けたアカリをこうも簡単に気絶させて連れてくるほど強い男が自分の側近として働いていることは、可那斗にとって思わぬ誤算だった。
更に相模は可那斗に媚薬を渡した。
「終わりかけとはいえ発情期中のオメガに誘導剤は命を落とす危険がありますので」
そう一言を添えて。
しかし、可那斗がアカリの項を噛んだ後、相模は忽然と消えた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
相模は消えたが、一城可那斗には輝かしい未来が待っている。
はずだったのに…。
何故…?
未那斗と凪沙が家を出て行き、
今は、番のはずのオメガに蹴り飛ばされた。
その答えを知ることなく、可那斗の意識は深く沈んだ。
__________________
アカリに飛び蹴りを受けた時の可那斗の走馬灯的なものです。
可那斗は相当クズです。
24
あなたにおすすめの小説
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる