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第八話 夜
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「また、囲まれてるのか?」
ブルーは、空旅と金槌音という度重なる怠い出来事に更に重なるように始まった、新しい面倒ごとに苛立ちを見せ始めた。
「なに?またブレイブなの?」
カリーナはブレイブの借金取りが囲んでいるんじゃないかと疑った。
「多分、違う気がするな。ジェドウィンの野郎には一応、あの時、金は返したからな」
「あれ、返したって言わないだろ」
ブルーはブレイブの発言に真面目に返した。
「三十か?」
サラマンダーが足音を聞いて、確認する。
「どうなの?ブルー」
「金属音で気が散って聞こえねぇよ」
ブルーはカリーナにあたる。
「船旅で疲れたから寝たいんだけどな」
ブレイブは悪態をついた。
パリン!
突然、宿屋の窓が割れ、侵入者が入ってくる。
侵入者はいきなり剣を抜くと、カリーナ目掛けて斬りかかる。
しかし――その剣をサラマンダーが鞘で防ぐと、抜いた真剣で侵入者をバサッと切り裂いた。
「始まったわね」
カリーナはベッドから降りる。
「食後の運動といきましょうか」
カリーナは体を伸ばす。
割れた窓の向こうで、次の侵入者が剣を構えて突入しようと試みる。
ドゴーーーン!!!
ブルーは、今まさに窓枠に足をかけて入ってこようとしていた侵入者の顔面を鷲掴みにすると、そのまま窓の外へと飛び出していった。
「あーあー、ブルーの奴、キレてるわ」
ブルーはキレると体が赤くなり、皮膚が硬化する。
ブルーの体は真紅に染まっていた。
宿屋の外の通りでは、そんなブルーに次々と侵入者がボコボコに投げ飛ばされていく。
「私たちも行くわよ」
カリーナは拳に布を巻くと、窓から外へ飛び出した。
それに続いて、全員外へ出ていく。
――――(カリーナ視点)
あーもう、最悪だわ。
着いて早々どうしてこうなるのよ。
「ちょっと、ブルー聞こえてる?」
はい、はい、聞こえてないのね。
宿屋の屋根の上に立っていると、数人の黒づくめの男達が私を囲んだ。
「お嬢さん、逃げた方が身のためだぜ」
ニヒヒと不気味に笑う彼らはジリジリと私との距離を詰めてくる。
「そこの屋根を超えたら、死ぬわよ」
私は丁寧に忠告をしてあげる。
「誰が死ぬって?」
黒づくめの男は屋根を飛び越えた。
「あんただよ」
ゴッ!
ドーーーーーーン!!!
私の殴りの一発をもろに喰らった男は、鈍い音共に、吹き飛んでいく。
地面に叩きつけられ、何回かバウンドする。
その男はそれ以降立ち上がることはなかった。
「それで、どうする?」
私は優しく微笑んであげた。
彼らは、後退りした。
残念だけど、今日は疲れているんだよね。
逃すわけないから。
私は残りの男達に殴りかかった。
飛びかかってきた男を右拳で横殴りする。
男は建物の壁を突き破って消えていった。
あ……。
――――(サラマンダー視点)
事切れた男達が何人も横たわる。
「何人でかかってきても結果は変わらん」
私は、剣の構え方もなっていない無様な男達を哀れんだ。
バシュ!ザシュ!
一人、また一人と男が斬られ倒れていく。
「叶うわけがない、初めから。お前達が剣を振ったのは精々、数十年程度。私は既に百年は振っている」
「口だけは立派なリザードマンだ」
周りでくたばっている男達に命令を飛ばしていた金髪の男が軽口を叩く。
「特別に教えてあげるが、私はリザードマンではない、龍人族だ」
私はパチンと鞘に剣をしまう。
「そうかい、これは失敬」
真実などどうでも良かった男は、薄っぺらい謝罪をした。
「それともう一つ教えてあげよう」
私は冷静に告げる。
「何だ?」
「もう斬りましたよ」
バシュ
「何……だと……」
金髪の男は、自分の体から噴き出す鮮血に気づき、地面に崩れ落ちた。
――――(ブレイブ視点)
俺は、街の被害が拡大しないように、戦える場所を探しに街を駆け回る。
俺の背後を数人の奴らが追ってくる。
(ブルーの野郎、なりふり構わず暴れ回ってやがる)
「死体をこっちに飛ばすな!ブルー!」
時折、ブルーに投げ飛ばされた死体が空を飛んできては、足元の邪魔になった。
(あいつ、俺をねらってるだろ、最早……)
その正確無比な飛ばし方に俺は思わず疑った。
やがて開けた場所に到着すると、俺は奴らに向き合った。
「どうした?諦めたか?」
「俺が戦うと街が壊れてしまうからな、場所は選ばせてもらった。先に言っておくけど、あのオークはそういう気遣いが出来ない奴だからな」
俺は空を指差した。
「あと、そうだ。足元に気をつけな」
「なっ!?」
男の集団は、いつの間にか足元に転がっていた黒い球に気づく。
それは当然、光を発して破裂し、爆炎を引き起こした。
ドガーーーーン!!!
男達はその爆炎に巻き込まれる。
「いやぁ、さっき買ったこの武器は派手でいいねぇ」
俺は、手の上で投げそびれた黒い球を遊ばせていた。
「貴様!」
(まだ生きている奴がいたか)
俺は、運良く生き残った一人の男にゆっくりと近づく。
そして、その腕を短剣で突き刺した。
「ぐわあああ」
男は地面を転がり回る。
「教えろ、お前達を雇ったのは誰だ」
俺は男の腹の上に跨った。
「言うわけねぇだろ!」
男はプッと唾を吐き出す。
俺はそれを瞬で躱すと、片腕に刺さっていた短剣を勢いよく抜いた。
「うわあああああ」
痛みで、男は大きく叫ぶ。
「答えろ!」
「はぁ……はぁ……。ジルだ、ジルに雇われた」
男はあっさりと吐いてくれた。
「ジル?」
初めて聞いた名前だった。
俺は男からどいた。
「はぁ……はぁ……。ジルは……トゥオブ商会の副会長だ……」
男は血が滴る手を抑えながら、ゆっくりと立ち上がる。
「なるほど、どおりで」
(大方、商会の依頼を受けた俺たちが邪魔だったってところか)
「その、背中に隠した短剣。捨てた方がいいと思うが」
話で気を逸らし、俺の隙を作ろうとしていた男に忠告する。
「全部、お見通しってわけか」
男は、短剣を地面に投げ捨てると、それを蹴り、地面を滑らせ、こちらに寄越した。
「優しいところあるじゃねえか」
俺はその短剣を拾い上げると、腰に付けた鞘にしまった。
「見逃してくれるのか……?」
男は俺に聞いた。
「さぁな、それは神のみぞ知る」
俺は一枚のコインを空高く投げる。
月明かりを反射したコインが宙を舞う。
そして――
パシ!
「おっと、残念。裏みたいだ」
俺は、たった今鞘に戻した短剣を素早く抜くと、恐怖で顔の歪んだ男に眉間に投げつけた。
男は有無を言わさず、静かに地面に倒れた。
俺は短剣を抜き取るために、男に近づく。
男の腕に手を伸ばした時、あるものに気がついた。
「ん?これは……あの時の」
それは腕に書かれたトグロを巻いた赤い蛇のマークだった。
「こういう謎解きみたいなこと、やめてくれねぇか」
俺は事切れた男にそう言ってやった。
ブルーは、空旅と金槌音という度重なる怠い出来事に更に重なるように始まった、新しい面倒ごとに苛立ちを見せ始めた。
「なに?またブレイブなの?」
カリーナはブレイブの借金取りが囲んでいるんじゃないかと疑った。
「多分、違う気がするな。ジェドウィンの野郎には一応、あの時、金は返したからな」
「あれ、返したって言わないだろ」
ブルーはブレイブの発言に真面目に返した。
「三十か?」
サラマンダーが足音を聞いて、確認する。
「どうなの?ブルー」
「金属音で気が散って聞こえねぇよ」
ブルーはカリーナにあたる。
「船旅で疲れたから寝たいんだけどな」
ブレイブは悪態をついた。
パリン!
突然、宿屋の窓が割れ、侵入者が入ってくる。
侵入者はいきなり剣を抜くと、カリーナ目掛けて斬りかかる。
しかし――その剣をサラマンダーが鞘で防ぐと、抜いた真剣で侵入者をバサッと切り裂いた。
「始まったわね」
カリーナはベッドから降りる。
「食後の運動といきましょうか」
カリーナは体を伸ばす。
割れた窓の向こうで、次の侵入者が剣を構えて突入しようと試みる。
ドゴーーーン!!!
ブルーは、今まさに窓枠に足をかけて入ってこようとしていた侵入者の顔面を鷲掴みにすると、そのまま窓の外へと飛び出していった。
「あーあー、ブルーの奴、キレてるわ」
ブルーはキレると体が赤くなり、皮膚が硬化する。
ブルーの体は真紅に染まっていた。
宿屋の外の通りでは、そんなブルーに次々と侵入者がボコボコに投げ飛ばされていく。
「私たちも行くわよ」
カリーナは拳に布を巻くと、窓から外へ飛び出した。
それに続いて、全員外へ出ていく。
――――(カリーナ視点)
あーもう、最悪だわ。
着いて早々どうしてこうなるのよ。
「ちょっと、ブルー聞こえてる?」
はい、はい、聞こえてないのね。
宿屋の屋根の上に立っていると、数人の黒づくめの男達が私を囲んだ。
「お嬢さん、逃げた方が身のためだぜ」
ニヒヒと不気味に笑う彼らはジリジリと私との距離を詰めてくる。
「そこの屋根を超えたら、死ぬわよ」
私は丁寧に忠告をしてあげる。
「誰が死ぬって?」
黒づくめの男は屋根を飛び越えた。
「あんただよ」
ゴッ!
ドーーーーーーン!!!
私の殴りの一発をもろに喰らった男は、鈍い音共に、吹き飛んでいく。
地面に叩きつけられ、何回かバウンドする。
その男はそれ以降立ち上がることはなかった。
「それで、どうする?」
私は優しく微笑んであげた。
彼らは、後退りした。
残念だけど、今日は疲れているんだよね。
逃すわけないから。
私は残りの男達に殴りかかった。
飛びかかってきた男を右拳で横殴りする。
男は建物の壁を突き破って消えていった。
あ……。
――――(サラマンダー視点)
事切れた男達が何人も横たわる。
「何人でかかってきても結果は変わらん」
私は、剣の構え方もなっていない無様な男達を哀れんだ。
バシュ!ザシュ!
一人、また一人と男が斬られ倒れていく。
「叶うわけがない、初めから。お前達が剣を振ったのは精々、数十年程度。私は既に百年は振っている」
「口だけは立派なリザードマンだ」
周りでくたばっている男達に命令を飛ばしていた金髪の男が軽口を叩く。
「特別に教えてあげるが、私はリザードマンではない、龍人族だ」
私はパチンと鞘に剣をしまう。
「そうかい、これは失敬」
真実などどうでも良かった男は、薄っぺらい謝罪をした。
「それともう一つ教えてあげよう」
私は冷静に告げる。
「何だ?」
「もう斬りましたよ」
バシュ
「何……だと……」
金髪の男は、自分の体から噴き出す鮮血に気づき、地面に崩れ落ちた。
――――(ブレイブ視点)
俺は、街の被害が拡大しないように、戦える場所を探しに街を駆け回る。
俺の背後を数人の奴らが追ってくる。
(ブルーの野郎、なりふり構わず暴れ回ってやがる)
「死体をこっちに飛ばすな!ブルー!」
時折、ブルーに投げ飛ばされた死体が空を飛んできては、足元の邪魔になった。
(あいつ、俺をねらってるだろ、最早……)
その正確無比な飛ばし方に俺は思わず疑った。
やがて開けた場所に到着すると、俺は奴らに向き合った。
「どうした?諦めたか?」
「俺が戦うと街が壊れてしまうからな、場所は選ばせてもらった。先に言っておくけど、あのオークはそういう気遣いが出来ない奴だからな」
俺は空を指差した。
「あと、そうだ。足元に気をつけな」
「なっ!?」
男の集団は、いつの間にか足元に転がっていた黒い球に気づく。
それは当然、光を発して破裂し、爆炎を引き起こした。
ドガーーーーン!!!
男達はその爆炎に巻き込まれる。
「いやぁ、さっき買ったこの武器は派手でいいねぇ」
俺は、手の上で投げそびれた黒い球を遊ばせていた。
「貴様!」
(まだ生きている奴がいたか)
俺は、運良く生き残った一人の男にゆっくりと近づく。
そして、その腕を短剣で突き刺した。
「ぐわあああ」
男は地面を転がり回る。
「教えろ、お前達を雇ったのは誰だ」
俺は男の腹の上に跨った。
「言うわけねぇだろ!」
男はプッと唾を吐き出す。
俺はそれを瞬で躱すと、片腕に刺さっていた短剣を勢いよく抜いた。
「うわあああああ」
痛みで、男は大きく叫ぶ。
「答えろ!」
「はぁ……はぁ……。ジルだ、ジルに雇われた」
男はあっさりと吐いてくれた。
「ジル?」
初めて聞いた名前だった。
俺は男からどいた。
「はぁ……はぁ……。ジルは……トゥオブ商会の副会長だ……」
男は血が滴る手を抑えながら、ゆっくりと立ち上がる。
「なるほど、どおりで」
(大方、商会の依頼を受けた俺たちが邪魔だったってところか)
「その、背中に隠した短剣。捨てた方がいいと思うが」
話で気を逸らし、俺の隙を作ろうとしていた男に忠告する。
「全部、お見通しってわけか」
男は、短剣を地面に投げ捨てると、それを蹴り、地面を滑らせ、こちらに寄越した。
「優しいところあるじゃねえか」
俺はその短剣を拾い上げると、腰に付けた鞘にしまった。
「見逃してくれるのか……?」
男は俺に聞いた。
「さぁな、それは神のみぞ知る」
俺は一枚のコインを空高く投げる。
月明かりを反射したコインが宙を舞う。
そして――
パシ!
「おっと、残念。裏みたいだ」
俺は、たった今鞘に戻した短剣を素早く抜くと、恐怖で顔の歪んだ男に眉間に投げつけた。
男は有無を言わさず、静かに地面に倒れた。
俺は短剣を抜き取るために、男に近づく。
男の腕に手を伸ばした時、あるものに気がついた。
「ん?これは……あの時の」
それは腕に書かれたトグロを巻いた赤い蛇のマークだった。
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