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第三十二話 揃う
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城内に突如として鳴り響く凄まじい衝撃音と、それと同時に襲った激しい揺れに、上を目指すサラマンダー、ブレイブ、カリーナの三人が反応する。
城の最上階を一直線に目指しているカリーナは、仲間を信じ、階段を駆け上がる。一方で、四階を走るサラマンダーに合流したブレイブは、その衝撃音に嫌な予感を感じていた。
「ブルーがどこにいったか知ってるか?」
ブレイブは並走するサラマンダーに尋ねる。
「すまないが……城に突入した以降、見かけていない」
「……嫌な予感がする。悪いが付き合ってくれ!」
「承知した」
サラマンダーとブレイブの二人は方向転換し、階段を降りると、衝撃音が聞こえてきた三階へ向かった。
階段を降りた先で二人が目にしたのは、大理石の床を突き破り、一階まで貫通した巨大な穴と、その穴の底で横たわるブルーの姿であった。
「くそが……降りるぞ!」
ブレイブとサラマンダーはその穴に飛び込むと、穴の縁を足場にしながら器用に降りていった。
「しっかりしろ!大丈夫か!?」
ブレイブはうめき声を漏らすブルーの頬を強く叩く。しばらくしてブルーは、ゆっくりとその目を開けた。
「なんだ……ブレイブか……。すまねぇ、油断していた」
「誰にやられた?」
「金属の人形に乗った……クラリオだ」
「金属の人形?」
ギギギ……ギギギ………………ボン!!!
頭上から聞こえてきた機械の駆動音に、ブレイブが反応する。
「サラマンダー!!」
ブレイブの頭上から火球が落ちてきたが、呼びかけに反応したサラマンダーが一刀両断にした。真っ二つに割れた炎がブレイブ達の周りを囲う。
そして――火球を飛ばしてきたソレが穴を落下してきた。
「避けろ!」
サラマンダーの掛け声に反応したブレイブは、間一髪でブルーを抱え上げると、横に飛び、落下物を躱した。
ズシィィィィン……!!!
地鳴りのような響きと共に床が揺れる。舞い上がる粉塵の中から、金属の球体の兵器が姿を現した。
「おやおやおや……先ほどのオークのお仲間さんですか」
サラマンダーは落ちてきた兵器に剣先を向け、その隙にブレイブはブルーの体を担ぐと、近くの部屋へ運びこんで、その身を休ませた。
踵を返し、クラリオとの戦いに向かおうとするブレイブの袖をブルーが掴み、呼び止める。
「聞け、ブレイブ……奴の体は異常に硬い。気をつけろ」
ブルーは腫れた右腕を見せながら伝える。
「それは、お前の腕が軟弱なだけだろ?」
「おい、真面目に聞け!」
「ちょっと寝てろ」
ブレイブは廊下に出ると、サラマンダーに合流し、並んで立った。
「サラマンダー、よく聞いてくれ。俺は、奴の特徴を分析出来た」
「教えてくれ」
「奴の体は尋常じゃなく硬い」
「この短時間で……一体どこで気づいたんだ?」
サラマンダーは、ブレイブの分析眼に驚きを見せた。それは、いくら頭がキレるブレイブといえど、あまりにも異常な早さで分析していたからである。
「さっきだ。ブルーって奴が親切で教えてくれた」
「お主、今自分の手柄に……」
「なんだよ……前向けって」
ブレイブは、じーっと冷たい視線を向けてくるサラマンダーを無視して、兵器に向き合った。
「話は終わったかね?」
兵器の中からクラリオの声が響く。
「お前がクラリオか?」
「ええ」
「丁度よかった。お前を探していたんだよ」
「ええ、私も。丁度、この城に迷い込んだネズミを探していたところです」
兵器の巨大な腕が、ブレイブ達を捕らえようと伸びてくる。サラマンダーはその腕を躱して、懐に潜り込むと、刀を素早く振り抜いた。
「【雷蜂】(らいばち)」
ズギャアアアン!!!
人が視認することが不可能な速度で振り抜かれた刃が、兵器に直撃する。兵器はその衝撃で後退したが、分厚い装甲に一筋の薄い傷をつけただけであった。
サラマンダーは、思っていた以上に硬かった兵器に振り抜いた刀の刃を見やると、刃こぼれを心配していた。
「そこの龍人は中々の技量をお持ちのようで……ッ!」
間髪入れずにクラリオが投げた炸裂玉が爆発し、兵器が煙に包まれる。しかし煙が晴れると、そこには目立った傷の付いていないほぼ無傷の兵器が現れたのだった。
「どうするよ、全く……」
ブレイブは、兵器の硬度に頭を悩ませる。炸裂玉の爆発をまともに食らって、立ち上がることは想像だにしていないかったからだ。
「もっと強く斬れば、届くはずだ」
サラマンダーは腰を深く落とした。
「人が話しているときに攻撃をするとは、マナーがなってないですね」
「殺し合いにマナーなんてねぇよ!」
廊下いっぱいに腕を広げながら、兵器が突撃してくる。その突進を壁を蹴って躱したブレイブは、兵器の後方に回ると、炸裂玉を背中に投げつけ、爆発させた。
炸裂玉の爆風で兵器は前屈みになる。その頭上に、跳び上がったサラマンダーは、兵器の脳天を刀で斬りつけようと空中で構える。
「ちょこまかちょこまかと……小手先だけで……」
クラリオは、前屈みになった兵器をそのまま前転させると、足を頭上に向け、頭上を飛んでいたサラマンダーをその足で蹴り飛ばした。
ズゴオオオオオン!!!
空中で逃げ場を失っていたサラマンダーの体に蹴りが直撃し、サラマンダーの体は天井を突き破って上の階へと飛ばされた。
「サラマンダー!」
叫ぶブレイブの方向に兵器がゆっくりと振り向く。兵器の正面についた小窓から覗くクラリオの顔は歪んだ笑顔を浮かべていた。
「この戦い、そしてこの兵器。全てが私を楽しませてくれる」
勝ち誇ったかのように悦に浸るクラリオの言い草に、ブレイブは苦虫を噛み潰した。
◆◇◆◇
廊下から鳴り響く戦いの音に耳を傾けて横になっていたブルーは、ゆっくりとその体を起こす。興奮状態が落ち着き、真紅に染まっていた体は元の茶色へと戻っていた。
「ふぅ……。やっと目が回らなくなってきたぞ」
真紅状態のオークの皮膚は通常の何倍も頑丈である。そのおかげで、握りつぶされ叩きつけられていたブルーの体は致命傷を免れた。
ブルーが立ち上がれなかったのは、地面に叩きつけられた衝撃で脳が揺れて、視界が歪み、気持ち悪くなっていたからである。
「さて……仕返しするか」
ブルーは立ち上がると戦場へ向かった。
城の最上階を一直線に目指しているカリーナは、仲間を信じ、階段を駆け上がる。一方で、四階を走るサラマンダーに合流したブレイブは、その衝撃音に嫌な予感を感じていた。
「ブルーがどこにいったか知ってるか?」
ブレイブは並走するサラマンダーに尋ねる。
「すまないが……城に突入した以降、見かけていない」
「……嫌な予感がする。悪いが付き合ってくれ!」
「承知した」
サラマンダーとブレイブの二人は方向転換し、階段を降りると、衝撃音が聞こえてきた三階へ向かった。
階段を降りた先で二人が目にしたのは、大理石の床を突き破り、一階まで貫通した巨大な穴と、その穴の底で横たわるブルーの姿であった。
「くそが……降りるぞ!」
ブレイブとサラマンダーはその穴に飛び込むと、穴の縁を足場にしながら器用に降りていった。
「しっかりしろ!大丈夫か!?」
ブレイブはうめき声を漏らすブルーの頬を強く叩く。しばらくしてブルーは、ゆっくりとその目を開けた。
「なんだ……ブレイブか……。すまねぇ、油断していた」
「誰にやられた?」
「金属の人形に乗った……クラリオだ」
「金属の人形?」
ギギギ……ギギギ………………ボン!!!
頭上から聞こえてきた機械の駆動音に、ブレイブが反応する。
「サラマンダー!!」
ブレイブの頭上から火球が落ちてきたが、呼びかけに反応したサラマンダーが一刀両断にした。真っ二つに割れた炎がブレイブ達の周りを囲う。
そして――火球を飛ばしてきたソレが穴を落下してきた。
「避けろ!」
サラマンダーの掛け声に反応したブレイブは、間一髪でブルーを抱え上げると、横に飛び、落下物を躱した。
ズシィィィィン……!!!
地鳴りのような響きと共に床が揺れる。舞い上がる粉塵の中から、金属の球体の兵器が姿を現した。
「おやおやおや……先ほどのオークのお仲間さんですか」
サラマンダーは落ちてきた兵器に剣先を向け、その隙にブレイブはブルーの体を担ぐと、近くの部屋へ運びこんで、その身を休ませた。
踵を返し、クラリオとの戦いに向かおうとするブレイブの袖をブルーが掴み、呼び止める。
「聞け、ブレイブ……奴の体は異常に硬い。気をつけろ」
ブルーは腫れた右腕を見せながら伝える。
「それは、お前の腕が軟弱なだけだろ?」
「おい、真面目に聞け!」
「ちょっと寝てろ」
ブレイブは廊下に出ると、サラマンダーに合流し、並んで立った。
「サラマンダー、よく聞いてくれ。俺は、奴の特徴を分析出来た」
「教えてくれ」
「奴の体は尋常じゃなく硬い」
「この短時間で……一体どこで気づいたんだ?」
サラマンダーは、ブレイブの分析眼に驚きを見せた。それは、いくら頭がキレるブレイブといえど、あまりにも異常な早さで分析していたからである。
「さっきだ。ブルーって奴が親切で教えてくれた」
「お主、今自分の手柄に……」
「なんだよ……前向けって」
ブレイブは、じーっと冷たい視線を向けてくるサラマンダーを無視して、兵器に向き合った。
「話は終わったかね?」
兵器の中からクラリオの声が響く。
「お前がクラリオか?」
「ええ」
「丁度よかった。お前を探していたんだよ」
「ええ、私も。丁度、この城に迷い込んだネズミを探していたところです」
兵器の巨大な腕が、ブレイブ達を捕らえようと伸びてくる。サラマンダーはその腕を躱して、懐に潜り込むと、刀を素早く振り抜いた。
「【雷蜂】(らいばち)」
ズギャアアアン!!!
人が視認することが不可能な速度で振り抜かれた刃が、兵器に直撃する。兵器はその衝撃で後退したが、分厚い装甲に一筋の薄い傷をつけただけであった。
サラマンダーは、思っていた以上に硬かった兵器に振り抜いた刀の刃を見やると、刃こぼれを心配していた。
「そこの龍人は中々の技量をお持ちのようで……ッ!」
間髪入れずにクラリオが投げた炸裂玉が爆発し、兵器が煙に包まれる。しかし煙が晴れると、そこには目立った傷の付いていないほぼ無傷の兵器が現れたのだった。
「どうするよ、全く……」
ブレイブは、兵器の硬度に頭を悩ませる。炸裂玉の爆発をまともに食らって、立ち上がることは想像だにしていないかったからだ。
「もっと強く斬れば、届くはずだ」
サラマンダーは腰を深く落とした。
「人が話しているときに攻撃をするとは、マナーがなってないですね」
「殺し合いにマナーなんてねぇよ!」
廊下いっぱいに腕を広げながら、兵器が突撃してくる。その突進を壁を蹴って躱したブレイブは、兵器の後方に回ると、炸裂玉を背中に投げつけ、爆発させた。
炸裂玉の爆風で兵器は前屈みになる。その頭上に、跳び上がったサラマンダーは、兵器の脳天を刀で斬りつけようと空中で構える。
「ちょこまかちょこまかと……小手先だけで……」
クラリオは、前屈みになった兵器をそのまま前転させると、足を頭上に向け、頭上を飛んでいたサラマンダーをその足で蹴り飛ばした。
ズゴオオオオオン!!!
空中で逃げ場を失っていたサラマンダーの体に蹴りが直撃し、サラマンダーの体は天井を突き破って上の階へと飛ばされた。
「サラマンダー!」
叫ぶブレイブの方向に兵器がゆっくりと振り向く。兵器の正面についた小窓から覗くクラリオの顔は歪んだ笑顔を浮かべていた。
「この戦い、そしてこの兵器。全てが私を楽しませてくれる」
勝ち誇ったかのように悦に浸るクラリオの言い草に、ブレイブは苦虫を噛み潰した。
◆◇◆◇
廊下から鳴り響く戦いの音に耳を傾けて横になっていたブルーは、ゆっくりとその体を起こす。興奮状態が落ち着き、真紅に染まっていた体は元の茶色へと戻っていた。
「ふぅ……。やっと目が回らなくなってきたぞ」
真紅状態のオークの皮膚は通常の何倍も頑丈である。そのおかげで、握りつぶされ叩きつけられていたブルーの体は致命傷を免れた。
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