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第三十九話 脱出
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ブルーとサラマンダーがカリーナの元へ辿り着く数刻前。城に迫る民衆を見つけたブレイブは、これから城が崩壊することを伝えるために、一人街へ駆け出していた。
「おい、城から誰か出てくるぞ!」
城へ向かって行進していた民衆の一人が、城から飛び出し走ってくるブレイブの姿を見つけ、先頭を行くアイに叫んだ。
アイは鋭い目つきで警戒を強めるが、近づいてくる男の顔を確認した瞬間、その強張った表情が驚きに変わった。
「……ブレイブ!?」
「はぁ……はぁ……っ!」
ブレイブはアイの前で崩れ落ちるように両膝に手をつく。おちゃらけた余裕など微塵も感じさせない、その真剣な眼差しにアイは息を呑んだ。
「アイ、みんなに伝えてくれ……。クラリオの手によって、この城はまもなく崩壊する。城から離れろ、今すぐにだ!」
その言葉の重さを理解したアイは、即座に振り返り、ここまでついてきてくれた民衆に向けて声を張り上げた。
「城内の仲間からの情報です! クラリオの手によってカルファス城はまもなく崩壊します! 皆さん、今すぐ城から離れて避難を!!近くの家も巻き込まれるかもしれません!!」
民衆の間に動揺が走る。
「どこへ逃げればいいんだ!」「家の中にまだ人がいるぞ!」と混乱が広がりかけたその時、近くの路地の間から低く、しかし通る声が響いた。
「……地下なら、安全だ」
その男の声に全員が振り向いた。
「兵長殿!」
「レオンハート様だ!!」
「兵長!」
両脇を兵士に支えられ、全身傷だらけのレオンハートが民衆の前に現れたのだ。彼はアリスの無事を確認して小さく頷くと、民衆に向かって声を張り上げた。
「反乱軍の地下基地へ続く全扉を開放する! 国民を優先して中へ誘導しろ! 動ける兵士は、家々に残っている者がいないか一軒ずつ確認して回れ。急げ!!」
「「「おおおおお!!」」」
その号令を受けた隊長が部下に指示を飛ばし、民衆が次々と地下へと入っていく。
そんな中、レオンハートは城を見つめ続けているアリスへと歩み寄った。
「アリス様も、地下へ避難を」
「ブレイブ様、カリーナ様たちは……まだ城の中なのですか?」
アリスの問いに、ブレイブは苦い表情で頷く。
「ああ、だから今から助けに行かなきゃならねぇ」
アリスはレオンハートに向き直り、地下へは行かないと断固とした意志で首を横に振った。
そのアリスの返答に思わず目を丸くしたレオンハートに対して、ブレイブはレオンハートの不安を見透かすように微笑んだ。
「心配するな、兵長。大丈夫だ……俺たちの隣にいるからな」
「……分かった。アリス様を頼みましたぞ」
レオンハートは民衆に混じり、地下基地へゆっくりと帰っていった。
城へ走り出そうとしたブレイブを、今度はアイが引き止めた。
「急がないと間に合わないんだ。放してくれ、アイ!」
アイは何も言わず、顎を動かしてブレイブの視線をアリスが指差す先へと向けさせた。
「……アレを使います」
「……マジかよ、あれを経験してまたやるのか。本気か?お姫様」
ブレイブはその大胆な提案に、驚愕のあまり声を失う。
「炸裂玉をぽんぽん放り投げていたのに急にどうしたのですか?行きますよ」
◆◇◆◇
その頃、城の上層階では、ブルーとサラマンダーが立ち往生していた。足元の階段が崩落し、退路が完全に断たれたのである。
「どうする。……跳ぶしかなさそうだが」
ブルーは気を失ったカリーナと王様を背負い、サラマンダーと視線を交わした。
立ち往生しているこの時間も、凄まじい轟音と共に、足場が削れていく。
「うむ……跳ぶ以外に方法はなさそうだ」
「王様さんよ、衝撃が来るから我慢してくれ」
サラマンダーとブルーが覚悟を決めて跳びこもうとしたその時――
ガッシャアアアアン!!!ガラ……ガラ……ガラ。
一つ下の階で、金属が激しくぶつかり合う凄まじい衝撃音が響き、城が揺れる。
「……下の階だ」
ブルーは警戒を強めながら音の鳴った方へ近づき、床を力任せに殴り抜く。開いた穴から階下を覗き込むと、そこにはブレイブがいた。
「ブレイブ!?」
「迎えだ。早く降りてこい!」
そして、手招きをするブレイブの背後に、城の外壁を突き破っている『スターダッシュ号』の船体があった。
「お前、今にも城が崩れそうって時に、よく城に突っ込ませたな」
「すまんが、後にしてくれ。時間がない」
ブルーが二人を抱えたまま飛び降り、サラマンダーもそれに続く。
プシュー……。
開いたコックピットに全員が転がり込むように乗り込む。
ブルーの肩に担がれていた国王は、操縦席に座る少女の横顔を見つけ、目を見開いた。
「アリス……なのか?」
「お父様!」
「感動の再会は脱出してからです。全員、ベルトを締めて下さい」
アイは気を失っているカリーナの頭を撫でると、座席に固定し、ベルトを締め、そして操縦桿を握りしめた。
「飛びますッ!!」
アイは操縦桿を思い切り手前に引いた。
『スターダッシュ号』が城の外壁を崩しながら離脱した、わずか数秒後。
二度目の爆発音と共に、カルファス城が崩壊する。その爆発は城だけでなく、その周辺の建物も呑み込み、カルファス城周辺は、巻い上がった粉塵で見えなくなった。
◆◇◆◇
粉塵が落ち着いて、王都が静まりかえる。しばらくして王都の地下扉が一斉に開き、国民が飛び出してくる。
「終わったみたいだぞ」
「ああ……城が……」
瓦礫の山に変わった国の象徴であるカルファス城を見て、国民は動揺していた。
「兵長!」
ひと足先に外に出て王都の状況を確認していた兵士の一人がレオンハートに報告する。
「全て終わりました……我々の勝利です」
喜びを噛み締めながら強く伝える兵士の肩をレオンハートは叩く。
「そうみたいだな」
レオンハートは上空を飛ぶ飛行船を見上げていた。
「おい、城から誰か出てくるぞ!」
城へ向かって行進していた民衆の一人が、城から飛び出し走ってくるブレイブの姿を見つけ、先頭を行くアイに叫んだ。
アイは鋭い目つきで警戒を強めるが、近づいてくる男の顔を確認した瞬間、その強張った表情が驚きに変わった。
「……ブレイブ!?」
「はぁ……はぁ……っ!」
ブレイブはアイの前で崩れ落ちるように両膝に手をつく。おちゃらけた余裕など微塵も感じさせない、その真剣な眼差しにアイは息を呑んだ。
「アイ、みんなに伝えてくれ……。クラリオの手によって、この城はまもなく崩壊する。城から離れろ、今すぐにだ!」
その言葉の重さを理解したアイは、即座に振り返り、ここまでついてきてくれた民衆に向けて声を張り上げた。
「城内の仲間からの情報です! クラリオの手によってカルファス城はまもなく崩壊します! 皆さん、今すぐ城から離れて避難を!!近くの家も巻き込まれるかもしれません!!」
民衆の間に動揺が走る。
「どこへ逃げればいいんだ!」「家の中にまだ人がいるぞ!」と混乱が広がりかけたその時、近くの路地の間から低く、しかし通る声が響いた。
「……地下なら、安全だ」
その男の声に全員が振り向いた。
「兵長殿!」
「レオンハート様だ!!」
「兵長!」
両脇を兵士に支えられ、全身傷だらけのレオンハートが民衆の前に現れたのだ。彼はアリスの無事を確認して小さく頷くと、民衆に向かって声を張り上げた。
「反乱軍の地下基地へ続く全扉を開放する! 国民を優先して中へ誘導しろ! 動ける兵士は、家々に残っている者がいないか一軒ずつ確認して回れ。急げ!!」
「「「おおおおお!!」」」
その号令を受けた隊長が部下に指示を飛ばし、民衆が次々と地下へと入っていく。
そんな中、レオンハートは城を見つめ続けているアリスへと歩み寄った。
「アリス様も、地下へ避難を」
「ブレイブ様、カリーナ様たちは……まだ城の中なのですか?」
アリスの問いに、ブレイブは苦い表情で頷く。
「ああ、だから今から助けに行かなきゃならねぇ」
アリスはレオンハートに向き直り、地下へは行かないと断固とした意志で首を横に振った。
そのアリスの返答に思わず目を丸くしたレオンハートに対して、ブレイブはレオンハートの不安を見透かすように微笑んだ。
「心配するな、兵長。大丈夫だ……俺たちの隣にいるからな」
「……分かった。アリス様を頼みましたぞ」
レオンハートは民衆に混じり、地下基地へゆっくりと帰っていった。
城へ走り出そうとしたブレイブを、今度はアイが引き止めた。
「急がないと間に合わないんだ。放してくれ、アイ!」
アイは何も言わず、顎を動かしてブレイブの視線をアリスが指差す先へと向けさせた。
「……アレを使います」
「……マジかよ、あれを経験してまたやるのか。本気か?お姫様」
ブレイブはその大胆な提案に、驚愕のあまり声を失う。
「炸裂玉をぽんぽん放り投げていたのに急にどうしたのですか?行きますよ」
◆◇◆◇
その頃、城の上層階では、ブルーとサラマンダーが立ち往生していた。足元の階段が崩落し、退路が完全に断たれたのである。
「どうする。……跳ぶしかなさそうだが」
ブルーは気を失ったカリーナと王様を背負い、サラマンダーと視線を交わした。
立ち往生しているこの時間も、凄まじい轟音と共に、足場が削れていく。
「うむ……跳ぶ以外に方法はなさそうだ」
「王様さんよ、衝撃が来るから我慢してくれ」
サラマンダーとブルーが覚悟を決めて跳びこもうとしたその時――
ガッシャアアアアン!!!ガラ……ガラ……ガラ。
一つ下の階で、金属が激しくぶつかり合う凄まじい衝撃音が響き、城が揺れる。
「……下の階だ」
ブルーは警戒を強めながら音の鳴った方へ近づき、床を力任せに殴り抜く。開いた穴から階下を覗き込むと、そこにはブレイブがいた。
「ブレイブ!?」
「迎えだ。早く降りてこい!」
そして、手招きをするブレイブの背後に、城の外壁を突き破っている『スターダッシュ号』の船体があった。
「お前、今にも城が崩れそうって時に、よく城に突っ込ませたな」
「すまんが、後にしてくれ。時間がない」
ブルーが二人を抱えたまま飛び降り、サラマンダーもそれに続く。
プシュー……。
開いたコックピットに全員が転がり込むように乗り込む。
ブルーの肩に担がれていた国王は、操縦席に座る少女の横顔を見つけ、目を見開いた。
「アリス……なのか?」
「お父様!」
「感動の再会は脱出してからです。全員、ベルトを締めて下さい」
アイは気を失っているカリーナの頭を撫でると、座席に固定し、ベルトを締め、そして操縦桿を握りしめた。
「飛びますッ!!」
アイは操縦桿を思い切り手前に引いた。
『スターダッシュ号』が城の外壁を崩しながら離脱した、わずか数秒後。
二度目の爆発音と共に、カルファス城が崩壊する。その爆発は城だけでなく、その周辺の建物も呑み込み、カルファス城周辺は、巻い上がった粉塵で見えなくなった。
◆◇◆◇
粉塵が落ち着いて、王都が静まりかえる。しばらくして王都の地下扉が一斉に開き、国民が飛び出してくる。
「終わったみたいだぞ」
「ああ……城が……」
瓦礫の山に変わった国の象徴であるカルファス城を見て、国民は動揺していた。
「兵長!」
ひと足先に外に出て王都の状況を確認していた兵士の一人がレオンハートに報告する。
「全て終わりました……我々の勝利です」
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