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【五-4】
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「あら、ラアル」
細くも豊満な肉体を持つ、赤髪の女性――ナスリアとは、とある部屋――おそらく彼女の部屋の前で、顔を合わせた。
部屋を出ようとしたところで偶然鉢合わせたのだろうか、彼女自身も驚いていたが……ナスリアの表情変化は早かった。
ナスリアはニヤアと粘度の高い笑みを浮かべると、突然少女の肩に手を回し、身をもたれかけてきた。
「ねえラアル、今晩にでもシャルのところへ遊びに行かない? 二人で相手してもらいましょうよぉ。きっと楽しいわぁ。最っ高に気持ち良いかもね」
ニヤニヤと笑みながら、ナスリアは身を揺らして笑い声を上げた。
「ねえいいでしょ? 私、そっちも上手いの。ラアルもすっごく満足できると思うよぉ」
ナスリアは少女を抱き締めながら語った。
少女は何の反応も返さず、無言だった。
「ね? 今夜、迎えに行くからさ。一緒に可愛がってもらお?」
最後にナスリアはその妖艶な唇を少女の耳元に近付けて、囁いた。
「本当に気持ちいよ、ラアル」
少女はようやっと解放された。
――明るい微笑みを少女に向けてどこかへ去るナスリアを。
少女は無言で、見つめていた。
その瞳の奥には。
分かりづらい、渦巻く黒い靄があった。
細くも豊満な肉体を持つ、赤髪の女性――ナスリアとは、とある部屋――おそらく彼女の部屋の前で、顔を合わせた。
部屋を出ようとしたところで偶然鉢合わせたのだろうか、彼女自身も驚いていたが……ナスリアの表情変化は早かった。
ナスリアはニヤアと粘度の高い笑みを浮かべると、突然少女の肩に手を回し、身をもたれかけてきた。
「ねえラアル、今晩にでもシャルのところへ遊びに行かない? 二人で相手してもらいましょうよぉ。きっと楽しいわぁ。最っ高に気持ち良いかもね」
ニヤニヤと笑みながら、ナスリアは身を揺らして笑い声を上げた。
「ねえいいでしょ? 私、そっちも上手いの。ラアルもすっごく満足できると思うよぉ」
ナスリアは少女を抱き締めながら語った。
少女は何の反応も返さず、無言だった。
「ね? 今夜、迎えに行くからさ。一緒に可愛がってもらお?」
最後にナスリアはその妖艶な唇を少女の耳元に近付けて、囁いた。
「本当に気持ちいよ、ラアル」
少女はようやっと解放された。
――明るい微笑みを少女に向けてどこかへ去るナスリアを。
少女は無言で、見つめていた。
その瞳の奥には。
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