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生け贄
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日がすかっかり山から上りきる頃、一ノ瀬達は森への入口で集落の皆に見送られていた。その中には泣き出す者や、感謝を述べる者、ひきとめる者もいたが、レイヤはクタクタの一ノ瀬達と出会った時と同じ笑顔でいた。
「いーちーのーせーさーん!やっぱりここにいてくださいよー!」
一ノ瀬の腕を掴み引き留めるのは、空中戦の時、一ノ瀬と共に空を飛んだ鳥人族の娘であった。
「いや、そう言ってもらえるのはありがたいんだけど、まだやる事があるんだ。それが終わればまたこの場所に来るよ!」
一ノ瀬は少し困り気味に鳥人族の娘に返事をしたが、その様子を昨晩同様に拗ねたような表情を浮かべ見ているロゼッタには誰も気付かなかった。
一同は食材や水などを受け取り、森の中に入っていった。その姿をレイヤを含めた皆で手を振り見送るなか、彼女は小さくなっていくベルトレの背に、誰にも聞こえない程の声で呟いた。
「いつまでも、この場所で待ってます。」
森を歩く一向は、集落で貰った食料でお昼を過ごし、変わらない景色を眺めながら一抹の不安を懐きながら森をすすんでいた。その理由は、木々の隙間から見える空に薄暗い曇がかかってきていたのだ。その事に対し、クラインは先頭にいるロゼッタに提案をもちかけていた。
「姫様、雲行きが怪しくなってきましたので、そろそろ今日の夜営も念頭に入れ、雨をしのげる場所を探しませんか?」
クラインの提案に皆賛同したが、その行く先には雨宿りができそうな場所は無く、暫くした後に降ってきた雨により、一同はびしょ濡れになりながらも自然とはや歩きになっていた。
「あんなにいい天気だったのに、、何処かいい場所は無いかな?」
制服のブレザーが大量に吸った雨で、いささか重く感じる一ノ瀬は一人で愚痴をこぼしていたが、その後ろを歩くクラインは逆に全身で、雨をあびるように、畑仕事の時と同様に上半身を出していた。そんなクラインに慣れたベルトレは、今さら突っ込む気にすらならなかった。
ほどなくして、道から少し逸れた場所にに一つの洞穴があるのをクラインが見つけた。その事を皆に伝え、一同は洞穴のほうに足を向けた。
「これは、地下に向かっているのかな?」
一ノ瀬はその洞穴を覗き込みながら呟いた。
森の中に、ポツンとあるその洞穴の入口は、地下鉄の入り口の様に平な場所から不自然に盛り上がり、入口からは地下に向かった斜面の形であった。
「これは、あきらかに人工物のようね。」
神妙な面持ちのロゼッタが穴を覗きながら皆に伝えると、無言でベルトレの角を掴み、未だ上裸のクラインは、大きく振りかぶり、洞穴を覗き込む一ノ瀬とロゼッタの間を通過するように、入口から続く斜面の奥に向け、掛け声を出しながら一直線にベルトレを投げこんだ。
「いぃぃ、てらっしゃいませぇぇぇぇ!」〈ビュンッ!〉
その行動に呆気に取られている一ノ瀬とロゼッタは静かに後方のクラインに視線を向けた。二人からの視線に、一仕事を終えたかの様な爽やかな笑顔で、二人に告げた。
「危険があるといけませんので、調査隊員を派遣したまでです!何事も無ければ次期に帰って来ると思いますので、今しばらくお待ちください!」
高位の魔族であるベルトレより、クラインの方が魔族らしく見えた一ノ瀬とロゼッタであった。
「いーちーのーせーさーん!やっぱりここにいてくださいよー!」
一ノ瀬の腕を掴み引き留めるのは、空中戦の時、一ノ瀬と共に空を飛んだ鳥人族の娘であった。
「いや、そう言ってもらえるのはありがたいんだけど、まだやる事があるんだ。それが終わればまたこの場所に来るよ!」
一ノ瀬は少し困り気味に鳥人族の娘に返事をしたが、その様子を昨晩同様に拗ねたような表情を浮かべ見ているロゼッタには誰も気付かなかった。
一同は食材や水などを受け取り、森の中に入っていった。その姿をレイヤを含めた皆で手を振り見送るなか、彼女は小さくなっていくベルトレの背に、誰にも聞こえない程の声で呟いた。
「いつまでも、この場所で待ってます。」
森を歩く一向は、集落で貰った食料でお昼を過ごし、変わらない景色を眺めながら一抹の不安を懐きながら森をすすんでいた。その理由は、木々の隙間から見える空に薄暗い曇がかかってきていたのだ。その事に対し、クラインは先頭にいるロゼッタに提案をもちかけていた。
「姫様、雲行きが怪しくなってきましたので、そろそろ今日の夜営も念頭に入れ、雨をしのげる場所を探しませんか?」
クラインの提案に皆賛同したが、その行く先には雨宿りができそうな場所は無く、暫くした後に降ってきた雨により、一同はびしょ濡れになりながらも自然とはや歩きになっていた。
「あんなにいい天気だったのに、、何処かいい場所は無いかな?」
制服のブレザーが大量に吸った雨で、いささか重く感じる一ノ瀬は一人で愚痴をこぼしていたが、その後ろを歩くクラインは逆に全身で、雨をあびるように、畑仕事の時と同様に上半身を出していた。そんなクラインに慣れたベルトレは、今さら突っ込む気にすらならなかった。
ほどなくして、道から少し逸れた場所にに一つの洞穴があるのをクラインが見つけた。その事を皆に伝え、一同は洞穴のほうに足を向けた。
「これは、地下に向かっているのかな?」
一ノ瀬はその洞穴を覗き込みながら呟いた。
森の中に、ポツンとあるその洞穴の入口は、地下鉄の入り口の様に平な場所から不自然に盛り上がり、入口からは地下に向かった斜面の形であった。
「これは、あきらかに人工物のようね。」
神妙な面持ちのロゼッタが穴を覗きながら皆に伝えると、無言でベルトレの角を掴み、未だ上裸のクラインは、大きく振りかぶり、洞穴を覗き込む一ノ瀬とロゼッタの間を通過するように、入口から続く斜面の奥に向け、掛け声を出しながら一直線にベルトレを投げこんだ。
「いぃぃ、てらっしゃいませぇぇぇぇ!」〈ビュンッ!〉
その行動に呆気に取られている一ノ瀬とロゼッタは静かに後方のクラインに視線を向けた。二人からの視線に、一仕事を終えたかの様な爽やかな笑顔で、二人に告げた。
「危険があるといけませんので、調査隊員を派遣したまでです!何事も無ければ次期に帰って来ると思いますので、今しばらくお待ちください!」
高位の魔族であるベルトレより、クラインの方が魔族らしく見えた一ノ瀬とロゼッタであった。
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