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第二章 探す気持ち
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あれから一週間たった。これほど逢わないことは今までなかった。なぜだろう。今まではどうやって逢う約束をしていたのだろうか。俺は電話をした。
「ねえアヤ、明日逢わない?」
「いいよ。」
「じゃあいつもの喫茶店で。」
「うんわかった。」
決して不満があるわけではない。ただなんとなく、彼女には秘密があるのではないかと、そう思った。とても元気で明るい彼女に秘密があるなんて、それがなんなのか想像も付かないが、直感的にそう思った。いや違う、前から気付いていた。それを聞きたいが、なんて聞いたらいいかもわからない。何か隠し事ない?なんてバカな質問出来ない。それで嫌な気をさせたら、彼女に不信感を持たれたらたまらない。
「今日はどこ行く?私は買い物行きたいんだけど。」
「いいよ、行こう行こう。どこに行きましょうか?」
俺は彼女の希望通りのお店へ車を走らせる。とても隠し事なんてあるとは思えない。気のせいなのかとも思うが、やはり一度気になってしまったからには簡単には振り払えなかった。気付いてないふりをしていたかもしれない。本当は気になる瞬間があって、それについて聞いてしまうと俺たちが壊れてしまうような。全てが夢の出来事で、アヤがさ~っと何事もなかったかのように、空へと消えてしまう。それを怖がっていたのかもしれない。そんなことありえないのに。俺はふと疑問が浮かび上がった。俺たちは付き合っているのか?という疑問だ。毎週逢っているしキスもした。誰が見たって恋人同士だ。今更気にすることではないと思う。しかし、アヤに対して少しばかり心配事があると、やはり気になってしまう。
「サヤちゃんは最近どうしてるの?」
俺は辺り障りのない話をしてみた。遠回りしてもアヤに本音を言わせるためだ。
「なんで?気になるの?」
「いや、そういうわけじゃないけど、どうしてるのかなって。」
どうも上手くいかなかった。これではただたんに、俺がサヤちゃんのことを気になっているとしか伝わらない。特に顔色一つ変えていなかったが、いい気はしなかったはずだ。これではさらに色々探りにくくなってしまう。
あれから数日、やはりしばし会わない日が続いた。不思議だ。付き合って始めの頃は、何かが二人を引き合わせるように、自然にあの喫茶店でおちあった。
「ねえ、今度一緒に映画館に行かない?見たい映画があるんだ。」
「もちろん行くよ!」
久々のアヤからの電話、俺の胸は高鳴った。あいつから電話で誘われるなんて、俺は何を余計な心配をしていたんだろう。彼女も俺と一緒にいたいと思っているんじゃないか。ん?俺はさらにもう一つ気付いた。たった今が初めてのアヤからの電話だということを。なぜ今まで電話しないのか、そんなこと考えたこともなかった。気付いていなかった。
「な~んだ。」
誰もいない一人の部屋で俺は大きな声を出した。彼女は俺のことが好きだし、寂しくて自分から逢いたいと思ったわけだ。安心と喜びで一杯になった。
「ねえ、一番乗りだよ。」
「本当だ。貸切りだね。」
その言葉通り、映画が上映されるまで誰一人他に客はなく、平日という日を選んでよかったと思った。実は二回目のキスをしたんだ。少ないと思われるかもしれないが、奥手の彼女のことだからしょうがない。と、勝手に俺が思っているだけかもしれないが、やはりドキドキするものだ。貸切りというのと、感動する映画だったというシチュエーション的に、完璧だありがとうと、映画館関係者にお礼の一報でも入れたいくらいだ。
「いい映画だったね。私こういうの大好きなんだ。」
「うん、よかったね。貸切りだったしなんか得した気分だよ。」
「私も貸切りなんて初めて!得したね。」
静かに映画を大画面で楽しめるなんて、通常では考えられないうえにキスまでした俺はテンションがやや上がり気味だった。大好きな人を抱きたい、その気持ちが大きくなってきていた。そして、アヤも拒まないだろうという浅はかな憶測が自分の中で出来あがっていたのだ。俺は意を決してアヤへ挑む。
「ねえ、今日は何時までに帰らないといけない?」
俺はふっかけてみた。今までそれほど時間を気にしたことがないのに、今日に限って聞いてみた。
「九時くらいかなあ。」
思っていた以上に早い時間で、いつもと同じとはいえがっかりした。これはどうするべきが、俺は悩んだ。悩んだ末に出てきた言葉は、
「じゃあ、ご飯食べに行こうか?」
やはり一歩下がってしまう。彼女へ正面からぶつかり、全てを話せる関係こそが恋人同士であり、付き合うということだ。恋人同士と付き合っているというのは意味が違う。恋人同士というのは回りから見た一組の単位。付き合っているというのは、一緒に遊んでいるだけでも、それこそ男女関係のある付き合いも全て含んでいる。俺たちは付き合っているのか、ただの平凡な恋人同士に見える二人なのか。踏み込めないということは、相手との距離があるということだ。ここで深くまで進んで振られるのは嫌だ。が、このまま付き合っているかもわからない、一般的に言う友達以上恋人未満はもっと嫌だ。彼女にとってのキスがどれほどの重さなのかはわからないが、彼女の全てがほしかった。今では一生一緒にいたいと思うほどの想いがアヤにはあり、ずっと近くで守っていきたいという強い意思も芽生えてきていた。独り善がりかもしれないが彼女にも分かってほしい。俺は食事をしながら無口のまま、そんなことを考えていた。
「約束はちゃんと守ってよ!」
今日初めて彼女とケンカをした。俺が約束の時間を三十分ほど遅れたからだ。ちょっと友達との長話がたたってのことだ。確かに遅れたことは俺が悪い。しかし、彼女は執拗に俺に講義した。
「時間を大切にしてよ!」
それほどまでに怒ることなのか、俺には理解出来ない。たった三十分くらいのことでここまで怒るとは。俺の解釈だが、寂しくて早く会いたかったからなのだろう。痴話ゲンカをするほどの関係なら、これはいよいよ熱々か、という気持ちで俺は次の日の夜、彼女に電話した。決してケンカ別れをしたわけではない。ちゃんと謝って彼女に許してもらったはずだ。彼女は電話に出ることはなかった。何日も何日も、彼女が電話に出るまでかけるつもりだった。熱くなった気持ちは簡単には冷めなかったが、いつからか諦めのようなものが心を包み、俺は電話をするのをやめた。あれから二ヶ月目のことだった。彼女に逢いたい。あの俺をドキドキさせる暖かく優しい声を聞きたい。もう一度あの海へ連れていってあげたい。喫茶店でたわいもないことを話したい。
「ねえアヤ、明日逢わない?」
「いいよ。」
「じゃあいつもの喫茶店で。」
「うんわかった。」
決して不満があるわけではない。ただなんとなく、彼女には秘密があるのではないかと、そう思った。とても元気で明るい彼女に秘密があるなんて、それがなんなのか想像も付かないが、直感的にそう思った。いや違う、前から気付いていた。それを聞きたいが、なんて聞いたらいいかもわからない。何か隠し事ない?なんてバカな質問出来ない。それで嫌な気をさせたら、彼女に不信感を持たれたらたまらない。
「今日はどこ行く?私は買い物行きたいんだけど。」
「いいよ、行こう行こう。どこに行きましょうか?」
俺は彼女の希望通りのお店へ車を走らせる。とても隠し事なんてあるとは思えない。気のせいなのかとも思うが、やはり一度気になってしまったからには簡単には振り払えなかった。気付いてないふりをしていたかもしれない。本当は気になる瞬間があって、それについて聞いてしまうと俺たちが壊れてしまうような。全てが夢の出来事で、アヤがさ~っと何事もなかったかのように、空へと消えてしまう。それを怖がっていたのかもしれない。そんなことありえないのに。俺はふと疑問が浮かび上がった。俺たちは付き合っているのか?という疑問だ。毎週逢っているしキスもした。誰が見たって恋人同士だ。今更気にすることではないと思う。しかし、アヤに対して少しばかり心配事があると、やはり気になってしまう。
「サヤちゃんは最近どうしてるの?」
俺は辺り障りのない話をしてみた。遠回りしてもアヤに本音を言わせるためだ。
「なんで?気になるの?」
「いや、そういうわけじゃないけど、どうしてるのかなって。」
どうも上手くいかなかった。これではただたんに、俺がサヤちゃんのことを気になっているとしか伝わらない。特に顔色一つ変えていなかったが、いい気はしなかったはずだ。これではさらに色々探りにくくなってしまう。
あれから数日、やはりしばし会わない日が続いた。不思議だ。付き合って始めの頃は、何かが二人を引き合わせるように、自然にあの喫茶店でおちあった。
「ねえ、今度一緒に映画館に行かない?見たい映画があるんだ。」
「もちろん行くよ!」
久々のアヤからの電話、俺の胸は高鳴った。あいつから電話で誘われるなんて、俺は何を余計な心配をしていたんだろう。彼女も俺と一緒にいたいと思っているんじゃないか。ん?俺はさらにもう一つ気付いた。たった今が初めてのアヤからの電話だということを。なぜ今まで電話しないのか、そんなこと考えたこともなかった。気付いていなかった。
「な~んだ。」
誰もいない一人の部屋で俺は大きな声を出した。彼女は俺のことが好きだし、寂しくて自分から逢いたいと思ったわけだ。安心と喜びで一杯になった。
「ねえ、一番乗りだよ。」
「本当だ。貸切りだね。」
その言葉通り、映画が上映されるまで誰一人他に客はなく、平日という日を選んでよかったと思った。実は二回目のキスをしたんだ。少ないと思われるかもしれないが、奥手の彼女のことだからしょうがない。と、勝手に俺が思っているだけかもしれないが、やはりドキドキするものだ。貸切りというのと、感動する映画だったというシチュエーション的に、完璧だありがとうと、映画館関係者にお礼の一報でも入れたいくらいだ。
「いい映画だったね。私こういうの大好きなんだ。」
「うん、よかったね。貸切りだったしなんか得した気分だよ。」
「私も貸切りなんて初めて!得したね。」
静かに映画を大画面で楽しめるなんて、通常では考えられないうえにキスまでした俺はテンションがやや上がり気味だった。大好きな人を抱きたい、その気持ちが大きくなってきていた。そして、アヤも拒まないだろうという浅はかな憶測が自分の中で出来あがっていたのだ。俺は意を決してアヤへ挑む。
「ねえ、今日は何時までに帰らないといけない?」
俺はふっかけてみた。今までそれほど時間を気にしたことがないのに、今日に限って聞いてみた。
「九時くらいかなあ。」
思っていた以上に早い時間で、いつもと同じとはいえがっかりした。これはどうするべきが、俺は悩んだ。悩んだ末に出てきた言葉は、
「じゃあ、ご飯食べに行こうか?」
やはり一歩下がってしまう。彼女へ正面からぶつかり、全てを話せる関係こそが恋人同士であり、付き合うということだ。恋人同士と付き合っているというのは意味が違う。恋人同士というのは回りから見た一組の単位。付き合っているというのは、一緒に遊んでいるだけでも、それこそ男女関係のある付き合いも全て含んでいる。俺たちは付き合っているのか、ただの平凡な恋人同士に見える二人なのか。踏み込めないということは、相手との距離があるということだ。ここで深くまで進んで振られるのは嫌だ。が、このまま付き合っているかもわからない、一般的に言う友達以上恋人未満はもっと嫌だ。彼女にとってのキスがどれほどの重さなのかはわからないが、彼女の全てがほしかった。今では一生一緒にいたいと思うほどの想いがアヤにはあり、ずっと近くで守っていきたいという強い意思も芽生えてきていた。独り善がりかもしれないが彼女にも分かってほしい。俺は食事をしながら無口のまま、そんなことを考えていた。
「約束はちゃんと守ってよ!」
今日初めて彼女とケンカをした。俺が約束の時間を三十分ほど遅れたからだ。ちょっと友達との長話がたたってのことだ。確かに遅れたことは俺が悪い。しかし、彼女は執拗に俺に講義した。
「時間を大切にしてよ!」
それほどまでに怒ることなのか、俺には理解出来ない。たった三十分くらいのことでここまで怒るとは。俺の解釈だが、寂しくて早く会いたかったからなのだろう。痴話ゲンカをするほどの関係なら、これはいよいよ熱々か、という気持ちで俺は次の日の夜、彼女に電話した。決してケンカ別れをしたわけではない。ちゃんと謝って彼女に許してもらったはずだ。彼女は電話に出ることはなかった。何日も何日も、彼女が電話に出るまでかけるつもりだった。熱くなった気持ちは簡単には冷めなかったが、いつからか諦めのようなものが心を包み、俺は電話をするのをやめた。あれから二ヶ月目のことだった。彼女に逢いたい。あの俺をドキドキさせる暖かく優しい声を聞きたい。もう一度あの海へ連れていってあげたい。喫茶店でたわいもないことを話したい。
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