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本編
送る前に必ず確認しよう。誤爆する前に。
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修学旅行二日目のその日、私は部屋風呂を使うことにした。
神社で良さげな入浴剤が売っていたのでそれを入れようと思う。皆が大浴場に行ったので一人悠々と部屋風呂の湯船に浸かった。
そう言えばまだ戻ってきていない生徒はなんとヒロインちゃんらしい。ついでに久松。
ヒロインちゃんと同じ班の皆川さんが言うには一緒に見て回っていたけど、途中で生徒副会長に連れて行かれたと言う。
ここで言う生徒副会長は久松の野郎である。
んー…やっぱアイツ屑だな。
まぁヒロインちゃんは特別と本人が言っていたから傷つけることはないと…信じられないけど信じるしかないよね。
しかし、修学旅行でやらかすとか。アイツ自分の立場分かってんのかね。
たっぷり湯船に浸かって出てくるともう既に同室者の面々は可愛いパジャマを着て部屋に戻ってきていた。
私は言わずもがな、蜂蜜が大好きでメタボ気味なキャラクターが前目に押し出されたトレーナーである。
くっそ女子力…!
「アヤ~さっきスマホ鳴ってたけど?」
パックをしているリンの顔が一瞬、犬○家のスケキヨに見えてビクッとしたが、私は悲鳴を漏らすことなく、コクコクうなずいて自分の荷物がある場所に行く。
スマホを見てみれば橘先輩からメールが来ていた。
そういえば私こっちに着てから連絡してないわ。
こりゃいかん。
とりあえずスキンケアと髪の毛を乾かしてから返信しようと私は自分の荷物から化粧水や乳液を発掘したのである。
手入れを終えると、私は窓辺のソファに移動してそこで日記みたいなメールを作成した。
先輩は今日も勉強をしたのであろう。なら息抜きに旅の思い出を見てもらわないと…
しかしこのスマホ調子が悪いな。林道さんが写真連写したからじゃないの? ありえないシャッター音出してたもん。
ポチポチと写真を選択して添付していく。
学業のご利益のあるお堂と見ざる言わざる聞かざると清水寺と音羽の滝と…
本当はもっと送りたいけどデータ量半端ないし、他は帰ってからでも良いだろう。
私は本文を打ち終えて送信ボタンを押した。
一仕事終わったぜ…! とため息を吐いて、次は母さんにメッセージを送ろうとしたのだが、急に着信音が鳴って私はスマホを取り落としそうになった。
床との衝突前で慌ててキャッチして、私は液晶画面に表示されている通話ボタンをタップして恐る恐る電話に出る。
「も…もしもし?」
『……田端』
「はい…」
『これは、何だ…お前京都に行って何してるんだ』
「へっ? …清水寺と金剛寺と八坂神社とか…見て回りましたけど?」
電話の向こうの橘先輩は何だか声を押し殺しているようであった。まるで怒るのを我慢しているような…
「もしかして勉強頑張ってる時にこんな呑気なメール送られたのがお気に召しませんでしたか!!」
『違う! …何だ、この…破廉恥な…』
「…はれんち?」
橘先輩の言っていることが理解できない。
神社やお寺の写真のどこが破廉恥なのだろうか。
え、見ざる言わざる聞かざるが破廉恥だとでもいうの!?
『これを誰に見せた!』
「えぇ!? えっと友達ですかね!」
『男か、女か』
「お、女の子ですが」
『いいか、こんなもの男に見せるもんじゃないぞ!』
「はぁ!? だけど大勢の男の人も参拝してましたよ!?」
『お前は一体何の話をしてるんだ。俺が言っているのはこの水商売みたいな写真のことだ』
その言葉に私は思考停止した。
「…あの、つかぬことをお尋ねしますけども…それって私が着物着てるやつですかね」
『…そうだ』
私は一気に全身真っ赤になった。
「ヒィィィー!! 消して! 消して下さい! 間違えました! 誤送信しました!!」
『おい田端』
「ついでに先輩の記憶からも抹消して下さい! ウワァァァ!! いっそ私ごと消してくれ!!」
発狂しだした私に驚いたのは橘先輩だけでなく、同室者も引き気味に覗き込んできたが、私はそれどころじゃない。
消え去りたいくらい恥ずかしい。
『とりあえず落ち着け』
「すいませんほんとにすいません」
『わかったから』
「消して下さいほんとにすいませんでした!」
目の前に橘先輩がいるわけでもないのに私は頭を下げまくった。
最後は半泣き状態になっていたかと思う。
私は何をしてるんだ。
絶対がっかりされた。
勉強の息抜きどころか妨害しちゃったよ…!
自分のバカ!
私はその日早々にふて寝したのである。
今度会ってしまったら私はどんな顔すれば良いんだ…
☆★☆
翌朝起きるといつの間にか部屋にヒロインちゃんが帰ってきており、布団で眠っていた。
いつ帰ってきたのだろうと思ったが、皆寝てるので私はこっそり窓辺のソファに移動した。
昨日早くに寝たからスッキリしているが、まだ昨日の花魁ショックから抜けきれていない。
母に送るメッセージが途中だったので作成して送ると私はソファの上で体育座りして膝に額をくっつけてため息を吐いた。
3日目も自由行動だ。
今日は伏見稲荷神社に行く予定である。
それと私を気遣ったユカとリンが後で錦市場に行こうと声をかけてくれた。
そうね…お土産あんまり買えてなかったし行きたいな…フフ…
私は朝からテンションが低かった。
「ちょっとアヤちゃんどうしたの~暗いよ~」
「…たまには暗くたっていいでしょ…」
沢渡君のニコニコ顔も今の私には効かない。
ていうかむしろ今日は私一人で行動したほうが良いのだろうか…
死んだ目でフラフラしているとユカとリンが声をかけてきた。
「大丈夫だって。花魁のアヤめっちゃ綺麗だったし」
「そうよ。嫌うとかそんな事ないってば」
「うぅ…」
しょんぼりする私の頭をリンが撫でてくる。
リンは下に二人兄弟がいるから私よりお姉ちゃんらしい。
じわりと浮かぶ涙で化粧が崩れないように私は目頭を押さえる。
ユカが「んー」と唸ったかと思えば、くるりと沢渡君たちを見て言った。
「ごめん! 今日は男女別行動ね! アヤが情緒不安定だからここは女同士だけのが良いと思う!」
「えぇ!?」
「じゃーねー!」
「いこいこ」
丁度来た電車にユカとリンによって乗せられ、呆然とする男子たちを置いたまま私達は目的地へと旅立ったのである。
伏見稲荷神社に到着するとまず本殿に向かったがまぁ人が多い。一応平日なんだけど人の山山山である。特に外国人が多い。
とりあえず千本鳥居にでも行くかと言う話になり、三人で移動していたのだが、バックパックを背負った西洋人男女が声をかけてきた。
思いっきり英語だが、私は読み専門で喋ったり聞いたりするのは苦手なのだ。
テストのリスニングはある程度綺麗な発音だしスピードも安定しているが、目の前の外国人は早いしイントネーションが違って全く聞き取れない。
私は彼らを見上げてオロオロしていたのだが、横からユカが出てきて流暢な英語で会話し始めた
何のやり取りをしているのかはさっぱりだが、何やら道案内しているようで、ステーションと言っているので駅の案内をしているのかもしれない。
お礼を言って去る外国人をユカはにこやかに見送っていた。
「ユカすっごいペラペラじゃん!」
「そんなことないよ。ほらあたし留学するのが夢だから英語くらい日常会話できないと話にならないからさ。英会話教室に通ったりしてしっかり勉強してんの」
「すごーい…」
ちゃんと考えて将来のために備えてるんだなユカ…見習わねば。
私はユカに尊敬の眼差しを送りつつ、千本鳥居にたどり着くと、願い事を念じながらくぐった。
「先輩の記憶から抹消されますように」
「アヤ、多分この鳥居じゃその願いは叶わないと思うよ?」
「じゃあ!おもかる石を持ち上げてみせる!」
「しょうもな! もっと夢は大きく持ちなよ!!」
奥社奉拝所にたどり着くと私はおもかる石に近づいて石に抱きついた。
「……」
「アヤ~? 願い叶いそう?」
「…絵馬でも書こうかな」
「お金が勿体無いから止めなさい」
重すぎて私には持ち上げることは出来なかった。
むしろ腰がピキッとなりそうだったので断念した。
ユカやリンも持ち上げることが出来なかったようで、そもそもこれを持ち上げられるのはバーベルを持ち上げられるような女性くらいじゃなかろうか。
伏見稲荷神社を一通り見た後は参道を出てお土産屋さんを冷やかすことにした。
「…唐辛子…そうだ唐辛子をお土産に買っていこう」
「…橘先輩に? もうちょっと可愛げのあるものにしなさいよ」
「いやもう無難なものにしたい。ほら、父さんにもいいし。会社に持ってけばいいじゃんマイ七味」
私はそのお店で唐辛子を購入後、ヤケ食いでもしようかと隣のお店でポテトを購入した。
「…んま!」
「えー? 一つ頂戴よ」
「あ、美味しい!」
せっかく稲荷神社にいるのだからいなり寿司も食べることにする。久々に食べるけどいなり寿司美味しい。
いなり寿司に舌鼓を打っていると、ユカがとある所を指さして大きな声を上げた。
「あ、みてみてすずめの丸焼きだって」
「えっすずめ食べんの!?」
「…どうする?」
「………」
見た目はとってもグロいけどこの味、私は好きだ。
頭から食べた私を勇者を見るかのような視線を送ってきた友人に私はドヤ顔を返しておいた。
ちなみにすずめの頭にかぶりつく瞬間をユカとリンに激写された。それ拡散するつもりなの?
むっしゃむっしゃとすずめの命を頂いていると、人混みの間にヒロインちゃんの姿を見つけた。
彼女を人混みから守るように山ぴょんが庇っている。
「………」
…イベント、なのかな?
すずめを完食した私だが、うずらの姿焼きを見つけたのでとりあえずそっちも食べてみることにしたのである。
「大分見て回った気もするね。もう錦市場に行く?」
「あ、私京都御所に行ってみたい」
「じゃあそこ見て回ってから市場に行こう」
軽い気持ちで行ったけども御所についた瞬間重々しい気持ちになってはしゃぐ気分じゃなくなった。
とりあえず静かに見て回って、静かに写真撮影してから御所を後にした。
所変わって錦市場に到着した頃には私の気分も浮上していた。
「豆乳ドーナツください!」
「アヤ、さっきから食べまくってるけどお土産は良いの?」
「買うよ? でも食べるの!」
体重の事を気にしていたくせに私はちょっと食べすぎていた。だけどこれで最後だ。
…あそこの練り物とか天ぷらが気になるが我慢だ。
ドーナツを美味しく完食するととある店を発見した。
「あっ! こんにゃく石鹸! あれ母さんと友達に買ってこうと思ってチェックしてたんだ」
「へぇ。昨日も来たけど男子達に合わせてたから見逃してたわ」
「入ろ入ろ」
女子だけという気楽さでゆっくりお土産を選ぶことが出来た。少し値段は張るけど、女性なら多分こういうのが好きだと思うから喜んでもらえるはずだ。
その後おかきのお店で弟やその他諸々に渡すお土産を買う。
大久保先輩もこれでいいかな。以前お世話になったしついでだ。
大方お土産を買うことができたので私は満足である。
最後に抹茶屋さんでソフトクリームを買って三人で自撮りした。
明日には地元に帰るけど、なんだかんだ言っても楽しい修学旅行になった気がする。
神社で良さげな入浴剤が売っていたのでそれを入れようと思う。皆が大浴場に行ったので一人悠々と部屋風呂の湯船に浸かった。
そう言えばまだ戻ってきていない生徒はなんとヒロインちゃんらしい。ついでに久松。
ヒロインちゃんと同じ班の皆川さんが言うには一緒に見て回っていたけど、途中で生徒副会長に連れて行かれたと言う。
ここで言う生徒副会長は久松の野郎である。
んー…やっぱアイツ屑だな。
まぁヒロインちゃんは特別と本人が言っていたから傷つけることはないと…信じられないけど信じるしかないよね。
しかし、修学旅行でやらかすとか。アイツ自分の立場分かってんのかね。
たっぷり湯船に浸かって出てくるともう既に同室者の面々は可愛いパジャマを着て部屋に戻ってきていた。
私は言わずもがな、蜂蜜が大好きでメタボ気味なキャラクターが前目に押し出されたトレーナーである。
くっそ女子力…!
「アヤ~さっきスマホ鳴ってたけど?」
パックをしているリンの顔が一瞬、犬○家のスケキヨに見えてビクッとしたが、私は悲鳴を漏らすことなく、コクコクうなずいて自分の荷物がある場所に行く。
スマホを見てみれば橘先輩からメールが来ていた。
そういえば私こっちに着てから連絡してないわ。
こりゃいかん。
とりあえずスキンケアと髪の毛を乾かしてから返信しようと私は自分の荷物から化粧水や乳液を発掘したのである。
手入れを終えると、私は窓辺のソファに移動してそこで日記みたいなメールを作成した。
先輩は今日も勉強をしたのであろう。なら息抜きに旅の思い出を見てもらわないと…
しかしこのスマホ調子が悪いな。林道さんが写真連写したからじゃないの? ありえないシャッター音出してたもん。
ポチポチと写真を選択して添付していく。
学業のご利益のあるお堂と見ざる言わざる聞かざると清水寺と音羽の滝と…
本当はもっと送りたいけどデータ量半端ないし、他は帰ってからでも良いだろう。
私は本文を打ち終えて送信ボタンを押した。
一仕事終わったぜ…! とため息を吐いて、次は母さんにメッセージを送ろうとしたのだが、急に着信音が鳴って私はスマホを取り落としそうになった。
床との衝突前で慌ててキャッチして、私は液晶画面に表示されている通話ボタンをタップして恐る恐る電話に出る。
「も…もしもし?」
『……田端』
「はい…」
『これは、何だ…お前京都に行って何してるんだ』
「へっ? …清水寺と金剛寺と八坂神社とか…見て回りましたけど?」
電話の向こうの橘先輩は何だか声を押し殺しているようであった。まるで怒るのを我慢しているような…
「もしかして勉強頑張ってる時にこんな呑気なメール送られたのがお気に召しませんでしたか!!」
『違う! …何だ、この…破廉恥な…』
「…はれんち?」
橘先輩の言っていることが理解できない。
神社やお寺の写真のどこが破廉恥なのだろうか。
え、見ざる言わざる聞かざるが破廉恥だとでもいうの!?
『これを誰に見せた!』
「えぇ!? えっと友達ですかね!」
『男か、女か』
「お、女の子ですが」
『いいか、こんなもの男に見せるもんじゃないぞ!』
「はぁ!? だけど大勢の男の人も参拝してましたよ!?」
『お前は一体何の話をしてるんだ。俺が言っているのはこの水商売みたいな写真のことだ』
その言葉に私は思考停止した。
「…あの、つかぬことをお尋ねしますけども…それって私が着物着てるやつですかね」
『…そうだ』
私は一気に全身真っ赤になった。
「ヒィィィー!! 消して! 消して下さい! 間違えました! 誤送信しました!!」
『おい田端』
「ついでに先輩の記憶からも抹消して下さい! ウワァァァ!! いっそ私ごと消してくれ!!」
発狂しだした私に驚いたのは橘先輩だけでなく、同室者も引き気味に覗き込んできたが、私はそれどころじゃない。
消え去りたいくらい恥ずかしい。
『とりあえず落ち着け』
「すいませんほんとにすいません」
『わかったから』
「消して下さいほんとにすいませんでした!」
目の前に橘先輩がいるわけでもないのに私は頭を下げまくった。
最後は半泣き状態になっていたかと思う。
私は何をしてるんだ。
絶対がっかりされた。
勉強の息抜きどころか妨害しちゃったよ…!
自分のバカ!
私はその日早々にふて寝したのである。
今度会ってしまったら私はどんな顔すれば良いんだ…
☆★☆
翌朝起きるといつの間にか部屋にヒロインちゃんが帰ってきており、布団で眠っていた。
いつ帰ってきたのだろうと思ったが、皆寝てるので私はこっそり窓辺のソファに移動した。
昨日早くに寝たからスッキリしているが、まだ昨日の花魁ショックから抜けきれていない。
母に送るメッセージが途中だったので作成して送ると私はソファの上で体育座りして膝に額をくっつけてため息を吐いた。
3日目も自由行動だ。
今日は伏見稲荷神社に行く予定である。
それと私を気遣ったユカとリンが後で錦市場に行こうと声をかけてくれた。
そうね…お土産あんまり買えてなかったし行きたいな…フフ…
私は朝からテンションが低かった。
「ちょっとアヤちゃんどうしたの~暗いよ~」
「…たまには暗くたっていいでしょ…」
沢渡君のニコニコ顔も今の私には効かない。
ていうかむしろ今日は私一人で行動したほうが良いのだろうか…
死んだ目でフラフラしているとユカとリンが声をかけてきた。
「大丈夫だって。花魁のアヤめっちゃ綺麗だったし」
「そうよ。嫌うとかそんな事ないってば」
「うぅ…」
しょんぼりする私の頭をリンが撫でてくる。
リンは下に二人兄弟がいるから私よりお姉ちゃんらしい。
じわりと浮かぶ涙で化粧が崩れないように私は目頭を押さえる。
ユカが「んー」と唸ったかと思えば、くるりと沢渡君たちを見て言った。
「ごめん! 今日は男女別行動ね! アヤが情緒不安定だからここは女同士だけのが良いと思う!」
「えぇ!?」
「じゃーねー!」
「いこいこ」
丁度来た電車にユカとリンによって乗せられ、呆然とする男子たちを置いたまま私達は目的地へと旅立ったのである。
伏見稲荷神社に到着するとまず本殿に向かったがまぁ人が多い。一応平日なんだけど人の山山山である。特に外国人が多い。
とりあえず千本鳥居にでも行くかと言う話になり、三人で移動していたのだが、バックパックを背負った西洋人男女が声をかけてきた。
思いっきり英語だが、私は読み専門で喋ったり聞いたりするのは苦手なのだ。
テストのリスニングはある程度綺麗な発音だしスピードも安定しているが、目の前の外国人は早いしイントネーションが違って全く聞き取れない。
私は彼らを見上げてオロオロしていたのだが、横からユカが出てきて流暢な英語で会話し始めた
何のやり取りをしているのかはさっぱりだが、何やら道案内しているようで、ステーションと言っているので駅の案内をしているのかもしれない。
お礼を言って去る外国人をユカはにこやかに見送っていた。
「ユカすっごいペラペラじゃん!」
「そんなことないよ。ほらあたし留学するのが夢だから英語くらい日常会話できないと話にならないからさ。英会話教室に通ったりしてしっかり勉強してんの」
「すごーい…」
ちゃんと考えて将来のために備えてるんだなユカ…見習わねば。
私はユカに尊敬の眼差しを送りつつ、千本鳥居にたどり着くと、願い事を念じながらくぐった。
「先輩の記憶から抹消されますように」
「アヤ、多分この鳥居じゃその願いは叶わないと思うよ?」
「じゃあ!おもかる石を持ち上げてみせる!」
「しょうもな! もっと夢は大きく持ちなよ!!」
奥社奉拝所にたどり着くと私はおもかる石に近づいて石に抱きついた。
「……」
「アヤ~? 願い叶いそう?」
「…絵馬でも書こうかな」
「お金が勿体無いから止めなさい」
重すぎて私には持ち上げることは出来なかった。
むしろ腰がピキッとなりそうだったので断念した。
ユカやリンも持ち上げることが出来なかったようで、そもそもこれを持ち上げられるのはバーベルを持ち上げられるような女性くらいじゃなかろうか。
伏見稲荷神社を一通り見た後は参道を出てお土産屋さんを冷やかすことにした。
「…唐辛子…そうだ唐辛子をお土産に買っていこう」
「…橘先輩に? もうちょっと可愛げのあるものにしなさいよ」
「いやもう無難なものにしたい。ほら、父さんにもいいし。会社に持ってけばいいじゃんマイ七味」
私はそのお店で唐辛子を購入後、ヤケ食いでもしようかと隣のお店でポテトを購入した。
「…んま!」
「えー? 一つ頂戴よ」
「あ、美味しい!」
せっかく稲荷神社にいるのだからいなり寿司も食べることにする。久々に食べるけどいなり寿司美味しい。
いなり寿司に舌鼓を打っていると、ユカがとある所を指さして大きな声を上げた。
「あ、みてみてすずめの丸焼きだって」
「えっすずめ食べんの!?」
「…どうする?」
「………」
見た目はとってもグロいけどこの味、私は好きだ。
頭から食べた私を勇者を見るかのような視線を送ってきた友人に私はドヤ顔を返しておいた。
ちなみにすずめの頭にかぶりつく瞬間をユカとリンに激写された。それ拡散するつもりなの?
むっしゃむっしゃとすずめの命を頂いていると、人混みの間にヒロインちゃんの姿を見つけた。
彼女を人混みから守るように山ぴょんが庇っている。
「………」
…イベント、なのかな?
すずめを完食した私だが、うずらの姿焼きを見つけたのでとりあえずそっちも食べてみることにしたのである。
「大分見て回った気もするね。もう錦市場に行く?」
「あ、私京都御所に行ってみたい」
「じゃあそこ見て回ってから市場に行こう」
軽い気持ちで行ったけども御所についた瞬間重々しい気持ちになってはしゃぐ気分じゃなくなった。
とりあえず静かに見て回って、静かに写真撮影してから御所を後にした。
所変わって錦市場に到着した頃には私の気分も浮上していた。
「豆乳ドーナツください!」
「アヤ、さっきから食べまくってるけどお土産は良いの?」
「買うよ? でも食べるの!」
体重の事を気にしていたくせに私はちょっと食べすぎていた。だけどこれで最後だ。
…あそこの練り物とか天ぷらが気になるが我慢だ。
ドーナツを美味しく完食するととある店を発見した。
「あっ! こんにゃく石鹸! あれ母さんと友達に買ってこうと思ってチェックしてたんだ」
「へぇ。昨日も来たけど男子達に合わせてたから見逃してたわ」
「入ろ入ろ」
女子だけという気楽さでゆっくりお土産を選ぶことが出来た。少し値段は張るけど、女性なら多分こういうのが好きだと思うから喜んでもらえるはずだ。
その後おかきのお店で弟やその他諸々に渡すお土産を買う。
大久保先輩もこれでいいかな。以前お世話になったしついでだ。
大方お土産を買うことができたので私は満足である。
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