61 / 312
本編
送る前に必ず確認しよう。誤爆する前に。
しおりを挟む
修学旅行二日目のその日、私は部屋風呂を使うことにした。
神社で良さげな入浴剤が売っていたのでそれを入れようと思う。皆が大浴場に行ったので一人悠々と部屋風呂の湯船に浸かった。
そう言えばまだ戻ってきていない生徒はなんとヒロインちゃんらしい。ついでに久松。
ヒロインちゃんと同じ班の皆川さんが言うには一緒に見て回っていたけど、途中で生徒副会長に連れて行かれたと言う。
ここで言う生徒副会長は久松の野郎である。
んー…やっぱアイツ屑だな。
まぁヒロインちゃんは特別と本人が言っていたから傷つけることはないと…信じられないけど信じるしかないよね。
しかし、修学旅行でやらかすとか。アイツ自分の立場分かってんのかね。
たっぷり湯船に浸かって出てくるともう既に同室者の面々は可愛いパジャマを着て部屋に戻ってきていた。
私は言わずもがな、蜂蜜が大好きでメタボ気味なキャラクターが前目に押し出されたトレーナーである。
くっそ女子力…!
「アヤ~さっきスマホ鳴ってたけど?」
パックをしているリンの顔が一瞬、犬○家のスケキヨに見えてビクッとしたが、私は悲鳴を漏らすことなく、コクコクうなずいて自分の荷物がある場所に行く。
スマホを見てみれば橘先輩からメールが来ていた。
そういえば私こっちに着てから連絡してないわ。
こりゃいかん。
とりあえずスキンケアと髪の毛を乾かしてから返信しようと私は自分の荷物から化粧水や乳液を発掘したのである。
手入れを終えると、私は窓辺のソファに移動してそこで日記みたいなメールを作成した。
先輩は今日も勉強をしたのであろう。なら息抜きに旅の思い出を見てもらわないと…
しかしこのスマホ調子が悪いな。林道さんが写真連写したからじゃないの? ありえないシャッター音出してたもん。
ポチポチと写真を選択して添付していく。
学業のご利益のあるお堂と見ざる言わざる聞かざると清水寺と音羽の滝と…
本当はもっと送りたいけどデータ量半端ないし、他は帰ってからでも良いだろう。
私は本文を打ち終えて送信ボタンを押した。
一仕事終わったぜ…! とため息を吐いて、次は母さんにメッセージを送ろうとしたのだが、急に着信音が鳴って私はスマホを取り落としそうになった。
床との衝突前で慌ててキャッチして、私は液晶画面に表示されている通話ボタンをタップして恐る恐る電話に出る。
「も…もしもし?」
『……田端』
「はい…」
『これは、何だ…お前京都に行って何してるんだ』
「へっ? …清水寺と金剛寺と八坂神社とか…見て回りましたけど?」
電話の向こうの橘先輩は何だか声を押し殺しているようであった。まるで怒るのを我慢しているような…
「もしかして勉強頑張ってる時にこんな呑気なメール送られたのがお気に召しませんでしたか!!」
『違う! …何だ、この…破廉恥な…』
「…はれんち?」
橘先輩の言っていることが理解できない。
神社やお寺の写真のどこが破廉恥なのだろうか。
え、見ざる言わざる聞かざるが破廉恥だとでもいうの!?
『これを誰に見せた!』
「えぇ!? えっと友達ですかね!」
『男か、女か』
「お、女の子ですが」
『いいか、こんなもの男に見せるもんじゃないぞ!』
「はぁ!? だけど大勢の男の人も参拝してましたよ!?」
『お前は一体何の話をしてるんだ。俺が言っているのはこの水商売みたいな写真のことだ』
その言葉に私は思考停止した。
「…あの、つかぬことをお尋ねしますけども…それって私が着物着てるやつですかね」
『…そうだ』
私は一気に全身真っ赤になった。
「ヒィィィー!! 消して! 消して下さい! 間違えました! 誤送信しました!!」
『おい田端』
「ついでに先輩の記憶からも抹消して下さい! ウワァァァ!! いっそ私ごと消してくれ!!」
発狂しだした私に驚いたのは橘先輩だけでなく、同室者も引き気味に覗き込んできたが、私はそれどころじゃない。
消え去りたいくらい恥ずかしい。
『とりあえず落ち着け』
「すいませんほんとにすいません」
『わかったから』
「消して下さいほんとにすいませんでした!」
目の前に橘先輩がいるわけでもないのに私は頭を下げまくった。
最後は半泣き状態になっていたかと思う。
私は何をしてるんだ。
絶対がっかりされた。
勉強の息抜きどころか妨害しちゃったよ…!
自分のバカ!
私はその日早々にふて寝したのである。
今度会ってしまったら私はどんな顔すれば良いんだ…
☆★☆
翌朝起きるといつの間にか部屋にヒロインちゃんが帰ってきており、布団で眠っていた。
いつ帰ってきたのだろうと思ったが、皆寝てるので私はこっそり窓辺のソファに移動した。
昨日早くに寝たからスッキリしているが、まだ昨日の花魁ショックから抜けきれていない。
母に送るメッセージが途中だったので作成して送ると私はソファの上で体育座りして膝に額をくっつけてため息を吐いた。
3日目も自由行動だ。
今日は伏見稲荷神社に行く予定である。
それと私を気遣ったユカとリンが後で錦市場に行こうと声をかけてくれた。
そうね…お土産あんまり買えてなかったし行きたいな…フフ…
私は朝からテンションが低かった。
「ちょっとアヤちゃんどうしたの~暗いよ~」
「…たまには暗くたっていいでしょ…」
沢渡君のニコニコ顔も今の私には効かない。
ていうかむしろ今日は私一人で行動したほうが良いのだろうか…
死んだ目でフラフラしているとユカとリンが声をかけてきた。
「大丈夫だって。花魁のアヤめっちゃ綺麗だったし」
「そうよ。嫌うとかそんな事ないってば」
「うぅ…」
しょんぼりする私の頭をリンが撫でてくる。
リンは下に二人兄弟がいるから私よりお姉ちゃんらしい。
じわりと浮かぶ涙で化粧が崩れないように私は目頭を押さえる。
ユカが「んー」と唸ったかと思えば、くるりと沢渡君たちを見て言った。
「ごめん! 今日は男女別行動ね! アヤが情緒不安定だからここは女同士だけのが良いと思う!」
「えぇ!?」
「じゃーねー!」
「いこいこ」
丁度来た電車にユカとリンによって乗せられ、呆然とする男子たちを置いたまま私達は目的地へと旅立ったのである。
伏見稲荷神社に到着するとまず本殿に向かったがまぁ人が多い。一応平日なんだけど人の山山山である。特に外国人が多い。
とりあえず千本鳥居にでも行くかと言う話になり、三人で移動していたのだが、バックパックを背負った西洋人男女が声をかけてきた。
思いっきり英語だが、私は読み専門で喋ったり聞いたりするのは苦手なのだ。
テストのリスニングはある程度綺麗な発音だしスピードも安定しているが、目の前の外国人は早いしイントネーションが違って全く聞き取れない。
私は彼らを見上げてオロオロしていたのだが、横からユカが出てきて流暢な英語で会話し始めた
何のやり取りをしているのかはさっぱりだが、何やら道案内しているようで、ステーションと言っているので駅の案内をしているのかもしれない。
お礼を言って去る外国人をユカはにこやかに見送っていた。
「ユカすっごいペラペラじゃん!」
「そんなことないよ。ほらあたし留学するのが夢だから英語くらい日常会話できないと話にならないからさ。英会話教室に通ったりしてしっかり勉強してんの」
「すごーい…」
ちゃんと考えて将来のために備えてるんだなユカ…見習わねば。
私はユカに尊敬の眼差しを送りつつ、千本鳥居にたどり着くと、願い事を念じながらくぐった。
「先輩の記憶から抹消されますように」
「アヤ、多分この鳥居じゃその願いは叶わないと思うよ?」
「じゃあ!おもかる石を持ち上げてみせる!」
「しょうもな! もっと夢は大きく持ちなよ!!」
奥社奉拝所にたどり着くと私はおもかる石に近づいて石に抱きついた。
「……」
「アヤ~? 願い叶いそう?」
「…絵馬でも書こうかな」
「お金が勿体無いから止めなさい」
重すぎて私には持ち上げることは出来なかった。
むしろ腰がピキッとなりそうだったので断念した。
ユカやリンも持ち上げることが出来なかったようで、そもそもこれを持ち上げられるのはバーベルを持ち上げられるような女性くらいじゃなかろうか。
伏見稲荷神社を一通り見た後は参道を出てお土産屋さんを冷やかすことにした。
「…唐辛子…そうだ唐辛子をお土産に買っていこう」
「…橘先輩に? もうちょっと可愛げのあるものにしなさいよ」
「いやもう無難なものにしたい。ほら、父さんにもいいし。会社に持ってけばいいじゃんマイ七味」
私はそのお店で唐辛子を購入後、ヤケ食いでもしようかと隣のお店でポテトを購入した。
「…んま!」
「えー? 一つ頂戴よ」
「あ、美味しい!」
せっかく稲荷神社にいるのだからいなり寿司も食べることにする。久々に食べるけどいなり寿司美味しい。
いなり寿司に舌鼓を打っていると、ユカがとある所を指さして大きな声を上げた。
「あ、みてみてすずめの丸焼きだって」
「えっすずめ食べんの!?」
「…どうする?」
「………」
見た目はとってもグロいけどこの味、私は好きだ。
頭から食べた私を勇者を見るかのような視線を送ってきた友人に私はドヤ顔を返しておいた。
ちなみにすずめの頭にかぶりつく瞬間をユカとリンに激写された。それ拡散するつもりなの?
むっしゃむっしゃとすずめの命を頂いていると、人混みの間にヒロインちゃんの姿を見つけた。
彼女を人混みから守るように山ぴょんが庇っている。
「………」
…イベント、なのかな?
すずめを完食した私だが、うずらの姿焼きを見つけたのでとりあえずそっちも食べてみることにしたのである。
「大分見て回った気もするね。もう錦市場に行く?」
「あ、私京都御所に行ってみたい」
「じゃあそこ見て回ってから市場に行こう」
軽い気持ちで行ったけども御所についた瞬間重々しい気持ちになってはしゃぐ気分じゃなくなった。
とりあえず静かに見て回って、静かに写真撮影してから御所を後にした。
所変わって錦市場に到着した頃には私の気分も浮上していた。
「豆乳ドーナツください!」
「アヤ、さっきから食べまくってるけどお土産は良いの?」
「買うよ? でも食べるの!」
体重の事を気にしていたくせに私はちょっと食べすぎていた。だけどこれで最後だ。
…あそこの練り物とか天ぷらが気になるが我慢だ。
ドーナツを美味しく完食するととある店を発見した。
「あっ! こんにゃく石鹸! あれ母さんと友達に買ってこうと思ってチェックしてたんだ」
「へぇ。昨日も来たけど男子達に合わせてたから見逃してたわ」
「入ろ入ろ」
女子だけという気楽さでゆっくりお土産を選ぶことが出来た。少し値段は張るけど、女性なら多分こういうのが好きだと思うから喜んでもらえるはずだ。
その後おかきのお店で弟やその他諸々に渡すお土産を買う。
大久保先輩もこれでいいかな。以前お世話になったしついでだ。
大方お土産を買うことができたので私は満足である。
最後に抹茶屋さんでソフトクリームを買って三人で自撮りした。
明日には地元に帰るけど、なんだかんだ言っても楽しい修学旅行になった気がする。
神社で良さげな入浴剤が売っていたのでそれを入れようと思う。皆が大浴場に行ったので一人悠々と部屋風呂の湯船に浸かった。
そう言えばまだ戻ってきていない生徒はなんとヒロインちゃんらしい。ついでに久松。
ヒロインちゃんと同じ班の皆川さんが言うには一緒に見て回っていたけど、途中で生徒副会長に連れて行かれたと言う。
ここで言う生徒副会長は久松の野郎である。
んー…やっぱアイツ屑だな。
まぁヒロインちゃんは特別と本人が言っていたから傷つけることはないと…信じられないけど信じるしかないよね。
しかし、修学旅行でやらかすとか。アイツ自分の立場分かってんのかね。
たっぷり湯船に浸かって出てくるともう既に同室者の面々は可愛いパジャマを着て部屋に戻ってきていた。
私は言わずもがな、蜂蜜が大好きでメタボ気味なキャラクターが前目に押し出されたトレーナーである。
くっそ女子力…!
「アヤ~さっきスマホ鳴ってたけど?」
パックをしているリンの顔が一瞬、犬○家のスケキヨに見えてビクッとしたが、私は悲鳴を漏らすことなく、コクコクうなずいて自分の荷物がある場所に行く。
スマホを見てみれば橘先輩からメールが来ていた。
そういえば私こっちに着てから連絡してないわ。
こりゃいかん。
とりあえずスキンケアと髪の毛を乾かしてから返信しようと私は自分の荷物から化粧水や乳液を発掘したのである。
手入れを終えると、私は窓辺のソファに移動してそこで日記みたいなメールを作成した。
先輩は今日も勉強をしたのであろう。なら息抜きに旅の思い出を見てもらわないと…
しかしこのスマホ調子が悪いな。林道さんが写真連写したからじゃないの? ありえないシャッター音出してたもん。
ポチポチと写真を選択して添付していく。
学業のご利益のあるお堂と見ざる言わざる聞かざると清水寺と音羽の滝と…
本当はもっと送りたいけどデータ量半端ないし、他は帰ってからでも良いだろう。
私は本文を打ち終えて送信ボタンを押した。
一仕事終わったぜ…! とため息を吐いて、次は母さんにメッセージを送ろうとしたのだが、急に着信音が鳴って私はスマホを取り落としそうになった。
床との衝突前で慌ててキャッチして、私は液晶画面に表示されている通話ボタンをタップして恐る恐る電話に出る。
「も…もしもし?」
『……田端』
「はい…」
『これは、何だ…お前京都に行って何してるんだ』
「へっ? …清水寺と金剛寺と八坂神社とか…見て回りましたけど?」
電話の向こうの橘先輩は何だか声を押し殺しているようであった。まるで怒るのを我慢しているような…
「もしかして勉強頑張ってる時にこんな呑気なメール送られたのがお気に召しませんでしたか!!」
『違う! …何だ、この…破廉恥な…』
「…はれんち?」
橘先輩の言っていることが理解できない。
神社やお寺の写真のどこが破廉恥なのだろうか。
え、見ざる言わざる聞かざるが破廉恥だとでもいうの!?
『これを誰に見せた!』
「えぇ!? えっと友達ですかね!」
『男か、女か』
「お、女の子ですが」
『いいか、こんなもの男に見せるもんじゃないぞ!』
「はぁ!? だけど大勢の男の人も参拝してましたよ!?」
『お前は一体何の話をしてるんだ。俺が言っているのはこの水商売みたいな写真のことだ』
その言葉に私は思考停止した。
「…あの、つかぬことをお尋ねしますけども…それって私が着物着てるやつですかね」
『…そうだ』
私は一気に全身真っ赤になった。
「ヒィィィー!! 消して! 消して下さい! 間違えました! 誤送信しました!!」
『おい田端』
「ついでに先輩の記憶からも抹消して下さい! ウワァァァ!! いっそ私ごと消してくれ!!」
発狂しだした私に驚いたのは橘先輩だけでなく、同室者も引き気味に覗き込んできたが、私はそれどころじゃない。
消え去りたいくらい恥ずかしい。
『とりあえず落ち着け』
「すいませんほんとにすいません」
『わかったから』
「消して下さいほんとにすいませんでした!」
目の前に橘先輩がいるわけでもないのに私は頭を下げまくった。
最後は半泣き状態になっていたかと思う。
私は何をしてるんだ。
絶対がっかりされた。
勉強の息抜きどころか妨害しちゃったよ…!
自分のバカ!
私はその日早々にふて寝したのである。
今度会ってしまったら私はどんな顔すれば良いんだ…
☆★☆
翌朝起きるといつの間にか部屋にヒロインちゃんが帰ってきており、布団で眠っていた。
いつ帰ってきたのだろうと思ったが、皆寝てるので私はこっそり窓辺のソファに移動した。
昨日早くに寝たからスッキリしているが、まだ昨日の花魁ショックから抜けきれていない。
母に送るメッセージが途中だったので作成して送ると私はソファの上で体育座りして膝に額をくっつけてため息を吐いた。
3日目も自由行動だ。
今日は伏見稲荷神社に行く予定である。
それと私を気遣ったユカとリンが後で錦市場に行こうと声をかけてくれた。
そうね…お土産あんまり買えてなかったし行きたいな…フフ…
私は朝からテンションが低かった。
「ちょっとアヤちゃんどうしたの~暗いよ~」
「…たまには暗くたっていいでしょ…」
沢渡君のニコニコ顔も今の私には効かない。
ていうかむしろ今日は私一人で行動したほうが良いのだろうか…
死んだ目でフラフラしているとユカとリンが声をかけてきた。
「大丈夫だって。花魁のアヤめっちゃ綺麗だったし」
「そうよ。嫌うとかそんな事ないってば」
「うぅ…」
しょんぼりする私の頭をリンが撫でてくる。
リンは下に二人兄弟がいるから私よりお姉ちゃんらしい。
じわりと浮かぶ涙で化粧が崩れないように私は目頭を押さえる。
ユカが「んー」と唸ったかと思えば、くるりと沢渡君たちを見て言った。
「ごめん! 今日は男女別行動ね! アヤが情緒不安定だからここは女同士だけのが良いと思う!」
「えぇ!?」
「じゃーねー!」
「いこいこ」
丁度来た電車にユカとリンによって乗せられ、呆然とする男子たちを置いたまま私達は目的地へと旅立ったのである。
伏見稲荷神社に到着するとまず本殿に向かったがまぁ人が多い。一応平日なんだけど人の山山山である。特に外国人が多い。
とりあえず千本鳥居にでも行くかと言う話になり、三人で移動していたのだが、バックパックを背負った西洋人男女が声をかけてきた。
思いっきり英語だが、私は読み専門で喋ったり聞いたりするのは苦手なのだ。
テストのリスニングはある程度綺麗な発音だしスピードも安定しているが、目の前の外国人は早いしイントネーションが違って全く聞き取れない。
私は彼らを見上げてオロオロしていたのだが、横からユカが出てきて流暢な英語で会話し始めた
何のやり取りをしているのかはさっぱりだが、何やら道案内しているようで、ステーションと言っているので駅の案内をしているのかもしれない。
お礼を言って去る外国人をユカはにこやかに見送っていた。
「ユカすっごいペラペラじゃん!」
「そんなことないよ。ほらあたし留学するのが夢だから英語くらい日常会話できないと話にならないからさ。英会話教室に通ったりしてしっかり勉強してんの」
「すごーい…」
ちゃんと考えて将来のために備えてるんだなユカ…見習わねば。
私はユカに尊敬の眼差しを送りつつ、千本鳥居にたどり着くと、願い事を念じながらくぐった。
「先輩の記憶から抹消されますように」
「アヤ、多分この鳥居じゃその願いは叶わないと思うよ?」
「じゃあ!おもかる石を持ち上げてみせる!」
「しょうもな! もっと夢は大きく持ちなよ!!」
奥社奉拝所にたどり着くと私はおもかる石に近づいて石に抱きついた。
「……」
「アヤ~? 願い叶いそう?」
「…絵馬でも書こうかな」
「お金が勿体無いから止めなさい」
重すぎて私には持ち上げることは出来なかった。
むしろ腰がピキッとなりそうだったので断念した。
ユカやリンも持ち上げることが出来なかったようで、そもそもこれを持ち上げられるのはバーベルを持ち上げられるような女性くらいじゃなかろうか。
伏見稲荷神社を一通り見た後は参道を出てお土産屋さんを冷やかすことにした。
「…唐辛子…そうだ唐辛子をお土産に買っていこう」
「…橘先輩に? もうちょっと可愛げのあるものにしなさいよ」
「いやもう無難なものにしたい。ほら、父さんにもいいし。会社に持ってけばいいじゃんマイ七味」
私はそのお店で唐辛子を購入後、ヤケ食いでもしようかと隣のお店でポテトを購入した。
「…んま!」
「えー? 一つ頂戴よ」
「あ、美味しい!」
せっかく稲荷神社にいるのだからいなり寿司も食べることにする。久々に食べるけどいなり寿司美味しい。
いなり寿司に舌鼓を打っていると、ユカがとある所を指さして大きな声を上げた。
「あ、みてみてすずめの丸焼きだって」
「えっすずめ食べんの!?」
「…どうする?」
「………」
見た目はとってもグロいけどこの味、私は好きだ。
頭から食べた私を勇者を見るかのような視線を送ってきた友人に私はドヤ顔を返しておいた。
ちなみにすずめの頭にかぶりつく瞬間をユカとリンに激写された。それ拡散するつもりなの?
むっしゃむっしゃとすずめの命を頂いていると、人混みの間にヒロインちゃんの姿を見つけた。
彼女を人混みから守るように山ぴょんが庇っている。
「………」
…イベント、なのかな?
すずめを完食した私だが、うずらの姿焼きを見つけたのでとりあえずそっちも食べてみることにしたのである。
「大分見て回った気もするね。もう錦市場に行く?」
「あ、私京都御所に行ってみたい」
「じゃあそこ見て回ってから市場に行こう」
軽い気持ちで行ったけども御所についた瞬間重々しい気持ちになってはしゃぐ気分じゃなくなった。
とりあえず静かに見て回って、静かに写真撮影してから御所を後にした。
所変わって錦市場に到着した頃には私の気分も浮上していた。
「豆乳ドーナツください!」
「アヤ、さっきから食べまくってるけどお土産は良いの?」
「買うよ? でも食べるの!」
体重の事を気にしていたくせに私はちょっと食べすぎていた。だけどこれで最後だ。
…あそこの練り物とか天ぷらが気になるが我慢だ。
ドーナツを美味しく完食するととある店を発見した。
「あっ! こんにゃく石鹸! あれ母さんと友達に買ってこうと思ってチェックしてたんだ」
「へぇ。昨日も来たけど男子達に合わせてたから見逃してたわ」
「入ろ入ろ」
女子だけという気楽さでゆっくりお土産を選ぶことが出来た。少し値段は張るけど、女性なら多分こういうのが好きだと思うから喜んでもらえるはずだ。
その後おかきのお店で弟やその他諸々に渡すお土産を買う。
大久保先輩もこれでいいかな。以前お世話になったしついでだ。
大方お土産を買うことができたので私は満足である。
最後に抹茶屋さんでソフトクリームを買って三人で自撮りした。
明日には地元に帰るけど、なんだかんだ言っても楽しい修学旅行になった気がする。
21
あなたにおすすめの小説
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる