攻略対象の影薄い姉になったけど、モブってなにしたらいいの?

スズキアカネ

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番外編

成人式といえば同窓会。しかし嬉しくない再会もある。

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成人式のお話。2話続きます。あやめ大学2年1月。
※法改正されますが、ここでは20歳成人のままになってます。
ーーーーーーーーーーーーーーー

 誕生日は5月だったので、何を今更な心境だが、改めて成人式を迎えた私は振袖姿で会場入りしていた。男性はスーツ姿が大多数だが、たまに袴姿、特攻服姿の人を見かけた。あと…女性では花魁風の人ね。…花魁…うっ…頭が…。
 成人式って毎年どこかで新成人が大暴れしたってニュースが流れるけど…私の参加する会場は大丈夫だろうか?

 私は最近化粧をギャルメイクから自然な化粧に直し始めた。成人式ってこともあるけど、自分の地味顔コンプレックスを克服し始めたとも言える。
 着物柄が華やかなのでギャルメイクより、自然なメイクで口紅を付けたほうが映えるなと感じたので、これはこれでいいな。

 しかし着物苦しいな。式の後友人らと飲みに行く約束をしているんだが、この状態でちゃんと飲食出来るだろうか。着付けの人にタオルを5枚くらい詰め込まれたからお腹周りが暑い…
 スマホを見てみたら、舞台前から3ブロック目左寄りの席を取ったとリンから連絡が来ていた。私は成人式のこの日に高校時代の友人と久々に集合することとなっていた。 

 人数分席が用意されているのだが、出入り口付近では新成人が席につかずに立ち話をしていて大変混雑している。
 人を避けながら歩いていると、友人とじゃれ合っていたらしいやんちゃ系男子が飛び出してきた。
 私がそれにびっくりして固まっていると「何すんだよお前~」と再びじゃれ合いを再開していた。男女数人で集まってはっちゃけていたグループでわちゃわちゃしていて、こっちには関心がないらしい。
 傍にいたらぶつかって来そうだったので巻き込まれないよう、私は足早にその場から離れようとした。

 するとその中にいた1人が私を凝視してきた。
 何だ? と思ったけど、聞く勇気もなくてシカトしようとしたのだけど「…もしかして田端じゃね?」と言ってきたので、私は動かしていた足をピタリと止めた。

「…田端って…あの?」
「マジかよ、へー元気そうじゃん」

 何やら私のことを知っている人間のようだ。だけど私には覚えがないのだが…

「中3の時さ、コイツクラス中からハブられてたんだぜ」
「なのに毎日学校来てさ、メンタルやばくね?」

 なんか勝手に紹介されているが、もしかしなくとも、中3の時のクラスメイトのようだ。
 うっわ…会いたくなかったなぁ…この口ぶりだと、積極的にいじめっ子蛯原に加担していたメンバーだろうし…

「えーなんでハブってたの~?」
「なんか気に入らないからってー。こいつめっちゃイケメンの弟いるんだけどさ、コイツの顔面くっそ地味でさ…よく生きていられるよねーってエビーが言ってたんだー」
「ていうか蛯原って今何してんの?」
「知らね」

 これは悪い流れになってきたぞ。…耳を貸さずに立ち去るべきだなと判断した私は、踵を返してその場から立ち去ろうとした。
 
 ガッ
「おい、逃げんなよー久々の再会だろー?」

 それを見逃さなかったのは、ガラの悪そうな男だ。…高校大学を経ているから顔がねー…誰だかさっぱりわからんが、そいつが私の腕を掴んで阻止してきた。
 私はこの人に用がないんだけど…大声出したろか。

「ていうかあんた今何してんの? 大学どこ?」
「彼氏とかいるの? あ、でもいたとしても田端と同じく地味な男なんだろうねー?」

 突然のマウンティング。何故私をサンドバッグにしようとする。
 めんどくさい。

「おいおい、かわいそうだろ。やめてやれよ。久々の再会なんだろ?」
 
 どうやら元クラスメイトじゃない無関係の人間もグループにいたようだ。
 見た目の派手さに反して、まともそうな青年がドン引きした顔で制止していたけど、ガラの悪い男がケラケラ笑って一蹴していた。
 
「こいつマジ神経ぶっといから、全然平気だって」

 ベシっと頭を叩かれた。痛い! ヘアセットが乱れるだろうが! 
 今日は成人式。新成人にとって晴れ晴れしい日だ。なのになぜ、過去いじめてきた輩にボコボコにされなきゃならないんだ。成人式というのは成人という意識を一層強める儀式ではないのか。

「…ていうかいい加減に離してくれない? …私、あんたらと付き合っている暇ないんだけど」
「…くっそ生意気だなー。可愛くねー…」
「あんたに可愛いと思われなくて結構」

 掴まれていた腕を振り払うと、相手を睨み上げた。だけどそれが気に入らない男がまた掴んでこようとしてきた。

「──何してるのっ!?」
「……」
「……誰だ?」

 あともうちょっとで捕獲されそうだったが、私を捕まえようと伸ばされていた手は宙で止まった。
 第三者の大声に元同級生だけでなく、周りで歓談していた新成人が一瞬静かになった。私がその声の主を見ると、彼女は険しい顔で、私の中学の時の同級生を睨みつけていた。
 
「ちょっと話を聞いてたけど、あんた達なんなの!?」
「ちょ、林道さん…」

 同じ学年だから彼女も参加してて当然なんだけど、まさかこの大規模の会場内で再会するとは思わなかった。どちらにせよこの後の同窓会で再会する予定だったけどさ。
 ていうか林道さん声が大きすぎるから…みんな見てるから声抑えて…

「あやめちゃんのこと下に見てるみたいだけどね、あやめちゃんは国立大の理工学部生だし、超イケメンなラブラブの彼氏がいるんだからね!」
「おい」

 やめろ。肩書とか彼氏で威張るのはなんか嫌だわ。だってそんな事言ってしまったらコイツらと同じ土俵に立ったみたいになっちゃうじゃないの。

「もうほーんと、羨ま憎たらしいくらいラブラブでさぁ…私は全然なのに……和真君はシスコンだし…」
「それ関係あるかな」

 しばらく会ってなかったのに私と彼氏がラブラブって何故知ってるの? …和真がボヤいていたのか?
 林道さんは自分で言っておいて1人で凹み始めた。意中の和真と全く進展しないことを気にしているようである。未だに道場通いはしているらしいけど、それだけで止まっているらしい。

 庇いに来たのかそうじゃないのかよくわからんが、とりあえず助けてくれたのだろう林道さんは。
 私はこれ以上元クラスメイトと関わり合いになりたくないので、林道さんの腕を引いてここは一旦退却しようとした。

「…おっそいなーと思って様子見に来てみたら…あんたら、よくもこんな式典でフザけた真似してくれたね?」
「アヤって粘着人間ホイホイよね。相変わらず」

 だが退却のその前に私と林道さんを守るかのように前に立ちはだかったのは、別の大学に通うユカと一足先に社会人になったリンだ。
 二人は高校の時よりも化粧が落ち着いたが、それでも相変わらず戦闘能力が高そうである。短気なユカに到ってはメンチ切っているし…
 …変な人間に付き纏われる性質なのは自覚しているけど、メンタルゴリゴリ削るから改めて口に出すのやめてリン。

「な、なんだよ…」
「あんたら成人してるくせに女の子いじめて恥ずかしくないの? あんたらみたいなのがいるから最近の若いもんはって揶揄されるんだけど?」
「はぁ!? なによ、あんた達偉そうに!」
「やんのかコラァ!」
「ユカ、ステイ」

 喧嘩っ早いユカが飛び出そうとしたのをすかさずリンが制止する。
 ていうかここで騒いでいたら会場スタッフにつまみ出されるかも。こんな奴らの相手したら時間の無駄だよ!
 
 私はリンとユカの手首を掴んで促してはみたけど、二人はまだ言い足りないのか動いてくれない。
 …今日この日を楽しみにしてきたのに。高校の仲良し組で集まってお酒を飲むのをとても楽しみにしていたのに…!

「…国立大だからなによ…あんたガリ勉だったもんね?」
「イケメンの彼氏とかも脚色してんでしょ? 本当なら写真見せてよ」 

 蛯原の腰巾着だった元クラスメイトの女子が絡んできた。彼女たちはあの頃のように不愉快な笑みを浮かべて私を見下してきていた。…進歩してないな。
 もー林道さんが余計なこと言うからそこ突付いてきたしー…無視して逃げたほうが時間と気力の節約になるのに…

「……普通に嫌だけど。なんで見せなきゃならないの? 勉強してきたことの何が悪いの? …自分の立場を上に見せたいから叩いてくるの?」

 中3の頃、蛯原が中心となってクラス全体でいじめてられてきたが、受験前になってそれは沈静化した。
 蛯原は私を叩くことに夢中になりすぎて受験勉強が疎かになり志望校に落ちて大変そうだったが、その周りはしっかり陰で勉強して志望校に通えていたはずだ。
 彼らの今の進路はよく知らないけど、昔いじめた相手を見つけたから、叩いて優位に立ちたいのだろうか。あの頃のように。

 私が中学生だった頃の記憶が、嫌な記憶ばかり思い出されて私の気分は陰鬱となったが、ここで怯んだら私は中学生の時と成長していないことになる。

 私は深呼吸して胸を張ると、目の前の元いじめっ子たちを睥睨したのである。

 
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