47 / 209
Day's Eye 森に捨てられたデイジー
人の優しさ
しおりを挟む
「使われた薬の効果を抜くために、今日はここで入院ね」
「……」
大会会場にいた時よりも身体の痺れはひどくなり、体の感覚が鈍くなっている。
今では歩くことはおろか、指を自分の意志で動かすことすら出来ない状態だ。喉が動かないどころではない。体の感覚がないのだ。当然ながら水を飲むことも出来ない。
そのため、身体に管をつなげて脱水にならないように処置を施された。ぼんやりする意識の中、医務室の先生に目で問いかける。
「マックさんに使われた薬は、使用資格が必要な危険薬物なの。本来であれば外科手術などの医療行為をする時に使うものなんだけど……貴族のお坊ちゃんはどこでこんなものを入手したのかしらね」
分量を間違えれば呼吸困難に陥り、命を落とす恐れもある、と言われて微妙な心境に陥った。
貴族様にとっては、それで私が死んでも構わないってことか。死んだら金を積んでなかったことにするつもりだったのかな。……バレないとでも思ったんだろうか。
「いくらお貴族様だとしても、こんなこと許せません!」
「もちろんよ。殿下がすぐさま捕縛したそうだから、きっと罪に問われることでしょう」
先程から私の手を握ってピィピィ泣いていたカンナは自分のことのように憤っていた。
カンナは私の手をあたためるように擦り続けてくれているが、本当に感覚がないんだ。先生が保温魔法を私の周りに巡らせてくれているが、それすら感じない。おそらく薬の影響で体温が下がっているのだろうな…
このまま私に付き添っていると駄々をこねるカンナを先生が追い出し、私は病室で一人静かな夜を過ごした。薬の影響で私の意識は混濁していたので一人でも全く気にならなかった。深い深い沼の底に沈み込むように眠りについたのである。
■□■
「はい、これあげる」
若干身体の痺れは残っているが、翌日にはなんとか起き上がれるようになった私のお見舞いに来たマーシアさんがあるものを差し出してきた。
それは、昨日の大会の優勝賞品である、薬図鑑だ。
「これが欲しかったんでしょ?」
え、くれるの…?
ていうかマーシアさん、決勝まで進んで優勝したのか。確かにこの人は戦闘能力高いなぁとは前々から思っていたけど、優勝するとは……
「安心していいよ、デイジーの仇は私が取ってやったよぉ」
いつものほわほわした笑顔でなんて無いことのようにマーシアさんは言うが……そんなまさか、私のために優勝賞品を取ってきてくれたのか…
「ありがとう…ございます」
私は力なく本を両手で抱えると彼女にお礼を言った。マーシアさんに感化されて私の心までほわほわしてきた。
受け取った本はずっしり重い。この薬図鑑には幾多もの薬の作り方や、薬効のある材料の説明などがみっちり書かれている。薬学オタクにはたまらない一品だが、めちゃくちゃ高い。その上発行部数が少ないため中々入手できない品なのだ。そんな貴重な書物を私にくれるなんて…
なんだかまぶたが熱くなってきたのでこらえていると、ワシャワシャと頭を撫でられた感触がした。視線を上げると、マーシアさんが私の頭を撫でているではないか。
「なんかいつも気ぃ張ってるけどさ、たまには肩の力抜いていいんだよ」
私はデイジーの味方だからねぇと笑うマーシアさん。
変人だと思っていた。ヘラヘラしていて、どことなく苦手意識はあったけど、実はいい人なのかもしれない。
■□■
その翌日には退院許可が出たので5年の教室に向かった。そのまま普通に教室に入ると、クラスメイトが一斉にこちらを見てきた。視線の数にびっくりした私はギクリとして後退りしてしまった。
「あ、あの、おはよう、もう身体大丈夫なの?」
「ご心配おかけしました、もう大丈夫です」
恐る恐る声を掛けてきた女子生徒がいたので、私はペコリと頭を下げる。
「マックさんが休んでいた間の授業のノート…これよかったら」
「…ありがとうございます」
なんだか気を遣われているみたいだ。私はお礼を言って有り難くノートの写しを頂いた。
私はお世辞にも人当たりがいいタイプではない。愛想も良くないのに気を遣ってもらってなんか申し訳ないな。自分が使用している席に荷物をおいて腰掛けると、隣の席の男子生徒も声を掛けてきた。
「なぁなぁマック、あのパンチ、カッコよかったぜ!」
彼はぐっと拳を握って言った。第一声がそれってどういうことなのだろうか。
「あの瞬間のパンチは見ていてスッキリしちゃった!」
「君って動きが素早いよな」
「年下の女の子に拳で負けるってか弱すぎるよな……あの貴族の顔思い出すと笑えるよ」
他の人も口々に素直な感想を漏らしていた。思い出し笑いをしている人までいる。
貴族の悪口言っても大丈夫なの? 誰かに聞かれたらまずくないか? まぁ…ここ一般塔だから大丈夫だろうけどさ。
「…私は獣人の身体能力を見慣れてるから、そのお陰かと」
それがあったから、ためらわずに相手の懐に入っていけたのだ。獣人と比較すると人間の動きは鈍い。勝てると思ったから拳を叩き込んだのだ。
……もしも相手がテオだったら、あっという間に転がされてマウントを取られていたに違いない。
「やっぱり人間の動きって遅いの?」
「個人差はあるけど、そうですね…」
人間にも運動神経が飛び抜けている人はいるけど、やっぱり獣人には遠く及ばない。その差は中々埋められないよね。
「それにしても災難だったね」
「まぁあの貴族はマーシアがこてんぱんにやっつけてたし、元気出せよ」
クラスメイトたちは皆私を気にかけてくれていたようだ。あの大会で貴族子息が薬物を塗布した針を握手の時に仕込んで私の手に突き刺したその後、薬のせいで私が呪文を唱えられなくなったことは皆知っているようだ。
マーシアさんが文字通りボコボコにした後、殿下の命令で捕縛されたとか。大会の規約違反を数件、資格のない薬物を所持・使用、私に対する殺人未遂容疑など色々罪状がでてきて、以前にも前科があった子息をとうとう庇えなくなった学校側が退校処分に処したらしい。
そこまでするのか…と一瞬思ったが、いや退学処分にされて当然かと思い直した。
私としては自分の手でこてんぱんにやっつけてやりたかったが…もう二度と会わないほうがお互いのためなのであろう。
あぁ、でもなんかやっぱりムカつくな。
今回もいろいろあった一学期。
入院時期もあってブランクもあった。だが日頃からの積み重ねのお陰で期末テストでは学年トップを飾らせてもらった。勉強は前々から真面目にコツコツしてきたので、数日の授業の遅れなど恐るるに足らん。全く余裕である。
そんな私をやっぱりクラスメイトが畏怖の目で見ていたが、私の姿を見て「自分も頑張ろう」って気分になったようで、クラス全体の平均点は良かったようである。
その後しばらくして、1ヶ月の長期休暇に入ったので、私は前々からの宣言通り帰省しなかった。寮に残って王立図書館へ往復する生活を送っていた。
実技の練習は学校の実技塔の使用許可を取れば出来たし、薬の練習も問屋に出向いて材料を揃えればいつだって出来た。
休暇中は寮母さんもおらず、完全に自給自足状態なのだが、全然平気だ。自分で炊事洗濯掃除をする生活にもすぐ慣れた。
悠々自適な学校貸し切り生活を送っていた私に手紙が届いた。家族からのそれと一緒に届いた一通の手紙の差出人に私は目を丸くした。
封筒の中には、デイジーの花で作った栞が入っていた。むしろ栞しか入っていない。手紙が存在しなかった。
それ以前に手紙にしても栞にしてもあいつらしくない。今まで手紙なんか貰ったことがないので私は宛名を3度見した。
貰いっぱなしではあれなので、家族の手紙のついでにあいつにも手紙を書いてあげることにした。
試験では毎回学年首席を維持していること、2学期になったら飛び級試験を受けて最終学年に上がるのを目標としており、今は卒業試験と上級魔術師試験の勉強を並行して行っていると自分の近況を書き連ねた。
毎日勉強で忙しいから帰れないけど、私は元気にしています。卒業後には必ず村へ帰ります、で締めておいた。
栞を持ち上げてまじまじと見つめる。不器用なあいつが作ったにしてはきれいな押し花だ。
窓から入ってくる外の光にかざして見る。光に透ける台紙の中央に咲くデイジーの花。
「…きれい」
私の口からは自然とふふふ、と笑い声が漏れていた。
どんな顔してこの栞作ったんだろうあいつ。想像するとおかしくなっちゃった。
「……」
大会会場にいた時よりも身体の痺れはひどくなり、体の感覚が鈍くなっている。
今では歩くことはおろか、指を自分の意志で動かすことすら出来ない状態だ。喉が動かないどころではない。体の感覚がないのだ。当然ながら水を飲むことも出来ない。
そのため、身体に管をつなげて脱水にならないように処置を施された。ぼんやりする意識の中、医務室の先生に目で問いかける。
「マックさんに使われた薬は、使用資格が必要な危険薬物なの。本来であれば外科手術などの医療行為をする時に使うものなんだけど……貴族のお坊ちゃんはどこでこんなものを入手したのかしらね」
分量を間違えれば呼吸困難に陥り、命を落とす恐れもある、と言われて微妙な心境に陥った。
貴族様にとっては、それで私が死んでも構わないってことか。死んだら金を積んでなかったことにするつもりだったのかな。……バレないとでも思ったんだろうか。
「いくらお貴族様だとしても、こんなこと許せません!」
「もちろんよ。殿下がすぐさま捕縛したそうだから、きっと罪に問われることでしょう」
先程から私の手を握ってピィピィ泣いていたカンナは自分のことのように憤っていた。
カンナは私の手をあたためるように擦り続けてくれているが、本当に感覚がないんだ。先生が保温魔法を私の周りに巡らせてくれているが、それすら感じない。おそらく薬の影響で体温が下がっているのだろうな…
このまま私に付き添っていると駄々をこねるカンナを先生が追い出し、私は病室で一人静かな夜を過ごした。薬の影響で私の意識は混濁していたので一人でも全く気にならなかった。深い深い沼の底に沈み込むように眠りについたのである。
■□■
「はい、これあげる」
若干身体の痺れは残っているが、翌日にはなんとか起き上がれるようになった私のお見舞いに来たマーシアさんがあるものを差し出してきた。
それは、昨日の大会の優勝賞品である、薬図鑑だ。
「これが欲しかったんでしょ?」
え、くれるの…?
ていうかマーシアさん、決勝まで進んで優勝したのか。確かにこの人は戦闘能力高いなぁとは前々から思っていたけど、優勝するとは……
「安心していいよ、デイジーの仇は私が取ってやったよぉ」
いつものほわほわした笑顔でなんて無いことのようにマーシアさんは言うが……そんなまさか、私のために優勝賞品を取ってきてくれたのか…
「ありがとう…ございます」
私は力なく本を両手で抱えると彼女にお礼を言った。マーシアさんに感化されて私の心までほわほわしてきた。
受け取った本はずっしり重い。この薬図鑑には幾多もの薬の作り方や、薬効のある材料の説明などがみっちり書かれている。薬学オタクにはたまらない一品だが、めちゃくちゃ高い。その上発行部数が少ないため中々入手できない品なのだ。そんな貴重な書物を私にくれるなんて…
なんだかまぶたが熱くなってきたのでこらえていると、ワシャワシャと頭を撫でられた感触がした。視線を上げると、マーシアさんが私の頭を撫でているではないか。
「なんかいつも気ぃ張ってるけどさ、たまには肩の力抜いていいんだよ」
私はデイジーの味方だからねぇと笑うマーシアさん。
変人だと思っていた。ヘラヘラしていて、どことなく苦手意識はあったけど、実はいい人なのかもしれない。
■□■
その翌日には退院許可が出たので5年の教室に向かった。そのまま普通に教室に入ると、クラスメイトが一斉にこちらを見てきた。視線の数にびっくりした私はギクリとして後退りしてしまった。
「あ、あの、おはよう、もう身体大丈夫なの?」
「ご心配おかけしました、もう大丈夫です」
恐る恐る声を掛けてきた女子生徒がいたので、私はペコリと頭を下げる。
「マックさんが休んでいた間の授業のノート…これよかったら」
「…ありがとうございます」
なんだか気を遣われているみたいだ。私はお礼を言って有り難くノートの写しを頂いた。
私はお世辞にも人当たりがいいタイプではない。愛想も良くないのに気を遣ってもらってなんか申し訳ないな。自分が使用している席に荷物をおいて腰掛けると、隣の席の男子生徒も声を掛けてきた。
「なぁなぁマック、あのパンチ、カッコよかったぜ!」
彼はぐっと拳を握って言った。第一声がそれってどういうことなのだろうか。
「あの瞬間のパンチは見ていてスッキリしちゃった!」
「君って動きが素早いよな」
「年下の女の子に拳で負けるってか弱すぎるよな……あの貴族の顔思い出すと笑えるよ」
他の人も口々に素直な感想を漏らしていた。思い出し笑いをしている人までいる。
貴族の悪口言っても大丈夫なの? 誰かに聞かれたらまずくないか? まぁ…ここ一般塔だから大丈夫だろうけどさ。
「…私は獣人の身体能力を見慣れてるから、そのお陰かと」
それがあったから、ためらわずに相手の懐に入っていけたのだ。獣人と比較すると人間の動きは鈍い。勝てると思ったから拳を叩き込んだのだ。
……もしも相手がテオだったら、あっという間に転がされてマウントを取られていたに違いない。
「やっぱり人間の動きって遅いの?」
「個人差はあるけど、そうですね…」
人間にも運動神経が飛び抜けている人はいるけど、やっぱり獣人には遠く及ばない。その差は中々埋められないよね。
「それにしても災難だったね」
「まぁあの貴族はマーシアがこてんぱんにやっつけてたし、元気出せよ」
クラスメイトたちは皆私を気にかけてくれていたようだ。あの大会で貴族子息が薬物を塗布した針を握手の時に仕込んで私の手に突き刺したその後、薬のせいで私が呪文を唱えられなくなったことは皆知っているようだ。
マーシアさんが文字通りボコボコにした後、殿下の命令で捕縛されたとか。大会の規約違反を数件、資格のない薬物を所持・使用、私に対する殺人未遂容疑など色々罪状がでてきて、以前にも前科があった子息をとうとう庇えなくなった学校側が退校処分に処したらしい。
そこまでするのか…と一瞬思ったが、いや退学処分にされて当然かと思い直した。
私としては自分の手でこてんぱんにやっつけてやりたかったが…もう二度と会わないほうがお互いのためなのであろう。
あぁ、でもなんかやっぱりムカつくな。
今回もいろいろあった一学期。
入院時期もあってブランクもあった。だが日頃からの積み重ねのお陰で期末テストでは学年トップを飾らせてもらった。勉強は前々から真面目にコツコツしてきたので、数日の授業の遅れなど恐るるに足らん。全く余裕である。
そんな私をやっぱりクラスメイトが畏怖の目で見ていたが、私の姿を見て「自分も頑張ろう」って気分になったようで、クラス全体の平均点は良かったようである。
その後しばらくして、1ヶ月の長期休暇に入ったので、私は前々からの宣言通り帰省しなかった。寮に残って王立図書館へ往復する生活を送っていた。
実技の練習は学校の実技塔の使用許可を取れば出来たし、薬の練習も問屋に出向いて材料を揃えればいつだって出来た。
休暇中は寮母さんもおらず、完全に自給自足状態なのだが、全然平気だ。自分で炊事洗濯掃除をする生活にもすぐ慣れた。
悠々自適な学校貸し切り生活を送っていた私に手紙が届いた。家族からのそれと一緒に届いた一通の手紙の差出人に私は目を丸くした。
封筒の中には、デイジーの花で作った栞が入っていた。むしろ栞しか入っていない。手紙が存在しなかった。
それ以前に手紙にしても栞にしてもあいつらしくない。今まで手紙なんか貰ったことがないので私は宛名を3度見した。
貰いっぱなしではあれなので、家族の手紙のついでにあいつにも手紙を書いてあげることにした。
試験では毎回学年首席を維持していること、2学期になったら飛び級試験を受けて最終学年に上がるのを目標としており、今は卒業試験と上級魔術師試験の勉強を並行して行っていると自分の近況を書き連ねた。
毎日勉強で忙しいから帰れないけど、私は元気にしています。卒業後には必ず村へ帰ります、で締めておいた。
栞を持ち上げてまじまじと見つめる。不器用なあいつが作ったにしてはきれいな押し花だ。
窓から入ってくる外の光にかざして見る。光に透ける台紙の中央に咲くデイジーの花。
「…きれい」
私の口からは自然とふふふ、と笑い声が漏れていた。
どんな顔してこの栞作ったんだろうあいつ。想像するとおかしくなっちゃった。
40
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~
小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。
そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。
幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。
そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――?
「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」
鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。
精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる