142 / 209
Day‘s Eye デイジーの花が開くとき
圧力に門前払い
しおりを挟む
魔法庁から私宛に伝書鳩が届いた。
なんだろうと思ったら、先日申請した個人事業継続の許可申請【却下】のお知らせであった。
理由は書類不備。私はそれに顔をしかめた。
…間違えるようなことあったかな? 窓口の役人も2人くらいが確認して申請を受け付けていたし……。
首を傾げながら王都の魔法庁へ向かって再申請を行おうとしたら、なぜか職員から「受付できません」と拒否された。それはなぜかと聞こうとすれば、窓口を目の前で閉められてしまった。閉庁時間でもないし、お昼休みでもないのに。
魔法庁内の空気は異様だった。こっちを伺うような視線を送るくせに誰一人として目を合わせようとしないのだ。
…意味がわからないが受付できないと言うなら粘ったって無駄だ。まだ有効期限まで日にちがあるので、過ぎた後また考えようと魔法庁を後にする。
このまま帰るのもなんなので、以前よく利用していた王都の問屋に久々に顔を出すと、店主から面と向かって「あんたにはなにも売れない」と言われる。
意味がわからずぽかんとしてると、店主は気まずそうな顔をして私から視線を反らしていた。
「悪く思わないでくれよ」
別にこの問屋で買掛金未払いとか無茶難題を言って困らせたことは無いはずなんだけど……急な門前払いに私は途方に暮れた。なぜなのか。何故、何も売ってもらえないのか。
困ったな。町や村の人から数件注文が入っているのに。一般販売のストックも足りなくなってるのに。薬は材料がなければ作れない。
ここがダメならよそに…と思ったけど、王都中のお店で門前払いを受けた。
これはいよいよおかしいぞ。微妙な気分で村近くの町の問屋にダメ元で行くと、そこでもやっぱり拒絶された。渋い顔をして店の前に立っていると、町の薬屋の店主に声を掛けられた。
「あんた一体何したんだい? この間役人みたいな男たちがここに入ってきて、あんたには売るなって圧力かけてたよ」
「…役人……?」
彼から言われた言葉に私は困惑する。
ここに来るまで、何件ものお店に門前払いを受けた。特に問題を起こしたわけでもないのに。はじめて入ったお店でも慌てた様子で追い出されたし……そういえば最近、大口の仕事がなくなったような……
これまでのことを考えていた私は1つの可能性を思いついた。
「あー…なるほど」
私が魔術師として働けないように圧力かけられているんだ。私は薬販売を生業としている。それには材料がなければ商売ができなくなる。…だからか。
──こんな事したのは、色々イヤミを飛ばしてきたあの役人? それとも私を気に入らないという貴族の仕業かな。
魔力至上主義な人たちは、魔力に恵まれた貴族血筋の私をうまく動かしたいのだろうが……私はこんな事で挫けるほど神経細くないぞ。大人のくせに子どもみたいな嫌がらせをよくも思いつくよなぁ…。
恐らく、圧力をかけたのは魔法庁の息がかかる範囲だけ。私に仕事の依頼をするなと命令したとしても、一般市民には関係ないことだろう。
困っている人は私に助けを求めてくる。それに私は魔術師として、仕事を放棄するわけにはいかないのだ。
そんなわけで、ちょっと材料採集のために還らずの森ついでにフォルクヴァルツに里帰りをしてくる、とみんなに告げた。
向こうならエスメラルダ魔法庁の息はかからない。頼めば薬草を融通してくれるであろうから。
テオが寂しがって渋っていたが、私からキスしてお願いすると、尻尾ブンブン振りながら渋々納得したのでちょろいものである。出かける前に念入りに項を噛まれてじんじんするが、あいつの独占欲は半端ないから仕方ない。
■□■
「ガウ」
「そっちにある?」
ジーンの野太い声に引き寄せられて私は還らずの森を散策していた。普段は還らずの森で同じ狼の群れと共に過ごしているメイとジーンにとってここは、庭のような場所。薬草の匂いを嗅がせたらすぐに場所を特定してくれる。私はそうして順調に薬草を採取していった。
メイとジーンにはお礼に鹿を捕まえて振る舞った。彼らはとても喜んでいた。量が量なので奪い合いもせずに、ゆっくりと味わっていた。
相変わらず還らずの森は薬草の宝庫である。人が踏み荒らさないからであろう。私はホクホクしながら薬草の整理をした。問屋で購入すれば高額になるであろう素材を見下ろして私はひとりでニヤニヤ笑っていた。
毎回還らずの森に入るのは大変なので、その辺の薬問屋を頼ってきたが、使えないなら使えないで方法はある。
その場合、エスメラルダにはお金が流れず、他国に流れてしまうからなるべく避けたかったが、ものを売れないと言われたのだから仕方がない。出かける前に父上宛で伝書鳩を飛ばしているので多分準備を進めてくれているはず。材料さえ手に入ればこっちのもんである。
還らずの森で単身行動して、たらふく魔獣を食べてきたというルルの背中に乗って空を飛んでいく。そのまま寄り道せずにフォルクヴァルツ城へと降り立つと、執事やメイドたちに出迎えられた。
「おかえりなさいませ、アステリア様」
「お嬢様、お疲れでしょう。まずは旅の埃を落としましょう」
あ、いかん。それ全身ツルツルコースじゃない。
「ち、父上に挨拶してきますね」
「あっお嬢様!」
メイドの言葉に嫌な予感を覚えた私は適当な理由をつけてその手から逃れると、そのまま父のもとに顔を出すことにした。
執務室の扉を叩くと鈍くて重い音がする。馬の毛を使ったこの扉には防音効果があるらしいが、ノックの音は室内に届くのだろうか。
「──誰だ」
「アステリアです、父上」
「入りなさい」
中から応答の声が返ってきた。前もって帰省の連絡をしていたので、デスクに座って執務をしていた父上はにっこりと笑って「おかえり、アステリア」と出迎えてくれた。
「只今戻りました。…申し訳ありません父上、急なお願いをしてしまって」
「それは構わないのだが……何かあったのか? エスメラルダでは卸値の高騰でも…?」
父上の問いに、私は沈黙した。
本当のことを言ったら、彼は怒ってエスメラルダに抗議しそうだよなぁって。若干それが面倒くさいと言うか。だけど黙っていて、それがバレたときも面倒くさいよなぁ……
私が何も言わないのを父上は訝しんでいる。…駄目だな今の時点で「そうです」と言っても不自然なだけだ。言おう。
「実は…」
私がエスメラルダの魔法庁で言われたこと、自営業継続申請却下されたこと、国中の薬問屋を利用できないこと、貴族や商家からの依頼が地味に減ったことで仕事がしにくくなったのだと説明すると、父上はすぐに察してくれた。
「私は平民身分ですから、どうしてもそういう扱いを受けやすいと言うか」
学生時代もそういうのあったし、こういう風になるとわかっていたから組織に入らなかったのだし…そういうのに若干慣れてしまって投げやりになっている。面倒なので事を荒げたくなかった。
だが、目の前の父は万年筆が折れそうなくらいギュムッと手を握りしめて怒りに震えていた。
「……アステリア…君が望むなら、薬草の融通はいくらでもはかるよ。…このような、屈辱的なことをよくぞ話してくれた…」
彼の声は怒りが滲んでいた。父から魔力が放出されて肌がビリビリする。
…私が怒られてるみたいでなんかヤダ。
「君が望むからあちらの方に籍を戻すのを私達は止めなかったが、向こうの国がそういう態度をとるなら…分かるね?」
「あー…」
私は気の抜けた声を漏らすしか出来ない。
「心配することはない。ただシュバルツ王国側の魔術師として籍を移すだけ。そうすれば私達の庇護を与えることが出来る。君は何の憂いもなく魔術師として活動が出来るんだ。君の恋人やあちらの家族と引き離すことは一切ない」
ほらね、こうなるんだもん。こうなると思ったから言うの渋ったんだよ。
「フォルクヴァルツの娘を道具のように利用して窮地に陥れようとするとは…」
「いや、窮地とまでは」
訂正しようと思ったが、聞いちゃいない。
父上はフォルクヴァルツ辺境伯として、娘が蔑ろにされているのを怒っているのだろう。貴族として引けない部分があるんだろうね。
私は別に放逐されて平民に戻ったわけじゃないが、エスメラルダの彼らにとっては放逐された娘も同然なのだろう。だからこんな真似をしはじめた。
本当に面倒くさい。
私に普通に魔術師として仕事をさせてほしい。ただそれだけなのに。
「この事をエスメラルダの王太子殿下には伝えたのか?」
「いえ、まだ」
ひとまず先に目の前の仕事を片付けてからでいいかなと思って、通報せずに放置していた。彼も忙しい身分なのでいちいち頼っていられないなと思って。
しかし目の前の父にはそんな事関係ないらしい。ニッコリと笑うその顔は別の意味で楽しそうであった。
「アステリアの貴族嫌い、組織嫌いは彼の監督不届きのせいか。直轄組織の掌握も出来ないままアステリアに縁談やら勧誘話を持ちかけてきたのか」
「あの、父上…エスメラルダの王太子殿下が悪いわけじゃ」
そこそこ恩がある相手なので、あまり騒ぎ立てないで欲しいと思って私は止めたのだが、父上の考えは違った。
「同じことだよ、部下の失礼は上司の責任。それが上につくものの責任というものだ。それが王族、そして貴族としての責務なんだよ」
そう言われたら私も何も言えなかった。
嫌がらせを受けていると本当の事を言ってよかったのか、言わなきゃよかったのか。私は頭を抱えたくなったのである。
なんだろうと思ったら、先日申請した個人事業継続の許可申請【却下】のお知らせであった。
理由は書類不備。私はそれに顔をしかめた。
…間違えるようなことあったかな? 窓口の役人も2人くらいが確認して申請を受け付けていたし……。
首を傾げながら王都の魔法庁へ向かって再申請を行おうとしたら、なぜか職員から「受付できません」と拒否された。それはなぜかと聞こうとすれば、窓口を目の前で閉められてしまった。閉庁時間でもないし、お昼休みでもないのに。
魔法庁内の空気は異様だった。こっちを伺うような視線を送るくせに誰一人として目を合わせようとしないのだ。
…意味がわからないが受付できないと言うなら粘ったって無駄だ。まだ有効期限まで日にちがあるので、過ぎた後また考えようと魔法庁を後にする。
このまま帰るのもなんなので、以前よく利用していた王都の問屋に久々に顔を出すと、店主から面と向かって「あんたにはなにも売れない」と言われる。
意味がわからずぽかんとしてると、店主は気まずそうな顔をして私から視線を反らしていた。
「悪く思わないでくれよ」
別にこの問屋で買掛金未払いとか無茶難題を言って困らせたことは無いはずなんだけど……急な門前払いに私は途方に暮れた。なぜなのか。何故、何も売ってもらえないのか。
困ったな。町や村の人から数件注文が入っているのに。一般販売のストックも足りなくなってるのに。薬は材料がなければ作れない。
ここがダメならよそに…と思ったけど、王都中のお店で門前払いを受けた。
これはいよいよおかしいぞ。微妙な気分で村近くの町の問屋にダメ元で行くと、そこでもやっぱり拒絶された。渋い顔をして店の前に立っていると、町の薬屋の店主に声を掛けられた。
「あんた一体何したんだい? この間役人みたいな男たちがここに入ってきて、あんたには売るなって圧力かけてたよ」
「…役人……?」
彼から言われた言葉に私は困惑する。
ここに来るまで、何件ものお店に門前払いを受けた。特に問題を起こしたわけでもないのに。はじめて入ったお店でも慌てた様子で追い出されたし……そういえば最近、大口の仕事がなくなったような……
これまでのことを考えていた私は1つの可能性を思いついた。
「あー…なるほど」
私が魔術師として働けないように圧力かけられているんだ。私は薬販売を生業としている。それには材料がなければ商売ができなくなる。…だからか。
──こんな事したのは、色々イヤミを飛ばしてきたあの役人? それとも私を気に入らないという貴族の仕業かな。
魔力至上主義な人たちは、魔力に恵まれた貴族血筋の私をうまく動かしたいのだろうが……私はこんな事で挫けるほど神経細くないぞ。大人のくせに子どもみたいな嫌がらせをよくも思いつくよなぁ…。
恐らく、圧力をかけたのは魔法庁の息がかかる範囲だけ。私に仕事の依頼をするなと命令したとしても、一般市民には関係ないことだろう。
困っている人は私に助けを求めてくる。それに私は魔術師として、仕事を放棄するわけにはいかないのだ。
そんなわけで、ちょっと材料採集のために還らずの森ついでにフォルクヴァルツに里帰りをしてくる、とみんなに告げた。
向こうならエスメラルダ魔法庁の息はかからない。頼めば薬草を融通してくれるであろうから。
テオが寂しがって渋っていたが、私からキスしてお願いすると、尻尾ブンブン振りながら渋々納得したのでちょろいものである。出かける前に念入りに項を噛まれてじんじんするが、あいつの独占欲は半端ないから仕方ない。
■□■
「ガウ」
「そっちにある?」
ジーンの野太い声に引き寄せられて私は還らずの森を散策していた。普段は還らずの森で同じ狼の群れと共に過ごしているメイとジーンにとってここは、庭のような場所。薬草の匂いを嗅がせたらすぐに場所を特定してくれる。私はそうして順調に薬草を採取していった。
メイとジーンにはお礼に鹿を捕まえて振る舞った。彼らはとても喜んでいた。量が量なので奪い合いもせずに、ゆっくりと味わっていた。
相変わらず還らずの森は薬草の宝庫である。人が踏み荒らさないからであろう。私はホクホクしながら薬草の整理をした。問屋で購入すれば高額になるであろう素材を見下ろして私はひとりでニヤニヤ笑っていた。
毎回還らずの森に入るのは大変なので、その辺の薬問屋を頼ってきたが、使えないなら使えないで方法はある。
その場合、エスメラルダにはお金が流れず、他国に流れてしまうからなるべく避けたかったが、ものを売れないと言われたのだから仕方がない。出かける前に父上宛で伝書鳩を飛ばしているので多分準備を進めてくれているはず。材料さえ手に入ればこっちのもんである。
還らずの森で単身行動して、たらふく魔獣を食べてきたというルルの背中に乗って空を飛んでいく。そのまま寄り道せずにフォルクヴァルツ城へと降り立つと、執事やメイドたちに出迎えられた。
「おかえりなさいませ、アステリア様」
「お嬢様、お疲れでしょう。まずは旅の埃を落としましょう」
あ、いかん。それ全身ツルツルコースじゃない。
「ち、父上に挨拶してきますね」
「あっお嬢様!」
メイドの言葉に嫌な予感を覚えた私は適当な理由をつけてその手から逃れると、そのまま父のもとに顔を出すことにした。
執務室の扉を叩くと鈍くて重い音がする。馬の毛を使ったこの扉には防音効果があるらしいが、ノックの音は室内に届くのだろうか。
「──誰だ」
「アステリアです、父上」
「入りなさい」
中から応答の声が返ってきた。前もって帰省の連絡をしていたので、デスクに座って執務をしていた父上はにっこりと笑って「おかえり、アステリア」と出迎えてくれた。
「只今戻りました。…申し訳ありません父上、急なお願いをしてしまって」
「それは構わないのだが……何かあったのか? エスメラルダでは卸値の高騰でも…?」
父上の問いに、私は沈黙した。
本当のことを言ったら、彼は怒ってエスメラルダに抗議しそうだよなぁって。若干それが面倒くさいと言うか。だけど黙っていて、それがバレたときも面倒くさいよなぁ……
私が何も言わないのを父上は訝しんでいる。…駄目だな今の時点で「そうです」と言っても不自然なだけだ。言おう。
「実は…」
私がエスメラルダの魔法庁で言われたこと、自営業継続申請却下されたこと、国中の薬問屋を利用できないこと、貴族や商家からの依頼が地味に減ったことで仕事がしにくくなったのだと説明すると、父上はすぐに察してくれた。
「私は平民身分ですから、どうしてもそういう扱いを受けやすいと言うか」
学生時代もそういうのあったし、こういう風になるとわかっていたから組織に入らなかったのだし…そういうのに若干慣れてしまって投げやりになっている。面倒なので事を荒げたくなかった。
だが、目の前の父は万年筆が折れそうなくらいギュムッと手を握りしめて怒りに震えていた。
「……アステリア…君が望むなら、薬草の融通はいくらでもはかるよ。…このような、屈辱的なことをよくぞ話してくれた…」
彼の声は怒りが滲んでいた。父から魔力が放出されて肌がビリビリする。
…私が怒られてるみたいでなんかヤダ。
「君が望むからあちらの方に籍を戻すのを私達は止めなかったが、向こうの国がそういう態度をとるなら…分かるね?」
「あー…」
私は気の抜けた声を漏らすしか出来ない。
「心配することはない。ただシュバルツ王国側の魔術師として籍を移すだけ。そうすれば私達の庇護を与えることが出来る。君は何の憂いもなく魔術師として活動が出来るんだ。君の恋人やあちらの家族と引き離すことは一切ない」
ほらね、こうなるんだもん。こうなると思ったから言うの渋ったんだよ。
「フォルクヴァルツの娘を道具のように利用して窮地に陥れようとするとは…」
「いや、窮地とまでは」
訂正しようと思ったが、聞いちゃいない。
父上はフォルクヴァルツ辺境伯として、娘が蔑ろにされているのを怒っているのだろう。貴族として引けない部分があるんだろうね。
私は別に放逐されて平民に戻ったわけじゃないが、エスメラルダの彼らにとっては放逐された娘も同然なのだろう。だからこんな真似をしはじめた。
本当に面倒くさい。
私に普通に魔術師として仕事をさせてほしい。ただそれだけなのに。
「この事をエスメラルダの王太子殿下には伝えたのか?」
「いえ、まだ」
ひとまず先に目の前の仕事を片付けてからでいいかなと思って、通報せずに放置していた。彼も忙しい身分なのでいちいち頼っていられないなと思って。
しかし目の前の父にはそんな事関係ないらしい。ニッコリと笑うその顔は別の意味で楽しそうであった。
「アステリアの貴族嫌い、組織嫌いは彼の監督不届きのせいか。直轄組織の掌握も出来ないままアステリアに縁談やら勧誘話を持ちかけてきたのか」
「あの、父上…エスメラルダの王太子殿下が悪いわけじゃ」
そこそこ恩がある相手なので、あまり騒ぎ立てないで欲しいと思って私は止めたのだが、父上の考えは違った。
「同じことだよ、部下の失礼は上司の責任。それが上につくものの責任というものだ。それが王族、そして貴族としての責務なんだよ」
そう言われたら私も何も言えなかった。
嫌がらせを受けていると本当の事を言ってよかったのか、言わなきゃよかったのか。私は頭を抱えたくなったのである。
30
あなたにおすすめの小説
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる