太陽のデイジー 〜私、組織に縛られない魔術師を目指してるので。〜

スズキアカネ

文字の大きさ
165 / 209
Day‘s Eye 花嫁になったデイジー

攻守逆転(※R18)

しおりを挟む
 目の前の客は、『精力剤』を作って欲しいと言った。

「──そのようなご依頼であればお断りいたします。…前もって受け付けない仕事をお知らせしていたはずですが、確認されなかったのですか?」

 私は目の前の依頼人を冷たい目で睨んでやった。今までにも女性魔術師である私をからかいたいのかそういう性的な薬を注文する客はいたけど、私はそのどれもお断りしている。
 だって急を要しない薬じゃないか。それに体には良くないんだぞ。

「そんなつれないことを言わずに。私はまだまだ若く美しい女を抱きたいのだ」

 対面のソファを立ち上がったと思えば、その男はテーブルを回ってこちらに近づいてきた。あ、嫌な予感がすると思ったら、私に向かって手を伸ばしてきた。

「やめてください。私には夫がおります」

 パシリと手を叩き落とすと素早く距離をとった。魔術師をなんだと思ってるんだこいつは。早いところお引き取り願おう。

「…地味な服で隠しているが、いい体してるなぁ…毎日旦那と楽しんでるんだろう」
「あなたには関係ありません。ご依頼はお断りいたしますので、お帰りください」

 吹っとばしちゃ駄目だろうか。
 地味な服なのは仕事着だよ悪かったな。そして人の体を見透かして想像するな気持ち悪い。

「貞淑で真面目そうな女ほど、一度他の男の味を知れば人が変わるんだ」

 諦めの悪い男なのだろう。精力剤に頼らなくてはそういう行為が出来ないだろうに盛ってきた。こういう奴には絶対に売っちゃ駄目だ。危険過ぎる。

「私に手を出すおつもりなら、魔法で攻撃しますよ」

 次に手を出されそうになったら容赦なく魔法を行使しよう、そう思って警告を口にしたのだが、相手は私が女だと思って舐めてかかっていた。ニヤニヤ笑ってにじり寄ってくるではないか。

「嫌がる女を組み敷くのもまた一興、旦那しか男を知らないのはつまらないだろう?」

 気持ち悪さ倍増だ。薬というのは口実で、もしや最初からこういう目的で私に近づいてきたのでは……

「我に従う雷の元素たちよ…」

 私は小さく呪文を唱える。適当に雷流して気絶したら村の外に投げ捨てておこうと思ったのだ。

 しかし、それをする必要はなくなった。

「……誰の嫁を、組み敷くだって……?」

 依頼主の背後に無表情で佇むこの家の主が気配を消して立っていたからである。
 ──いつ、帰ってきたんだ。私まで心臓バクッとしてしまったぞ。

「なっ…ぐぇっ!?」

 テオは男の首根っこを掴むと、リビングからテラス席につながる扉を開いてヒューンと投げ飛ばした。まるで砲丸でも投げるかのように軽々と。
 獣人の腕力すごい。
 私がそれをポカーンと眺めていると、向き直ったテオが冷たい表情で見下ろしていた。思わずギクリとしてしまう。
 よく見てみれば冷酷そうに見えた彼のその目はめらめらと燃える薪の炎のように熱く燃えていた。

「テオ……?」
「……他の男に抱かれようとしたのか」
「えっ?」

 テオは私の胸元に手を持っていくと、ぐっと力を入れてブチブチッと破いた。ボタンが弾け飛び、カツンと床に落ちた音が響き渡る。……服を引き裂かれてしまった。私は驚きすぎて声も出せずに固まっていた。
 テオは私をソファに押し倒すと、シュミーズをずり下ろして私の胸にむしゃぶりついてきた。

「……ちょ、ご、誤解だってば!」

 私はテオの腕を突っぱねて拒絶したが、一度嫉妬に着火したテオは衝動を抑えられないみたいで、スカートの下に手を突っ込むと性急にドロワーズを脱がしてきた。
 私の意志を無視した無理やりな行為。
 なのにテオの手は優しい。嫉妬に狂ってるが、あくまで私の体を傷つけない。

「まって、話……ぁんっ」

 私の感じる部位を把握しているその指は焦らすことなく重点的に責め立ててきた。襲い来る快感に私は酔いかけるが、このままでは駄目だと歯を食いしばる。

「テオ、違う…私は襲われかけただけで」
「……俺の嫁だ、他の男には絶対に渡さない」

 今のテオには私の声が届かないようである。下穿きの前を寛げて、私の中に入ろうとしているテオは嫉妬と怒りに感化されていつも以上に興奮している様子である。
 ……仕方ない。人の話を聞かないテオが悪いんだもの。

「捕縛せよ」
「!?」

 私が捕縛術を唱えると、テオの体は急に力を失ったようにがくりと倒れ込んできた。私はその熱い体に押しつぶされたが、下からなんとか這い出て、テオをごろんと仰向けに転がした。
 急に魔法で動きを拘束されたテオは目を白黒させている。どうだ、今さっきの私の気持ちと似た気分だろう。話を聞かずに一方的にされるのってあまり気分が良くないだろう。

「デイジー…!」

 私はテオの上に乗っかると、身をかがめて顔を近づけた。灰銀色の瞳を覗き込むと、私の顔が映り込んでいた。

「私は誰にでも腰をふる女じゃないの。旦那様は私を見くびり過ぎじゃない?」

 熱り立ったテオの分身の上に濡れそぼった秘部を擦り付けると、テオはぐっと息を呑み込んでいた。

「馬鹿な旦那様はどうしたら信じてくれるのかな?」

 挿入はせずに、擦り合うだけの睦み合い。テオによってトロトロのぐずぐずに溶かされたそこはテオを欲しがって蠢いているが、ここであげたら駄目なのだ。

「で、デイジー…ッ」
「なぁに? キスしてほしいの?」

 快感に歪むテオは獣のような目をしていた。多分体が動かないのに私に好き勝手されて我慢できないんだろうな。

「でも駄目だよ? 私を信じないで無理やりしようとした旦那様が悪いんだから」
「わ、悪かったっ」
「口だけ謝罪しても駄目」

 普段はテオに好き勝手されている私だが、今日は攻守逆転で私がテオを翻弄させている。
 面白い。
 私はゆっくりとテオの高ぶりに手を伸ばすとそれをギュッと握った。テオが息を呑んだ姿を見てニヤリと笑う。はちきれんばかりの熱をしごくようして手を動かした。

「う…っくぅっ」
「テオ可愛いねぇ、女の子みたいに鳴いてもいいんだよ?」

 快感によるものなのか、テオの目元には涙が滲んでいた。その表情は普段とは違った色気が含まれており、私は思わず舌なめずりしてしまった。
 ただ擦るだけでなく、親指でなぞるように触れればビクリと震える。

「デイジ、手じゃ」
「大丈夫、手でもイケる、いい子だからイッちゃおうね」

 私はテオの半開きの口に噛み付くような口づけを送ると、テオの高ぶりを握る手を早く動かした。

「ぅんん…!」

 手の間から弾け飛んだ白濁がぴゅっとかかり、私のスカートに模様を付けた。
 はぁはぁと息をするテオはぐったりとしていた。私はテオの息が整うのを待つことなく、彼の中心部に顔を近づけると、萎えてしまったそれに口を付けた。

「あっ!?」

 テオが驚いて悲鳴のような声を上げた。
 嫉妬してるのが馬鹿らしいくらいに、私が抱いてやる。あれで疑われたのがもうムカつくから、いつものお返しをしてやる。


 今日はいつもの逆だった。普段は私が「もう無理」と言う側だが、今日はテオがそのセリフを言っていた。顎とか手首とかが痛くて私も「もう無理」ってつぶやきそうだったが、意地でも攻め続けた。

「デイッ…! うごき、動きたい…!」
「どうして? 私が動いてあげてるでしょ?」

 テオの上に乗っかって腰を動かすと。テオがたまらないとばかりに叫ぶ。いつもはテオが私を攻める側なので落ち着かないのだろう。しかし今日という今日は私が主導権を握らせてもらう。
 熱く張り詰めた熱杭が体の中に入っていると感じるときゅうと無意識に締め付けてしまう。

「ぅうう…!」

 熱い飛沫が胎内ではじけると、私は天井を仰いで熱いため息を漏らした。充足感に浸りながら下にいるテオを見下ろすと、テオは目を閉じて意識を失っていた。



 夕暮れが迫る日時、オレンジ色の光が部屋に差し込んで部屋を薄暗く照らしていた。
 ソファの上には気を失っているテオがあられもない姿でぐったりしている。その体を蒸しタオルで拭ってやり、窓を開けて換気をする。
 窓の外を眺め、私はふぅ…とため息を吐いた。
 ちょっとやりすぎた。途中自分に治癒魔法をかけて体を回復させたら更にテオを鳴かせることに没頭していたので加減を忘れていた。……テオの反応が可愛くてつい。

 しかし、こんな事があっては接客方法も変えなくてはだな。今までにもああいう客はいたけど、結婚しても尚絡まれるとは思わなかった。

「……デイジー…」
「気がついた?」

 ソファに転がったまま、掠れた声を漏らすテオの声に反応した私は水をコップに生成させてそれをテオに手渡す。
 テオは精根尽き果ててもう嫉妬とかどうでもいいみたいな風になっていた。よほど快楽地獄が苦しかったようだ。

「ねぇテオ」

 気怠そうに背を丸めているテオに私はとある提案をしてみた。

「私を疑うなら貞操帯つけるよ。カギはあんたが持てばいい」

 作るとなると時間がかかるけど、それでテオが安心するなら私も精神的に楽だし。

「…いや、わざわざ外すのが面倒だし、身体に悪そうだからいらない」

 賛成すると思ったテオの反応は芳しくなかった。

「いいの? あんなに嫉妬していたくせに」
「うん大丈夫」

 テオはまるで去勢された犬みたいにおとなしくなってしまった。

「だけど、男の依頼人の時は俺が家にいる時間か、外のテラス席とかで受け付けてほしい。密室にふたりきりはだめだ」

 テオはそう言って私の腰を抱き寄せると、膝の上に私を乗っけた。

「お前は自覚してないかもしれないけど、ものすごく魅力的な女なんだ。俺は心配でたまらないんだ」

 独占欲の強い私の旦那様は甘えるように私の首元に顔を擦り付けて甘えてきた。その仕草が可愛いかったので彼の頭を抱き寄せてギュッとしてあげた。

「不安になったらまたシてあげるから」
「…魔法使って拘束するのはやめてくれ」

 つまりそれ以外は良かったと。
 どうやらなんだかんだ言いながら満更ではなかったようである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

処理中です...