燃える月

諏訪彼方

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 しばらく進むと騎馬の味方に遭遇した。物見をしている一隊のようだった。数は7.8人ほどか。

「む?そこのおな……これは!刀を持ってる方の女子殿!」近づいていくと、隊を率いているらしき若い人物に話しかけられる。
「私が、何か?」
「もしや我らが御大将、陽従ひより様の妹君では?」兄は支城の城主。私の兄。間違いはない。
「私のことを知っているのですか?」
「知っているも何も!あなた様がた兄妹の幼少期から知っていますとも!!」
「幼少期……まさか新田か!?」
「左様ですよ月様!!よかったご無事で!!家中一同心配で!おいおぬし、先に戻り御大将に月様の無事を知らせるのだ!」兄の昔からの腹心、新田奏一郎が部下に指示を出す。その部下さんは、馬主を返し、走り去っていった。

「ということは、そちらにいる方は、総大将殿の奥方様ですね」
 幼馴染の方を視線を向け、新田が幼馴染に話しかける。
「いかにも、私は春と申します」
幼馴染は堂々と答える。

「ご無事で何よりでございます。さぁ、おふたりとも、ここからは我らが護衛しますゆえ、さぁさぁ私たちの馬の背に乗ってくだされ」
「かたじけない。恩に着るぞ新田」
 促されるまま、私たちは馬に乗った。幼馴染はあまり馬に乗る経験がない為、少々手間取っていた。
新田を先頭にしたこの一団は、兄が待つ支城に向け、駆け出した。
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