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3.前夜祭
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みんなで一斉に見せ合おうと、全員が自分のかけ布団を羽織っている。その状態で大きめの部屋で向き合っていた。
「よし、では見せ合うわよ――」
部長であるカナやんの合図で、同時に布団を脱いだ。
「わあ。みんな、なんだかんだちゃんと揃えたねー」
第一声はアキだ。彼女は軍人をイメージさせるミリタリーな服装に、細いケースを背負っている。
「これねえ、弾が出ない、撮影用のモデルガンなんだー」
ケースを床に下ろし、ジッパーを開けた。中から出てきた長いライフルは「L96A1」と言うらしい。好きなアニメのキャラがこれを使っているんだとか。
「アオはやっぱり剣士なんだねー」
僕の腰にかかっている剣。アキと違って剣の種類にこだわりはないので、そこそこ見栄えのいい安物なんだけど。最近は剣を扱う主人公のラノベばかり読んでいることはみんなの知るところだ。
意外な格好をしているのはカナやん。銃の二丁持ちだ。しかもタイトなミニスカート。普段は脚を見せることなんてほとんどなくて、長いスカートかズボンなのに。
「さ、最近ハマっている洋画に出てくるアクション俳優が、両手で打ってたから……。スカートはそのヒロインが……」
カナやんはもじもじと頬をかいた。
「ひろろんは全然違和感がないわね」
「畑仕事でもするみたい。いつもの方がおしゃれ」
「さ、サクラ、いくらなんでも畑仕事はないだろ。だって決まったアイテムみたいなのがねんだよ、テイマーは。それにいつもの服は姉貴が選んでくれてんだ」
ひろろんのお姉さんは、雑誌の読者モデルを務めたことがあるらしい。先月行われた大学のミスコンでは準優勝したとか。
「そういうサクラは魔女だろ。金のアクセサリーなんかつけて、随分と背伸びしてるんじゃねえのか?」
ひろろんのからかう口調に、サクラはギロリと彼を睨みつけた。
「自分で選ぶと畑のおっさんになるやつに言われたくない」
「まあまあ、二人とも」
僕は彼らの間に入ってなだめた。
天然パーマでお人形のような容姿。サクラには中身も同じような印象を抱く人が多いらしい。そんな彼女がこれほどの毒舌の持ち主だとは、話してみるまでは分かるまい。
「ちなみにサクラは何をイメージしてるんだ?」
視界に入った僕を一瞥したサクラは、口を尖らせた。
「……ウィザード。魔法陣とか好きだし。あーちゃんも似てる?」
恐らく、あーちゃんの身につけているクリーム色のポンチョがそれをイメージさせたのだと思う。しかし本人は首を横に振った。
「んーん。ボクは一応サモナーのつもりだよ。精霊とかを召喚したいなあって。そんでえ、ネコはなんで和服?」
ネコは深緑色の千鳥格子模様の着物を着ている。和服姿を見るのは浴衣以来だけど、相変わらず似合う。
「俺はこう見えて着物が好きだからな。こういうキャラが一人いてもいいだろう」
「んじゃあ、手に持ってる杖は?」
「俺は戦闘のイメージが全く掴めん。だから回復役に回ろうと思ってだな。プリーストということだ。着物に合うよう、木製の杖を探してみた」
なるほど、和服姿のプリーストか。意外な組み合わせだけど、発想はネコらしい。
「よし。これで全員の衣装説明が終わったわね。それじゃあ――」
「宴じゃあー!」
カナやんがまとめようとしたところで、アキがその役割をかっさらっていった。明日のハロウィンの前夜祭。僕たちは持ち寄ったお菓子やジュースを並べ、時折ゲームを混ぜながらこの夜を過ごした。
「よし、では見せ合うわよ――」
部長であるカナやんの合図で、同時に布団を脱いだ。
「わあ。みんな、なんだかんだちゃんと揃えたねー」
第一声はアキだ。彼女は軍人をイメージさせるミリタリーな服装に、細いケースを背負っている。
「これねえ、弾が出ない、撮影用のモデルガンなんだー」
ケースを床に下ろし、ジッパーを開けた。中から出てきた長いライフルは「L96A1」と言うらしい。好きなアニメのキャラがこれを使っているんだとか。
「アオはやっぱり剣士なんだねー」
僕の腰にかかっている剣。アキと違って剣の種類にこだわりはないので、そこそこ見栄えのいい安物なんだけど。最近は剣を扱う主人公のラノベばかり読んでいることはみんなの知るところだ。
意外な格好をしているのはカナやん。銃の二丁持ちだ。しかもタイトなミニスカート。普段は脚を見せることなんてほとんどなくて、長いスカートかズボンなのに。
「さ、最近ハマっている洋画に出てくるアクション俳優が、両手で打ってたから……。スカートはそのヒロインが……」
カナやんはもじもじと頬をかいた。
「ひろろんは全然違和感がないわね」
「畑仕事でもするみたい。いつもの方がおしゃれ」
「さ、サクラ、いくらなんでも畑仕事はないだろ。だって決まったアイテムみたいなのがねんだよ、テイマーは。それにいつもの服は姉貴が選んでくれてんだ」
ひろろんのお姉さんは、雑誌の読者モデルを務めたことがあるらしい。先月行われた大学のミスコンでは準優勝したとか。
「そういうサクラは魔女だろ。金のアクセサリーなんかつけて、随分と背伸びしてるんじゃねえのか?」
ひろろんのからかう口調に、サクラはギロリと彼を睨みつけた。
「自分で選ぶと畑のおっさんになるやつに言われたくない」
「まあまあ、二人とも」
僕は彼らの間に入ってなだめた。
天然パーマでお人形のような容姿。サクラには中身も同じような印象を抱く人が多いらしい。そんな彼女がこれほどの毒舌の持ち主だとは、話してみるまでは分かるまい。
「ちなみにサクラは何をイメージしてるんだ?」
視界に入った僕を一瞥したサクラは、口を尖らせた。
「……ウィザード。魔法陣とか好きだし。あーちゃんも似てる?」
恐らく、あーちゃんの身につけているクリーム色のポンチョがそれをイメージさせたのだと思う。しかし本人は首を横に振った。
「んーん。ボクは一応サモナーのつもりだよ。精霊とかを召喚したいなあって。そんでえ、ネコはなんで和服?」
ネコは深緑色の千鳥格子模様の着物を着ている。和服姿を見るのは浴衣以来だけど、相変わらず似合う。
「俺はこう見えて着物が好きだからな。こういうキャラが一人いてもいいだろう」
「んじゃあ、手に持ってる杖は?」
「俺は戦闘のイメージが全く掴めん。だから回復役に回ろうと思ってだな。プリーストということだ。着物に合うよう、木製の杖を探してみた」
なるほど、和服姿のプリーストか。意外な組み合わせだけど、発想はネコらしい。
「よし。これで全員の衣装説明が終わったわね。それじゃあ――」
「宴じゃあー!」
カナやんがまとめようとしたところで、アキがその役割をかっさらっていった。明日のハロウィンの前夜祭。僕たちは持ち寄ったお菓子やジュースを並べ、時折ゲームを混ぜながらこの夜を過ごした。
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