Eclipsera Now エクリプセラ・ナウ

池ヶ谷 夏艸

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39 エピローグ

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火焔フラモ
ノルの足元に転がる堕落パロミデスの首を拾うと、勇者パロミデスはそれを灰に変えた。

皆に回復術をて周り、とうとう安堵の一時ひとときが訪れた。

「はぁあああ~、マジでキツかった!」ショウがドサッと地面に大の字になる。
「生きたね~」笑ったノルの首には由依がしがみついていた。
「いや、それって、ししゃも・エンデバーどうなってるんですか?」カルミラが聞く。
機動要塞モビガノフォーティカでしたよね?確か、あなた」
絡繰人型マシーノホーマね、全部の経験値を失ったら元の人間に戻ったみたい」
由依自身にもその理屈は説明出来なかった。そして由依は人間としての記憶を全て取り戻していた。

〈元の人間…か〉

ノルの心にこびり付いた〈由依を探す〉と言う思いは達成されたが、最後の大魔術 夜の砂漠の死のライオングラ・ド・グラマーンを使用した影響で自身の最後の記憶、由依の事を忘れてしまっていた。ただ説明はできないがこの少女が大事な存在だと云う事だけは強く感じていた。
「ギギッ、ギーギも活躍したっ」ペタペタと足音を立ててギーギ・フーブが輪に入ってくる。
一瞬、血のついた刀を背負った機械精グレムリンの姿にギョッとしたが、ノルは優しく笑いかけた。
「大活躍だったよ、ありがと」
「君は誰です?」カルミラが少し警戒し武器に手を置いて聞く。
機械精グレムリン巨人ギガントスレイヤー、ギーギ・フーブだ」
「ギガントスレイヤーなんて聞いた事ないけど」ショウが半身を起こして言う。
「それはオレが決めた、オレはそこの魔女様の従者だ」
「えっ!私!?なんで?」ノルは驚いてギーギを見た。
「ギッ、色々オレのためにしてくれたし、機械精グレムリンの習わしを尊重してくれたしな」
〈はえ~、全く覚えが無いけど…〉
「そっか、ありがとうね、ギーギ」ノルはギーギに微笑んだ。
「ギギギギッ、ギィッ!」
フーブでは無くギーギと呼ばれた嬉しさにギーギ・フーブは足をペタペタさせて小躍りして喜んだ。この魔物が無害なのは間違い無さそうだ。

「それで…これからどうする?」胡座をかいて両手を後ろに着いたショウが皆に問い掛ける。
「オレは又、自衛隊基地に戻るよ、一緒に戦ってくれると嬉しいけど」
「それなら…」と言い掛けたノルを由依が制止した。
「私たちはママを探しに行く」
「ママ?」ノルが不思議そうに尋ねる。
「パパには色々教えないとね、全部の記憶を失くしちゃってるんだから」
「ギギギッ、じゃあオレは姫様の護衛する」ギーギはペタペタと足を鳴らす。
「姫様?」由依が問い掛けると
「魔女様の娘、俺にとって姫様」ギーギは嬉しそうに答えた。
「私はショウと行こう、民を助ける」堕落パロミデスの聖盾クロスフルを拾いながら勇者は言う。
「やったぜ、助かる」
「でもパロミデスは悪いほうに有名ですよ、色々と問題があるんじゃ無いですか、ねえ?」カルミラが心配を口にした。
「実際に顔を知られている訳では無いし、外見の特徴を変えればいいんじゃないかな」ノルが提案する。
「あと名前な、パロミデスの名前は報道されて有名だぜ」
「ふむ…」パロミデスは思案顔だ。
「それじゃあ、私のコートを差し上げます。このコート着て、その青白い鎧は止めて下さい」
カルミラが持っていた黒いコートを差し出す。
「良いのか?」パロミデスは当惑する。
「予備装備だから大丈夫。私も助けられた訳ですし、お礼です、ええ」
「ありがとう、大切にするよ」
パロミデスは鎧を脱ぎ、コートを羽織った。
「カッコいいな」
ショウの言う通り、それはパロミデスにく似合っていた。
「名前はどうするの?私が考えてあげよっか」由依が言う。
「いや、今後はプロヴァンス卿と名乗ろう」由依を制してパロミデスが答えた。
「ああ~」それを聞いたショウが思い出したように
「11巻の巻末注釈に何かそんな設定書きあったなぁ~、公爵様なんだっけ?」と言った。
「その通りだ」
「詳しいね」ノルが言う。
「ダーク・シーは隅から隅まで読み込んでるからな」
「それで…」ショウがカルミラに顔を向ける。
「カルミラはどうする、一緒に来るかい?」
「あっ、いや…」急な問いかけに少し慌てたようにカルミラが答える。
「ごめんなさい、私の帰りを待ってる眷…仲間が居るので」
「ああ、あんたはそうだろうな、しかし余り派手にやるなよ」ショウが釘を刺すように言う。
「どう云うこと?」ノルが不思議そうに聞くが
「まあ、『今回は』お仲間だったって事さ」とショウははぐらかした。
「結構最強パーティだったよね、私たち」ノルが言う。
「勇者が遅参するし、支援職のししゃもは消えちゃったけどね」由依が笑う。
「うっ、遅参か、申し訳ない…」パロミデスが頭を下げ、皆が笑う。

「じゃあ、一休みしたらこの最強パーティも一旦解散だな」ショウが伸びをしながら言う。
「何かあれば何時いつでも遠慮なく呼んでくれ」勇者が皆に語る。
「気を付けるんだよパロミデス」
自分達とは違う存在のパロミデスがノルには心配だった。
「プロヴァンス卿って呼ばないと、ノルル」カルミラが笑う。


皆が新たな目的の為に旅立つ。こうしてノルと由依はギーギ・フーブをお供に連れて、新たな旅へと出発したのだった。

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