40 / 49
引き裂かれた運命⑥
しおりを挟む
「そんな…そんなのって」
美咲が涙を流して呟くと
「しかも大龍神の奴、あいつの本当の姿だけは思い出せないようにしてるみたいなんだ」
恭介はそう言って小さく微笑んだ。
すると修治はハッとした顔をして
「でも…教授。もしかして、タツさんが誰だかもう分かってるんじゃ無いんですか?」
そう叫んだ。
美咲が涙を流しながら
「それって…」
と言い掛けると
「それ以上言うな!」
と、恭介が叫んだ。
「俺は何も思い出せなかったし、タツはあの日に死んだんだ。もう、それで良いじゃないか」
恭介の言葉に、美咲も修治も口を噤んだ。
「どうにもならないの?どうして?どうして私達人間を助けてくれたのに、引き離されなくちゃならないの?」
美咲が叫ぶと
「それが…掟だから…」
風太がそう呟いた。
「掟を破れば、例え大龍神様でも殺されてしまう。オイラ達神は、そうやってお前ら人間を…この世界を守ってるんだ」
風太の言葉に、美咲は泣きながら
「そんなの酷い!風太君は、風太君はそれで良いの!」
そう叫ぶと
「美咲!いい加減にしろ!」
と言われて、修治に頬を叩かれた。
「一番辛いのは、誰なのか分からないのかよ…」
美咲は叩かれた頬に手を当てると
「分からない!分かりたくないよ!私、明日、帰らない!大龍神に直訴するんだから!」
そう叫んだ美咲に
「藤野君!…もう、良いから。俺達の事はもう良いから……。頼むから…止めてくれ…」
恭介が俯いて目に手を当てて呟いた。
「教授…」
美咲が恭介の姿を見て呟くと
「あら?皆様、お揃いですか?」
場を壊す空の声がした。
慌てて振り向くと、空が座敷童子と一緒に笑顔で立っている。
「空さん!もう、動いて平気なんですか?」
美咲が慌てて言うと、空が小さく微笑む。
「もう、皆様。なんて顔してるんですか!ほら、今晩は最後の晩餐なんですよ」
そう言ってみんなの背中を叩く空に
「空さん!」
と美咲が声を掛けると
「最後なんです。笑ってお別れしましょう」
そう言うと、空はにっこりと微笑んだ。
そんな空に、風太が空の手を握り締めた。
「風太?どうしたの?」
しゃがんで風太の顔を見ると、空に風太が抱き付いた。
そんな姿を見て、恭介は修治と美咲を連れて屋敷へと帰って行った。
3人の姿が見えなくなると
「風太?もうお兄ちゃんなのに、甘えん坊さんね」
空が微笑むと
「空!オイラ…知ってたぞ。お前が母ちゃんだって、知ってたぞ」
そう呟いた。
「風太…ごめんなさい。ごめんなさい」
風太を抱き締めて呟く空に、座敷童子も空に抱き付いた。
「座敷童子も…ずっとありがとうね」
泣き笑いする空に、座敷童子は首を横に振る。
空は二人をギュッと抱き締めると、涙を拭って微笑み
「さぁ…早く戻らないと、みんなお腹空かせちゃうわよ」
と、空が二人の身体をゆっくりと離した。
風太も涙を拭うと
「今日はオイラも手伝う!」
そう言って笑顔を浮かべた。
「私も!」
座敷童子も手を挙げると
「真似すんなよ!」
と、風太が座敷童子を肩で押す。
すると座敷童子も風太を肩で押して
「風太こそ!」
と言って戯れている。
(このまま…ずっとこうしていられたら良かったのに…)
空は2人の背中を笑顔で見つめて、屋敷へと歩き出した。
美咲が涙を流して呟くと
「しかも大龍神の奴、あいつの本当の姿だけは思い出せないようにしてるみたいなんだ」
恭介はそう言って小さく微笑んだ。
すると修治はハッとした顔をして
「でも…教授。もしかして、タツさんが誰だかもう分かってるんじゃ無いんですか?」
そう叫んだ。
美咲が涙を流しながら
「それって…」
と言い掛けると
「それ以上言うな!」
と、恭介が叫んだ。
「俺は何も思い出せなかったし、タツはあの日に死んだんだ。もう、それで良いじゃないか」
恭介の言葉に、美咲も修治も口を噤んだ。
「どうにもならないの?どうして?どうして私達人間を助けてくれたのに、引き離されなくちゃならないの?」
美咲が叫ぶと
「それが…掟だから…」
風太がそう呟いた。
「掟を破れば、例え大龍神様でも殺されてしまう。オイラ達神は、そうやってお前ら人間を…この世界を守ってるんだ」
風太の言葉に、美咲は泣きながら
「そんなの酷い!風太君は、風太君はそれで良いの!」
そう叫ぶと
「美咲!いい加減にしろ!」
と言われて、修治に頬を叩かれた。
「一番辛いのは、誰なのか分からないのかよ…」
美咲は叩かれた頬に手を当てると
「分からない!分かりたくないよ!私、明日、帰らない!大龍神に直訴するんだから!」
そう叫んだ美咲に
「藤野君!…もう、良いから。俺達の事はもう良いから……。頼むから…止めてくれ…」
恭介が俯いて目に手を当てて呟いた。
「教授…」
美咲が恭介の姿を見て呟くと
「あら?皆様、お揃いですか?」
場を壊す空の声がした。
慌てて振り向くと、空が座敷童子と一緒に笑顔で立っている。
「空さん!もう、動いて平気なんですか?」
美咲が慌てて言うと、空が小さく微笑む。
「もう、皆様。なんて顔してるんですか!ほら、今晩は最後の晩餐なんですよ」
そう言ってみんなの背中を叩く空に
「空さん!」
と美咲が声を掛けると
「最後なんです。笑ってお別れしましょう」
そう言うと、空はにっこりと微笑んだ。
そんな空に、風太が空の手を握り締めた。
「風太?どうしたの?」
しゃがんで風太の顔を見ると、空に風太が抱き付いた。
そんな姿を見て、恭介は修治と美咲を連れて屋敷へと帰って行った。
3人の姿が見えなくなると
「風太?もうお兄ちゃんなのに、甘えん坊さんね」
空が微笑むと
「空!オイラ…知ってたぞ。お前が母ちゃんだって、知ってたぞ」
そう呟いた。
「風太…ごめんなさい。ごめんなさい」
風太を抱き締めて呟く空に、座敷童子も空に抱き付いた。
「座敷童子も…ずっとありがとうね」
泣き笑いする空に、座敷童子は首を横に振る。
空は二人をギュッと抱き締めると、涙を拭って微笑み
「さぁ…早く戻らないと、みんなお腹空かせちゃうわよ」
と、空が二人の身体をゆっくりと離した。
風太も涙を拭うと
「今日はオイラも手伝う!」
そう言って笑顔を浮かべた。
「私も!」
座敷童子も手を挙げると
「真似すんなよ!」
と、風太が座敷童子を肩で押す。
すると座敷童子も風太を肩で押して
「風太こそ!」
と言って戯れている。
(このまま…ずっとこうしていられたら良かったのに…)
空は2人の背中を笑顔で見つめて、屋敷へと歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる