1 / 46
第一章 運命の出会い
しおりを挟む
その声は、私の心の琴線を鷲づかみしたかのように強烈に飛び込んで来た―――。
出会いは小学4年生の頃。
両親の離婚問題で家がもめており、私は母方の親戚の家へと預けられた。
親戚の家には私より6歳年上の従姉妹がおり、当時高校生だった従姉妹のお姉さんに連れられて学校の文化祭に行った時だった。
広い体育館にはまばらな人達が立っていた。
「明日海ちゃんは危ないから、此処に居てね」
お姉ちゃんに言われて、父兄用の椅子に座らされる。
ステージでは、決して上手とは言い難い楽器の演奏とボーカル。
ドラムの叩き付けるような音やうるさいだけのギター音に思わず耳を塞いだ。
しばらくしてそのバンドの演奏が終わった頃、まばらだった体育館に続々と人が集まり始め、あっという間に体育館が人、人、人で埋め尽くされる。
目の前が人だかりになり、ステージが見えなくなる。
(何が起こるんだろう?)
集まった人達のわくわくした表情に、何が起こるのか期待してその様子を黙って見ていると、ドラムを叩く音が鳴り始め、ギターやベースの音が鳴り始める。
(え?又、あのうるさい音?)
思わず身体を強ばらせた時、スティック音がリズムを叩くとギターやベース音が鳴り始める。
ただ違うのは、さっきのバンドより遙かに演奏が上手だった。
塞ぎ掛けた手を外した瞬間、綺麗な男性の歌声が耳に流れ込んで来る。
その声は、まるで春の雪解け水のように清らかで美しく、暗闇の中を照らす月光のように暖かい。
両親の事で凍り付いた私の心が、ゆっくりと溶かされていくような感覚に陥った。
私は無意識に立ち上がり、まるで夢遊病者のようにふらふらと歌声に近付こうと歩き出す。
しかし、会場整備の人に呼び止められ「ハッ」っと我に返った。
優しそうな爽やかイケメンのお兄さんは私の頭を撫でて
「そんなに感動したの?」
そう呟いた。
言葉の意味が分からずに居ると、その人が差し出したハンカチで自分が泣いている事に初めて気が付いた。
【生徒会役員】という腕章をしたその人は、そっと私の手を取ると
「内緒だよ」
と言って、口元に人差し指で「し~」っと言いながら歩き出した。
「?」
不思議に思って付いて行くと、恐らく控え室と書かれていたであろう部屋のドアをノックした。
「はい」
中から女性の声が聞こえて、ショートカットでスラリと背の高い眼鏡を掛けている女性が現れた。
出会いは小学4年生の頃。
両親の離婚問題で家がもめており、私は母方の親戚の家へと預けられた。
親戚の家には私より6歳年上の従姉妹がおり、当時高校生だった従姉妹のお姉さんに連れられて学校の文化祭に行った時だった。
広い体育館にはまばらな人達が立っていた。
「明日海ちゃんは危ないから、此処に居てね」
お姉ちゃんに言われて、父兄用の椅子に座らされる。
ステージでは、決して上手とは言い難い楽器の演奏とボーカル。
ドラムの叩き付けるような音やうるさいだけのギター音に思わず耳を塞いだ。
しばらくしてそのバンドの演奏が終わった頃、まばらだった体育館に続々と人が集まり始め、あっという間に体育館が人、人、人で埋め尽くされる。
目の前が人だかりになり、ステージが見えなくなる。
(何が起こるんだろう?)
集まった人達のわくわくした表情に、何が起こるのか期待してその様子を黙って見ていると、ドラムを叩く音が鳴り始め、ギターやベースの音が鳴り始める。
(え?又、あのうるさい音?)
思わず身体を強ばらせた時、スティック音がリズムを叩くとギターやベース音が鳴り始める。
ただ違うのは、さっきのバンドより遙かに演奏が上手だった。
塞ぎ掛けた手を外した瞬間、綺麗な男性の歌声が耳に流れ込んで来る。
その声は、まるで春の雪解け水のように清らかで美しく、暗闇の中を照らす月光のように暖かい。
両親の事で凍り付いた私の心が、ゆっくりと溶かされていくような感覚に陥った。
私は無意識に立ち上がり、まるで夢遊病者のようにふらふらと歌声に近付こうと歩き出す。
しかし、会場整備の人に呼び止められ「ハッ」っと我に返った。
優しそうな爽やかイケメンのお兄さんは私の頭を撫でて
「そんなに感動したの?」
そう呟いた。
言葉の意味が分からずに居ると、その人が差し出したハンカチで自分が泣いている事に初めて気が付いた。
【生徒会役員】という腕章をしたその人は、そっと私の手を取ると
「内緒だよ」
と言って、口元に人差し指で「し~」っと言いながら歩き出した。
「?」
不思議に思って付いて行くと、恐らく控え室と書かれていたであろう部屋のドアをノックした。
「はい」
中から女性の声が聞こえて、ショートカットでスラリと背の高い眼鏡を掛けている女性が現れた。
0
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない
白神ブナ
恋愛
高校一年一学期から三年三学期まで続く長編です。気になるサブタイトルを見つけて途中からでもお楽しみいただけます。
女子校あるあると、先生あるある、受験あるあるを描く学園恋愛ドラマ。
佐藤サトシは30歳の独身高校教師。
一度は公立高校の教師だったが心が折れて転職し、私立白金女子学園にやって来た。
一年A組の受け持つことになったサトシ先生。
その中の一人、桜井美柑はガチでサトシ先生に恋してしまった。
サトシ先生は、桜井美柑という生徒の存在を意識してしまいつつ、あくまで職務に忠実であろうと必死に適度な距離を保とうとするが……
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
夜の帝王の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。
ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。
翻弄される結城あゆみ。
そんな凌には誰にも言えない秘密があった。
あゆみの運命は……
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる