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これが恋ってやつですか②
「真面目やし、男前やからママさんのファンが多いんやで」
って、いつだったか店長が言っていたのを思い出す。
実際、森野さんと仕事をするようになって、販売員はただ品物を出して売れば良いとは考えなくなった。
お客様が何を求めているのか?
今年はどんな物が人気があるのか?
女子では?男子では?
年齢によって、勧める物も変わって来る。
森野さんのポケットにはいつも小さなメモが入っていて、気になった事や気が付いた事などをメモしているのも知っていた。
だからなのか、交渉が一番難しいメーカーを任されているのだ。
「森野君って…本当にこの仕事が好きよね」
いつだったか、杉野チーフが森野さんに呟いた。
すると森野さんは
「好き…とは違います。ただ、此処は笑顔が溢れているから…その笑顔に答えたいんです」
売り場を駆け回る子供や、サンプルの玩具で遊ぶ子供たちを見て微笑んで答えた。
「ふふふ…、それが好きって事だと思うけど」
杉野チーフがそう言うと、森野さんはバツが悪そうに顔を歪めると
「俺はあなたが本当に苦手です」
そう呟いた。
「あら!私は森野君の事、大好きよ」
親し気に話す二 人を見て、心の奥がザワザワとざわめいた。
小さくて細くて、ふわふわした優しい雰囲気の杉野チーフ。
私の大好きな上司なのに…、なんでこんなに胸がざわ着くんだろう…。
思わず手を止めて二人を見ていると
「おい、柊…。お前、ぼんやりしてる暇があるんなら手を動かせ!」
と怒鳴られる。
私にはいつも怒った顔しか見せないのに、杉野チーフには色々な表情を見せる。
複雑な心境でテープ貼りをして品出しをしていた。
嫌いな筈なのに、森野さんの一挙手一投足が私の心をざわつかせる。
きっと、カケルさんに声が似ているから…?
幼い頃に出会っただけだから、顔はぼんやりとしか覚えていない。
可愛らしい少年のような顔だったように記憶している。
とはいえ、別に私はずっとカケルさんが好きだった訳ではない。
学生時代には彼氏と呼ぶ相手もいた。
でも、父親の浮気に悩まされる母親を見ていたので、何処か恋愛に対して冷めていた。
だから、相手と自分の熱量が違い過ぎて別れる…っていうのを繰り返していた。
私はきっと、恋愛が出来ない人間なんだって思って諦めて生きて来た。
だから、こんな感情に戸惑っていた。
両親の離婚、転居、祖父母の死去。
受験に就職と母親の再婚。
様々な事があっても乗り越えられたのは「カケル」さんの歌声があったから。
だからきっと、森野さんの声がカケルさんに似ているからだと自分に言い聞かせていた。
でも…気が付くと視線が、心が森野さんを探している。
ぶっきらぼうで愛想が悪くて、口も悪い。
良い所を見つけるよりも、悪い所の方が簡単に見つけられるような人なのに…。
どうしてこんなにも、私の心をかき乱すんだろう。
深い溜息を吐いていると
「こら!溜息は幸せが逃げるんだぞ~」
杉野チーフが私の顔を覗いて微笑む。
私とは対照的な可愛らしい女性。
「何かあった?」
閉店後の店舗で、残業して仕事をしていると杉野チーフが私に並んで品物を並べながら聞いてくる。
「いえ…何も…」
ぽつりと返事をした私に、杉野チーフは小さく笑い
「森野君の事?」
そう訊ねてきた。
慌てて私が首を横に振ると
「柊さんって、分かりやすいよね。」
と言うと
「最初は大嫌いだった。でも…段々、気になり始めてしまっているって所かな?」
そう私に微笑んだまま呟いた。
「まぁ、嫌いは好きの裏返しって事もあるしね」
杉野チーフは言いながら、綺麗に整頓された売台から離れて歩き出す。
「柊さん、ちょっと来て」
私の返事も待たず階段を下りて行く。
事務所の前に着くと、店長が誰かと話しているのが聞こえる。
声の主は…森野さんだった。
って、いつだったか店長が言っていたのを思い出す。
実際、森野さんと仕事をするようになって、販売員はただ品物を出して売れば良いとは考えなくなった。
お客様が何を求めているのか?
今年はどんな物が人気があるのか?
女子では?男子では?
年齢によって、勧める物も変わって来る。
森野さんのポケットにはいつも小さなメモが入っていて、気になった事や気が付いた事などをメモしているのも知っていた。
だからなのか、交渉が一番難しいメーカーを任されているのだ。
「森野君って…本当にこの仕事が好きよね」
いつだったか、杉野チーフが森野さんに呟いた。
すると森野さんは
「好き…とは違います。ただ、此処は笑顔が溢れているから…その笑顔に答えたいんです」
売り場を駆け回る子供や、サンプルの玩具で遊ぶ子供たちを見て微笑んで答えた。
「ふふふ…、それが好きって事だと思うけど」
杉野チーフがそう言うと、森野さんはバツが悪そうに顔を歪めると
「俺はあなたが本当に苦手です」
そう呟いた。
「あら!私は森野君の事、大好きよ」
親し気に話す二 人を見て、心の奥がザワザワとざわめいた。
小さくて細くて、ふわふわした優しい雰囲気の杉野チーフ。
私の大好きな上司なのに…、なんでこんなに胸がざわ着くんだろう…。
思わず手を止めて二人を見ていると
「おい、柊…。お前、ぼんやりしてる暇があるんなら手を動かせ!」
と怒鳴られる。
私にはいつも怒った顔しか見せないのに、杉野チーフには色々な表情を見せる。
複雑な心境でテープ貼りをして品出しをしていた。
嫌いな筈なのに、森野さんの一挙手一投足が私の心をざわつかせる。
きっと、カケルさんに声が似ているから…?
幼い頃に出会っただけだから、顔はぼんやりとしか覚えていない。
可愛らしい少年のような顔だったように記憶している。
とはいえ、別に私はずっとカケルさんが好きだった訳ではない。
学生時代には彼氏と呼ぶ相手もいた。
でも、父親の浮気に悩まされる母親を見ていたので、何処か恋愛に対して冷めていた。
だから、相手と自分の熱量が違い過ぎて別れる…っていうのを繰り返していた。
私はきっと、恋愛が出来ない人間なんだって思って諦めて生きて来た。
だから、こんな感情に戸惑っていた。
両親の離婚、転居、祖父母の死去。
受験に就職と母親の再婚。
様々な事があっても乗り越えられたのは「カケル」さんの歌声があったから。
だからきっと、森野さんの声がカケルさんに似ているからだと自分に言い聞かせていた。
でも…気が付くと視線が、心が森野さんを探している。
ぶっきらぼうで愛想が悪くて、口も悪い。
良い所を見つけるよりも、悪い所の方が簡単に見つけられるような人なのに…。
どうしてこんなにも、私の心をかき乱すんだろう。
深い溜息を吐いていると
「こら!溜息は幸せが逃げるんだぞ~」
杉野チーフが私の顔を覗いて微笑む。
私とは対照的な可愛らしい女性。
「何かあった?」
閉店後の店舗で、残業して仕事をしていると杉野チーフが私に並んで品物を並べながら聞いてくる。
「いえ…何も…」
ぽつりと返事をした私に、杉野チーフは小さく笑い
「森野君の事?」
そう訊ねてきた。
慌てて私が首を横に振ると
「柊さんって、分かりやすいよね。」
と言うと
「最初は大嫌いだった。でも…段々、気になり始めてしまっているって所かな?」
そう私に微笑んだまま呟いた。
「まぁ、嫌いは好きの裏返しって事もあるしね」
杉野チーフは言いながら、綺麗に整頓された売台から離れて歩き出す。
「柊さん、ちょっと来て」
私の返事も待たず階段を下りて行く。
事務所の前に着くと、店長が誰かと話しているのが聞こえる。
声の主は…森野さんだった。
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