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すれ違う思い⑥
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お店には制服があって、青いシャツと赤いネクタイ。紺のセーターとベストは会社で支給されるが、下は紺か黒であればスカートでもパンツでも女性は自由だった。
男性は紺のパンツのみと指定されてはいるが、上下が会社から支給される。
私はキュロットを巻きスカート風に見せている物を履いていた。
だから下着が見える事は無いけれど、慌てて足を閉じて体育座りになる。
「何で森野さんが此処に居るんですか?」
驚いて呟くと
「此処は俺の休憩所」
そう言うと、ポケットから煙草を取り出した。
タバコを咥えると、何処かぼんやりと遠くを見ている。
「森野さん、タバコ吸いました?」
思わず尋ねた私に、森野さんはハっとした顔をして
「たまにな…」
そう言ってタバコに火をつける。
この一連の流れが綺麗だと思って見つめて居ると
「さっきの歌……」
と、森野さんが口を開いた。
「聞いてたんですか!」
真っ赤になって叫んだ私に
「人聞き悪いな…。聞いてたんじゃなくて、聞こえたんだよ」
ムっとした顔で森野さんが私を見た。
ふっと真剣な表情で私を見詰めた森野さんに、ドキリと心臓が高鳴る。
切れ長の凛々しい目の中にある漆黒の綺麗な瞳が、何かを訴えるように揺れたような気がした。
森野さんの瞳に魅入られてしまったかのように、私は視線を外せなくなる。
どの位、見つめ合っていたのだろうか?
多分、時間にしたらほんの何秒かなのかもしれない。
でも、この時の私にはとても長い時間に感じた。
しばらくして、森野さんの表情が緩むと、ゆっくりと私から視線を外して
「お前、歌が下手だな」
そう呟いた。
「ぎゃ~~~~!!!!!!」
森野さんの言葉に顔から火が噴出したようになり、思わず悲鳴を上げた瞬間
「馬鹿!声デカい!」
そう言われて、森野さんに後ろから口を塞がれた。
その時、初めて森野さんの手の感触を唇に感じる。男の人らしい、長くてゴツゴツした指。大きな手。思ったより冷たい手が、どれだけ長い時間外に居たのかを物語っていた。
口を塞がれて黙り込んだ私に、森野さんはそっと私の口から手を外し
「あ…悪い。此処までバレたら、居場所なくなるからさ」
ポツリと呟き、森野さんは再びタバコを口に咥えた。
横顔が遠くて、隣に座っているのに遠い存在に感じる。
「休憩室は?」
疑問に思って尋ねると、森野さんは
「外野がうるさい」
とだけ答えた。
森野さんは容姿とスタイルがモデル並みに良いので、お店の女の子達が狙っている。
だから、森野さんの行く所に女性ありと言われるほどに。
「あ!って事は、私も邪魔ですね」
慌てて立ち上がると
「バ~カ。お前が先客だろう?それに、邪魔なら声掛けねぇ~よ」
と答えて小さく笑う。
その笑顔に、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなる。
思わず手で胸元を握り締めた時
「お前、本当に好きなんだな」
ポツリと呟いた。
「え?」
思わず聞き返した私に
「それ、聞いてる時のお前の顔。凄い良い顔してたから…」
私から視線を外し、森野さんはそう言ってタバコを携帯灰皿へと押し込んだ。
「悪かったな…」
黙って森野さんを見つめて居る私に、森野さんは遠くを見たまま呟いた。
「お前がそんなに大切にしているとは知らなくて、けなして悪かった。きっと、その歌ってる奴も…お前がそんなに好きでいてくれて喜んでるんじゃねぇか?」
誰に言うわけでもないような…そう、まるで独り言のように続けた。
「そうですかね?だと嬉しいですけど…」
照れて笑う私に、森野さんは小さく微笑んで頷いた。
男性は紺のパンツのみと指定されてはいるが、上下が会社から支給される。
私はキュロットを巻きスカート風に見せている物を履いていた。
だから下着が見える事は無いけれど、慌てて足を閉じて体育座りになる。
「何で森野さんが此処に居るんですか?」
驚いて呟くと
「此処は俺の休憩所」
そう言うと、ポケットから煙草を取り出した。
タバコを咥えると、何処かぼんやりと遠くを見ている。
「森野さん、タバコ吸いました?」
思わず尋ねた私に、森野さんはハっとした顔をして
「たまにな…」
そう言ってタバコに火をつける。
この一連の流れが綺麗だと思って見つめて居ると
「さっきの歌……」
と、森野さんが口を開いた。
「聞いてたんですか!」
真っ赤になって叫んだ私に
「人聞き悪いな…。聞いてたんじゃなくて、聞こえたんだよ」
ムっとした顔で森野さんが私を見た。
ふっと真剣な表情で私を見詰めた森野さんに、ドキリと心臓が高鳴る。
切れ長の凛々しい目の中にある漆黒の綺麗な瞳が、何かを訴えるように揺れたような気がした。
森野さんの瞳に魅入られてしまったかのように、私は視線を外せなくなる。
どの位、見つめ合っていたのだろうか?
多分、時間にしたらほんの何秒かなのかもしれない。
でも、この時の私にはとても長い時間に感じた。
しばらくして、森野さんの表情が緩むと、ゆっくりと私から視線を外して
「お前、歌が下手だな」
そう呟いた。
「ぎゃ~~~~!!!!!!」
森野さんの言葉に顔から火が噴出したようになり、思わず悲鳴を上げた瞬間
「馬鹿!声デカい!」
そう言われて、森野さんに後ろから口を塞がれた。
その時、初めて森野さんの手の感触を唇に感じる。男の人らしい、長くてゴツゴツした指。大きな手。思ったより冷たい手が、どれだけ長い時間外に居たのかを物語っていた。
口を塞がれて黙り込んだ私に、森野さんはそっと私の口から手を外し
「あ…悪い。此処までバレたら、居場所なくなるからさ」
ポツリと呟き、森野さんは再びタバコを口に咥えた。
横顔が遠くて、隣に座っているのに遠い存在に感じる。
「休憩室は?」
疑問に思って尋ねると、森野さんは
「外野がうるさい」
とだけ答えた。
森野さんは容姿とスタイルがモデル並みに良いので、お店の女の子達が狙っている。
だから、森野さんの行く所に女性ありと言われるほどに。
「あ!って事は、私も邪魔ですね」
慌てて立ち上がると
「バ~カ。お前が先客だろう?それに、邪魔なら声掛けねぇ~よ」
と答えて小さく笑う。
その笑顔に、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなる。
思わず手で胸元を握り締めた時
「お前、本当に好きなんだな」
ポツリと呟いた。
「え?」
思わず聞き返した私に
「それ、聞いてる時のお前の顔。凄い良い顔してたから…」
私から視線を外し、森野さんはそう言ってタバコを携帯灰皿へと押し込んだ。
「悪かったな…」
黙って森野さんを見つめて居る私に、森野さんは遠くを見たまま呟いた。
「お前がそんなに大切にしているとは知らなくて、けなして悪かった。きっと、その歌ってる奴も…お前がそんなに好きでいてくれて喜んでるんじゃねぇか?」
誰に言うわけでもないような…そう、まるで独り言のように続けた。
「そうですかね?だと嬉しいですけど…」
照れて笑う私に、森野さんは小さく微笑んで頷いた。
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