18 / 46
すれ違う思い⑦
私はこの時に見た森野さんの、まるで消えそうな笑顔が忘れられずにいた。
悲しそうな、切なそうな…何かに耐えるような笑顔。
杉野チーフや木月さんの話では、森野さんはクラシック音楽以外は全く聞かないらしい。
一時期、お店で邦楽を流していたら
「仕事に集中出来ない」
と文句を言っていたらしい。
なので、カラオケに誘っても行く筈もなく…。
一度、店長、奥様と杉野チーフと一緒に森野さんもカラオケに行ったらしいが、人の歌を聴く専門で決して歌わない。
一度、童謡の「ふるさと」を唄ったら、全く音が取れていなくて壊滅的な歌声だったらしい。
「勿体無いよね…、あんなに良い声してるのに…」
杉野チーフが残念そうに呟いていた。
「でもね、あの森野君に弱点があるっていうのも親しみわいたけどね」
杉野チーフの言葉に、私はいつの間にか「カケル」さんと森野さんを別に考えている事に気が付いた。
私はきっと、森野さんがカケルさんに似た声で無くても好きになったと思う。
今なら、自信を持って言える。
「そんな…。私こそ、森野さんに失礼な事をたくさん言ったのでお互い様です」
必死に吐き出した言葉に、森野さんはフッと微笑み視線を元の場所へと戻した。
何も映していないような…、私には見えない何かを映しているような瞳は、これ以上私を森野さんに近付けさせないようにしているかのようだった。
悲しそうな、切なそうな…何かに耐えるような笑顔。
杉野チーフや木月さんの話では、森野さんはクラシック音楽以外は全く聞かないらしい。
一時期、お店で邦楽を流していたら
「仕事に集中出来ない」
と文句を言っていたらしい。
なので、カラオケに誘っても行く筈もなく…。
一度、店長、奥様と杉野チーフと一緒に森野さんもカラオケに行ったらしいが、人の歌を聴く専門で決して歌わない。
一度、童謡の「ふるさと」を唄ったら、全く音が取れていなくて壊滅的な歌声だったらしい。
「勿体無いよね…、あんなに良い声してるのに…」
杉野チーフが残念そうに呟いていた。
「でもね、あの森野君に弱点があるっていうのも親しみわいたけどね」
杉野チーフの言葉に、私はいつの間にか「カケル」さんと森野さんを別に考えている事に気が付いた。
私はきっと、森野さんがカケルさんに似た声で無くても好きになったと思う。
今なら、自信を持って言える。
「そんな…。私こそ、森野さんに失礼な事をたくさん言ったのでお互い様です」
必死に吐き出した言葉に、森野さんはフッと微笑み視線を元の場所へと戻した。
何も映していないような…、私には見えない何かを映しているような瞳は、これ以上私を森野さんに近付けさせないようにしているかのようだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
背徳の恋のあとで
ひかり芽衣
恋愛
『愛人を作ることは、家族を維持するために必要なことなのかもしれない』
恋愛小説が好きで純愛を夢見ていた男爵家の一人娘アリーナは、いつの間にかそう考えるようになっていた。
自分が子供を産むまでは……
物心ついた時から愛人に現を抜かす父にかわり、父の仕事までこなす母。母のことを尊敬し真っ直ぐに育ったアリーナは、完璧な母にも唯一弱音を吐ける人物がいることを知る。
母の恋に衝撃を受ける中、予期せぬ相手とのアリーナの初恋。
そして、ずっとアリーナのよき相談相手である図書館管理者との距離も次第に近づいていき……
不倫が身近な存在の今、結婚を、夫婦を、子どもの存在を……あなたはどう考えていますか?
※アリーナの幸せを一緒に見届けて下さると嬉しいです。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
側妃の愛
まるねこ
恋愛
ここは女神を信仰する国。極まれに女神が祝福を与え、癒しの力が使える者が現れるからだ。
王太子妃となる予定の令嬢は力が弱いが癒しの力が使えた。突然強い癒しの力を持つ女性が異世界より現れた。
力が強い女性は聖女と呼ばれ、王太子妃になり、彼女を支えるために令嬢は側妃となった。
Copyright©︎2025-まるねこ