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悲しい恋の物語⑤
そして、ついにその時がやって来ました。
第一王妃が男の子を出産し、街は飲めや歌えの大騒ぎになりました。
少女は国王から、
「王子誕生を予言した褒美として、望むものをなんでもやろう」
と言われます。
少女は王に
「一日だけで良いので、自由が欲しい」
と願い出ます。
しかし、国王は許可を渋りました。
もし自由にしたら、少女は逃げ出すのではないか?
二度とここへは戻っては来ないのでは無いか?
王の気持ちを察した少女は言います。
「ただ、お祭りを楽しみたいだけなのです」
と。
貧しい服装で、金目の物は一切身に付けなくても良いからと言われ、国王は考えます。
少女の足で、この国から逃亡するには数日かかる。
その間に、もし逃げたとしても見つけ出せると考え、各国の来賓のパーティーで舞を踊った後、自由にする事を約束するのです。
少女は早る気持ちを抑え、祝いの席で舞を見事に舞って見せました。
その日の少女の舞は、今まで見た中で一番美しいと讃えられた程でした。
自分の役目を終え、少女は国王が用意した貧しい衣服に着替えてマントを被り、美しい金髪と顔立ちを隠すようにして城を飛び出します。
初めて見た街は、お祝いで沸いておりました。人々は歌い、踊り、祝宴を挙げて楽しそうにしています。
少女は人混みをかき分けて、必死に青年を探します。
少女には、青年に会った事が無くても見つけ出せる自信がありました。
街を抜け、星が導く通りに足を進めます。
どんどん深い森の中に入り、一軒の決して豊かには見えない建物の前に辿り着きます。
少女が建物の扉を叩いても、中からの返事はありませんでした。
(お祭りに行ってしまったのかしら?)
少女に与えられた限られた時間。
少女は、青年に会えないのではないかという不安に押し潰されそうになりながら、ひたすら青年の帰りを待ち続けました。
明るかった空が、いつしか赤く夕日に色付く頃、数人の若者の声が聞こえて来て、少女は聞き覚えのある声に心を踊らせます。
仕事帰りなのか、腰には剣を下げて歩く若者の中で、一際、美しく輝く光を纏った青年を見つけ出します。
(あぁ…この人だ…)
少女は、すらりと高い身長に優しい面立ちで穏やかに笑う青年に目を奪われます。
彼は生き方が綺麗なんだと、彼が纏う空気が少女に告げました。
数人の若者は、貧しい身なりをした少女に目が止まります。
そして青年の家の前で佇む少女を見て
「お前の知り合いか?」
っと、青年に声を掛けました。
ボロボロのマントに、灰色のワンピース。
足には木靴を履き、見るからに貧しそうな少女に青年はそっと声を掛けます。
「どうしたの?誰かを探しているの?」
背の高い彼は、少女の顔の高さまで屈んで顔を覗き込みます。
そして、そのマントで隠した容姿に声を失いました。
真珠のように白い肌に、エメラルドの瞳。
薄く色づいた唇は小さく、まるで宗教画に描かれた美の女神のようだと思いました。
少女はそっと青年の腕に手を触れて
「あなたに会いに参りました」
と告げたのです。
興味深くその様子を見ている他の人達に、彼女の容姿を見せたら危ないと思い、青年は美しい少女をそっと自分の家へと招き入れます。
ドアが閉まり、2人だけになると少女はマントを脱いで
「貴方は忘れているかもしれませんが、私は以前、貴方に救われました。どうか…今宵限りで構いません。私を貴方の恋人にして下さい」
と、全身を震わせて美しい少女が呟いたのです。
青年はこんなに美しい少女が、まさか身寄りが無く、決して裕福では無い自分に会いに来たとは信じられませんでした。
きっと身なりからして、何処かのお城の奴隷なのかもしれないと、青年はそっと少女の手を優しく握ります。
第一王妃が男の子を出産し、街は飲めや歌えの大騒ぎになりました。
少女は国王から、
「王子誕生を予言した褒美として、望むものをなんでもやろう」
と言われます。
少女は王に
「一日だけで良いので、自由が欲しい」
と願い出ます。
しかし、国王は許可を渋りました。
もし自由にしたら、少女は逃げ出すのではないか?
二度とここへは戻っては来ないのでは無いか?
王の気持ちを察した少女は言います。
「ただ、お祭りを楽しみたいだけなのです」
と。
貧しい服装で、金目の物は一切身に付けなくても良いからと言われ、国王は考えます。
少女の足で、この国から逃亡するには数日かかる。
その間に、もし逃げたとしても見つけ出せると考え、各国の来賓のパーティーで舞を踊った後、自由にする事を約束するのです。
少女は早る気持ちを抑え、祝いの席で舞を見事に舞って見せました。
その日の少女の舞は、今まで見た中で一番美しいと讃えられた程でした。
自分の役目を終え、少女は国王が用意した貧しい衣服に着替えてマントを被り、美しい金髪と顔立ちを隠すようにして城を飛び出します。
初めて見た街は、お祝いで沸いておりました。人々は歌い、踊り、祝宴を挙げて楽しそうにしています。
少女は人混みをかき分けて、必死に青年を探します。
少女には、青年に会った事が無くても見つけ出せる自信がありました。
街を抜け、星が導く通りに足を進めます。
どんどん深い森の中に入り、一軒の決して豊かには見えない建物の前に辿り着きます。
少女が建物の扉を叩いても、中からの返事はありませんでした。
(お祭りに行ってしまったのかしら?)
少女に与えられた限られた時間。
少女は、青年に会えないのではないかという不安に押し潰されそうになりながら、ひたすら青年の帰りを待ち続けました。
明るかった空が、いつしか赤く夕日に色付く頃、数人の若者の声が聞こえて来て、少女は聞き覚えのある声に心を踊らせます。
仕事帰りなのか、腰には剣を下げて歩く若者の中で、一際、美しく輝く光を纏った青年を見つけ出します。
(あぁ…この人だ…)
少女は、すらりと高い身長に優しい面立ちで穏やかに笑う青年に目を奪われます。
彼は生き方が綺麗なんだと、彼が纏う空気が少女に告げました。
数人の若者は、貧しい身なりをした少女に目が止まります。
そして青年の家の前で佇む少女を見て
「お前の知り合いか?」
っと、青年に声を掛けました。
ボロボロのマントに、灰色のワンピース。
足には木靴を履き、見るからに貧しそうな少女に青年はそっと声を掛けます。
「どうしたの?誰かを探しているの?」
背の高い彼は、少女の顔の高さまで屈んで顔を覗き込みます。
そして、そのマントで隠した容姿に声を失いました。
真珠のように白い肌に、エメラルドの瞳。
薄く色づいた唇は小さく、まるで宗教画に描かれた美の女神のようだと思いました。
少女はそっと青年の腕に手を触れて
「あなたに会いに参りました」
と告げたのです。
興味深くその様子を見ている他の人達に、彼女の容姿を見せたら危ないと思い、青年は美しい少女をそっと自分の家へと招き入れます。
ドアが閉まり、2人だけになると少女はマントを脱いで
「貴方は忘れているかもしれませんが、私は以前、貴方に救われました。どうか…今宵限りで構いません。私を貴方の恋人にして下さい」
と、全身を震わせて美しい少女が呟いたのです。
青年はこんなに美しい少女が、まさか身寄りが無く、決して裕福では無い自分に会いに来たとは信じられませんでした。
きっと身なりからして、何処かのお城の奴隷なのかもしれないと、青年はそっと少女の手を優しく握ります。
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