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19章
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はやる気持ちを、もう抑えられなかった。
賊の手から救出されてから、もう何十日も経っている。その間、二人はそれぞれ多忙な仕事に追われ、まともに顔を合わせることすら叶わなかった。
騎士の契約書に署名させた後、サイラスは半ば強引にエドガーを寝室へ連れ込んだ。エドガーも拒むはずがない。彼の顔には、サイラスを求める切実さが明確に浮かんでいた。
「あ、あっ、そこ、イイ……ッ!」
「……サイラス様は本当に敏感でいらっしゃる。この場所に触れただけで、こんなにもお乱れになって」
エドガーの指が、サイラスの最も敏感な場所を的確に探し当てる。
指の腹で強く刺激され、サイラスの身体は快楽でビクリと跳ねた。少し前までは慣れず、どこかおっかなびっくりだった愛撫も、今やエドガー|は完全に慣れたものだ。彼は瞬時にサイラスが最も快楽を得られる場所を探り当て、あっという間に彼を高みへと誘っていく
「ああ、ああ……ッ!」
何度か寝台の上で激しく痙攣し、サイラスは長く続く快楽を味わった。
そして、改めて自分に覆いかぶさっている男の顔を眺める。
彼は努めて冷静に自分を抑えているように見えても、その瞳は興奮でわずかに揺れている。その顔から彼が自分を求める切実な気持ちが伝わってきて、サイラスは心に言いようのない幸福感が広がっていく。
「サイラス様、もう……」
「ダメだ。……少し待て」
サイラスは彼の首筋に手を回し、優しく囁いた。
そして、サイラスはそのまま寝台の横にある戸棚を開き、とあるものを取り出した。
それは、かつて賊の男が使っていたものと同じ形をした、木で作られた男性器を模した木型だった。
「それは……!」
「安心しろ、これはあの時に使っていたものではない。アランに頼んで、王都から取り寄せてもらった新品だ」
「な、なぜそのようなものを……」
「もちろん、使うために決まっているだろう。──あの時は、あの男にこれを使い屈辱を与えられた。だが、今日はその汚れた記憶を、お前の手で上書きして払拭したいのだ」
そう言って、木型をエドガーに投げてやる。それを反射的に受け取ったエドガーは、その木型を見て思わず眉を歪めた。無理もない。なにせ、その木型は実によく出来ており、グロテスクさを感じるほど生々しいのだから。
「さて」
サイラスは微笑む。
「それを使ってお前に私の自慰を見せてやるのもいいが……今日は、お前にそれを使ってほしい」
「使う、と申しますと……」
「お前の意志で、それを私の中に入れてほしい。この中にそれを入れて、私を犯してくれ」
その衝撃的な要求に、エドガーは木型を持ったまま動きを完全に止めた。よほどサイラスの要求に驚いたのだろう、彼は目を見開いたまま、信じられないという表情でサイラスを見つめている。
「それは……それでは、貴方がまた再び傷つくことになりませんか」
「大丈夫だ。……むしろ、お前にそれを使ってほしいのだ。あの時とは違う。愛する人の手でそれを使われることで、あの時の屈辱を払拭させてほしい」
自分が何気なく口にした「愛する人」という言葉を受け、エドガーの顔に静かな覚悟が浮かんだ。
「……わかりました。できるだけ貴方を傷つけることのないようにします」
「そうだ、それでいい」
サイラスはわざと、木型を受け入れやすいよう寝台の上で足を大きく広げた恰好を取る。
エドガーは、先ほどまで自分の愛撫に使っていた愛液代わりの香油を、たっぷりとその木型に塗りつけた。木型はすぐに油でテカテカになり、そのせいで余計にグロテスクに見えた。
そしてそれを、開かれ、見えやすくなった入り口にそっと当てた。
「いきますよ……!」
優しい声かけと共に、下腹部に強い圧迫感が走る。愛撫で十分にほぐれているとはいえ、その隘路に対し木型の大きさは残酷なほどに大きい。
「あ、あ……!」
硬い異物が中に入り込んでいく。容赦なく圧迫される息苦しさに、サイラスは喘いだ。知らず、寝台の布を強く手で握りしめてしまう。
その声を聞く度に、エドガーは木型を進める手を止め、何度もサイラスの頬に甘い口づけを落とす。
「苦しいですか? ……もう、お止めになられますか」
「いい、このまま、このまま続けてくれ……っ」
自分の切実な懇願に、エドガーは困惑を見せながらも、最後はサイラスの言葉を尊重した。そして再び、ゆっくりと木型の動きを再開させる。
ぬちっ、ぬちっと水気を含んだ淫らな音を立てながら、大きくグロテスクな形をした木型が、サイラスの秘部の中へ、滑らかに収まっていく。
そして、いくばくかの時間をかけて、ようやくサイラスの中に木型の大半が収まった。
「入りました。……全て入りましたよ、サイラス様」
「そうか……」
サイラスはその言葉を聞いて、薄く息を吐いた。
かつて賊の男の前で自慰をした時とは違い、今日はあの時ほどの痛みを感じない。それでも、身体の中に硬い異物があることは間違いなく、その違和感はサイラスにどうにも言いようのない感覚をもたらしていた。
──ああ、身体の奥がムズムズする。
サイラスは身悶えた。ただの違和感だけでは終わらない。より強い快楽が欲しくてたまらなくなってくる。
「ああエドガー、そのまま、それをお前の手で出し入れしてくれ」
「……お身体は平気ですか」
エドガーの声には、まだ迷いが滲む。
「ああ、平気だ。だから早く……!」
「分かりました、では……!」
奥まで差し込まれていた木型が、いちどぬるりと引き抜かれ、そしてまた、ぐぐっと奥まで一気に突き入れられた。
「あ、あ……ッ!」
硬質な異物が隘路を擦っていく感覚に、サイラスは身悶えた。痛みではない。だが、その強烈な違和感が、かえって耐え難いほどの欲求を掻き立てるのだった。
「あ、もっと、もっと強く……ッ!」
何度も奥を突かれる感覚に、サイラスは思わず寝台のシーツを掴み、喉の奥から絞り出すような声を上げた。
目の前が白み、意識が朦朧とし始める。
だが、まさに絶頂を迎えようとしたその直前、サイラスはわざと声を張り上げた。
「……もういい、止めろ、エドガー!」
サイラスは鋭い声でそう命じると、エドガーの手を静止させ、自らの手で硬い木型を引き抜いた。そしてそれを、もう不要なものとでもいうように寝台の脇へ投げ捨てる。
「サイラス様……?」
エドガーは突然の中断に、戸惑いの表情を浮かべた。
「私を犯すのは、お前の役目だ。……だが、導くのは私の役目だ」
サイラスはそのまま、濡れた腰を高く持ち上げ、エドガーの熱く猛る分身の上に跨がった。その湿った入り口が、エドガーの硬い熱をしっかりと受け止める。
「サイラス様、何を……?」
「いいから、お前はそこで私に身を委ねていろ」
そういうが否や、サイラスは自らの意志で腰を落とし、エドガーの熱を一気に受け入れた。
「……ッ!」
目の前のエドガーが小さい喘ぎ声を漏らす。
サイラスはそのまま、自らの律動で腰を上下させ始めた。先ほどまで太い木型を咥え込んでいたせいか、エドガーを受け入れる抽挿は驚くほど滑らかだった。
サイラスは自らの腰を使い、エドガーを追い詰めていく。
「サイラス様、そんなに激しくされては……!」
「よい、私が導いてやるから、そのまま絶頂を迎えるがいい」
サイラスはその挑発的な言葉通り、エドガーを快楽の波で翻弄した。上体を大きく反らし、まるで馬を乗りこなすように、激しく、深く腰を打ちつける。サイラスの激しい動きがエドガーの身体を揺らし、彼は寝台の上で為す術もなく快感に支配されていく。
「あぁ……、サイラス様、速すぎます……!」
「速いか? だが、私はもっと欲しい」
サイラスはそう言って、エドガーの熱を奥深くまで飲み込むと、大きく身を乗り出し、彼の唇に貪るようなキスをした。
エドガーの瞳は完全に蕩けていた。サイラスはそれを見てほくそ笑み、さらに自らの腰使いを激しくする。
次第にエドガーの息が上がり、下腹部が燃えるように熱くなってくる。
いよいよ終わりが近い……そんな予感にサイラスの身体が震えた時、エドガーの瞳に強い意志が宿った。彼は激しく腰を動かすサイラスの身体を、力強い両腕で一瞬にして持ち上げてしまう。
驚くサイラスを寝台に押し倒し、今度はエドガーが彼の身体の上に乗り上げる。二人の体位は一瞬にして上下反転した。エドガーの熱は、サイラスの中に深く突き刺さったままだ。
「ッ、エドガー、何を……?」
エドガーは、荒い息を吐きながら、捕食者の目でサイラスを見下ろした。
「……サイラス様、貴方は以前、激しく犯されるのが好みだと言ってましたよね?」
彼は、サイラスの開かれた入り口を、確かな意志をもって見つめた。
「ですから、最後は俺に、貴方を犯させてください」
その瞬間、エドガーは自らその腰を深く穿ち、サイラスの最奥を犯した。
「ああっ、ああぁぁぁっ! 凄い、すごい……ッ! 」
エドガーは一切の躊躇を捨て、激しいピストンを開始した。二人の結合部から肌と肌を打つが響き、サイラスの甘い喘ぎ声が室内に満ちる。
「ああぁ……ッ、それ、も、やだっ……!」
サイラスの身体は快楽の震えで波打ち、思わずエドガーの腰を強く掴んだ。エドガーはそんな彼を慈しむように見つめながらも、動きを緩めない。
「貴方が望んだのですよ、サイラス様。……さぁ、全部受け止めてください」
彼の突き上げは深く、そして早く、サイラスの最も弱い場所を正確に抉り続ける。サイラスの目は快感で潤み、すでに焦点が合っていなかった。
「んぁあぁぁっ、あっ、だめ……きもち良すぎ……ああっ!」
「ああ、サイラス様……俺のすべてを受け入れて、その愛しい口で、俺の名前を呼んでください」
エドガーは、サイラスの腰を両手でしっかりと固定し、最後の速度まで加速した。
「ああ! エドガーッ、好きだ……っ、だからもう、もう……あ、あぁっ!」
サイラスの喉の奥から絞り出されたような絶叫と共に、彼の身体は大きく反り返った。その美しい背筋は張り詰め、全身の血液が沸騰したかのような激しい痙攣が始まる。
彼の瞳は涙で濡れていた。長い絶頂の波が身体の芯から全身の末端までを支配し、その奔流は止まることを知らなかった。彼の口からは何度もエドガーの名が狂おしく零れ落ちる。
エドガーはそんな彼を見て微笑み、その額にそっと、永遠を誓うような口づけを落とす
「俺も愛してます、サイラス様。──貴方は、俺のものです」
そんな囁きと共に、エドガーはサイラスの身体を優しく包み込む。サイラスは愛しい人に抱きしめられたまま、幸せの余韻に浸るようにそっとその目を閉じた。
賊の手から救出されてから、もう何十日も経っている。その間、二人はそれぞれ多忙な仕事に追われ、まともに顔を合わせることすら叶わなかった。
騎士の契約書に署名させた後、サイラスは半ば強引にエドガーを寝室へ連れ込んだ。エドガーも拒むはずがない。彼の顔には、サイラスを求める切実さが明確に浮かんでいた。
「あ、あっ、そこ、イイ……ッ!」
「……サイラス様は本当に敏感でいらっしゃる。この場所に触れただけで、こんなにもお乱れになって」
エドガーの指が、サイラスの最も敏感な場所を的確に探し当てる。
指の腹で強く刺激され、サイラスの身体は快楽でビクリと跳ねた。少し前までは慣れず、どこかおっかなびっくりだった愛撫も、今やエドガー|は完全に慣れたものだ。彼は瞬時にサイラスが最も快楽を得られる場所を探り当て、あっという間に彼を高みへと誘っていく
「ああ、ああ……ッ!」
何度か寝台の上で激しく痙攣し、サイラスは長く続く快楽を味わった。
そして、改めて自分に覆いかぶさっている男の顔を眺める。
彼は努めて冷静に自分を抑えているように見えても、その瞳は興奮でわずかに揺れている。その顔から彼が自分を求める切実な気持ちが伝わってきて、サイラスは心に言いようのない幸福感が広がっていく。
「サイラス様、もう……」
「ダメだ。……少し待て」
サイラスは彼の首筋に手を回し、優しく囁いた。
そして、サイラスはそのまま寝台の横にある戸棚を開き、とあるものを取り出した。
それは、かつて賊の男が使っていたものと同じ形をした、木で作られた男性器を模した木型だった。
「それは……!」
「安心しろ、これはあの時に使っていたものではない。アランに頼んで、王都から取り寄せてもらった新品だ」
「な、なぜそのようなものを……」
「もちろん、使うために決まっているだろう。──あの時は、あの男にこれを使い屈辱を与えられた。だが、今日はその汚れた記憶を、お前の手で上書きして払拭したいのだ」
そう言って、木型をエドガーに投げてやる。それを反射的に受け取ったエドガーは、その木型を見て思わず眉を歪めた。無理もない。なにせ、その木型は実によく出来ており、グロテスクさを感じるほど生々しいのだから。
「さて」
サイラスは微笑む。
「それを使ってお前に私の自慰を見せてやるのもいいが……今日は、お前にそれを使ってほしい」
「使う、と申しますと……」
「お前の意志で、それを私の中に入れてほしい。この中にそれを入れて、私を犯してくれ」
その衝撃的な要求に、エドガーは木型を持ったまま動きを完全に止めた。よほどサイラスの要求に驚いたのだろう、彼は目を見開いたまま、信じられないという表情でサイラスを見つめている。
「それは……それでは、貴方がまた再び傷つくことになりませんか」
「大丈夫だ。……むしろ、お前にそれを使ってほしいのだ。あの時とは違う。愛する人の手でそれを使われることで、あの時の屈辱を払拭させてほしい」
自分が何気なく口にした「愛する人」という言葉を受け、エドガーの顔に静かな覚悟が浮かんだ。
「……わかりました。できるだけ貴方を傷つけることのないようにします」
「そうだ、それでいい」
サイラスはわざと、木型を受け入れやすいよう寝台の上で足を大きく広げた恰好を取る。
エドガーは、先ほどまで自分の愛撫に使っていた愛液代わりの香油を、たっぷりとその木型に塗りつけた。木型はすぐに油でテカテカになり、そのせいで余計にグロテスクに見えた。
そしてそれを、開かれ、見えやすくなった入り口にそっと当てた。
「いきますよ……!」
優しい声かけと共に、下腹部に強い圧迫感が走る。愛撫で十分にほぐれているとはいえ、その隘路に対し木型の大きさは残酷なほどに大きい。
「あ、あ……!」
硬い異物が中に入り込んでいく。容赦なく圧迫される息苦しさに、サイラスは喘いだ。知らず、寝台の布を強く手で握りしめてしまう。
その声を聞く度に、エドガーは木型を進める手を止め、何度もサイラスの頬に甘い口づけを落とす。
「苦しいですか? ……もう、お止めになられますか」
「いい、このまま、このまま続けてくれ……っ」
自分の切実な懇願に、エドガーは困惑を見せながらも、最後はサイラスの言葉を尊重した。そして再び、ゆっくりと木型の動きを再開させる。
ぬちっ、ぬちっと水気を含んだ淫らな音を立てながら、大きくグロテスクな形をした木型が、サイラスの秘部の中へ、滑らかに収まっていく。
そして、いくばくかの時間をかけて、ようやくサイラスの中に木型の大半が収まった。
「入りました。……全て入りましたよ、サイラス様」
「そうか……」
サイラスはその言葉を聞いて、薄く息を吐いた。
かつて賊の男の前で自慰をした時とは違い、今日はあの時ほどの痛みを感じない。それでも、身体の中に硬い異物があることは間違いなく、その違和感はサイラスにどうにも言いようのない感覚をもたらしていた。
──ああ、身体の奥がムズムズする。
サイラスは身悶えた。ただの違和感だけでは終わらない。より強い快楽が欲しくてたまらなくなってくる。
「ああエドガー、そのまま、それをお前の手で出し入れしてくれ」
「……お身体は平気ですか」
エドガーの声には、まだ迷いが滲む。
「ああ、平気だ。だから早く……!」
「分かりました、では……!」
奥まで差し込まれていた木型が、いちどぬるりと引き抜かれ、そしてまた、ぐぐっと奥まで一気に突き入れられた。
「あ、あ……ッ!」
硬質な異物が隘路を擦っていく感覚に、サイラスは身悶えた。痛みではない。だが、その強烈な違和感が、かえって耐え難いほどの欲求を掻き立てるのだった。
「あ、もっと、もっと強く……ッ!」
何度も奥を突かれる感覚に、サイラスは思わず寝台のシーツを掴み、喉の奥から絞り出すような声を上げた。
目の前が白み、意識が朦朧とし始める。
だが、まさに絶頂を迎えようとしたその直前、サイラスはわざと声を張り上げた。
「……もういい、止めろ、エドガー!」
サイラスは鋭い声でそう命じると、エドガーの手を静止させ、自らの手で硬い木型を引き抜いた。そしてそれを、もう不要なものとでもいうように寝台の脇へ投げ捨てる。
「サイラス様……?」
エドガーは突然の中断に、戸惑いの表情を浮かべた。
「私を犯すのは、お前の役目だ。……だが、導くのは私の役目だ」
サイラスはそのまま、濡れた腰を高く持ち上げ、エドガーの熱く猛る分身の上に跨がった。その湿った入り口が、エドガーの硬い熱をしっかりと受け止める。
「サイラス様、何を……?」
「いいから、お前はそこで私に身を委ねていろ」
そういうが否や、サイラスは自らの意志で腰を落とし、エドガーの熱を一気に受け入れた。
「……ッ!」
目の前のエドガーが小さい喘ぎ声を漏らす。
サイラスはそのまま、自らの律動で腰を上下させ始めた。先ほどまで太い木型を咥え込んでいたせいか、エドガーを受け入れる抽挿は驚くほど滑らかだった。
サイラスは自らの腰を使い、エドガーを追い詰めていく。
「サイラス様、そんなに激しくされては……!」
「よい、私が導いてやるから、そのまま絶頂を迎えるがいい」
サイラスはその挑発的な言葉通り、エドガーを快楽の波で翻弄した。上体を大きく反らし、まるで馬を乗りこなすように、激しく、深く腰を打ちつける。サイラスの激しい動きがエドガーの身体を揺らし、彼は寝台の上で為す術もなく快感に支配されていく。
「あぁ……、サイラス様、速すぎます……!」
「速いか? だが、私はもっと欲しい」
サイラスはそう言って、エドガーの熱を奥深くまで飲み込むと、大きく身を乗り出し、彼の唇に貪るようなキスをした。
エドガーの瞳は完全に蕩けていた。サイラスはそれを見てほくそ笑み、さらに自らの腰使いを激しくする。
次第にエドガーの息が上がり、下腹部が燃えるように熱くなってくる。
いよいよ終わりが近い……そんな予感にサイラスの身体が震えた時、エドガーの瞳に強い意志が宿った。彼は激しく腰を動かすサイラスの身体を、力強い両腕で一瞬にして持ち上げてしまう。
驚くサイラスを寝台に押し倒し、今度はエドガーが彼の身体の上に乗り上げる。二人の体位は一瞬にして上下反転した。エドガーの熱は、サイラスの中に深く突き刺さったままだ。
「ッ、エドガー、何を……?」
エドガーは、荒い息を吐きながら、捕食者の目でサイラスを見下ろした。
「……サイラス様、貴方は以前、激しく犯されるのが好みだと言ってましたよね?」
彼は、サイラスの開かれた入り口を、確かな意志をもって見つめた。
「ですから、最後は俺に、貴方を犯させてください」
その瞬間、エドガーは自らその腰を深く穿ち、サイラスの最奥を犯した。
「ああっ、ああぁぁぁっ! 凄い、すごい……ッ! 」
エドガーは一切の躊躇を捨て、激しいピストンを開始した。二人の結合部から肌と肌を打つが響き、サイラスの甘い喘ぎ声が室内に満ちる。
「ああぁ……ッ、それ、も、やだっ……!」
サイラスの身体は快楽の震えで波打ち、思わずエドガーの腰を強く掴んだ。エドガーはそんな彼を慈しむように見つめながらも、動きを緩めない。
「貴方が望んだのですよ、サイラス様。……さぁ、全部受け止めてください」
彼の突き上げは深く、そして早く、サイラスの最も弱い場所を正確に抉り続ける。サイラスの目は快感で潤み、すでに焦点が合っていなかった。
「んぁあぁぁっ、あっ、だめ……きもち良すぎ……ああっ!」
「ああ、サイラス様……俺のすべてを受け入れて、その愛しい口で、俺の名前を呼んでください」
エドガーは、サイラスの腰を両手でしっかりと固定し、最後の速度まで加速した。
「ああ! エドガーッ、好きだ……っ、だからもう、もう……あ、あぁっ!」
サイラスの喉の奥から絞り出されたような絶叫と共に、彼の身体は大きく反り返った。その美しい背筋は張り詰め、全身の血液が沸騰したかのような激しい痙攣が始まる。
彼の瞳は涙で濡れていた。長い絶頂の波が身体の芯から全身の末端までを支配し、その奔流は止まることを知らなかった。彼の口からは何度もエドガーの名が狂おしく零れ落ちる。
エドガーはそんな彼を見て微笑み、その額にそっと、永遠を誓うような口づけを落とす
「俺も愛してます、サイラス様。──貴方は、俺のものです」
そんな囁きと共に、エドガーはサイラスの身体を優しく包み込む。サイラスは愛しい人に抱きしめられたまま、幸せの余韻に浸るようにそっとその目を閉じた。
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