10 / 57
EP10 【裏競技は過激に】
しおりを挟む
「こちらです」
階段を昇りつめた果てにあるのは鉄扉だった。案内人がその扉を開ければ、魔導照明が視界を焦がした。あまりの眩しさに俺は目を閉ざしてしまう。
「ネジ……ここは?」
「バベルの闘技場。人形武踊の会場よ!」
恐る恐る目を開くと、その先にあったのは喧騒飛び交う巨大なリングだ。円状の舞台をぐるりと有刺鉄線のフェンスが覆い、その中では二体の〈競技用人形(ファイティングドール)〉同士が火花を散らす真っ最中にある。
「長槍で武装してる方がランサー。弓矢を構えてる方はアローっていう〈魔導人形(ドール)〉らしいわね」
「まんまじゃねーか」
二体の首にはそれぞれ「R352・FD」と「A60・FD」と刻まれている。
ランサーは青年型で重装備の鎧を着込んでいる。それに対しアローは細身の女性型で軽装だ。最低限のプロテクターしか身に着けていない。
アローが距離を取って弓を引くも、ランサーの強固な鎧に阻まれてしまう。そして今度はランサーの反撃だ。
陶器が砕けるような破砕音に観客達が湧き上がる。ランサーの槍先がアローの腕を貫いたのだ。切り口からは亀裂が走り、赤黒い魔力液が飛び散った。
その槍捌きは達人並だ。滑らか挙動から察するに、手先を〈ファイティングドール〉の物から、繊細な作業を得意とする〈職務人形(ワーカードール)〉のものに換装しているのだろう。
「この試合はランサー勝ちね。槍先にも魔法陣を仕込んでるみたいだし」
ネジの指摘通り、ランサーの槍先には魔法陣が刻まれていた。アレは確か、シンプルながらも武器の貫通力を強化する〈刺突魔法(スパイク・マジック)〉の一種だ。
あれが中枢を貫けば、アローは機能停止を免れないだろう。
「けど俺は、アローって奴の方が気になるな」
アローの後ろでは持ち主が反撃のタイミングを図っていた。
彼女の足元に増設されたあの部品はきっと、ネジの流星号にも搭載された推進ドライブと同じものだ。
「〈スパイク・マジック〉ッッ!」
ランサーが決めに掛かった。強く地面を踏み込んで槍を構える。
だが、アローの所持者はそのタイミングを待っていたのだろう。
「〈推進魔法(ブーストマジック)〉」と短く詠唱し、アローが懐へと飛び込んだ。加速した彼女は強引な出力差でランサーの身体を押し返す。
さらに、手首に仕込まれたナイフが展開。ランサーの首元に切っ先をねじ込んで命令伝達系の配線を断絶した。
駆け引き一つが勝敗を分けたのだ。司会者が高らかに勝者の名を宣言する。
「わぁお。スパナの予想当たったじゃん」
「お前の加速を知ってたからな……つか、ネジ。ここは一体なんなんだよ?」
「さっきも言ったじゃん。バベル闘技場。見ての通り、人形武踊の会場よ」
「いや……そうなんだけどさ」
思わず二体の激闘を見入ってしまったが、こんな展開は聞いてない。
人形武踊は、大衆娯楽として都市中枢のコロシアムで開催されるのが一般的だ。では、このリングは一体なんだ? なんで、カジノの屋上にリングがある?
「ここで行われる人形武踊は言わば裏人形武踊ってヤツね」
「裏って……」
「コロシアムでも賭博自体は合法だし、出場者には相応の出演料が振り込まれるのも知ってるわよね。ただ、コロシアムで賭けられる分のお金には法律で上限があるの。一応は健全な公共娯楽だし」
「じゃあ、まさか……この裏カジノはそれがないってわけか!」
「そっ。好きなだけ賭けていいの。破産しようが知ったこっちゃないってスタンスね。あとは、コロシアムじゃ使っちゃいけない攻撃魔法の使用も全部認められてるの」
つまりは血湧き肉躍るデスマッチ。裏人形武踊なんて言うだけはあるな。
会場を見渡せば、観客は何処かで見たことのあるような顔のやつばかりだった。マフィアのボスに、魔導管理院のお偉いさん、政財界の中でも指折りのトップが総出で狭いリングの中で闘うドール達に興奮している。
さっきの首にナイフを突き立てるなんてエグい技は、当然コロシアムの人形武踊じゃ認められない。
だが、このバベル闘技場はそれを認めている。コロシアムの試合に物足りなさを感じた権力者達は、過激な試合を求めてここに訪れる。
きっと安泰な人生には、スリルって奴が足りないんだろう。俺には全くわからんが。
「んでもって、金の有り余った連中が大金を際限なしに賭けるヤバい場所。それこそが、このバベルの闘技場だな」
「そういうこと。一部のVIPだけが入れるのよ。ここに入れて貰うのに、色んなコネを利用したんだから」
正直、最近のネジが怖い。普通ならこんな所に闇金の社長風情が来れるわけがないのだ。
マジでコイツ、俺の知らない間に何してやがった?
ただ、なんとなくネジの言いたいこともわかった。ここでの賭けは、人形武踊の勝敗予測。つまり勝つか負けるかしかない。二分の一で当たるギャンブル。しかも、動く金額は下のカジノよりも大きいときた。
確かに負けるリスクを考えれば恐ろしいが、勝てば、借金の一括返済だって夢じゃない!
「それでは、本日のメインとなる対戦にエントリーした選手を紹介していきましょう!」
いつの間にやら、次の試合が始まる予感だ。司会が選手紹介を始める。俺も次の試合で賭けるんだから、よく聞いておこう。
「まずは赤コーナー。経歴、二十八連勝。現在のバベル闘技場チャンピオン。グレゴリー・ブラッドォォー!」
赤い光源がリングの中央を照らし出しす。そこに向けて、入場ゲートから巨漢のシルエットが走ってきた。
「うぉぉぉぉおおお!!!!」
ソイツの鎧のような筋肉には、びっしりと刺青が彫り込まれ、背丈は二メートルを超えていた。下手な魔族より強面で下品そうな印象を覚える男だ。
グレゴリー・ブラッド。────パグリスの国民ならコイツの顔を、一度は手配書で見たことがある。
グレゴリーは元軍人で、〈戦争人形(アーミードール)〉部隊の指揮を任された優秀な人材だ。しかし、その素行に問題があり、軍をクビに。その後も問題行動が絶えず、終いにはその首に多額の賞金がかけられた超危険人物であった。
「金ダァ! 権力者どもぉ! 有り金、全部をこのグレゴリー様に賭けなァァ!」
グレゴリーが拳を天高くに突き出せば、観客達がそれに湧く。
蛮族にしか見えないが、こういう舞台で人気をとるなら、あれくらい露骨な方が良いのかもしれない。
「続いてグレゴリーの〈ドール〉。D300カスタム・ADこと、デストロイヤーッッ!!」
ギギッ……ギギッ……とソイツは何かを引きずってきた。先程の試合で敗れたランサーの残骸だ。
「おい、デストロヤー。ソイツはなんだよ?」
「応答。待機室ニテ邪魔ダッタ。ダカラ壊シタ」
抑揚のないボイスから察するに、事前に登録していた返答だろう。仕込まれたパフォーマンスだ。
「ふーん。なら仕方ねぇな。なんたって、邪魔だったんだからよぉ! ハッハッハッハ!!」
リングの中にグレゴリーの笑い声が響き渡る。引きずられたランサーの残骸はアローに着けられた傷だけでなく、頭部が大きくひしゃげていた。何か、大きな質量のある武器で叩きつけたのだろう。
グレゴリーは壊れたランサーの残骸を足蹴にすると、司会からマイクをひったくり、デストロイヤーのことを得意げに語り出す。
「俺様のデストロイヤーは、ただの〈ドール〉じゃねぇ。コロシアムじゃ使えない〈アーミードール〉を極限までチューンした一点者だ! ただの〈ファイティングドール〉がいくら防御を固めようと、デストロヤーにはそれを押し潰すパワーがある!」
デストロイヤーの名前にピッタリな脳筋型ってことか。身体の大きさは巨漢のグレゴリーよりも大きかった。俺の身長と比べれば二倍近くある。
頭に麻袋が被せて、背中には大鉈を背負う姿は処刑用に使われる〈ワーカードール〉を思わせた。そして、全身に刻まれた小さな傷の数々。それが、デストロイヤーの歴戦の証だった。
きっとグレゴリーが軍に在籍していた頃から使い回しているのだろう。コイツが何体の〈ドール〉を壊してきたか、想像するだけでも恐ろしい。
「はは……けど、ネジ。お前も賢いな」
アレに勝てる〈ドール〉の所有者なんて、殆どいないだろう。グレゴリーとデストロイヤーが勝つのがほぼ確実なのだ。予想が簡単な分、オッズも低くなるだろうが、それでも、ここは裏闘技場。デストロイーがその大鉈で対戦相手を薙ぎ払うことに賭けるだけで、相応のリターンが期待できる。
「そうと決まれば、さっそくグレゴリー&デストロイヤーの券を買おうぜ! さすがはネジ様! これで借金とも、この身体ともおさらばだぜ!!」
「え、何言ってるの?」
ネジがキョトンとした顔でいる。
いや……だって、そう言うことだろ。カジノより確実に稼げるから、俺をここに連れてきたんじゃないのか?
「続いて青コーナーのご紹介です。経歴無し。なんと本日が初エントリー!」
おっと、青コーナーの紹介が始まったか。グレゴリーと対等に渡り合えるコンビが現れる可能性も僅かには残っているが、今回はそれも無さそうだ。
にしても初エントリーの対戦相手がグレゴリーだなんて不運なヤツだな。大事な〈ドール〉を再起不能のスクラップにされてお終いだ。さーて、どんな不運持ちさんが現れるんだか?
「泣く子も黙る金融魔女の通り名でお馴染み。可愛い顔に騙されるべからず! ネジ・アルナートッッ!」
「……は?」
青の光源が照らし出したのは紛れもなく彼女だった。
だが、なぜ、ネジなんだ。コイツは〈ドール〉なんて持ってきてなかった筈だし……
「いや、待て。そういえば今の俺の身体って……!」
「来て、スパナ!!」
司会の声が次に読み上げたのが、俺の名前だってことは、もう言う必要までもない。理不尽なゴングが今、響き渡ろうとしていた。
階段を昇りつめた果てにあるのは鉄扉だった。案内人がその扉を開ければ、魔導照明が視界を焦がした。あまりの眩しさに俺は目を閉ざしてしまう。
「ネジ……ここは?」
「バベルの闘技場。人形武踊の会場よ!」
恐る恐る目を開くと、その先にあったのは喧騒飛び交う巨大なリングだ。円状の舞台をぐるりと有刺鉄線のフェンスが覆い、その中では二体の〈競技用人形(ファイティングドール)〉同士が火花を散らす真っ最中にある。
「長槍で武装してる方がランサー。弓矢を構えてる方はアローっていう〈魔導人形(ドール)〉らしいわね」
「まんまじゃねーか」
二体の首にはそれぞれ「R352・FD」と「A60・FD」と刻まれている。
ランサーは青年型で重装備の鎧を着込んでいる。それに対しアローは細身の女性型で軽装だ。最低限のプロテクターしか身に着けていない。
アローが距離を取って弓を引くも、ランサーの強固な鎧に阻まれてしまう。そして今度はランサーの反撃だ。
陶器が砕けるような破砕音に観客達が湧き上がる。ランサーの槍先がアローの腕を貫いたのだ。切り口からは亀裂が走り、赤黒い魔力液が飛び散った。
その槍捌きは達人並だ。滑らか挙動から察するに、手先を〈ファイティングドール〉の物から、繊細な作業を得意とする〈職務人形(ワーカードール)〉のものに換装しているのだろう。
「この試合はランサー勝ちね。槍先にも魔法陣を仕込んでるみたいだし」
ネジの指摘通り、ランサーの槍先には魔法陣が刻まれていた。アレは確か、シンプルながらも武器の貫通力を強化する〈刺突魔法(スパイク・マジック)〉の一種だ。
あれが中枢を貫けば、アローは機能停止を免れないだろう。
「けど俺は、アローって奴の方が気になるな」
アローの後ろでは持ち主が反撃のタイミングを図っていた。
彼女の足元に増設されたあの部品はきっと、ネジの流星号にも搭載された推進ドライブと同じものだ。
「〈スパイク・マジック〉ッッ!」
ランサーが決めに掛かった。強く地面を踏み込んで槍を構える。
だが、アローの所持者はそのタイミングを待っていたのだろう。
「〈推進魔法(ブーストマジック)〉」と短く詠唱し、アローが懐へと飛び込んだ。加速した彼女は強引な出力差でランサーの身体を押し返す。
さらに、手首に仕込まれたナイフが展開。ランサーの首元に切っ先をねじ込んで命令伝達系の配線を断絶した。
駆け引き一つが勝敗を分けたのだ。司会者が高らかに勝者の名を宣言する。
「わぁお。スパナの予想当たったじゃん」
「お前の加速を知ってたからな……つか、ネジ。ここは一体なんなんだよ?」
「さっきも言ったじゃん。バベル闘技場。見ての通り、人形武踊の会場よ」
「いや……そうなんだけどさ」
思わず二体の激闘を見入ってしまったが、こんな展開は聞いてない。
人形武踊は、大衆娯楽として都市中枢のコロシアムで開催されるのが一般的だ。では、このリングは一体なんだ? なんで、カジノの屋上にリングがある?
「ここで行われる人形武踊は言わば裏人形武踊ってヤツね」
「裏って……」
「コロシアムでも賭博自体は合法だし、出場者には相応の出演料が振り込まれるのも知ってるわよね。ただ、コロシアムで賭けられる分のお金には法律で上限があるの。一応は健全な公共娯楽だし」
「じゃあ、まさか……この裏カジノはそれがないってわけか!」
「そっ。好きなだけ賭けていいの。破産しようが知ったこっちゃないってスタンスね。あとは、コロシアムじゃ使っちゃいけない攻撃魔法の使用も全部認められてるの」
つまりは血湧き肉躍るデスマッチ。裏人形武踊なんて言うだけはあるな。
会場を見渡せば、観客は何処かで見たことのあるような顔のやつばかりだった。マフィアのボスに、魔導管理院のお偉いさん、政財界の中でも指折りのトップが総出で狭いリングの中で闘うドール達に興奮している。
さっきの首にナイフを突き立てるなんてエグい技は、当然コロシアムの人形武踊じゃ認められない。
だが、このバベル闘技場はそれを認めている。コロシアムの試合に物足りなさを感じた権力者達は、過激な試合を求めてここに訪れる。
きっと安泰な人生には、スリルって奴が足りないんだろう。俺には全くわからんが。
「んでもって、金の有り余った連中が大金を際限なしに賭けるヤバい場所。それこそが、このバベルの闘技場だな」
「そういうこと。一部のVIPだけが入れるのよ。ここに入れて貰うのに、色んなコネを利用したんだから」
正直、最近のネジが怖い。普通ならこんな所に闇金の社長風情が来れるわけがないのだ。
マジでコイツ、俺の知らない間に何してやがった?
ただ、なんとなくネジの言いたいこともわかった。ここでの賭けは、人形武踊の勝敗予測。つまり勝つか負けるかしかない。二分の一で当たるギャンブル。しかも、動く金額は下のカジノよりも大きいときた。
確かに負けるリスクを考えれば恐ろしいが、勝てば、借金の一括返済だって夢じゃない!
「それでは、本日のメインとなる対戦にエントリーした選手を紹介していきましょう!」
いつの間にやら、次の試合が始まる予感だ。司会が選手紹介を始める。俺も次の試合で賭けるんだから、よく聞いておこう。
「まずは赤コーナー。経歴、二十八連勝。現在のバベル闘技場チャンピオン。グレゴリー・ブラッドォォー!」
赤い光源がリングの中央を照らし出しす。そこに向けて、入場ゲートから巨漢のシルエットが走ってきた。
「うぉぉぉぉおおお!!!!」
ソイツの鎧のような筋肉には、びっしりと刺青が彫り込まれ、背丈は二メートルを超えていた。下手な魔族より強面で下品そうな印象を覚える男だ。
グレゴリー・ブラッド。────パグリスの国民ならコイツの顔を、一度は手配書で見たことがある。
グレゴリーは元軍人で、〈戦争人形(アーミードール)〉部隊の指揮を任された優秀な人材だ。しかし、その素行に問題があり、軍をクビに。その後も問題行動が絶えず、終いにはその首に多額の賞金がかけられた超危険人物であった。
「金ダァ! 権力者どもぉ! 有り金、全部をこのグレゴリー様に賭けなァァ!」
グレゴリーが拳を天高くに突き出せば、観客達がそれに湧く。
蛮族にしか見えないが、こういう舞台で人気をとるなら、あれくらい露骨な方が良いのかもしれない。
「続いてグレゴリーの〈ドール〉。D300カスタム・ADこと、デストロイヤーッッ!!」
ギギッ……ギギッ……とソイツは何かを引きずってきた。先程の試合で敗れたランサーの残骸だ。
「おい、デストロヤー。ソイツはなんだよ?」
「応答。待機室ニテ邪魔ダッタ。ダカラ壊シタ」
抑揚のないボイスから察するに、事前に登録していた返答だろう。仕込まれたパフォーマンスだ。
「ふーん。なら仕方ねぇな。なんたって、邪魔だったんだからよぉ! ハッハッハッハ!!」
リングの中にグレゴリーの笑い声が響き渡る。引きずられたランサーの残骸はアローに着けられた傷だけでなく、頭部が大きくひしゃげていた。何か、大きな質量のある武器で叩きつけたのだろう。
グレゴリーは壊れたランサーの残骸を足蹴にすると、司会からマイクをひったくり、デストロイヤーのことを得意げに語り出す。
「俺様のデストロイヤーは、ただの〈ドール〉じゃねぇ。コロシアムじゃ使えない〈アーミードール〉を極限までチューンした一点者だ! ただの〈ファイティングドール〉がいくら防御を固めようと、デストロヤーにはそれを押し潰すパワーがある!」
デストロイヤーの名前にピッタリな脳筋型ってことか。身体の大きさは巨漢のグレゴリーよりも大きかった。俺の身長と比べれば二倍近くある。
頭に麻袋が被せて、背中には大鉈を背負う姿は処刑用に使われる〈ワーカードール〉を思わせた。そして、全身に刻まれた小さな傷の数々。それが、デストロイヤーの歴戦の証だった。
きっとグレゴリーが軍に在籍していた頃から使い回しているのだろう。コイツが何体の〈ドール〉を壊してきたか、想像するだけでも恐ろしい。
「はは……けど、ネジ。お前も賢いな」
アレに勝てる〈ドール〉の所有者なんて、殆どいないだろう。グレゴリーとデストロイヤーが勝つのがほぼ確実なのだ。予想が簡単な分、オッズも低くなるだろうが、それでも、ここは裏闘技場。デストロイーがその大鉈で対戦相手を薙ぎ払うことに賭けるだけで、相応のリターンが期待できる。
「そうと決まれば、さっそくグレゴリー&デストロイヤーの券を買おうぜ! さすがはネジ様! これで借金とも、この身体ともおさらばだぜ!!」
「え、何言ってるの?」
ネジがキョトンとした顔でいる。
いや……だって、そう言うことだろ。カジノより確実に稼げるから、俺をここに連れてきたんじゃないのか?
「続いて青コーナーのご紹介です。経歴無し。なんと本日が初エントリー!」
おっと、青コーナーの紹介が始まったか。グレゴリーと対等に渡り合えるコンビが現れる可能性も僅かには残っているが、今回はそれも無さそうだ。
にしても初エントリーの対戦相手がグレゴリーだなんて不運なヤツだな。大事な〈ドール〉を再起不能のスクラップにされてお終いだ。さーて、どんな不運持ちさんが現れるんだか?
「泣く子も黙る金融魔女の通り名でお馴染み。可愛い顔に騙されるべからず! ネジ・アルナートッッ!」
「……は?」
青の光源が照らし出したのは紛れもなく彼女だった。
だが、なぜ、ネジなんだ。コイツは〈ドール〉なんて持ってきてなかった筈だし……
「いや、待て。そういえば今の俺の身体って……!」
「来て、スパナ!!」
司会の声が次に読み上げたのが、俺の名前だってことは、もう言う必要までもない。理不尽なゴングが今、響き渡ろうとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる