闇金魔女のせいで人形に魂を封印されて、更生生活!? んなのやってられるかよ!

ユキトシ時雨

文字の大きさ
17 / 57

EP15【収入が欲しいなら】

しおりを挟む
 俺たちは店の裏側で睨み合っていた。お互いに納得いかないんだ。

「なんなの、その態度?」

「そっちこそなんだよ? あのしょぼい額は? 舐めてんのか?」

 俺がバベル闘技場で戦えたのは、借金を全部返せると思ったからだ。それなのに、俺が稼いだ額は土木現場の週給と変わらねぇ。 

「しょぼい額って……当たり前じゃない。賭けた元手が少ないんだから」

「は……?」

「私はアンタが土木現場で稼いだ一万ペルの内から三千ペルだけを賭けたわ」

「はぁぁぁ⁉ なんで、そんな少ない額しか賭けてねぇんだよ⁉」

 仮に一万を全部賭けたとしても、四万に膨らむはずだ。借金を返し切るのには程遠いが、それでも大儲けは大儲けじゃねぇか!

「つか、試合の出場料とかは? あれだけ俺様が盛り上げってやったんだし。いくらか包んでくれたって」

「あそこの出場者は結局、あそこしか居場所がないの。だから、そんな出場者たちに出場料を払う訳ないじゃない」

 うっわ、酷っでぇブラックじゃん。

「俺の所持金を元手にするところまでは、まだ納得できる。けど、なんで全部を賭けなかったんだよ? ネジは俺が勝つって信じてくれたんだよな?」

「えぇ。私はスパナが勝てるって信じてたから、あの日、バベル闘技場に連れて行った。結果的に三千ペルを賭けて、一万二千ペルまで膨れたんだから、得したじゃない」

「だーかーら! なんで、俺が勝つって信じたくせに、全額賭けてくれねぇんだよッ!」

 本当に俺を信じてるなら、一万ペル。

 いや、せっかく制限がないんだから、もっと大金を賭けてくれれば良かったのだ。

「あのね、スパナ。私はアンタを信じてる。けど、いつまでもギャンブルに勝ち続けるなんて無理な話なのよ」

「た、確かに……そうかも知れねぇけど」

「だから私は一つルールを決めたの。これからバベル闘技場にはアンタの意思で挑戦してもらう。ただし、掛けていい額はアンタの所持金の約三分の一まで。尚、上一桁より下は切り捨てにする」

「……んだよ、それ」

 ネジの定めたルールの実態は、俺のためのルールだ。

 俺が所持金を全部擦らないように制限を掛けてくれているのだろう。三分の一は、失っても、なんとかフォローできる数字だからな。

「つまり、大金を賭けで勝ち取りたいなら、元手となる額を真面目に働いて集めなさいってことだな?」

 当然のことながら、俺にとっては一番堪える内容だ。

「正解。なかなかに名案でしょ?」

 あぁ。実に腹立たしい案だ。

 借金を取り立てたい癖に、なんでこんな周りくどい手を取るんだか? 幼馴染の温情って言うのなら余計なお世話だ。

「アンタは今、大判狂わせを起こしてバベル闘技場でも注目の的よ。だけど、人気な分、一回の試合で得られる額は少なくなるわね。皆がアンタに賭けるんだもの」

「競馬でいう所のオッズが低くなるってヤツだな」

「この前が四倍だったから、次は半分くらいかしらね?」

 一試合勝っても二倍。そして、俺の賭けていい額の制限は所持金の三分の一まで。

「お前! ギャンブルで借金返させる気ないじゃん!」

「返済までの足しと気晴らしにはなるでしょ? というか一括返済をギャンブルで済まそうとするな!」

「うっ……けど、かなり危険な橋を渡っても、見返りが微妙な気がするんだが」

「だって、本当の狙いは違うもん」

 ネジはふふんと、得意げに鼻を鳴らした。 

 だが、ちょっと待て。ネジの狙いは俺に理不尽な試合をさせて、一気に大金を得ることじゃなかったのか?

「お前……マジで何企んでやがる」

「まだ内緒。ただ成功すれば、借金はチャラね」

「それ……ホントか?」

「信用ないわね」

 そりゃ、これまでも散々騙されてきてますし。

「まぁ、アンタの態度が悪かった理由も分かったし、事前にこういう話をしてなかった私にも非があったわね」

「おう。非を認めろ! そして、土下座しろ」

「調子乗んな!」

 腹を殴られた。

 しかも、ネジの奴め、拳に捻りを加えてやがる。直した身体がまたひび割れてしまった。

「……」

「なによ? 痛くないでしょ」

「痛い、痛くない以前の問題だわ!」

 粘土で傷を埋めて、硬化したら削ってと、修理がいちいちめんどくせぇんだよ。

 お前のとこの社員に修復魔法〈リペア・マジック〉を掛けて貰らうにも、すごく嫌そうな顔されるし。

 ネジがパン! と手を叩いた。

 話を切り替えるとき合図だ。コイツは自分の非を認めないどころか、俺の身体を壊したことを誤魔化そうとしてやがる。

「ねぇ、スパナ。それよりも大金を稼げる方法があるんだけど」

「……んだよ、新しい仕事の紹介か?」

「報酬はなんと三〇万ペル」

「さ……三〇万だとッ⁉」

 俺は提示された額に目を剥いてしまった。そんな美味しい仕事やるに決まってるじゃねぇか! 

 ◇◇◇

 しかし、俺もいい加減学ぶべきだったのだ。

 ネジが持ってきた儲け話だぞ。そんなものが、まともなわけがねぇって。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...