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ミッション2 ボーイミーツガール!? 彼女は銀海よりの使い?
第15話 約束(1/2)
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「えっーと、玄野鋼助」
「アミ」
「「買い出しを終え、ただいま戻りました!」」
日が暮れる頃には買い出しを終え、〈こんぺき〉へと戻ってきた二人は、緊張混じりに声を張る。
壮一の監査を終えた艦内は、異様な雰囲気に包まれていた。「そんな少女なんて知らない」という嘘を貫き通しこそできたものの、乗組員たちは皆一様にぐったりとした表情で談話室の机に突っ伏していた。
「み、皆さんはどうされたのですか⁉」
「はは、多分……色々疑われたのもそうだけど、何より和明(かずあき)隊長も壮一隊長も、絵面の圧が強いから……」
船内で繰り広げられた強面隊長同士の壮絶な睨み合いに、一同はさぞ肝を冷やしたのであろう。その当人である和明でさえ、さっき隊長室の前を通った時には、扉の前に「休息中」の札が掛けられていた。
「あっ、鋼助の野郎が帰ってきやがったぞ……」
先輩乗組員たちが、ノロノロと緩慢な動きで上体を起こす。普段なら誰かが「だらしないぞ!」と檄を飛ばす場面であろうが、状況が状況なために容認されていた。
そうして、乗組員たちは、まるでゾンビのような動作で鋼助の周りをぐるりと取り囲む。
「おいコラ、鋼助。買い出しだからって、俺たちの姫様に変なことしてねぇだろうな?」
「泣かしたり、困らせたりもしてないだろうな?」
「えっ……ちょ、ちょっと先輩方」
「どうなんだって、聞いてんだよ⁉ 鋼助よォ!」
妙なテンションで突っかかってくる強面船員たちは、普段から彼らと接している鋼助でさえ異様に思えた。
「いいか鋼助、これは大事な話なんだ。……ウチの船に乗ってる女性ってのは、鬼みたいに怖い宝条に、変人京都弁のドクターだけ。海保や海猿が女の子にキャーキャー言われんのだってもう随分と昔の話。俺たちの仕事は危険な上に女っ気もないときやがった!」
「えっと……せ、先輩。お、落ち着いた方が……!!」
「だから、姫様は俺たちの前に舞い降りた天使のような存在なんだ! そんな姫様と貴様は隊長命令でかつ、ただの買い出しとは言え、二人っきりで出かけるだなんて!」
詰め寄る船員たちの目には皆一様に血の滲むような怒りと呪詛が宿っていた。だが、そんな様子に呆れたのか一人の隊員が掌を打つ。
「はい皆、そこまで! というか、誰が鬼みたいですって?」
そこに立つのは、眉間に大きく皺を寄せた蛍であった。彼女は苛立ち混じりにこっちを睨んでいる。
「……というか、その肝心な姫様を怖がらせてるのはアンタ達の方じゃない。ほら、新人くんの背中に隠れてるし。分かったら、各員持ち場に戻りなさい!」
蛍の叱咤に乗組員たちは蜘蛛の子を散らすよう、談話室を後にする。
「蛍先輩、フォロー助かりました。多分、あのままだと先輩方に半殺しくらいにはされてたかもしれません」
「何言ってるの? 寧ろ、貴方にフォロー入れてくれたのは私じゃなくて皆の方よ」
キョトンとする鋼助とアミ。
すると、蛍はまた呆れたように首を振った。
「私たちって今、上層部に睨まれてる状態。はっきり言って、かなり不味い」
「そ、それは……」
「おかしなテンションで後輩くんに絡んできたのは、少しでもそういう雰囲気を払拭しようとチョケてみせてたのよ。二人に余計な気を遣わせないようにって。まぁ、絡み方が最悪だったとは思うけど」
蛍は「後から皆にお礼を言っておくように」とこの話を簡素に締め括る。そして耳元にまで顔を近づけると、そっと声を潜めた。
「それよりも、彼女の様子はどう? さっき自分のことを『アミ』って名乗ってたけど、もしかして本名を思い出したとか?」
「えっと、それは……」
鋼助もまた声を潜め、事のあらましを報告する。下着選びでのハプニングは意図的に伏せて。
「つまり、とりあえずは無事買い出しも終えて、彼女とも仲良くもなれた。と」
「簡素にまとめちゃえば、そうなりますね」
「けど、青い海と書いてアミちゃんか……新人くんにしては粋なことを思いつくじゃない!」
ニカっと、蛍がその表情を緩めてみせた。
「粋なこと……ですか?」
「ほら、ウチの名前は船は〈こんぺき〉でしょ。漢字で『紺碧』って書くと、『深い青』って意味なるのだから、アミちゃんを船の一員として迎えるのにもピッタリだなーって思って。というか、新人くんもそこまでキチンと考えてたのよね?」
得意げに解説を語って、一人で納得したようにうなずく蛍。
そんな自信に満ち溢れた彼女に言えるわけもないだろう。「この船の名前の由来を、たった今知りました」なんて。
「あっ……えーと……」
それを言ってしまえば、蛍にまで赤っ恥を掻かせてしまう。
「ん? まさかそこまで考えずにいたなんてこと、ないわよね?」
ジロリと蛍がこちらを睨む。
今更、どう言い訳しようとも、既に彼女の耳は先っぽの方まで真っ赤になっていた。
「あぁ……やっぱり顔に出ちゃいましたか?」
「えぇ。このお馬鹿!」
バチンっ! と蛍必殺のデコピンが、鋼助の額に炸裂する。
「アミ」
「「買い出しを終え、ただいま戻りました!」」
日が暮れる頃には買い出しを終え、〈こんぺき〉へと戻ってきた二人は、緊張混じりに声を張る。
壮一の監査を終えた艦内は、異様な雰囲気に包まれていた。「そんな少女なんて知らない」という嘘を貫き通しこそできたものの、乗組員たちは皆一様にぐったりとした表情で談話室の机に突っ伏していた。
「み、皆さんはどうされたのですか⁉」
「はは、多分……色々疑われたのもそうだけど、何より和明(かずあき)隊長も壮一隊長も、絵面の圧が強いから……」
船内で繰り広げられた強面隊長同士の壮絶な睨み合いに、一同はさぞ肝を冷やしたのであろう。その当人である和明でさえ、さっき隊長室の前を通った時には、扉の前に「休息中」の札が掛けられていた。
「あっ、鋼助の野郎が帰ってきやがったぞ……」
先輩乗組員たちが、ノロノロと緩慢な動きで上体を起こす。普段なら誰かが「だらしないぞ!」と檄を飛ばす場面であろうが、状況が状況なために容認されていた。
そうして、乗組員たちは、まるでゾンビのような動作で鋼助の周りをぐるりと取り囲む。
「おいコラ、鋼助。買い出しだからって、俺たちの姫様に変なことしてねぇだろうな?」
「泣かしたり、困らせたりもしてないだろうな?」
「えっ……ちょ、ちょっと先輩方」
「どうなんだって、聞いてんだよ⁉ 鋼助よォ!」
妙なテンションで突っかかってくる強面船員たちは、普段から彼らと接している鋼助でさえ異様に思えた。
「いいか鋼助、これは大事な話なんだ。……ウチの船に乗ってる女性ってのは、鬼みたいに怖い宝条に、変人京都弁のドクターだけ。海保や海猿が女の子にキャーキャー言われんのだってもう随分と昔の話。俺たちの仕事は危険な上に女っ気もないときやがった!」
「えっと……せ、先輩。お、落ち着いた方が……!!」
「だから、姫様は俺たちの前に舞い降りた天使のような存在なんだ! そんな姫様と貴様は隊長命令でかつ、ただの買い出しとは言え、二人っきりで出かけるだなんて!」
詰め寄る船員たちの目には皆一様に血の滲むような怒りと呪詛が宿っていた。だが、そんな様子に呆れたのか一人の隊員が掌を打つ。
「はい皆、そこまで! というか、誰が鬼みたいですって?」
そこに立つのは、眉間に大きく皺を寄せた蛍であった。彼女は苛立ち混じりにこっちを睨んでいる。
「……というか、その肝心な姫様を怖がらせてるのはアンタ達の方じゃない。ほら、新人くんの背中に隠れてるし。分かったら、各員持ち場に戻りなさい!」
蛍の叱咤に乗組員たちは蜘蛛の子を散らすよう、談話室を後にする。
「蛍先輩、フォロー助かりました。多分、あのままだと先輩方に半殺しくらいにはされてたかもしれません」
「何言ってるの? 寧ろ、貴方にフォロー入れてくれたのは私じゃなくて皆の方よ」
キョトンとする鋼助とアミ。
すると、蛍はまた呆れたように首を振った。
「私たちって今、上層部に睨まれてる状態。はっきり言って、かなり不味い」
「そ、それは……」
「おかしなテンションで後輩くんに絡んできたのは、少しでもそういう雰囲気を払拭しようとチョケてみせてたのよ。二人に余計な気を遣わせないようにって。まぁ、絡み方が最悪だったとは思うけど」
蛍は「後から皆にお礼を言っておくように」とこの話を簡素に締め括る。そして耳元にまで顔を近づけると、そっと声を潜めた。
「それよりも、彼女の様子はどう? さっき自分のことを『アミ』って名乗ってたけど、もしかして本名を思い出したとか?」
「えっと、それは……」
鋼助もまた声を潜め、事のあらましを報告する。下着選びでのハプニングは意図的に伏せて。
「つまり、とりあえずは無事買い出しも終えて、彼女とも仲良くもなれた。と」
「簡素にまとめちゃえば、そうなりますね」
「けど、青い海と書いてアミちゃんか……新人くんにしては粋なことを思いつくじゃない!」
ニカっと、蛍がその表情を緩めてみせた。
「粋なこと……ですか?」
「ほら、ウチの名前は船は〈こんぺき〉でしょ。漢字で『紺碧』って書くと、『深い青』って意味なるのだから、アミちゃんを船の一員として迎えるのにもピッタリだなーって思って。というか、新人くんもそこまでキチンと考えてたのよね?」
得意げに解説を語って、一人で納得したようにうなずく蛍。
そんな自信に満ち溢れた彼女に言えるわけもないだろう。「この船の名前の由来を、たった今知りました」なんて。
「あっ……えーと……」
それを言ってしまえば、蛍にまで赤っ恥を掻かせてしまう。
「ん? まさかそこまで考えずにいたなんてこと、ないわよね?」
ジロリと蛍がこちらを睨む。
今更、どう言い訳しようとも、既に彼女の耳は先っぽの方まで真っ赤になっていた。
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