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EP28 竜胆ちゃんバースト
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淡い尾を引きながら降り注ぐ閃光────それは防護系の魔法陣を展開しながら大気圏をブチ抜く麗華(れいか)の姿だった。
夕星(ゆうせい)もその姿を〈エクステンド〉のカメラアイ越しに捉える。
「なっ……マジかよ⁉」
作戦は自分がシールドを展開してからの決行だった筈。それに宇宙から降って来るなんて聞いていない。
夕星が困惑するのも束の間で、すぐに通信内へ未那月(みなつき)が割り込んできた。
『神室くん。今の君ならば何ら問題ないはずだ』
「……あぁ、今回はそういう無茶ぶりですか……だったらッ!」
夕星はある種のゾーンに突入しようとしていた。操縦桿の絶妙な操作、踏板(キックペダル)の適格なキッキングダウン。その全てを鋭敏に研ぎ澄まされた集中力が可能とする。
現に襲いくる怪獣の一体の挙動があまりに緩慢に見えた。筋骨の動きを見れば、攻撃のタイミングだって予見できる。
「鈍いんだよッ!」
抜き放たれたブレードが刻み付ける銀線に一切の容赦はない。
きっと未那月も、今の夕星ならばやれると確信しての作戦強行であろう。
彼女の十二の型式から成る剣技もまた神業であり、その戦利眼の鋭さも抜群だ。
一見無茶苦茶なように聞こえる指示でも、そんな彼女が勝機を見出したタイミングに誤りはないと、夕星は確信する。
「なぁ、〈エクステンド〉。ちょっと無茶しようぜ?」
鋼の巨人の双眸も、主に応えるよう明滅した。各部アクチュエーターの制限を開放。背面に折りたたまれていたシールドを翼のように展開して見せる。
「ッッ!!」
創り出された怪獣たちも残りはざっと四、五体だ。ならば広げた翼で蛹の怪獣を包み込むイメージで、シールド達を押し付けてやった。
サブアームによって次々、荒野に突き立てられていくシールドは蛹を円状に取り囲む。そうなれば他の雑魚も纏めて包囲完了だ。
既に「魔女」は雲を突き抜けて、蛹の頂点へと迫りつつある。座標の細かなズレも的が大きければ関係ない。
「エゴシエーター能力発動!」
展開されたシールド達は「絶対に衝撃を逃さない盾が欲しい」という願いから創り出された産物だ。そこに加えて〈エクステンド〉自身が吹き飛ばされないよう、足裏に「絶対に抜けることのないアイゼン」を増設する。
これで準備は整った。夕星自身も衝撃に備えるために歯をキツく食い縛る。
そのコンマ数秒後────皓い閃光が蛹へと叩きつけられた。
エネルギーとエネルギーの衝突はさらに激しい閃光と、轟音を生み出す。夕星の視覚と聴覚が蹂躙されるのも、必然であった。
それでも装甲越しに感じる凄まじい熱と、衝撃は本物だ。蛹の外郭を破壊するどころか、この荒野にさえ大穴を穿つような迫力が伝わって来る。
「ッッ……!!」
一瞬だって気を抜くことは許されない。夕星も呼応するように腹の底から吼える。
「いっけえェェ!! 竜胆麗華ァァァァ!!」
これが「魔女」のエゴシエーターが誇る最大火力だ。
轟音の後には決まって静寂が訪れる。鼓膜に痺れを感じながらも、眩んでいた視力は少しずつ回復していく。
蛹の内に秘められたエネルギーは展開したシールドによって受け止められ、逃げ場を失った怪獣達も消し飛ばされた。
目を開けた先には、核心を抑えた麗華がムカつく澄まし顔で立ちすくんでいるのだろう。
「やったのか……?」
だが、目を開けた夕星の前に広がるのは予想と一八〇度反転した光景であった。
夕星(ゆうせい)もその姿を〈エクステンド〉のカメラアイ越しに捉える。
「なっ……マジかよ⁉」
作戦は自分がシールドを展開してからの決行だった筈。それに宇宙から降って来るなんて聞いていない。
夕星が困惑するのも束の間で、すぐに通信内へ未那月(みなつき)が割り込んできた。
『神室くん。今の君ならば何ら問題ないはずだ』
「……あぁ、今回はそういう無茶ぶりですか……だったらッ!」
夕星はある種のゾーンに突入しようとしていた。操縦桿の絶妙な操作、踏板(キックペダル)の適格なキッキングダウン。その全てを鋭敏に研ぎ澄まされた集中力が可能とする。
現に襲いくる怪獣の一体の挙動があまりに緩慢に見えた。筋骨の動きを見れば、攻撃のタイミングだって予見できる。
「鈍いんだよッ!」
抜き放たれたブレードが刻み付ける銀線に一切の容赦はない。
きっと未那月も、今の夕星ならばやれると確信しての作戦強行であろう。
彼女の十二の型式から成る剣技もまた神業であり、その戦利眼の鋭さも抜群だ。
一見無茶苦茶なように聞こえる指示でも、そんな彼女が勝機を見出したタイミングに誤りはないと、夕星は確信する。
「なぁ、〈エクステンド〉。ちょっと無茶しようぜ?」
鋼の巨人の双眸も、主に応えるよう明滅した。各部アクチュエーターの制限を開放。背面に折りたたまれていたシールドを翼のように展開して見せる。
「ッッ!!」
創り出された怪獣たちも残りはざっと四、五体だ。ならば広げた翼で蛹の怪獣を包み込むイメージで、シールド達を押し付けてやった。
サブアームによって次々、荒野に突き立てられていくシールドは蛹を円状に取り囲む。そうなれば他の雑魚も纏めて包囲完了だ。
既に「魔女」は雲を突き抜けて、蛹の頂点へと迫りつつある。座標の細かなズレも的が大きければ関係ない。
「エゴシエーター能力発動!」
展開されたシールド達は「絶対に衝撃を逃さない盾が欲しい」という願いから創り出された産物だ。そこに加えて〈エクステンド〉自身が吹き飛ばされないよう、足裏に「絶対に抜けることのないアイゼン」を増設する。
これで準備は整った。夕星自身も衝撃に備えるために歯をキツく食い縛る。
そのコンマ数秒後────皓い閃光が蛹へと叩きつけられた。
エネルギーとエネルギーの衝突はさらに激しい閃光と、轟音を生み出す。夕星の視覚と聴覚が蹂躙されるのも、必然であった。
それでも装甲越しに感じる凄まじい熱と、衝撃は本物だ。蛹の外郭を破壊するどころか、この荒野にさえ大穴を穿つような迫力が伝わって来る。
「ッッ……!!」
一瞬だって気を抜くことは許されない。夕星も呼応するように腹の底から吼える。
「いっけえェェ!! 竜胆麗華ァァァァ!!」
これが「魔女」のエゴシエーターが誇る最大火力だ。
轟音の後には決まって静寂が訪れる。鼓膜に痺れを感じながらも、眩んでいた視力は少しずつ回復していく。
蛹の内に秘められたエネルギーは展開したシールドによって受け止められ、逃げ場を失った怪獣達も消し飛ばされた。
目を開けた先には、核心を抑えた麗華がムカつく澄まし顔で立ちすくんでいるのだろう。
「やったのか……?」
だが、目を開けた夕星の前に広がるのは予想と一八〇度反転した光景であった。
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