怪談を語ってはいけない ―フリーライターが触れた禁忌の共有フォルダ―

悠月

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序章

「身元不明」のボイスメモ

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【検証資料】撮影スタジオ内で突如再生された「身元不明」のボイスメモ


『……えっと、録れてるかな? 時刻は、たぶん午後二時前後。ここは……池公園……最寄り駅に着いたんですけど――』



(――ザザッ、というノイズ)



『……おかしいな。方向が、わからない。エネルギー、というか……“ない”。ここ、ほんとに池あった……?』



『……あ、祠だ。弁財天……だと思うけど。でも、いない。神さまが……。ここ、弁財天じゃない』



(――キィン、という高音ノイズ)



『何これ、シャッターが切れない。何度やっても……あ、待って、これ……石碑?』



(※これ以降、音声が不自然に明瞭になる)



『裁判……? 昭和……所有権……――ああ、そういうことか』



(再び、激しいノイズ)



『ここ、“記憶が重なってる”。来た人によって、見えてるもの、違う――』

『……この話を、自分たちの真実の話として書いてくれ、と頼まれたんです』  



(――ブツッ。録音終了)
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