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第二章『奴隷王国ドーレル滅亡』

6話

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 クロードが部屋の扉を開けて直ぐ部屋の中からルーチェの入室を止めようとする声が聞こえるが、時すでに遅し、クロードは扉をバンッと開け放ってしまった。

「――!?きゃああああああ!!ク、クロード様、見ないで下さいまし//////」

「あ!あ、えっと、し、失礼しました」

 クロードは急いで部屋の外に出ると扉を閉めて一応辺りに誰かいないか確認をする。

「ルーチェ様、失礼いたしました。お、お着替えが終わりましたらお声をお掛けいただけますでしょうか」

「は、はい。わかりました。少しお待ちくださいませ」

 数分して部屋の中からルーチェの声が聞こえて来た。

「お待たせしました。クロード様、どうぞお入りくださいませ」

「…………////// 失礼します」

 クロードが部屋の中に入ると、そこには寝巻から部屋着に着替えベッドに腰かけこちらに背を向けているルーチェの姿があった。

(はぁ~、こっちに背を向けているし、気分を害してしまったかな。……ん?耳が先まで真っ赤になっているな。……よく見たら首筋まで真っ赤になっているじゃないか。……まあ、男に着替え中のあられもない姿を見られてしまったのだから当たり前か)

 クロードはルーチェの気持ちを勝手に理解したつもりになりあえてルーチェには近づかず扉の前から声を掛けた。

「ルーチェ様、俺達はこれから奴隷王国ドーレルの罪を暴きにドーレルに向かう。だから行く前にルーチェ様に会いに来たんだけど、ちょっとタイミングが悪かったな。さっきは悪かった。いい知らせが出来るように皆で頑張って来るから。……それじゃあな」

 クロードはそれだけ言うと部屋の扉を開けて部屋を出ようとする。

 すると突然、背中に衝撃と何かもにゅんっと柔らかい感触を感じる。

 首を傾げて背後を見やるとそこには背中に引っ付くルーチェの姿があった。

「どうしたのですか?俺はもう行かないといけないんですよ」

「ええ、わかっています。わかっています!!でも、でも、離れたくないって思っちゃったんですから仕方ないじゃないですか!!わたくしは貴方にクロード様に危険な所に行ってほしくないのです。…………もの凄く身勝手な我儘を言っている事はわかっています。ふぅ、もう大丈夫ですわ。クロード様、十分に気お付けて行ってきてくださいまし。わたくしは大聖堂でクロード様と皆さんの無事を祈っておりますわ」

「ああ、ありがとう。ルーチェ。皆にもルーチェの気持ちを伝えておくよ。じゃあ、行って来る」

「はい!!行ってらっしゃいませ。クロード様」

 ルーチェは涙でぬれた目元を拭うとパア!!とした素敵な笑顔でクロードを部屋から見送るのだった。

 余談だがクロードは王城を出る前にパルにルーチェの側を決して離れない様にと指示を飛ばしていた。

***

 ルーチェと別れたクロードはその足で王都の屋敷に戻ると屋敷で待機していた皆と合流し王都を出発した。

 クロードは皆と遠出用に作っておいた空間拡張済みの大型馬車に乗って移動しながら王城であった事とルーチェのクロード達に対す気持ちについて話していた。

「成程ね。そんなことがあったんだ」

 アイリやマルティ達が相槌を打ちながらクロードの話を聞いているとその横から

「しかしなクロード。女性の部屋の扉を一気に開けてしまうのは私は駄目だと思うぞ」

 ケイ姉が王城でクロードが犯した失態についてやけにグチグチと注意して来る。

(まさか、俺がケイ姉の家で今回と全く同じ失態を犯していたことをまだ覚えていると言うのか。あれは俺がまだ4歳の時の事だからケイ姉もまだ5歳くらいだったと思うんだけど、こう言うことは昔っからよく覚えているんだよな。いったいどんな記憶力をしてるんだか)

 その後、奴隷王国ドーレルの王都に一番近い商業の街付近までは魔物や盗賊などの襲撃もなく平和な馬車旅が続き、クリエール王国の王都クエールを出発してから約5日で奴隷王国ドーレルの王都の目と鼻の先まで迫っていた。

「もう、陽も暮れそうだし今日の所はあそこに見える街で宿でも探そうか」

 クロードの意見に皆が頷き、クロード達は奴隷王国ドーレルの王都に一番近い商業の街で一夜を明かすことになった。


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