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4巻
4-2
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***
開拓生活、四日目。
クロード達は朝からリビングに集まり、テーブルに大きな紙を広げて、これから作る城下町の相談をしていた。
紙の上に屋敷の場所を書き込んだクロードは、それを囲うような円を描く。この円が、城下町の予定地だ。
「まず、領主邸を中心に街を四つの区画に分けて……」
二本の線を引き、城下町予定地を四つの区分に分ける。
そして、図面を指差して言った。
「よし。みんなに意見を聞きたいんだけど……街に、何が欲しいかな?」
「そうね。私としては東に商業区、西に工業区、そして南と北に居住区と、目的別に区画を使い分けるのがいいと思うわ」
「なるほど……アイリさん、商業区と工業区を東西に置こうと思った理由を、具体的に教えてくれない?」
クロードが尋ねると、アイリは説明を始めた。
彼女によると、商業区を東に置く事で隣のミーガン領や、その先にある王都との距離が近くなる、既存の街道も利用出来る……といったメリットが多く、こちらに商業区があった方が他領とのやり取りを円滑に行えるとの事だ。
また、工業区を西に置く理由は、魔の大森林に近いからだそうだ。
魔の大森林はモンスターの巣窟だが、冒険者や兵士がいれば十分に抑止出来る。魔の大森林で採れた素材を、街の中に運ぶ手間を減らせるのではないか……という話だった。
「確かに。アイリさんの言う通りにした方が、色々と上手くいきそうだな。何かトラブルが起きたら、その都度領民達に意見を求めて改善していく事にしようか」
他にも仲間達のアドバイスをいくつか聞き、クロードは話を終わらせた。
そして描き上げた図面を丸めてアイテムボックスにしまい、みんなを連れて屋敷の外に出たのだった。
外では、現在進行形で建築ゴーレム達が働いていた。領主邸の直ぐそばに、小さめの離れを建てるためだ。
この離れには、クロードが辺境の地で役に立ちそうな道具を作るための錬金室や、みんなの趣味のための部屋が設けられる予定だ。
クロード達の注文が細かすぎたようで、離れの建設の進捗はまだ半ば程である。
離れの完成度を確認したクロード達は、その場を離れた。そして、あらかじめ用意していた石材を用い、土魔法で小高い丘から下りる道や、緩やかな石畳の階段を作る。
階段が出来れば、次は屋敷が立っている丘を囲う防壁……言わば、第一防壁の建設に移った。
クロードは仲間達と別れて、一人で丘を下りる。そして十分な距離を取ると、地面に手を当てて土魔法を行使した。
すると――
ゴゴゴゴゴゴ――‼
丘を囲うように高さ七メートル、横十数メートル、幅五メートル程のゴツイ壁が出現した。
クロードは同じ事をさらに数回行って、丘を完全に囲う。そして、仲間達と協力して武骨な土の壁を整備していった。
防壁の整備が終わる頃には、クロード達の要望満載の離れもほとんど完成していた。あとは最後の仕上げを残すだけだ。
「この離れが出来れば、これから出来る街の防衛に必要な魔道具を作れるね」
「はい。ですが、今日は既に日が落ちています。魔道具の製作は明日からになさってはいかがですか?」
ナビーの指摘はもっともだ。クロードは素直に従い、その日の仕事を終わらせた。
その後は夕食をとって風呂に入ると、みんな早々に就寝するのだった。
***
翌日。クロードは今朝完成したばかりの離れにて、魔道具の製作に取りかかっていた。
この離れには大小様々な個室がある。
クロードが今いる部屋は、地下にある錬金室だ。
ここはクロード、そしてアモンが魔道具を製作する部屋であり、クロードは今、街を覆う結界を張るための魔道具を試作していた。
「えっと、結界の形状はドーム状にして……街に入ろうとする人物やモンスターの悪意や敵意を感知して、危ない奴を弾けるようにして……範囲は……試作品だし、とりあえず錬金部屋が収まる位の大きさで……」
クロードは自らが編んだ魔法陣を、準備しておいた水晶玉に封じ込める。これで結界の魔道具の試作品が出来た。
完成させた魔道具を置き去りに、クロードは錬金部屋を出た。遠隔で魔道具を起動させると、ドーム状の結界が部屋を覆うように展開される。
「きちんと結界が働くかテストしよう」
クロードは「錬金部屋を壊してやる」という気持ちで、部屋への侵入を試みる。
――バチン!
扉を開けようとした彼は、水晶玉に組み込んだ魔法陣の設定通りに、結界に弾かれてしまった。
「よし‼ 成功だ。あとは完成品を作って、領主邸の地下に作った部屋に設置すればいい……そうだ。完成した魔道具を置く台座も作らないと。丁度石材が余っているし、それで作るか」
そうして、クロードは結界の魔道具の製作と台座作りに没頭した。
昼食の時間を知らせにきたケイトによって作業が中断させられるまで、部屋には錬金術が生み出す金色のスパークが輝くのだった。
***
結界魔道具を完成させて、領主邸の地下室に設置、起動させた翌日。
クロードは国王と宰相のオーグストに作業の進捗を報告すべく、転移魔法で王城を訪れていた。
「――というわけで、城下町の予定地には結界を張り終えました。領都開発のため、人員の派遣をお願いします。結界内は絶対に安全ですので、騎士団の方々は少人数で結構です。出来れば、大工などの建設業の人達を多く派遣していただけると助かります」
「うむ。わかった。早速手配しよう」
そう言った国王がオーグストへ視線を向け、小さく頷く。
直ぐにオーグストが席から立ち上がり、一礼して退室していった。
「しかし、結界の中は安全なのか……では、ルーチェをそちらに行かせてもいいかもしれないなぁ。あやつもお前達に中々会えなくて毎日寂しがっておるのだ。どうだ、ブレイク伯爵よ」
「……ええ、そうですね。領主邸は既に出来ていますので寝泊まりには困りませんし、ルーチェ様には契約精霊のパルが付いています。戦力的にも問題ないかと」
「そうか。では、マーデイク領に戻る時に、ルーチェを連れていってやってくれ。あの子も喜ぶだろう。頼んだぞ、ブレイク伯爵」
国王にルーチェを連れていくように言われたクロードは、応接室を出て、ルーチェの私室に足を運んだ。
――コン、コン。
クロードがルーチェの部屋の扉をノックする。
すると、中からウキウキしている気持ちを感じさせるかのように元気な声が聞こえてきた。
「はい! どちら様ですか?」
「クロードです。お迎えに参りました。俺と一緒にマーデイク領へ行きましょう」
ルーチェは勢いよく部屋の扉を開けた。
「お待ちしておりましたわ‼ 話は父とパルから聞きました。旅支度も既に済んでおりますのよ。クロード様、さあ参りましょう。『天の祝福』や『銀狼の牙』の皆様にお会いするのは、久しぶりですわね。とても楽しみですわ」
そう言って、ルーチェは荷物が詰まった大型のトランクケースを部屋から運び出そうとする。
そんな彼女を、お付きのメイドが制止した。
「ルーチェ様。はやる気持ちはお察ししますが、まだお待ちを。今回はマーデイク領へ派遣される人員と共に移動なさるのでしょう? 国王陛下の人員手配が完了するまで、まだ時間がかかりますわ」
「おっと、そうでしたわね。クロード様にお会い出来た事が嬉しすぎて、失念していましたわ……クロード様、準備が出来るまで私の部屋でお茶でもいかがでしょうか? 今までの冒険の話を聞かせてくださいませ」
使いの者がやって来たのは、冒険の話をしつつお茶を飲んで時間を潰し始めてから、丁度三時間が経過した時だった。
「失礼いたします。ルーチェ第二王女殿下、ブレイク伯爵閣下。マーデイク領へ派遣する人員の準備が整いました。大人数ですので、王城の中庭に待機させています。国王陛下と宰相閣下も既にいらっしゃっておりますよ」
クロードとルーチェは、使いの者に連れられて中庭に向かった。
中庭には、百人を超える大工と国王、そしてオーグストが待っていた。
「国王陛下、宰相閣下。ルーチェ第二王女殿下とブレイク伯爵閣下をお連れいたしました」
「うむ。ご苦労であった。下がってよい」
国王の言葉を聞き、使いの者は一礼してその場を去っていった。
「さて、待たせたなブレイク伯爵よ。彼らがこれからマーデイク領における城下町の建設を担う者達だ。足りなければ追加の人員を派遣するが……まずは彼らと頑張ってくれ。健闘を祈るぞ。ではな」
国王はクロードの隣で大人しく控えていたルーチェへ軽く目配せすると、オーグストを連れて中庭をあとにした。
国王とオーグストを見送り、クロードは中庭に集められた大工達に向き直る。
「それでは改めて。あなた達がこれから向かうマーデイク領を治める事になった、クロード・フォン・ブレイクです。こちらは俺の婚約者であるルーチェ様。知っていると思いますが、この国の第二王女です。俺には他に何人か婚約者がいますから、あっちに着いたら紹介します……それでは出発しましょう」
クロードがそう言うと、足元に転移魔法陣が現れる。
そして、彼は大工達とルーチェ、そしてルーチェのお付きのメイドと共に、マーデイク領の領都に『転移』した。
みんなと一緒にマーデイク領へやって来たクロードは、早速、大工達のうちリーダー格の者数名を集めた。彼らを領主邸の会議室に連れていき、自身の婚約者達を紹介する。
そして、領都の設計図を見せて話し合いを始めた。
「――それで、この図面が俺達があらかじめ考えておいた設計図なんですが……このまま進めていいのか素人の俺達じゃ判断がつかなくて。意見を聞かせてもらいたいんです」
「ふむ、なるほどな。概ね問題はなさそうだが……」
大工の一人が言葉を区切り、辺りを見回す。
「ところで、この領主邸は誰が作ったんだ? 作り手の真心が細部から感じ取れる。中々の腕を持った大工の仕事だと思うが」
その質問に、クロードはアイテムボックスからアモンが作ってくれた建築ゴーレムを取り出した。
「この領主邸と隣に立っている離れを建てたのは、このゴーレム達です。ここにはいない仲間の一人に作ってもらったんですが、中々優秀で重宝しています」
建設業者のリーダー達は、その言葉に興味を引かれたらしい。クロードが取り出したゴーレムを隅々まで見て、興味深そうに触って調べている。
クロードはそんな彼らからアドバイスを受けて細かな修正を加え、領都の設計図を完成させた。
そして、翌日からマーデイク領の領都開発に着工する事を宣言するのだった。
***
マーデイク領の領都開発が始まってから、早いもので二週間が過ぎようとしている。
クロードはまず、大工達に居住区の建築に取りかかってもらった。アモン製の建築ゴーレムの活動もあり、こちらにはみるみるうちに家が建てられた。領都開発は順調だ。
しかし、最近の彼には気になる事があった。
どうもこの頃、魔の大森林に生息するモンスターの数が、クロード達がこの地にやって来た時よりも増えてきているようなのだ。
街を守る結界があるとはいえ、これは由々しき事態だ。
クロードは『守護者の集い』の面々……もとい、自身の婚約者達を領主邸の会議室に集めた。
そして、何故モンスターが増えてきたのか話し合う。
「――まさか、大森林の奥地に強力なモンスターでも生まれたのでしょうか。弱いモンスターが棲み処を追われ、この地に押し寄せてきているのでは?」
ナビーが一つの仮説を口にすると、アイリは頷いた。
「その線もあるけれど……私は新しいダンジョンが出来た可能性を考えているわ。意外と、ナビーと私、両方ともが正しいかもね」
「なるほど……」
クロードは相槌を打ち、考え込む。
(……どちらにしても、厄介な事態になる。しかも、最悪両方の可能性だって? ここは俺達で大森林の偵察をした方がいいかもしれない。頑張って領都開発をしてくれている大工達に余計な心配をかけないように、こっそり、慎重に事を進めよう)
クロードは自身の考えをまとめ、今後の方針を婚約者達に伝えた。
そして、念のため領主邸にはルーチェとパル、ルーチェお付きのメイドに待機してもらい、仲間と共にこっそり街を出たのだった。
街を覆う結界を出て、大森林に入ってしばらく歩く。
すると、大森林の奥地からクロード達の方へ向かってくる大量の気配を感じた。
「……何かがこっちに向かってきているみたいだ。敵を排除し次第、複数班に分かれて大森林の調査を行う。みんな、よろしくね」
クロードの言葉に、仲間達が頷く。
――ドタドタ、ドタドタ!
クロード達が戦闘準備を整えて少しすると、前方から何かが走ってくる音が聞こえてきた。
「来るぞ。備えろ‼」
そして、ついにその何かが姿を現す。
「グレートスタンプボアの群れ……!?」
「いいえ。それだけではありません。群れの後ろを見てください」
ナビーの言葉で、クロード達は一斉にグレートスタンプボアの群れの後方を凝視した。
「な⁉ あれは‼」
グレートスタンプボアの群れの後方に見え隠れしている巨大な影――その正体はなんと、手負いのSSランクモンスター、黒竜であった。
「なんでこんなところに黒竜がいるんだ⁉ しかも手負いで……とりあえず対処しないと! 結界内にある俺達の領都はともかく、隣領のミーガン領に逃げられたら、向こうの土地で被害が出てしまう」
クロードは一度、遠く離れたミーガン領がある方角を見据えた。
そして覚悟を決めると、自分の武器を構える。
クロード達の目の前まで、グレートスタンプボアの群れが迫ってきた。
「『四聖結界』‼ ――よし。足止め成功だ。みんな‼ 行くぞ‼」
ケイトをはじめとする仲間達は、クロードの結界術で足止めを喰らったグレートスタンプボアに一斉に飛びかかった。
突如として出現した透明な壁によって足止めされたグレートスタンプボア達は、為す術なくケイト達に倒されていく。
あっという間に最後のグレートスタンプボアを倒した一行は、群れの後方からこちらの様子を窺っていた黒竜と対峙した。
グレートスタンプボアの群れを倒し、早数分。
睨み合いが続く中、先に仕掛けたのは黒竜の方だった。
黒竜は傷ついた翼を羽ばたかせ、巨大な竜巻を起こす。
竜巻は方向を違わずクロード達に迫った。そして、彼らを一瞬で呑み込んでしまう。
「ギャアオオオオオ‼」
クロード達が巨大竜巻に呑み込まれたのを見て、黒竜は自らの勝利を確信したかのように咆哮を上げる。
ところが、巨大竜巻を喰らった一行は、ドーム状に展開した『四聖結界』によって事なきを得ていた。
嵐のように吹き荒れる風の中で、アイリがぼそりと呟く。
「まさか初撃にこんな大技を放ってくるなんて。あの黒竜、相当余裕がなかったのかしらね。普通は人間になんて目もくれないでしょうに」
「うむ。確かにそうかもしれんのう。しかし、あの黒竜はいったい何にあそこまで痛めつけられたのかのう? 翼があそこまで傷んでおっては、治ったとしてもなんらかの後遺症が残るじゃろうな。哀れな生を送らせるのは酷じゃし、ここで楽にしてやるか」
マールの言葉に、一同は頷いた。
クロードやケイト、ベロニカといった剣士職の者は、暴風をまき散らす巨大竜巻に向けて、剣を構える。
ナビー、アイリ、マルティといった魔法職の者は、手のひらに魔力を集めた。
レイアやマール、五つ子狼達もまた、集中する。
そして息を合わせ、クロード達は魔力を乗せた斬撃を、ナビー達とレイア達は純粋な魔力の塊……魔力弾を放った。
――ズバッ‼ ズドン‼
「ギュアア⁉」
竜巻の中から突如放たれた攻撃を、黒竜は間抜けな声を出しながらかろうじて回避した。
一拍置いて事態を理解し、黒竜が地上へ目を向ける。
そこにはもはや竜巻などなかった。代わりにあるのは、傷一つなくピンピンした様子で立つ、クロード達の姿だ。
クロード達は、斬撃と魔力弾によって竜巻を霧散させたのだ。
黒竜の困惑顔を見るや否や、『守護者の集い』の面々は一斉に駆け出す。
(この隙を逃すわけにはいかない。ここで一気に片付けさせてもらうぞ‼ 黒竜‼)
前衛のクロードとケイト、ベロニカ、レイア、マール、そして五つ子狼達は、後衛のナビーの支援魔法を受け、黒竜に攻撃を仕掛ける。
ナビー以外に、アイリとマルティが後衛として残っていた。二人はクロード達が安全に黒竜に接近出来るように、様々な魔法を放って牽制する。
アイリとマルティの放った魔法に気を取られ、黒竜が僅かに視線をそらした。
前衛組がその隙に乗じて空中に飛び上がり、黒竜に切りかかる。
クロード達の斬撃は、なんの抵抗もなく黒竜の体を切り裂いた。
「ギャアアアア‼」
耐えがたい痛みに、黒竜は堪らず天に向かって咆哮を上げながら落下した。そして、地面をのたうち回る。
「……みんな、後退するぞ。黒竜との距離を取るんだ……ナビー‼ アイリさんとマルティさんと一緒に攻撃魔法を撃って‼」
後方で待機していたナビーとアイリ、マルティは、クロードの指示を受け、黒竜に追い討ちをかける。
――ドガガガン!!
「ギュアアア!?」
黒竜は再びの激痛に悶絶した。
「――今だ‼ 畳みかけるぞ‼」
動きが止まった黒竜を見て、クロードが号令をかける。
全員が黒竜へ駆け寄り、魔斬や魔力弾、魔爪などを叩き込んだ。
かくして黒竜は力尽き、魔の大森林の地に沈んだのだった。
開拓生活、四日目。
クロード達は朝からリビングに集まり、テーブルに大きな紙を広げて、これから作る城下町の相談をしていた。
紙の上に屋敷の場所を書き込んだクロードは、それを囲うような円を描く。この円が、城下町の予定地だ。
「まず、領主邸を中心に街を四つの区画に分けて……」
二本の線を引き、城下町予定地を四つの区分に分ける。
そして、図面を指差して言った。
「よし。みんなに意見を聞きたいんだけど……街に、何が欲しいかな?」
「そうね。私としては東に商業区、西に工業区、そして南と北に居住区と、目的別に区画を使い分けるのがいいと思うわ」
「なるほど……アイリさん、商業区と工業区を東西に置こうと思った理由を、具体的に教えてくれない?」
クロードが尋ねると、アイリは説明を始めた。
彼女によると、商業区を東に置く事で隣のミーガン領や、その先にある王都との距離が近くなる、既存の街道も利用出来る……といったメリットが多く、こちらに商業区があった方が他領とのやり取りを円滑に行えるとの事だ。
また、工業区を西に置く理由は、魔の大森林に近いからだそうだ。
魔の大森林はモンスターの巣窟だが、冒険者や兵士がいれば十分に抑止出来る。魔の大森林で採れた素材を、街の中に運ぶ手間を減らせるのではないか……という話だった。
「確かに。アイリさんの言う通りにした方が、色々と上手くいきそうだな。何かトラブルが起きたら、その都度領民達に意見を求めて改善していく事にしようか」
他にも仲間達のアドバイスをいくつか聞き、クロードは話を終わらせた。
そして描き上げた図面を丸めてアイテムボックスにしまい、みんなを連れて屋敷の外に出たのだった。
外では、現在進行形で建築ゴーレム達が働いていた。領主邸の直ぐそばに、小さめの離れを建てるためだ。
この離れには、クロードが辺境の地で役に立ちそうな道具を作るための錬金室や、みんなの趣味のための部屋が設けられる予定だ。
クロード達の注文が細かすぎたようで、離れの建設の進捗はまだ半ば程である。
離れの完成度を確認したクロード達は、その場を離れた。そして、あらかじめ用意していた石材を用い、土魔法で小高い丘から下りる道や、緩やかな石畳の階段を作る。
階段が出来れば、次は屋敷が立っている丘を囲う防壁……言わば、第一防壁の建設に移った。
クロードは仲間達と別れて、一人で丘を下りる。そして十分な距離を取ると、地面に手を当てて土魔法を行使した。
すると――
ゴゴゴゴゴゴ――‼
丘を囲うように高さ七メートル、横十数メートル、幅五メートル程のゴツイ壁が出現した。
クロードは同じ事をさらに数回行って、丘を完全に囲う。そして、仲間達と協力して武骨な土の壁を整備していった。
防壁の整備が終わる頃には、クロード達の要望満載の離れもほとんど完成していた。あとは最後の仕上げを残すだけだ。
「この離れが出来れば、これから出来る街の防衛に必要な魔道具を作れるね」
「はい。ですが、今日は既に日が落ちています。魔道具の製作は明日からになさってはいかがですか?」
ナビーの指摘はもっともだ。クロードは素直に従い、その日の仕事を終わらせた。
その後は夕食をとって風呂に入ると、みんな早々に就寝するのだった。
***
翌日。クロードは今朝完成したばかりの離れにて、魔道具の製作に取りかかっていた。
この離れには大小様々な個室がある。
クロードが今いる部屋は、地下にある錬金室だ。
ここはクロード、そしてアモンが魔道具を製作する部屋であり、クロードは今、街を覆う結界を張るための魔道具を試作していた。
「えっと、結界の形状はドーム状にして……街に入ろうとする人物やモンスターの悪意や敵意を感知して、危ない奴を弾けるようにして……範囲は……試作品だし、とりあえず錬金部屋が収まる位の大きさで……」
クロードは自らが編んだ魔法陣を、準備しておいた水晶玉に封じ込める。これで結界の魔道具の試作品が出来た。
完成させた魔道具を置き去りに、クロードは錬金部屋を出た。遠隔で魔道具を起動させると、ドーム状の結界が部屋を覆うように展開される。
「きちんと結界が働くかテストしよう」
クロードは「錬金部屋を壊してやる」という気持ちで、部屋への侵入を試みる。
――バチン!
扉を開けようとした彼は、水晶玉に組み込んだ魔法陣の設定通りに、結界に弾かれてしまった。
「よし‼ 成功だ。あとは完成品を作って、領主邸の地下に作った部屋に設置すればいい……そうだ。完成した魔道具を置く台座も作らないと。丁度石材が余っているし、それで作るか」
そうして、クロードは結界の魔道具の製作と台座作りに没頭した。
昼食の時間を知らせにきたケイトによって作業が中断させられるまで、部屋には錬金術が生み出す金色のスパークが輝くのだった。
***
結界魔道具を完成させて、領主邸の地下室に設置、起動させた翌日。
クロードは国王と宰相のオーグストに作業の進捗を報告すべく、転移魔法で王城を訪れていた。
「――というわけで、城下町の予定地には結界を張り終えました。領都開発のため、人員の派遣をお願いします。結界内は絶対に安全ですので、騎士団の方々は少人数で結構です。出来れば、大工などの建設業の人達を多く派遣していただけると助かります」
「うむ。わかった。早速手配しよう」
そう言った国王がオーグストへ視線を向け、小さく頷く。
直ぐにオーグストが席から立ち上がり、一礼して退室していった。
「しかし、結界の中は安全なのか……では、ルーチェをそちらに行かせてもいいかもしれないなぁ。あやつもお前達に中々会えなくて毎日寂しがっておるのだ。どうだ、ブレイク伯爵よ」
「……ええ、そうですね。領主邸は既に出来ていますので寝泊まりには困りませんし、ルーチェ様には契約精霊のパルが付いています。戦力的にも問題ないかと」
「そうか。では、マーデイク領に戻る時に、ルーチェを連れていってやってくれ。あの子も喜ぶだろう。頼んだぞ、ブレイク伯爵」
国王にルーチェを連れていくように言われたクロードは、応接室を出て、ルーチェの私室に足を運んだ。
――コン、コン。
クロードがルーチェの部屋の扉をノックする。
すると、中からウキウキしている気持ちを感じさせるかのように元気な声が聞こえてきた。
「はい! どちら様ですか?」
「クロードです。お迎えに参りました。俺と一緒にマーデイク領へ行きましょう」
ルーチェは勢いよく部屋の扉を開けた。
「お待ちしておりましたわ‼ 話は父とパルから聞きました。旅支度も既に済んでおりますのよ。クロード様、さあ参りましょう。『天の祝福』や『銀狼の牙』の皆様にお会いするのは、久しぶりですわね。とても楽しみですわ」
そう言って、ルーチェは荷物が詰まった大型のトランクケースを部屋から運び出そうとする。
そんな彼女を、お付きのメイドが制止した。
「ルーチェ様。はやる気持ちはお察ししますが、まだお待ちを。今回はマーデイク領へ派遣される人員と共に移動なさるのでしょう? 国王陛下の人員手配が完了するまで、まだ時間がかかりますわ」
「おっと、そうでしたわね。クロード様にお会い出来た事が嬉しすぎて、失念していましたわ……クロード様、準備が出来るまで私の部屋でお茶でもいかがでしょうか? 今までの冒険の話を聞かせてくださいませ」
使いの者がやって来たのは、冒険の話をしつつお茶を飲んで時間を潰し始めてから、丁度三時間が経過した時だった。
「失礼いたします。ルーチェ第二王女殿下、ブレイク伯爵閣下。マーデイク領へ派遣する人員の準備が整いました。大人数ですので、王城の中庭に待機させています。国王陛下と宰相閣下も既にいらっしゃっておりますよ」
クロードとルーチェは、使いの者に連れられて中庭に向かった。
中庭には、百人を超える大工と国王、そしてオーグストが待っていた。
「国王陛下、宰相閣下。ルーチェ第二王女殿下とブレイク伯爵閣下をお連れいたしました」
「うむ。ご苦労であった。下がってよい」
国王の言葉を聞き、使いの者は一礼してその場を去っていった。
「さて、待たせたなブレイク伯爵よ。彼らがこれからマーデイク領における城下町の建設を担う者達だ。足りなければ追加の人員を派遣するが……まずは彼らと頑張ってくれ。健闘を祈るぞ。ではな」
国王はクロードの隣で大人しく控えていたルーチェへ軽く目配せすると、オーグストを連れて中庭をあとにした。
国王とオーグストを見送り、クロードは中庭に集められた大工達に向き直る。
「それでは改めて。あなた達がこれから向かうマーデイク領を治める事になった、クロード・フォン・ブレイクです。こちらは俺の婚約者であるルーチェ様。知っていると思いますが、この国の第二王女です。俺には他に何人か婚約者がいますから、あっちに着いたら紹介します……それでは出発しましょう」
クロードがそう言うと、足元に転移魔法陣が現れる。
そして、彼は大工達とルーチェ、そしてルーチェのお付きのメイドと共に、マーデイク領の領都に『転移』した。
みんなと一緒にマーデイク領へやって来たクロードは、早速、大工達のうちリーダー格の者数名を集めた。彼らを領主邸の会議室に連れていき、自身の婚約者達を紹介する。
そして、領都の設計図を見せて話し合いを始めた。
「――それで、この図面が俺達があらかじめ考えておいた設計図なんですが……このまま進めていいのか素人の俺達じゃ判断がつかなくて。意見を聞かせてもらいたいんです」
「ふむ、なるほどな。概ね問題はなさそうだが……」
大工の一人が言葉を区切り、辺りを見回す。
「ところで、この領主邸は誰が作ったんだ? 作り手の真心が細部から感じ取れる。中々の腕を持った大工の仕事だと思うが」
その質問に、クロードはアイテムボックスからアモンが作ってくれた建築ゴーレムを取り出した。
「この領主邸と隣に立っている離れを建てたのは、このゴーレム達です。ここにはいない仲間の一人に作ってもらったんですが、中々優秀で重宝しています」
建設業者のリーダー達は、その言葉に興味を引かれたらしい。クロードが取り出したゴーレムを隅々まで見て、興味深そうに触って調べている。
クロードはそんな彼らからアドバイスを受けて細かな修正を加え、領都の設計図を完成させた。
そして、翌日からマーデイク領の領都開発に着工する事を宣言するのだった。
***
マーデイク領の領都開発が始まってから、早いもので二週間が過ぎようとしている。
クロードはまず、大工達に居住区の建築に取りかかってもらった。アモン製の建築ゴーレムの活動もあり、こちらにはみるみるうちに家が建てられた。領都開発は順調だ。
しかし、最近の彼には気になる事があった。
どうもこの頃、魔の大森林に生息するモンスターの数が、クロード達がこの地にやって来た時よりも増えてきているようなのだ。
街を守る結界があるとはいえ、これは由々しき事態だ。
クロードは『守護者の集い』の面々……もとい、自身の婚約者達を領主邸の会議室に集めた。
そして、何故モンスターが増えてきたのか話し合う。
「――まさか、大森林の奥地に強力なモンスターでも生まれたのでしょうか。弱いモンスターが棲み処を追われ、この地に押し寄せてきているのでは?」
ナビーが一つの仮説を口にすると、アイリは頷いた。
「その線もあるけれど……私は新しいダンジョンが出来た可能性を考えているわ。意外と、ナビーと私、両方ともが正しいかもね」
「なるほど……」
クロードは相槌を打ち、考え込む。
(……どちらにしても、厄介な事態になる。しかも、最悪両方の可能性だって? ここは俺達で大森林の偵察をした方がいいかもしれない。頑張って領都開発をしてくれている大工達に余計な心配をかけないように、こっそり、慎重に事を進めよう)
クロードは自身の考えをまとめ、今後の方針を婚約者達に伝えた。
そして、念のため領主邸にはルーチェとパル、ルーチェお付きのメイドに待機してもらい、仲間と共にこっそり街を出たのだった。
街を覆う結界を出て、大森林に入ってしばらく歩く。
すると、大森林の奥地からクロード達の方へ向かってくる大量の気配を感じた。
「……何かがこっちに向かってきているみたいだ。敵を排除し次第、複数班に分かれて大森林の調査を行う。みんな、よろしくね」
クロードの言葉に、仲間達が頷く。
――ドタドタ、ドタドタ!
クロード達が戦闘準備を整えて少しすると、前方から何かが走ってくる音が聞こえてきた。
「来るぞ。備えろ‼」
そして、ついにその何かが姿を現す。
「グレートスタンプボアの群れ……!?」
「いいえ。それだけではありません。群れの後ろを見てください」
ナビーの言葉で、クロード達は一斉にグレートスタンプボアの群れの後方を凝視した。
「な⁉ あれは‼」
グレートスタンプボアの群れの後方に見え隠れしている巨大な影――その正体はなんと、手負いのSSランクモンスター、黒竜であった。
「なんでこんなところに黒竜がいるんだ⁉ しかも手負いで……とりあえず対処しないと! 結界内にある俺達の領都はともかく、隣領のミーガン領に逃げられたら、向こうの土地で被害が出てしまう」
クロードは一度、遠く離れたミーガン領がある方角を見据えた。
そして覚悟を決めると、自分の武器を構える。
クロード達の目の前まで、グレートスタンプボアの群れが迫ってきた。
「『四聖結界』‼ ――よし。足止め成功だ。みんな‼ 行くぞ‼」
ケイトをはじめとする仲間達は、クロードの結界術で足止めを喰らったグレートスタンプボアに一斉に飛びかかった。
突如として出現した透明な壁によって足止めされたグレートスタンプボア達は、為す術なくケイト達に倒されていく。
あっという間に最後のグレートスタンプボアを倒した一行は、群れの後方からこちらの様子を窺っていた黒竜と対峙した。
グレートスタンプボアの群れを倒し、早数分。
睨み合いが続く中、先に仕掛けたのは黒竜の方だった。
黒竜は傷ついた翼を羽ばたかせ、巨大な竜巻を起こす。
竜巻は方向を違わずクロード達に迫った。そして、彼らを一瞬で呑み込んでしまう。
「ギャアオオオオオ‼」
クロード達が巨大竜巻に呑み込まれたのを見て、黒竜は自らの勝利を確信したかのように咆哮を上げる。
ところが、巨大竜巻を喰らった一行は、ドーム状に展開した『四聖結界』によって事なきを得ていた。
嵐のように吹き荒れる風の中で、アイリがぼそりと呟く。
「まさか初撃にこんな大技を放ってくるなんて。あの黒竜、相当余裕がなかったのかしらね。普通は人間になんて目もくれないでしょうに」
「うむ。確かにそうかもしれんのう。しかし、あの黒竜はいったい何にあそこまで痛めつけられたのかのう? 翼があそこまで傷んでおっては、治ったとしてもなんらかの後遺症が残るじゃろうな。哀れな生を送らせるのは酷じゃし、ここで楽にしてやるか」
マールの言葉に、一同は頷いた。
クロードやケイト、ベロニカといった剣士職の者は、暴風をまき散らす巨大竜巻に向けて、剣を構える。
ナビー、アイリ、マルティといった魔法職の者は、手のひらに魔力を集めた。
レイアやマール、五つ子狼達もまた、集中する。
そして息を合わせ、クロード達は魔力を乗せた斬撃を、ナビー達とレイア達は純粋な魔力の塊……魔力弾を放った。
――ズバッ‼ ズドン‼
「ギュアア⁉」
竜巻の中から突如放たれた攻撃を、黒竜は間抜けな声を出しながらかろうじて回避した。
一拍置いて事態を理解し、黒竜が地上へ目を向ける。
そこにはもはや竜巻などなかった。代わりにあるのは、傷一つなくピンピンした様子で立つ、クロード達の姿だ。
クロード達は、斬撃と魔力弾によって竜巻を霧散させたのだ。
黒竜の困惑顔を見るや否や、『守護者の集い』の面々は一斉に駆け出す。
(この隙を逃すわけにはいかない。ここで一気に片付けさせてもらうぞ‼ 黒竜‼)
前衛のクロードとケイト、ベロニカ、レイア、マール、そして五つ子狼達は、後衛のナビーの支援魔法を受け、黒竜に攻撃を仕掛ける。
ナビー以外に、アイリとマルティが後衛として残っていた。二人はクロード達が安全に黒竜に接近出来るように、様々な魔法を放って牽制する。
アイリとマルティの放った魔法に気を取られ、黒竜が僅かに視線をそらした。
前衛組がその隙に乗じて空中に飛び上がり、黒竜に切りかかる。
クロード達の斬撃は、なんの抵抗もなく黒竜の体を切り裂いた。
「ギャアアアア‼」
耐えがたい痛みに、黒竜は堪らず天に向かって咆哮を上げながら落下した。そして、地面をのたうち回る。
「……みんな、後退するぞ。黒竜との距離を取るんだ……ナビー‼ アイリさんとマルティさんと一緒に攻撃魔法を撃って‼」
後方で待機していたナビーとアイリ、マルティは、クロードの指示を受け、黒竜に追い討ちをかける。
――ドガガガン!!
「ギュアアア!?」
黒竜は再びの激痛に悶絶した。
「――今だ‼ 畳みかけるぞ‼」
動きが止まった黒竜を見て、クロードが号令をかける。
全員が黒竜へ駆け寄り、魔斬や魔力弾、魔爪などを叩き込んだ。
かくして黒竜は力尽き、魔の大森林の地に沈んだのだった。
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