見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる

グリゴリ

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4巻

4-1

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 第一章 辺境の地マーデイク


 クリエール王国最強のSランクパーティ『銀狼ぎんろうきば』を追い出された元荷物持ちの少年、クロード。
 一度は失意にしずんだ彼だったが、一定の動作を繰り返す事でスキルや魔法を習得出来る特別なジョブ――『万能者ばんのうしゃ』を駆使くしし、どん底から成り上がっていく。
 クロードが率いる冒険者パーティ『てん祝福しゅくふく』は、王都をおそったスタンピードを解決した事で、一躍いちやく名をせた。
 ムーンスターフェンリルのレイアやその子供である五つ子おおかみに加え、レベルアップアナウンスに彼が肉体を与えた少女……ナビー。
 クロードはそうした『天の祝福』の面々に加え、リーダーのシリウスがいなくなった事で和解した『銀狼の牙』に所属する少女達と共に、複数のパーティが集まって結成するチーム――クラン『守護者しゅごしゃつどい』を結成。
 あっという間にAランククランに昇格しょうかくして、各地からい込む依頼に奔走ほんそうする日々を送っていた。


 ***


 クロードがクリエール王国の第二王女、ルーチェとのティータイムデートを楽しんでから、数日がったある日の事。
 彼を含む『守護者の集い』のメンバーはめずらしく受けている仕事がなく、みんな思い思いに休日を過ごしていた。
 クロードが迷宮都市ネックにあるクランハウスに併設へいせつされた牧場で家畜かちくの世話をしていると、クランハウスの方から何者かが近づいてくる気配を感じた。
 作業の手を止めずに、クロードは『気配探知けはいたんち』で相手の素性を確認する。

(ん? これは……王都の屋敷の管理を頼んでいたルシファーの配下か……何かあったのか?)

 クランハウスを出て、クロードが召喚しょうかんした悪魔族あくまぞくの実力者――ルシファーの配下は、ぐこちらに向かってくる。
 クロードは近づいてきた相手に声をかけた。

「君には、王都の屋敷の管理をお願いしていたはずだけど……こんなところまでわざわざやって来るなんて、そっちで何かあった?」
「……はい。王都の屋敷に国王の使いが訪れておりまして。いかがいたしますか?」
「そうか。国王陛下の……」

 報告に来た相手にバレないよう、クロードは小さくため息をつく。

(王都の屋敷に使いを寄こしてまでなんの用だ? 俺に何かしらの話があるのなら、パルを通して『念話ねんわ』してくればいいのになぁ)

 国王のところには、精霊族のシャリナの配下――大樹たいじゅの精霊、パルがおり、クロードの命令で、双方の伝達役をになっている。

「わかった。これから会いに行くよ。屋敷の応接室に通しておいてくれ」
「かしこまりました」

 クロードは一足先にルシファーの配下を王都に帰し、クランハウスに戻って身支度を整えた。
 そして仲間達に少し留守にするむねを伝え、足早に転移門を通り、国王の使者が待つ王都の屋敷の応接室に向かったのだった。


 応接室には、優雅ゆうがに茶を飲むオーグスト宰相さいしょうがいた。

「宰相閣下かっか!? お待たせして申し訳ありません……それで今日は何故こちらに?」
「ああ、今日はクロード君……もとい、ブレイク伯爵殿はくしゃくどのにこれを渡そうと思ってね」

 オーグストはクロードを家名で呼ぶと、かたわらに置いていたカバンから何かを取り出し、机に置く。

「……? この書類は?」

 クロードは机の上に並べられた書類を手に取り、確認した。
 紙をめくる彼に、オーグストが言う。

「それは、王都の直轄ちょっかつ領マーデイク領とその周辺がっている地図だ。以前話した通り、この地を君におさめてもらいたい。他の資料には、これまでに確認されたマーデイク領で採取出来る資源をまとめてある。領地を治めてもらうにあたっては色々と準備中だが、渡せる情報を先に共有しておこうと思ってね。有意義に活用してくれ」
「ありがとうございます。どんな資源があるのか知れただけでも、大助かりですよ。宰相閣下」

 クロードが頭を下げると、オーグストは微笑ほほえんだ。

「そうか。それはよかった……今はまだスタンピードの後始末あとしまつで王城がバタバタしていてな。とはいえ、数日中には国王陛下からパル殿を通してお声がかかるはずだ。その時にマーデイク領についても話があるだろう。それまで、ブレイク伯爵殿には王都の屋敷、もしくはクランハウスにて待機を命ずる。以上だ」

 オーグストの指示に、クロードは頷いた。
 用意された茶をしっかり飲みし、オーグストはブレイク伯爵邸を出ていった。


 王都の屋敷からクランハウスに帰ってきたクロードは、作業が途中になっていた牧場へ向かう。
 牧場では、クロードが途中で放置していた作業をケイト、アイリ、マルティといった『銀狼の牙』の面々が黙々もくもくと進めてくれていた。

「クロード、戻ってきたのか。畑と牧場の手入れはもう終わる。クランハウスに帰って休憩きゅうけいしよう」

 ケイトはクロードの手をにぎり、アイリ、マルティと一緒にクランハウスへ戻った。
 屋敷の中にあるラウンジに入る。
 そこでは従魔じゅうまのレイアとマールが人化した姿でカウンター席にこしかけ、グラスをかたむけていた。

「お! 二人とも昼間っからお酒かなぁ?」
「むう~、小言を言うな。アイリよ。もう四時じゃし、昼間というよりは夕方じゃ。それに今日はたまの休暇きゅうか。少しくらいんでもいいじゃろう」

 マールはほおをぷく~っとふくらませて、アイリに反論した。龍王国りゅうおうこくの元女王にしてエンシェントドラゴンであるマールだが、レイアと共に人化していると、可愛かわいらしい女性にしか見えない。

「まあ確かに。今日は休暇だしねぇ。私達も少し呑も~」

 アイリはカウンター奥にいるゴーレム――魔道具に精通せいつうした悪魔族のアモン製――に、ドリンクを注文した。
 ゴーレムがアルコール度数低めのカクテルを作り始める。
 クロードがケイト達と四人がけの席に座り、待つ事数分。
 お酒の入ったグラスを四人分持ち、カウンターを出たゴーレムがこちらにやって来た。
 グラスをテーブルに置き、持ち場に戻っていく。

「……本当に凄い魔道具ね」

 アイリがグラスに入ったお酒をまじまじと見て、呟いた。
 その隣で、マルティも同意を示す。

「ええ、本当にアモンさんの作るゴーレムさん達は凄いです。このお酒を造ってくれたゴーレムさんしかり、洗濯せんたくやお掃除そうじ、果てには食事を作ってくださるゴーレムさん。どれも素晴すばらしい働きをしてくださる方ばかりです」

 広いクランハウスで暮らすクロード達だが、アモンのゴーレムが家事をこなしてくれているおかげで快適に過ごせている。
 マルティの意見には、ケイトも同感だ。

「そうだな。今から今日の夕食が楽しみで仕方ない……話を変えるが、王都の屋敷には何をしに行っていたんだ、クロード?」
「ああ、実は宰相閣下が国王陛下の使者としていらっしゃっていてさ。これをもらったんだ」

 クロードはオーグストからもらったマーデイク領の地図や、そこで採れる資源のリストをテーブルの上に出した。

「……これがクロードの領地になる辺境の地図か」

 ケイトのつぶやきが聞こえたのか、カウンターでお酒を呑んでいたレイアとマールが寄ってくる。
 クロードはテーブルをのぞき込んでくるマールに、書類の一つを渡した。

「こっちの書類には、マーデイク領で採取出来る資源がまとめられているんだ。よかったら読んでみて」
「……ほお~。これ程の資源が採れるとはのう。ここを開拓するのじゃろう? 領地に行く日がますます楽しみじゃのう」

 その後、クロードはナビーやベロニカ、ミレイといった、ラウンジにいなかった『守護者の集い』のメンバーにも、今回の情報を共有。
 充足感に包まれて眠りにいた。
 なお、コックゴーレムの作ってくれた夕食は、例にれず大変美味おいしかった。


 ***


 王都の屋敷でオーグストから書類をもらってから何日かした頃。
 彼の言っていた通り、パルの力を借りた国王から『念話』が届いた。

『おお、クロード。連絡が遅くなって悪かったな。こっちもバタバタしておって、やっと落ち着いたところだ……こちらも落ち着いたし、いよいよお前達にはマーデイク領を訪ねてもらおうと思う』

 ここ数日ずっとマーデイク領について思いを馳せていたクロードは、待ち望んでいた指示にこぶしを握った。

『……やっとですか。俺達はいつまでにこっちを出ればいいんですか?』
『うむ。その事だが……お前達には至急、マーデイク領へ向けてってほしい。こちらからも開拓かいたくのための作業員を派遣しておるのだが、難航なんこうしておってな。というのも、マーデイク領の大半をめる魔の大森林の木は、堅牢木けんろうぼくというのだが……Aランクの大型モンスターの体当たりでもビクともしない硬さなのだ』
『じゃあ、まさか……』
『……うむ。土地の開拓は、お前達「守護者の集い」に全面的に任せる。頼めるか?』

 国王の言葉に、クロードは少し思案してから頷いた。

『……なるほど。わかりました。とはいえ、俺達にも諸々もろもろの準備があります。そうですね……二日後にマーデイク領に向けて発ちます』

 その後は他愛たあいない近況報告をして、クロードは国王との『念話』を終えた。
 自室を出て、クランハウスにある執務室しつむしつを目指す。
 執務室では、執務専用ゴーレムが『守護者の集い』が遂行すいこうした依頼の決算処理を行っていた。
 ゴーレム達に交じり、クランの経理や依頼受付といった事務を担当するミレイも作業にいそしんでいる。

「ミレイ。今ちょっといい?」
「ええ、大丈夫だけど……どうしたの、クロード?」
「少し話があるんだよね。一階のラウンジまで来てほしい」
「わかったわ。この書類を片付けたら行くから、先に行っていてくれる?」

 クロードは執務室を出た。
 そして、ルシファーを召喚して他のクランメンバーをラウンジに集めるように指示すると、一人ラウンジへ向かった。


 クロードがラウンジで待つ事しばらく。
『守護者の集い』のメンバーが集結した。

「みんな、急に集まってもらってごめん。さっき国王陛下から、マーデイク領の開拓について指令が出た」

 仲間達が目をみはる。みんなを代表して、ナビーがたずねる。

「……それで、国王陛下はなんと?」
「うん。それが――」

 クロードは国王と話した内容をみんなに共有した。

「……なるほど。確かに、国王様がおっしゃるように、作業員の方々の実力では開拓が困難な土地かもしれませんね」

 ナビーに続いて、マールが言う。

「宰相にもらった地図に、マーデイク領とその周辺に生息しているモンスターが載っておったが……以前行ったドラゴンマウンテンの樹海じゅかいむモンスターと、遜色そんしょくのない力を持っているようじゃのう。この国にはモンスターの討伐を任とする騎士団がおるが、彼らが本来の仕事と並行して開拓を行うのはきびしかろう。ここはわし達で開拓を進めるのが良さそうじゃな」

 その日、クロードは自分達が留守にする間の諸々の作業について、ルシファー、シャリナ、天使族のミカエルといった召喚組と、そして彼らの配下に引き継ぎを行った。
 もし何かトラブルが起きても迅速じんそくに対応出来るようにし、マーデイク領遠征の準備を終えたのだった。


 ***


 国王から念話が来てから二日が経った。
 今日はついにクロード達『守護者の集い』がマーデイク領へ向かう日だ。
『守護者の集い』のクランハウスでは、居残り組のミレイ、魔界から呼び出されたアモンと彼女が作り出したゴーレム達、そしてルシファー達召喚組の配下が玄関まで見送りに来ていた。
 戦闘力にとぼしく同行出来ないミレイが、心配そうに口を開く。

「みんな、気を付けてね。私もそっちが一段落したら応援に行くから」
「うん、それまで留守を頼むよ」

 クロードはミレイ以外の『守護者の集い』のメンバーを連れ、マーデイク領へ旅立った。


 ***


『守護者の集い』がクランハウスを発ってから三日後。クロード達遠征えんせい組はマーデイク領に足をみ入れた。
 マーデイク領は、クランハウスがある迷宮都市ネックとは真逆の方向にある土地だ。それにもかかわらずわずか三日で移動出来たのには、理由がある。
 まずクロード達はベロニカの生家――ミーガン子爵家が治めるミーガン領の都市マイルに、転移魔法で移動した。
 そこからは特製の大型馬車に乗り、ミーガン領に隣接するマーデイク領を目指したのだ。
 そんな旅を経て辿たどり着いたマーデイク領だが……クロード達の目にうつる木、木、木。
 彼らの目の前には、まさに樹海と言わざるを得ない光景が広がっていた。

「……凄い光景ね。なんでこの地の名称が魔の大森林なのかしら。絶対に魔の大樹海の方が合っているわ」

 みんな、アイリの意見に大賛成だ。
 見渡す限りの木、木、木……そして、先程からえず聞こえてくるモンスター達のうなり声。
 絶対に樹海の方がピッタリな名称である。

「……さあ、気を取り直して作業に取りかかろう」

 クロードの号令によって、『守護者の集い』は開拓を開始した。
 まずは眼前に広がる木々をらねばならない。
 魔法が使える者は【ウィンドカッター】、【アイスカッター】といった風やこおりやいばを放ち、複数の大木を同時に切り倒す。
 魔法にけていない剣士職の面々は剣をおのに持ち替え、自身の筋力にものを言わせて、力任せに木々をたたき切るのだった。


 魔の大森林に生いしげる木々を伐採ばっさいし続けていると、あっという間に夜になった。夜空には星がまたたいている。
 夜行性の凶暴きょうぼうなモンスター達が目覚めてきたのか、周囲からは、ここに来た時よりもさらに荒々あらあらしいモンスター達の唸り声が聞こえ始めていた。

「みんな、今日の作業はもう終わろうか」

 クロードはそこら中に散らばっている木をアイテムボックスにしまい、代わりに内部を魔法で拡張した魔道テント(豪邸型)を取り出した。
 切り開いたばかりの場所にテントを設置し、辺りにモンスターけの結界を張っておく。
 一同はテントに入る。

「キッチンでコックゴーレムが夕食を用意してくれているから、俺達は先にお風呂に入っちゃおうか。食事の準備が出来る前に、よごれを落としてまったつかれを取りたいし」
「そうだな、クロード。私もスッキリしてから食事にしたい。他の者もそれでいいか?」

 ケイトは後ろを振り向いて問いかけ、仲間達から了承を得た。
 全員で大浴場へ向かい脱衣所に入ると、ケイト、アイリ、マルティが急にモジモジする。
 一緒に暮らし始めてかなり経ったが、三人はまだ全員で……というより、クロードと一緒にお風呂に入る『天の祝福』の習慣に慣れず、羞恥心しゅうちしんを覚えているようだ。

(こればっかりは慣れてもらうしかないからな。ケイねえ達が嫌なら無理しなくていいんだけど、け者にされたくないみたいだし……)

 クロードはケイト達三人に極力配慮し、先に大浴場に入った。
 しかし、そういう時程トラブルが起こるものである。
 体に大きめのバスタオルを巻き、クロードのあとに続いて大浴場に入ったケイトだが……
 大浴場の床、全体に敷かれたツルツルのタイルで盛大にすべり、勢いよくクロードの背中へ突っ込んだ。

「きゃっ!」
「うわっ!?」

 咄嗟とっさに体をひねったものの、クロードはケイト諸共もろともタイルに倒れ込んでしまう。

「うぅぅ、いたた……!? いったいなんだ? ケイ姉、平気?」

 クロードが身じろぎすると、彼を下敷きにしていたケイトが震えた。

「あん……! あっ、クロード! う、動かないでくれ。下腹部が当たって、こ、こすれる!」

 ケイトの言葉を聞いて、クロードは瞬時に事態を理解した。
 慌てて身を起こしてケイトから離れ、「ご、ごめん!」と顔を背けて謝罪する。

「……い、いやいい。気にするな。私が滑ってぶつかってしまったのがいけないんだ」

 顔をにしたケイトは、うつむきがちに言った。
 そして、そそくさと湯船へ向かっていく。
 気まずいクロードとケイトをのぞき、『守護者の集い』は和気あいあいとお風呂を堪能たんのうするのだった。
 その後、大浴場を出た一行はリビングで食卓を囲み、明日に向けて眠りに就いた。




 ***


 翌日。
 開拓したばかりの土地の中でも小高いおかのようになっている場所に、クロードは領主邸となる屋敷の基礎きそを作り上げた。

「屋敷の基礎にはどうしても石材が必要だったから、魔の大森林に大きめの岩がいくつもあって助かった。この量なら、あとで作る城下町の建物なんかの分も間に合いそうだし、よかったよ」

 クロードは、仲間達が伐採する木々を黙々と木材へ加工していった。
 屋敷に使用する木材の確保を優先しているうちに日が暮れたので、実際に屋敷を建てるのは翌日にする事にした。


 ***


 次の日。ついに領主邸の建設着工の日である。
 スキルも魔法もアイテムも、なんでも作れるアルティメットスキル――『創造そうぞう』を使えば、あっという間に豪邸を築けるのだが、今日はそうしない。
 何故なら、クロードはこの日のためにアモンに秘密兵器を用意してもらっていたからだ。
 アモン謹製きんせい建築ゴーレムの、お披露目ひろめの瞬間である。
 クロードはアイテムボックスから建築ゴーレムを数体取り出すと、彼らを連れて建設現場となる小高い丘の頂上へ向かった。
 早速、ゴーレム達は昨日クロードが準備した木材や、建築道具である工具をかつぎ、作業を開始する。
 ゴーレム達が建築を進めている間、クロードは仲間達と共に開拓した土地をさらに拡張し、城下町を作るスペースを確保するための伐採にせいを出した。


 伐採を始めてから数時間後。夕焼け空に星が見え始めた頃、領主邸が出来る小高い丘を中心に、半径十キロ程の開拓が終わった。
 そして小高い丘の上には、遠くからでもわかるくらい立派な三階建ての屋敷が出来上がっていた。
 帰る道すがら辺りを見回していたクロードは、完成した領主邸を見て目を丸くする。

「……え!? もう出来たの!?」

 クロード達はゴーレムが作り上げた三階建ての屋敷の目の前までやって来た。

「まさかたった半日で屋敷を完成させるなんて……流石アモンの作ったゴーレムだな。他のゴーレムの例に漏れず、彼らも優秀だったみたいだ」

 クロードが呟くと、他の者も頷く。そして、クロード達は屋敷の中へ入った。
 領主邸の内装は、王都の屋敷を参考にしている。外観以外は特に変更しておらず、間取りや調度品も全く同じだ。
 クロード達はダイニングでコックゴーレムが作ってくれた弁当を食べ、次の日に備えてそれぞれの自室で眠りに就いた。


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