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第1部:はじまりの種と、絆の芽吹き
第29話:イグニアの地上初登場
二月の後半になって、俺はずっと考えていたことを実行に移すことにした。
イグニアを地上に連れてくることだった。
今まで俺は毎日五十階層に会いに行っていた。イグニアが完全回復してからも、週に三回は下りていた。イグニアの状態を確認したいということもあったし、顔を見ないと気になってしまうということもあった。でも毎回五十階層まで往復するのは体力を使う。それ以上に、俺はイグニアに地上の空気を吸わせてやりたかった。
ダンジョンの五十階層は暗くて熱い。溶岩地帯の手前で、環境としては過酷な場所だ。イグニアが怪我をしていた時期にあそこにいたのは、逃げ場がなかったからだ。今は回復している。地上に出る体力は十分にある。
「今日、イグニアを連れてくる」
ぷるっ。
「セレスティア、イグニアが来ても驚くなよ」
「おおきいドラゴン、くる?」
「そうだ。前に一度会ってるだろ」
「おぼえてる。おおきかった」
「今日も大きいから、びっくりしないようにな」
「びっくりしない」
俺はその言葉を半分だけ信じながら、ダンジョンに下りた。
***
五十階層に着くと、イグニアは広間の中央にいた。
完全に回復した状態のイグニアは、俺が最初に出会った頃の面影を感じさせない。鱗の艶が戻っていて、翼を軽く広げると広間の半分近くが翼の影に覆われる。赤い瞳が俺を認識して、低く鳴いた。
「イグニア、地上に来てもらいたい」
イグニアが首を傾けた。
「毎日ここに来るのは大変でな。それと——セレスティアがいる場所に来てほしい。お前とセレスティアがもっと一緒にいられた方がいいと思っている」
イグニアが俺をしばらく見ていた。
何かを考えているような間があった。ダンジョンの外に出ることへの躊躇なのか、地上の環境への不安なのか、俺には分からなかった。
やがてイグニアがゆっくりと立ち上がった。
「来てくれるか」
イグニアが一歩、俺の方に踏み出した。
「ありがとう」
***
イグニアを先導して階段を上った。
五十階層から一階層ずつ上に向かうにつれて、ダンジョンのモンスターがイグニアの存在に反応し始めた。通路に出てきたホブゴブリンの群れが、イグニアを見た瞬間に蜘蛛の子を散らすように逃げた。甲殻系の魔獣も、通路の端に貼り付いて動かなかった。
「俺が一番楽な探索になったな、今日は」
ぷるっ。
ソルが肩の上で楽しそうに揺れていた。
一階層の森林地帯に出てきた時、イグニアが立ち止まった。森林の木々を見上げて、鼻を動かした。一階層の空気を吸い込んでいた。ダンジョンの外の地上とはまた違う空気だが、五十階層の熱気とは全然違う。
「もう少しで外だ」
***
ダンジョンの出口、納屋の床下の入口を抜けた。
外の光が入ってきた。
イグニアが納屋の扉をくぐれるかどうか、少し心配していた。体長が四メートルある。幸い、納屋の扉は農機具を出し入れするために横に大きく開く構造になっていて、イグニアは体を低くして通り抜けた。
外に出た瞬間、イグニアが動きを止めた。
二月の冷たい空気。遠くの山。青い空。畑の土の匂い。
それらを全部受け取るように、イグニアがゆっくりと深く息を吸った。
俺はその隣に立って、一緒に外を見ていた。
イグニアが低く鳴いた。
さっきまでの挨拶の鳴き声とは違う音だった。もっと深くて、長い鳴き声だった。
「どうだ、外は」
イグニアが俺を見た。
赤い瞳が、何かを伝えようとしていた。言葉にはならなかった。でも【絆の創世者】のスキルを通じて、温かいものが俺に届いた。
「そうか、良かった」
***
しばらくしてから、縁側の方からセレスティアの声が聞こえた。
「ぱぱ、かえっ——」
声が止まった。
セレスティアが縁側に出て、イグニアを見ていた。目が丸くなっていた。体が固まっていた。
「びっくりしないって言ったよな」
「……おおきい」
「知ってただろ、前に会ってる」
「おぼえてたけど、おおきいことをわすれてた」
それはそうかもしれない。記憶の中のイグニアと、目の前にいる実物のイグニアでは、体感が違う。
セレスティアがゆっくりと縁側から下りてきた。
一歩、また一歩と近づいてきた。イグニアはセレスティアを見て動かなかった。脅かさないように、じっとしていた。
セレスティアとイグニアの距離が一メートルになった。
セレスティアが立ち止まって、イグニアを見上げた。
「……こんにちは」
イグニアが頭を低くした。セレスティアと同じ目線になるまで首を下げた。
赤い瞳がセレスティアを見ていた。
セレスティアが手を伸ばした。イグニアの鼻先に、小さな手のひらを当てた。
イグニアがそっと息を吐いた。温かい呼気がセレスティアの手に当たった。
「——あったかい」
セレスティアが俺を振り返った。
「ぱぱ、あったかい」
「そうだな」
「イグニア、やさしい?」
「やさしいよ」
セレスティアが再びイグニアを見た。
「よろしく、イグニア」
イグニアが低く、短く鳴いた。
***
その光景を、俺は少し離れたところから見ていた。
三十センチのセレスティアと、四メートルのイグニアが並んでいる。大きさの差が途方もない。でも、二人の間の空気は穏やかだった。
今日は配信をしないことに決めていた。
この場面を、カメラに向けたくなかった。セレスティアが生まれた時と同じ理由だった。最初の瞬間は、俺たちだけのものでいい。
ぷるっ。
ソルが肩の上で揺れた。
「お前も一緒だぞ」
ぷるるん。
ソルが肩から降りて地面を走り、セレスティアの横に来た。イグニアがソルを見た。ソルがぷるっと鳴いた。イグニアが低く答えた。
三者の間で何かが通じた気がした。
「大家族だな、俺の家」
誰に言うわけでもなく、俺は呟いた。
***
田中さん夫婦への報告は、翌日にした。
イグニアを連れて田中さんの家の前まで行くわけにはいかなかったので、俺一人で行った。
「昨日、ダンジョンにいたドラゴンを地上に連れてきました。納屋の近くを根城にしてもらう予定です」
耕一さんが麦茶を飲みながら言った。
「それは——木村くんとこ、ドラゴンが二匹になったということか」
「はい」
「セレスティアと、もう一匹、大きいやつが」
「体長四メートルほどです」
幸子さんがテーブルの上に肘をついた。
「で、その大きいドラゴンはどんな子なの」
「おとなしいです。人に危害を加えることはないと思います」
「かわいい?」
「……かわいいと思います、俺は」
幸子さんがにこにこした。
「じゃあ今度会いに行ってもいい?」
「俺のいる時間に来てください。いきなり会うと驚かれるかもしれないので」
「あの子がかわいがってくれたら、イグニアちゃんって呼ぼうかな」
耕一さんが「名前呼びするな」という顔をしたが、何も言わなかった。
***
その夜の配信で報告をした。
「今日は大事な報告があります。ダンジョンにいたイグニアを地上に連れてきました」
同時接続者が五百二十人。
「毎日会いに行くのが大変だったこと、それとイグニアに外の空気を吸わせたかったこと、二つの理由です。今は納屋の近くを根城にしています」
【イグニアが地上に!】
【農場にドラゴンが住んでるの普通に凄い状況】
「今日はセレスティアとイグニアが初めてちゃんと対面しました。配信はしませんでした。最初の時間は俺たちだけにしたかったので」
コメントがしばらく穏やかに流れた。
【それが蒼太さんらしい】
【また次の機会に見せてもらえたら嬉しい】
「近いうちに、二人が慣れてきたら配信で紹介します。今日の対面は——良かったです」
それ以上の言葉が出てこなかった。でも視聴者には伝わった気がした。
「それと——イグニアが地上に出た時の顔が、忘れられないんですよ。外の空気を吸って、空を見て——あの顔を見て、連れてきて良かったと思いました」
【…………】
【蒼太さん、いつもそういうの大事にしてるよね】
「大事にしたいんですよ、そういうことを」
***
配信を終えてから、縁側に出た。
夜の畑の端に、イグニアがいた。地面に伏せて、月を見ていた。月明かりに赤い鱗が光っていた。
「イグニア、寒くないか」
イグニアが俺を見た。低く鳴いた。寒くない、という意味だと受け取った。火属性のドラゴンに冬の寒さは関係ないかもしれない。
「ここが気に入ったか」
イグニアが空を見上げた。
「そうか、空が見えるのが良かったか」
俺も空を見た。二月の夜空に星が出ていた。
ぷるっ。
ソルが俺の肩にいた。
「これで全員揃ったな」
ぷるぷる。
「ソル、セレスティア、イグニア——俺の家族だ」
ぷるるん。
縁側の中からセレスティアの「ぱぱー」という声が聞こえた。まだ起きていたらしい。
「今行く」
俺は縁側に戻る前に、もう一度イグニアを見た。
「おやすみ、イグニア」
イグニアが低く鳴いた。
二月の夜が、静かで、温かかった。
イグニアを地上に連れてくることだった。
今まで俺は毎日五十階層に会いに行っていた。イグニアが完全回復してからも、週に三回は下りていた。イグニアの状態を確認したいということもあったし、顔を見ないと気になってしまうということもあった。でも毎回五十階層まで往復するのは体力を使う。それ以上に、俺はイグニアに地上の空気を吸わせてやりたかった。
ダンジョンの五十階層は暗くて熱い。溶岩地帯の手前で、環境としては過酷な場所だ。イグニアが怪我をしていた時期にあそこにいたのは、逃げ場がなかったからだ。今は回復している。地上に出る体力は十分にある。
「今日、イグニアを連れてくる」
ぷるっ。
「セレスティア、イグニアが来ても驚くなよ」
「おおきいドラゴン、くる?」
「そうだ。前に一度会ってるだろ」
「おぼえてる。おおきかった」
「今日も大きいから、びっくりしないようにな」
「びっくりしない」
俺はその言葉を半分だけ信じながら、ダンジョンに下りた。
***
五十階層に着くと、イグニアは広間の中央にいた。
完全に回復した状態のイグニアは、俺が最初に出会った頃の面影を感じさせない。鱗の艶が戻っていて、翼を軽く広げると広間の半分近くが翼の影に覆われる。赤い瞳が俺を認識して、低く鳴いた。
「イグニア、地上に来てもらいたい」
イグニアが首を傾けた。
「毎日ここに来るのは大変でな。それと——セレスティアがいる場所に来てほしい。お前とセレスティアがもっと一緒にいられた方がいいと思っている」
イグニアが俺をしばらく見ていた。
何かを考えているような間があった。ダンジョンの外に出ることへの躊躇なのか、地上の環境への不安なのか、俺には分からなかった。
やがてイグニアがゆっくりと立ち上がった。
「来てくれるか」
イグニアが一歩、俺の方に踏み出した。
「ありがとう」
***
イグニアを先導して階段を上った。
五十階層から一階層ずつ上に向かうにつれて、ダンジョンのモンスターがイグニアの存在に反応し始めた。通路に出てきたホブゴブリンの群れが、イグニアを見た瞬間に蜘蛛の子を散らすように逃げた。甲殻系の魔獣も、通路の端に貼り付いて動かなかった。
「俺が一番楽な探索になったな、今日は」
ぷるっ。
ソルが肩の上で楽しそうに揺れていた。
一階層の森林地帯に出てきた時、イグニアが立ち止まった。森林の木々を見上げて、鼻を動かした。一階層の空気を吸い込んでいた。ダンジョンの外の地上とはまた違う空気だが、五十階層の熱気とは全然違う。
「もう少しで外だ」
***
ダンジョンの出口、納屋の床下の入口を抜けた。
外の光が入ってきた。
イグニアが納屋の扉をくぐれるかどうか、少し心配していた。体長が四メートルある。幸い、納屋の扉は農機具を出し入れするために横に大きく開く構造になっていて、イグニアは体を低くして通り抜けた。
外に出た瞬間、イグニアが動きを止めた。
二月の冷たい空気。遠くの山。青い空。畑の土の匂い。
それらを全部受け取るように、イグニアがゆっくりと深く息を吸った。
俺はその隣に立って、一緒に外を見ていた。
イグニアが低く鳴いた。
さっきまでの挨拶の鳴き声とは違う音だった。もっと深くて、長い鳴き声だった。
「どうだ、外は」
イグニアが俺を見た。
赤い瞳が、何かを伝えようとしていた。言葉にはならなかった。でも【絆の創世者】のスキルを通じて、温かいものが俺に届いた。
「そうか、良かった」
***
しばらくしてから、縁側の方からセレスティアの声が聞こえた。
「ぱぱ、かえっ——」
声が止まった。
セレスティアが縁側に出て、イグニアを見ていた。目が丸くなっていた。体が固まっていた。
「びっくりしないって言ったよな」
「……おおきい」
「知ってただろ、前に会ってる」
「おぼえてたけど、おおきいことをわすれてた」
それはそうかもしれない。記憶の中のイグニアと、目の前にいる実物のイグニアでは、体感が違う。
セレスティアがゆっくりと縁側から下りてきた。
一歩、また一歩と近づいてきた。イグニアはセレスティアを見て動かなかった。脅かさないように、じっとしていた。
セレスティアとイグニアの距離が一メートルになった。
セレスティアが立ち止まって、イグニアを見上げた。
「……こんにちは」
イグニアが頭を低くした。セレスティアと同じ目線になるまで首を下げた。
赤い瞳がセレスティアを見ていた。
セレスティアが手を伸ばした。イグニアの鼻先に、小さな手のひらを当てた。
イグニアがそっと息を吐いた。温かい呼気がセレスティアの手に当たった。
「——あったかい」
セレスティアが俺を振り返った。
「ぱぱ、あったかい」
「そうだな」
「イグニア、やさしい?」
「やさしいよ」
セレスティアが再びイグニアを見た。
「よろしく、イグニア」
イグニアが低く、短く鳴いた。
***
その光景を、俺は少し離れたところから見ていた。
三十センチのセレスティアと、四メートルのイグニアが並んでいる。大きさの差が途方もない。でも、二人の間の空気は穏やかだった。
今日は配信をしないことに決めていた。
この場面を、カメラに向けたくなかった。セレスティアが生まれた時と同じ理由だった。最初の瞬間は、俺たちだけのものでいい。
ぷるっ。
ソルが肩の上で揺れた。
「お前も一緒だぞ」
ぷるるん。
ソルが肩から降りて地面を走り、セレスティアの横に来た。イグニアがソルを見た。ソルがぷるっと鳴いた。イグニアが低く答えた。
三者の間で何かが通じた気がした。
「大家族だな、俺の家」
誰に言うわけでもなく、俺は呟いた。
***
田中さん夫婦への報告は、翌日にした。
イグニアを連れて田中さんの家の前まで行くわけにはいかなかったので、俺一人で行った。
「昨日、ダンジョンにいたドラゴンを地上に連れてきました。納屋の近くを根城にしてもらう予定です」
耕一さんが麦茶を飲みながら言った。
「それは——木村くんとこ、ドラゴンが二匹になったということか」
「はい」
「セレスティアと、もう一匹、大きいやつが」
「体長四メートルほどです」
幸子さんがテーブルの上に肘をついた。
「で、その大きいドラゴンはどんな子なの」
「おとなしいです。人に危害を加えることはないと思います」
「かわいい?」
「……かわいいと思います、俺は」
幸子さんがにこにこした。
「じゃあ今度会いに行ってもいい?」
「俺のいる時間に来てください。いきなり会うと驚かれるかもしれないので」
「あの子がかわいがってくれたら、イグニアちゃんって呼ぼうかな」
耕一さんが「名前呼びするな」という顔をしたが、何も言わなかった。
***
その夜の配信で報告をした。
「今日は大事な報告があります。ダンジョンにいたイグニアを地上に連れてきました」
同時接続者が五百二十人。
「毎日会いに行くのが大変だったこと、それとイグニアに外の空気を吸わせたかったこと、二つの理由です。今は納屋の近くを根城にしています」
【イグニアが地上に!】
【農場にドラゴンが住んでるの普通に凄い状況】
「今日はセレスティアとイグニアが初めてちゃんと対面しました。配信はしませんでした。最初の時間は俺たちだけにしたかったので」
コメントがしばらく穏やかに流れた。
【それが蒼太さんらしい】
【また次の機会に見せてもらえたら嬉しい】
「近いうちに、二人が慣れてきたら配信で紹介します。今日の対面は——良かったです」
それ以上の言葉が出てこなかった。でも視聴者には伝わった気がした。
「それと——イグニアが地上に出た時の顔が、忘れられないんですよ。外の空気を吸って、空を見て——あの顔を見て、連れてきて良かったと思いました」
【…………】
【蒼太さん、いつもそういうの大事にしてるよね】
「大事にしたいんですよ、そういうことを」
***
配信を終えてから、縁側に出た。
夜の畑の端に、イグニアがいた。地面に伏せて、月を見ていた。月明かりに赤い鱗が光っていた。
「イグニア、寒くないか」
イグニアが俺を見た。低く鳴いた。寒くない、という意味だと受け取った。火属性のドラゴンに冬の寒さは関係ないかもしれない。
「ここが気に入ったか」
イグニアが空を見上げた。
「そうか、空が見えるのが良かったか」
俺も空を見た。二月の夜空に星が出ていた。
ぷるっ。
ソルが俺の肩にいた。
「これで全員揃ったな」
ぷるぷる。
「ソル、セレスティア、イグニア——俺の家族だ」
ぷるるん。
縁側の中からセレスティアの「ぱぱー」という声が聞こえた。まだ起きていたらしい。
「今行く」
俺は縁側に戻る前に、もう一度イグニアを見た。
「おやすみ、イグニア」
イグニアが低く鳴いた。
二月の夜が、静かで、温かかった。
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