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第一部 第一章

38話

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 エルクが机の上に置いた素材を視界に捕らえながら錬金眼を発動されると、途端に机の上に置いていた素材が宙に浮かびエルクの周りに集まりだした。

 エルクを中心に円状に浮かんでいる素材がゆっくりと回転しだして、しだいに素材の一つ一つが原型を崩し始めしだいに溶け合い始め、気付けばエルクの目の前には赤色の球体が浮かんでいた。

 エルクはその球体を触ってみようと思い手を伸ばそうとした瞬間、その赤い球体が強烈な赤い光を放ち、目が眩んでしまったエルクは暫くの間、視界を奪われてしまった。

 そして、暫くして視力が戻って来たエルクの目の前には小ビンに入った赤色の液体が浮かんでいた。

「これが、万能解毒薬か。それにしても錬金眼は凄いスキルだな。後で色々作ってみるか。取り敢えずこいつを鑑定してみるか」

 エルクが錬金眼で作り出した液体を鑑定してみると、出来た薬は万能解毒薬ではなかった。

 鑑定結果

 ・超万能回復薬:万能回復薬の効能だけでなく万能解毒薬の効能も併せ持つ秘薬(患者に一滴だけ口に含ませれば解毒と回復が可能)(因みに万能解毒薬は小ビン一本分を飲ませなければ解毒出来ない)


「マジか。何かもっと強力な薬が出来てしまったな。何でだ。と、取り敢えず俺のステータスを確認してみよう」

 エルクはそう言うと自分のステータスを確認し始めた。

 
 エルクのステータス

【スキル】
・無限収納・仙術・聖壁(NEW)・鉄壁(NEW)
・神眼(レベル二)
:鑑定眼(レベル三)
:錬金眼(レベル一)


「お、鑑定眼がレベル三になってるな。よし、錬金眼を鑑定してみるか」


 鑑定結果

・錬金眼:普通の錬金術で物を作るよりもワンランク上の物が出来る。(しかし、失敗する事もある。用意した素材で出来る物がそのまま出来るか、ワンランク下の物が出来る)


「おお、マジか。ていう事は、こいつは成功したって事なのか。……はあ~、失敗しなくて良かった。もし失敗してワンランク下の物が出来てたら洒落にならないからな」

 超万能回復薬と錬金眼の鑑定を終えたエルクは、超万能回復薬を手に持つと村長の家を出ると、皆がいる教会へと向かった。

 エルクが教会の中に入ると、そこには胸や腹を抑えてもがき苦しんでいる村人達と、その村人達を献身的に看病している皆の姿があった。

 そると、エルクが教会の中に入って来た事に気付いたトイニーが声をかけて来た。

「これは、主様、もしかして遂に薬が完成したのですか」

「ああ、出来には出来たんだけど、何かワンランク上の薬が出来てしまってな」

 エルクは手に持っていた超万能回復薬をトイニーを含めた教会の中にいる仲間達に見せながら超万能回復薬の使用方法を説明した。

「いいか。この超万能回復薬を患者一人一人の口に一滴垂らすんだ。それだけで完治する」

 エルクの説明を聞いていたトイニーが、とても信じられないと言う感じで言って来た。

「主様、それは本当なのですか。そんな破格な効能の薬、エリクサーやエリクシールの様な伝説級の薬でしか聞いた事がありませんよ。そんな薬を作り出してしまうなんて、主様は凄すぎます」

 トイニーがとても信じられないと言う顔でそう言うと、少しして我に戻ったトイニーはエルクから超万能回復薬を受け取り一人一人回りながら患者の口に超万能回復薬を一滴ずつ垂らして行った。

 そして、十数分後、教会の中には穏やかな顔で眠る村人達の姿があった。



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