両翼の絆

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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《桃と優しさ》

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 ルゥとミナが果実を取り終わった頃、ライやケイは水浴びを終えていた。半裸で居た二人にルゥは「まったく……」そう告げて服を着るように忠告をする。
 ライやケイは文句を募らせていた。
「いいじゃねぇか、別によ~」
「ライの言う通りだぜ。いいじゃん、別に」
「女の子が居るんだから駄目に決まっているでしょ! さぁ、早く着替えたっ!」
「はーい~」
 ケイは生傷が絶えない身体を隠すように衣服を着替え始めるのだがミナの瞳が輝き出した。
「お主はケイと言ったかの? 生傷が絶えぬではないか!」
「え、あ、うん。旅しているから傷がね」
「――ミナが治してやろう」
「え?」
 するとミナは小さな両手をケイに触れて「かの者の傷を――癒せ!」ケイの身体が輝いたかと思えば徐々に薄れていき――消失した。
 ケイは目を見開いた。
「え、嘘だろ!? すごいな」
「そうじゃろう~。むふふ。もっと褒めても良いのだぞ」
「うん、すげぇよ! ライも治してもらいなって」
 ライは少し首を傾げた。それから唇を尖らせる。ライが心配するときの恥じらいの癖だ。
「……お前は大丈夫か、いきなり力を使ってよ」
 ライの優しい言葉にミナはぽかんとしたかと思えば「なにかあったらお主に頼む!」そう告げて半裸でケイよりも傷が絶えないライの身体を治癒した。
「おぉ~! やっぱりすげぇな、ミナは――」
「……ふぇぇぁ~」
「ミ、ミナっ!???」
 めでたくライの傷は治ったのだが――ミナはふらりと倒れ込みそうになった。
 隣に居たルゥが身体を支え、「やっぱりな……」ライは呆れたようにミナの身体を奪うように抱き上げて寝かせる。
 自分の羽織っている浴衣を上に被せた。ミナがはぁはぁと苦しそうに息を漏らした。
「ルゥの羽も少し治っていたから力を使ったんだと思ったんだ。調子に乗んなよ、アホ」
「ア、アホではないのだ……ミナなのだ」
「はいはい。でも、――ありがとな。今度は自分のために力を使ってくれ」
 額に手を乗せて少し微笑んだライは「ルゥ、果実は手に入ったか?」そう尋ねた。
「うん。桃みたいなのと梨みたいなものが手に入ったよ」
「じゃあそれを剥いてミナに食べさせてくれ。――俺は狩りに出る」
 半裸でも狩りに出ようとするライにルゥは息を吐いてから「ケイ、君もついて行ってくれない?」頼み込んでケイにも一緒について行ってもらった。
 今回ばかりは半裸でも許してやった。
「はぁ……はぁ……ル、ルゥ……」
「どうした、ミナ? 口開けられるかな。ちょうど桃が剥けたよ」
 二人が狩りに出かけた頃、ルゥは桃と梨を剥き終えて大きな葉に乗せていた。そのときにちょうどミナが起きたのだ。
 ミナが軽く頷いたのでルゥは少女の小さな口に小さく切った桃を忍ばせる。自分も味見をしてみたが甘くてジューシーで美味しかった。
  ミナが口を緩めた。
「うまい……のぉ。甘くてとろけてしまうほど絶品じゃのぉ」
「ふふっ。ミナは食レポが上手だね。はい、あーん」
「うぬ」
 小鳥に餌をあげるかのような疑似体験にルゥは微笑みながら桃や梨をませた。すると次第にミナが少し悲しげな顔をしたのだ。
「すまなかったのぉ。お主の、――ルゥの翼が治せなくて……。ミナの力不足じゃ」
「そんなことないよ。ミナのおかげで普段よりも羽が動きやすいし、傷も癒えたんだ。だから謝らないで」
「……うむ」
 二人がそんな会話をしていればライとケイの狩りが終わったようだ。今日の夕飯はなんだろうかとルゥは晩御飯が楽しみであった。
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