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《跳躍と風来》
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本日の夕飯は類人猿のシチューに久しく食していない野菜の炒め物であった。肉も好きだが久しぶりの野菜にルゥの翼が広がる。
「どうしたの? 野菜なんてどっかに生えていたの?」
「あぁ。どうやら番人どもが野菜を育てていたからよ、――盗んできた」
「盗んだのね……」
「いいだろ、別によ。なんかでけぇ奴取ってきたんだからさ」
無意識ではあるだろうが一応、規格外野菜を取ってきたようなのでルゥは内心で番人に謝罪を入れつつ、ぶら下がっていた野菜を見た。
大きめのナスとトマトにルゥはごくりと唾を飲み込んだのだ。そしてケイによって出された献立に手を付ければ――美味であった。
「美味しい~! 野菜も久しぶりに食べたから美味しい!」
「ケイも上手く作るよな」
「へへっ、ありがとな。嬉しい限りだぜ!」
類人猿を薄く切った肉と野菜のうまみが染み込んで美味しかった。するとミナも起きてきたようなのでルゥがマイ箸でミナの口元に寄せた。
「はい、あ~ん」
「うぬ……、おっ、うまいぞ! 美味なのじゃっ」
ミナは美味しそうに野菜炒めを食べ、ビーフシチュー的なものの啜った。それからケイに視線を向ける。
「美味じゃっ、あっぱれじゃ! 褒めて遣わす」
「褒めて遣わすって……」
だが嬉しそうに礼を受けるケイにライは新たに増えた仲間の大切さに身が沁みる。
……一瞬、今は亡きレレとタキのことを思い出した。亡くなったが天国へ逝ったはずの二人を偲んでシチューをごくりと飲んだ。
その姿をルゥが無意識に見ていた。
夕飯を食し、眠ってしまったケイとミナを見てから隣に座り込んでいるルゥへ息を吐く。今は一人になりたかった。
「お前、早く寝ろって」
「それは嫌。また君が泣き出しそうな顔しているから」
「……それでもいいだろ」
「それが嫌なの」
ルゥは羽を広げ震わせた。そして金色の瞳で視線を向ける。
「君はいつも口元をへの字に曲げているほうが似合うよ。目も鋭くさせてさ。……でも怒っている顔がたまに笑顔になる瞬間を見ると、君と居て――ライと居て良かったなって思えるんだ」
「お前が馬鹿にしているのか褒めているのかわかんねぇ」
「どっちもだよ」
沈黙が続く。というよりかは、どういう反応したら良いのかわからないライがそこに居た。だがルゥは打ち破るように腕を上空へ伸ばし羽も伸ばした。
「あー! 僕も風龍のルゥって名乗ろうかなっ」
「は、なんだよ急に?」
ルゥが悪戯な笑みを零して羽を震わせた。
「だってライが跳躍の黒龍って呼ばれているんだよ? だったら相棒としてなんか名前が欲しいな~って」
「俺は自分で名乗った覚えはねぇって」
「いや……、風来の金龍なんてどう? かっこいいでしょ?」
嬉々として話しているルゥにライはため息を吐いてはいたが、彼のおかげでレレとタキのことを考えずに済むことができた。
ルゥがライの胸に手を置いた。逞しい胸板に妬けてしまうが、それどころではない。
「でもね、ライ。彼らを、――レレやタキのことを忘れなくても良いんだよ」
「忘れるって……んなわけないだろ」
「い~や、ライのことなんて手に取るようにわかるよ。二人より短い期間ではあるけれどさ、一体、君とどれほど旅をしたと思っているの?」
ルゥの言葉にライはなにも言えずにいた。レレやタキのことを忘れようとした自分が居たからだ。それは思い出を焼き尽くすように、――悲しみから逃れるように。
ルゥが決意を込めた表情を垣間見せる。
「二人のことも背負って、僕たちが二人の分まで生きよう。その分だけ、……強く生きるんだ」
ルゥの表情に、決意を示す言葉にライはふと笑んだ。忘れるなどと自分らしくない。
「あぁ、そうだな。二人の分まで……強く生きような」
「うんっ!」
跳躍の黒龍と風来の金龍という絆が生まれた。
「どうしたの? 野菜なんてどっかに生えていたの?」
「あぁ。どうやら番人どもが野菜を育てていたからよ、――盗んできた」
「盗んだのね……」
「いいだろ、別によ。なんかでけぇ奴取ってきたんだからさ」
無意識ではあるだろうが一応、規格外野菜を取ってきたようなのでルゥは内心で番人に謝罪を入れつつ、ぶら下がっていた野菜を見た。
大きめのナスとトマトにルゥはごくりと唾を飲み込んだのだ。そしてケイによって出された献立に手を付ければ――美味であった。
「美味しい~! 野菜も久しぶりに食べたから美味しい!」
「ケイも上手く作るよな」
「へへっ、ありがとな。嬉しい限りだぜ!」
類人猿を薄く切った肉と野菜のうまみが染み込んで美味しかった。するとミナも起きてきたようなのでルゥがマイ箸でミナの口元に寄せた。
「はい、あ~ん」
「うぬ……、おっ、うまいぞ! 美味なのじゃっ」
ミナは美味しそうに野菜炒めを食べ、ビーフシチュー的なものの啜った。それからケイに視線を向ける。
「美味じゃっ、あっぱれじゃ! 褒めて遣わす」
「褒めて遣わすって……」
だが嬉しそうに礼を受けるケイにライは新たに増えた仲間の大切さに身が沁みる。
……一瞬、今は亡きレレとタキのことを思い出した。亡くなったが天国へ逝ったはずの二人を偲んでシチューをごくりと飲んだ。
その姿をルゥが無意識に見ていた。
夕飯を食し、眠ってしまったケイとミナを見てから隣に座り込んでいるルゥへ息を吐く。今は一人になりたかった。
「お前、早く寝ろって」
「それは嫌。また君が泣き出しそうな顔しているから」
「……それでもいいだろ」
「それが嫌なの」
ルゥは羽を広げ震わせた。そして金色の瞳で視線を向ける。
「君はいつも口元をへの字に曲げているほうが似合うよ。目も鋭くさせてさ。……でも怒っている顔がたまに笑顔になる瞬間を見ると、君と居て――ライと居て良かったなって思えるんだ」
「お前が馬鹿にしているのか褒めているのかわかんねぇ」
「どっちもだよ」
沈黙が続く。というよりかは、どういう反応したら良いのかわからないライがそこに居た。だがルゥは打ち破るように腕を上空へ伸ばし羽も伸ばした。
「あー! 僕も風龍のルゥって名乗ろうかなっ」
「は、なんだよ急に?」
ルゥが悪戯な笑みを零して羽を震わせた。
「だってライが跳躍の黒龍って呼ばれているんだよ? だったら相棒としてなんか名前が欲しいな~って」
「俺は自分で名乗った覚えはねぇって」
「いや……、風来の金龍なんてどう? かっこいいでしょ?」
嬉々として話しているルゥにライはため息を吐いてはいたが、彼のおかげでレレとタキのことを考えずに済むことができた。
ルゥがライの胸に手を置いた。逞しい胸板に妬けてしまうが、それどころではない。
「でもね、ライ。彼らを、――レレやタキのことを忘れなくても良いんだよ」
「忘れるって……んなわけないだろ」
「い~や、ライのことなんて手に取るようにわかるよ。二人より短い期間ではあるけれどさ、一体、君とどれほど旅をしたと思っているの?」
ルゥの言葉にライはなにも言えずにいた。レレやタキのことを忘れようとした自分が居たからだ。それは思い出を焼き尽くすように、――悲しみから逃れるように。
ルゥが決意を込めた表情を垣間見せる。
「二人のことも背負って、僕たちが二人の分まで生きよう。その分だけ、……強く生きるんだ」
ルゥの表情に、決意を示す言葉にライはふと笑んだ。忘れるなどと自分らしくない。
「あぁ、そうだな。二人の分まで……強く生きような」
「うんっ!」
跳躍の黒龍と風来の金龍という絆が生まれた。
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