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《不穏なる影》
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「えっと……、あのぉ……、そのぉ……」
慌てふためく朔太郎に來斗はニヒルに笑ったかと思えば、朔太郎を引き寄せる。それから目の前で、――頬にキスをした。
「…………へ、え、えっっっっ!???」
皆が沈黙になったかと思えば、キスをされた朔太郎は顔をゆでだこのように赤面し女性陣は黄色い歓声を浴びせていた。
來斗は不敵に笑んだ。
「だから言ったろ? 俺のお気に入りなの、こいつ」
「ちょ、え、瀬川さんっ!? な、なんで急に……!?」
すると來斗は悪戯を見つかってもさも仕方ないような顔つきになった。どうやら自分は悪くないと思っているような節がある。
來斗は黄色い歓声を浴びせた色めき立つ女性たちを不躾に指さした。
「こいつらが、この前俺が急に帰ったことに拗ねてんだよ。だから、大事な奴ができたって言ったら紹介しろって聞かなくてな」
そう告げて來斗が朔太郎を手招いたかと思えば、奥の個室に入る。そしてソファーの横に朔太郎は座らせられた。その隣には來斗も座る。朔太郎は鼓動を跳ねさせながら來斗の言葉を待った。
一人の女がこちらを見ていた。長いウェーブのかかった茶色の髪に華奢な体つきはまるで人形のようだ。だが、――妖しく二人の様子を伺っている。
「ふ~ん。あいつが、瀬川さんの……ねぇ」
女は不敵に笑ったかと思えば、端に消えたのだ。
この都内の高級クラブはこの前、來斗と行った店と同じで來斗の行きつけの店であった。よく接待相手で付き合わせることが多く、それで馴染み深くなったらしい。
朔太郎は初めて来たのでがちがちに緊張しながら、見眼麗しい女性にビールを注いでもらっていた。來斗はウィスキーのロックを頼んでいる。それと、景気づけだと言ってドラマでよくやっているドンペリなどを入れていた。
朔太郎は瀬川のモテっぷりと懐の深さに関心と共にどこか不安になる。するとそこへ、見眼麗しい女性がビールを渡してくれた。
艶やかな髪を結わいた美しい女性であった。
「お客様はドンペリとか飲みませんの? あと失礼かもしれませんが……、そんなに緊張なさらないで?」
「あ、ご、ごめんなさいっ! 俺、こういうところへ来たの初めてで、なにがなんだがわからなくて……!」
自分でもわかるほどパニクっているというか、焦燥感を抱いている朔太郎に女性を品よく笑んだ。その笑顔に朔太郎はほんのり頬を染めた。
すると脇から、腕を掴まれ引き込んできた人間が。――來斗だ。
「おいおい、ママ。俺の大事な奴を自分の客に入れないでくれ。あのよ、朔。ママは別嬪だけど、もう年増だぞ?」
「ふぇっ……、って、お酒臭いですよ瀬川さん!」
「瀬川さぁ~ん? 年増、なんて女性に言わないで下さる?」
にこにこと微笑みながらも拳に力を入れているママに朔太郎は軽く悲鳴を上げた。だが、來斗は気にせずドンペリやらウィスキーのロックやらつまみやらを食べている。
だからかもしれないが、朔太郎も興味本位でビールではなくドンペリを飲んでみた。飲んだことがないからだ。
ドキドキしながら一口飲む。
(少し、ビールより苦くて、シュワシュワする……かな?)
「お、ドンペリ飲むか? 良いぜ、奢ってやるよ」
黄色い歓声が巻き起こるが、そのなかでも朔太郎はドンペリを飲みながら生ハムのチーズ巻を食べていたのであった。
慌てふためく朔太郎に來斗はニヒルに笑ったかと思えば、朔太郎を引き寄せる。それから目の前で、――頬にキスをした。
「…………へ、え、えっっっっ!???」
皆が沈黙になったかと思えば、キスをされた朔太郎は顔をゆでだこのように赤面し女性陣は黄色い歓声を浴びせていた。
來斗は不敵に笑んだ。
「だから言ったろ? 俺のお気に入りなの、こいつ」
「ちょ、え、瀬川さんっ!? な、なんで急に……!?」
すると來斗は悪戯を見つかってもさも仕方ないような顔つきになった。どうやら自分は悪くないと思っているような節がある。
來斗は黄色い歓声を浴びせた色めき立つ女性たちを不躾に指さした。
「こいつらが、この前俺が急に帰ったことに拗ねてんだよ。だから、大事な奴ができたって言ったら紹介しろって聞かなくてな」
そう告げて來斗が朔太郎を手招いたかと思えば、奥の個室に入る。そしてソファーの横に朔太郎は座らせられた。その隣には來斗も座る。朔太郎は鼓動を跳ねさせながら來斗の言葉を待った。
一人の女がこちらを見ていた。長いウェーブのかかった茶色の髪に華奢な体つきはまるで人形のようだ。だが、――妖しく二人の様子を伺っている。
「ふ~ん。あいつが、瀬川さんの……ねぇ」
女は不敵に笑ったかと思えば、端に消えたのだ。
この都内の高級クラブはこの前、來斗と行った店と同じで來斗の行きつけの店であった。よく接待相手で付き合わせることが多く、それで馴染み深くなったらしい。
朔太郎は初めて来たのでがちがちに緊張しながら、見眼麗しい女性にビールを注いでもらっていた。來斗はウィスキーのロックを頼んでいる。それと、景気づけだと言ってドラマでよくやっているドンペリなどを入れていた。
朔太郎は瀬川のモテっぷりと懐の深さに関心と共にどこか不安になる。するとそこへ、見眼麗しい女性がビールを渡してくれた。
艶やかな髪を結わいた美しい女性であった。
「お客様はドンペリとか飲みませんの? あと失礼かもしれませんが……、そんなに緊張なさらないで?」
「あ、ご、ごめんなさいっ! 俺、こういうところへ来たの初めてで、なにがなんだがわからなくて……!」
自分でもわかるほどパニクっているというか、焦燥感を抱いている朔太郎に女性を品よく笑んだ。その笑顔に朔太郎はほんのり頬を染めた。
すると脇から、腕を掴まれ引き込んできた人間が。――來斗だ。
「おいおい、ママ。俺の大事な奴を自分の客に入れないでくれ。あのよ、朔。ママは別嬪だけど、もう年増だぞ?」
「ふぇっ……、って、お酒臭いですよ瀬川さん!」
「瀬川さぁ~ん? 年増、なんて女性に言わないで下さる?」
にこにこと微笑みながらも拳に力を入れているママに朔太郎は軽く悲鳴を上げた。だが、來斗は気にせずドンペリやらウィスキーのロックやらつまみやらを食べている。
だからかもしれないが、朔太郎も興味本位でビールではなくドンペリを飲んでみた。飲んだことがないからだ。
ドキドキしながら一口飲む。
(少し、ビールより苦くて、シュワシュワする……かな?)
「お、ドンペリ飲むか? 良いぜ、奢ってやるよ」
黄色い歓声が巻き起こるが、そのなかでも朔太郎はドンペリを飲みながら生ハムのチーズ巻を食べていたのであった。
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