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突然の旅立ち。

○したいほど嫌な奴がいます。テイク1!

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唐突ではあるが現在、祭は森の中を散策している…アイドゥの元から逃げだして。

「へへっ!あいつ、俺が『しょんべん行ってくるからトイレに来んな!』って言ったら呑気に茶なんか飲みやがって…。まぁ?作戦通りだし?俺も逃げ出したかったから良かったけど!」

森の中を散策しながら自分がこちらの世界に来た”扉”を探しに行く。きらりと輝く金色の月のピアスを外したくても外すと何が起こるのか分からない謎の恐怖で祭は外せずにいる。そんな彼はなぜ逃げ出したのかと言えば…。


『君はこの水以外、ここで食料を食べてはいけない。…その代わり、俺の精液なら飲んでも良いよ?』

淹れても貰った茶を飲みながらアイドゥは祭に絶食宣言をしたのだ。驚いて茶を器官へと入れてしまい咽る祭に関わらず、アイドゥは話を進める。

『この世界で君みたいなおバカな人間が食べるのはちょ~っと厄介なんだよね~。でも人間って食べないと死ぬでしょ?だから俺の精液を食料にすればいいかな~って。』

『げっほげっほ!!!ふ…ふざけんな!なんでてめぇのザ○メン飲まないかんのじゃ!??』

顔を赤くして文句を言う祭に迫るのは顔だけは端正かつ美麗なチャイナ服を纏う青年のアイドゥである。彼は祭に迫ってにっこりと笑ってからとある言葉を口にした。

『デュラム。<マツリを拘束>して。」

「えっ??」

すると祭は動かなくなってしまった。何故か動かぬ身体に祭は顔を青くさせる。しかし口はちゃんと動くので祭はキャンキャンと子犬のように吠えるのだ。

『てめぇ!!なんかしたんだろ??…今度はてめぇのチ○コ噛み切って女にさせてやる!そんで俺に犯されて』

『何バカなこと言ってんの~?マツリは。…本当におバカさんで可愛いなぁ。』

-チュッ。

アイドゥに頬にキスをされた祭は本来であれば物騒ではあるものの飛び蹴りをしたいくらいの勢いで彼をぶっ倒したいいなのだが如何せん身体が動けずにいる。そしてそんな彼を見てアイドゥはにっこりと微笑んでからデュラムに命令するのだ。

『デュラム。<永続。マツリが俺に歯向かったら俺の目の前で射精>って記録しておいて。』

『はぁっ!??また何言いだして』

すると祭の耳元で輝く月のピアスが軽く揺れてきらりと輝いた。そして一瞬輝いたかと思えばピアスは揺れるのを止めて通常の状態に戻る。しかし何も分かっていない祭は動けない身体であるにも関わらず自身の右手だけ動かそうと力を込めてアイドゥに向ければ…なんと彼の頬を掠めたのだ。不敵に笑う祭と気配を察知して避けるアイドゥではあるが、彼は祭に関心を抱く。

『!!?術を破った?…ふふっ。やっぱり君は特別な存在なんだね。…でも。』

『ふぁっ!?いぁっぁ!!?なんか…ムズムズしてぇっ…。あぁぅっ!!??』

すると祭はズボン越しから射精をしてしまったのだ。恥ずかしさでいっぱいになる祭は動けないまま顔を真っ赤にすればアイドゥが耳元で囁くのだ。

『君のズボンが汚れちゃったね…。俺が拭いてあげようか?…淫乱おバカ君?』

『う…うるせぇ。…こんなの、卑怯…だ。』

恥ずかしさのあまり泣いてしまいそうになる祭はこの日からアイドゥに逆らうものなら恥ずかしい目に遭うことが分かった。


湖へと向かう祭はアイドゥの存在に恐れを抱いているものの今回は歯向かってはいない。…ただ逃亡して祖国へと帰りたいが為の行動だと考え直して自分の行動を正当化する。そして彼は湖へと向かう。

湖へと着いたが扉は存在しなかった。

「マジかよ…。無いのかよ。…あぁ。最悪。…どう帰れば。」

「帰るってどこに帰るのさ?」

「えっ?…誰だ?」

祭が声のする方へと向ければそこには白い妖精がそこに居た。白く長い髪はまるで雪のようであり美しく透明な羽は氷の結晶を想起させる。そんな彼女は祭の周囲を飛んでから彼の肩に乗るのだ。

「私はエルリアさね。ここの世界の主人に『あなたを見つけてきて。』って命令されたのさね。…あなたは異世界の人間さね?」

「あ…あぁ。…というか…、”さね”って。どんな方言?」

「ホウゲン?面白い表現を使うんさね~?やっぱ主(あるじ)の言う通り、面白くて可愛い奴っちゃね~。」

クスクスと笑うエルリアに祭は首を傾げるもののそんなことよりも今は扉の存在が大事であった。

「主?の存在はおいて置いていて…。お前」

「エルリアさね!エ・ル・リ・ア!」

有無を言わせぬようなエルリアの圧に祭は負ける。

「…エルリアは扉を知らないか?喋るんだ!そいつ!」

「トビラ…?さね?知らないさね。」

「知らない?本当にか?」

再度尋ねる祭にエルリアは考えてからこのような発言をする。

「主からこんなことを聞いた事があるさね。『異世界の扉開く時、勇者を連れて前に出ろ。』って。…この世界の勇者は”カギ”って意味さね。」

「カギって…。そんなのどこに」

「カギを探してるの?」

再び誰かに尋ねられて振り向いてみれば…自分の心を射止めた美少女のムーンがそこに居た。

「…ムーンちゃん?なんで、ここに?」

「なんでって…あなたに会いたかったから。」

にっこりと微笑むその可憐な姿は祭の中で誰かと似ている気がしたものの彼女の気持ちが嬉しかったのであった。
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