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花人の秘密
不幸ヤンキー、”狼”に咲き誇る。【3】
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意識があるのか無いのか。心にも分からない状態の中で2人は青い彼岸花を踏みしめながらホテルの最上階へと向かう。
「……」
…幸君、どうしたのかな。それに…。
―この青い彼岸花は、どういうこと?
会話の無い沈黙の空間を心は破ることが出来ずにいるが、彼女は自分達を導くように咲き乱れる深く青い彼岸花の存在へ気味の悪さを感じた。両者無言のままホテルへと向かいエレベーターへと乗り込む。…すると心は幸の意識が微かに動いた気がしたのだ。だから心は幸の意識に訴えかけた。
『幸君、あなたは…本当に、幸君?』
『……』
『お願いだから、答えて!!』
幸の意識に問い掛ける心は訴えかけるものの幸は反応を見せない。しかし、エレベーターが最上階へと着いた途端…幸は冷たく微笑んだ。
「……。かなた…オニイサン」
「えっ?」
生気を感じさせない幸の冷たい声に心は恐怖に狩られた。まるで自分は人形…いや、魂の無い人間、死んでいる人間と話しているようだ。そんな彼は背筋を凍らせて動けずにいる心を置いて勝手に歩いていく。…その度に青い彼岸花が咲き乱れ、踏みしめられていく。
―心には分からない。なぜ笑顔になったのかを。…あんな冷酷な笑みを見せたのかを。幸の精神を、心を、魂に触れても探っても分からない。
「…待って! お願いだから、幸君。返事を―」
「お前が俺の行くべき道を阻もうとするのなら、お前を殺しても構わない」
そんな幸の鋭い視線と人を射殺さんとする瞳に心は怯え震えあがった。
…こんな幸君。見たこと…ない。
恐怖のあまり後ろへ下がろうとすれば”何か”を踏んでしまった。
「え…な、なに?」
下を見下ろせば赤い彼岸花が爛々と輝き少女を誘うような美しさを見せる。
…きれい。綺麗で、儚げで…とっても、キレイ……。
―心はその花に魅了されてしまった。
すると心の周囲に深紅に染まる彼岸花が集まり…彼女を拘束するようにその場所で捕えたのだ。
「なっ…なに!??」
動けない心は巻きつかれていく彼岸花を退けようと必死になって動く。だが、絡みつき、自分の肢体でさえも囚われ…遂には動けぬほど真っ赤な彼岸花に埋め尽くされてしまった。
「さち…君、どう…して?」
死への恐怖に狩られ、涙を流せぬほど怯える彼女へ、幸は酷く冷たい笑みを見せたのだ。
「お兄さんの心は俺だけのモノ。…お前は」
―イラナイ。
幸の発言に心は悲しみと衝撃で呆気に取られてしまう。そして遂に涙が溢れ出しすすり泣くように小さく訴えかけた。しかし、今の言動と幸の魂に触れて心は哀しい自身を持ってたのだ。
「…幸くん。酷いよ…、酷いよ…。でも、分かった。あなたは」
―幸君じゃない!!!
「……ふふっ。よく分かったね」
不敵な笑みを見せたサチへ心は吠え掛かるように訴えかけた。能力を最大限に集中させ、本物の幸を引きずり出せるように魂にも触れた。…少しだが、幸の温かい魂に触れられたような気がする。しかしとてつもないほど冷たい。
…こいつがムマって人だ。幸君を…返せ!!!
―だがどんなに訴えかけても幸は答えない。冷酷に微笑むサチに心は疑問を吐露する。
「あなたがムマって人なの!?? 幸君を返せ!!!!」
「…サチなんて、この世に居ないよ?」
「……それは、どういう?」
「これ以上は部外者には話せないね。じゃあね、お人形さん。…真っ赤なお花に囲まれて…」
―殺してあげる。
そう言って赤々とした彼岸花に捕えられ動けずにいる彼女を置き、サチは歩んでいく。…真っ赤な彼岸花と青い彼岸花を連れて。
「……」
…幸君、どうしたのかな。それに…。
―この青い彼岸花は、どういうこと?
会話の無い沈黙の空間を心は破ることが出来ずにいるが、彼女は自分達を導くように咲き乱れる深く青い彼岸花の存在へ気味の悪さを感じた。両者無言のままホテルへと向かいエレベーターへと乗り込む。…すると心は幸の意識が微かに動いた気がしたのだ。だから心は幸の意識に訴えかけた。
『幸君、あなたは…本当に、幸君?』
『……』
『お願いだから、答えて!!』
幸の意識に問い掛ける心は訴えかけるものの幸は反応を見せない。しかし、エレベーターが最上階へと着いた途端…幸は冷たく微笑んだ。
「……。かなた…オニイサン」
「えっ?」
生気を感じさせない幸の冷たい声に心は恐怖に狩られた。まるで自分は人形…いや、魂の無い人間、死んでいる人間と話しているようだ。そんな彼は背筋を凍らせて動けずにいる心を置いて勝手に歩いていく。…その度に青い彼岸花が咲き乱れ、踏みしめられていく。
―心には分からない。なぜ笑顔になったのかを。…あんな冷酷な笑みを見せたのかを。幸の精神を、心を、魂に触れても探っても分からない。
「…待って! お願いだから、幸君。返事を―」
「お前が俺の行くべき道を阻もうとするのなら、お前を殺しても構わない」
そんな幸の鋭い視線と人を射殺さんとする瞳に心は怯え震えあがった。
…こんな幸君。見たこと…ない。
恐怖のあまり後ろへ下がろうとすれば”何か”を踏んでしまった。
「え…な、なに?」
下を見下ろせば赤い彼岸花が爛々と輝き少女を誘うような美しさを見せる。
…きれい。綺麗で、儚げで…とっても、キレイ……。
―心はその花に魅了されてしまった。
すると心の周囲に深紅に染まる彼岸花が集まり…彼女を拘束するようにその場所で捕えたのだ。
「なっ…なに!??」
動けない心は巻きつかれていく彼岸花を退けようと必死になって動く。だが、絡みつき、自分の肢体でさえも囚われ…遂には動けぬほど真っ赤な彼岸花に埋め尽くされてしまった。
「さち…君、どう…して?」
死への恐怖に狩られ、涙を流せぬほど怯える彼女へ、幸は酷く冷たい笑みを見せたのだ。
「お兄さんの心は俺だけのモノ。…お前は」
―イラナイ。
幸の発言に心は悲しみと衝撃で呆気に取られてしまう。そして遂に涙が溢れ出しすすり泣くように小さく訴えかけた。しかし、今の言動と幸の魂に触れて心は哀しい自身を持ってたのだ。
「…幸くん。酷いよ…、酷いよ…。でも、分かった。あなたは」
―幸君じゃない!!!
「……ふふっ。よく分かったね」
不敵な笑みを見せたサチへ心は吠え掛かるように訴えかけた。能力を最大限に集中させ、本物の幸を引きずり出せるように魂にも触れた。…少しだが、幸の温かい魂に触れられたような気がする。しかしとてつもないほど冷たい。
…こいつがムマって人だ。幸君を…返せ!!!
―だがどんなに訴えかけても幸は答えない。冷酷に微笑むサチに心は疑問を吐露する。
「あなたがムマって人なの!?? 幸君を返せ!!!!」
「…サチなんて、この世に居ないよ?」
「……それは、どういう?」
「これ以上は部外者には話せないね。じゃあね、お人形さん。…真っ赤なお花に囲まれて…」
―殺してあげる。
そう言って赤々とした彼岸花に捕えられ動けずにいる彼女を置き、サチは歩んでいく。…真っ赤な彼岸花と青い彼岸花を連れて。
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