不幸ヤンキー、"狼"に狩られる。〜跳躍〜

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

文字の大きさ
8 / 58
狼と赤ずきん。

【閑話休題】不幸ヤンキー、”狼”に恥辱される。《中編①》

しおりを挟む
 …俺、知っていたんだよね。…はなちゃんが隠していることを。…だから、つい。…苛めたくなっちゃって。

 昨日の真夜中。こころはもう眠っていて、俺と幸は起きていたんだ。…とか言って、俺は原稿を書いていて花ちゃんは眠い目を擦りながら古文の勉強をしていたんだけどね。…でも花ちゃん、やっぱり眠かったみたい。大きな欠伸をしてから腕を伸ばしたと思ったらまた目をこすっていて…可愛かったな~。目つきの悪い小さいネコみたいでさ?
 ……本当に俺の恋人は可愛い。
「そんなのろけを聞きたくはありませんが…続けて下さい」
「ちぇっ…」
 麗永が眉間に皺を寄せて急かされたからだろう。ひり付く左頬を押せて哉太は語り出した。
『かなたさん…ごめん。やっぱり眠いから、俺…寝るわ』
『うんうん。眠りな~』
『…ふわぁ~。ねみぃ~…』
 …あ~。やっぱり可愛すぎる!!! 普段は鋭い目つきで威嚇するくせに、気兼ねなくて信頼している相手の前だと…少し目を垂らして無垢な表情を見せてくれるんだもん! おまけにツンデレ属性だし! …本当に俺の花ちゃんは可愛い。
「だからのろけは良いんですよ。早く話を―」
「…でも、これだけは譲れないし…許さない」
「はい?」
 銀髪の警部補の問い掛けに彼は酷く沈んだ顔を見せた。
「だから俺はちょっと笑いかけて、眠そうにしている花ちゃんには分からないように誘導させてみせたんだ。…だってこれは、ちょっとしただもん…ね?」
「どういう意味ですか?」
「まぁ話を聞いてよ」
 いつにもなく真剣な彼の表情に麗永は息を呑むのだ。
 眠りこけている花ちゃんに俺は伏線を張るような言葉を言ったの。だってちょっとした仕返しだもん。
『花ちゃんは寝なよ~。俺は原稿が終わるまでは起きてるからさ~』
『うん…寝ているよ』
『…でもその前にトイレ行ったら~。…かもよ?』
 発言に花ちゃんは欠伸あくびをしつつも小馬鹿にした俺を見て少しだけ睨んだ。…やっぱり可愛い。
『…漏らすかバカ。…でもトイレには…行ってくる…かぁ~』
『いってらっしゃい~』
 花ちゃんがふらつきながらも階段下にあるトイレに向かって行く。その姿を見てから俺はパソコンをスリープにして後を追ったんだ。…作戦を実行する為に。


 …哉太さん。今日はいつにも増して気遣いするっていうか…。…妙にあっさりしているというか。…普段なら。
『俺と…エッチしてから…寝よう…って言うのに…?』
 階段を下りながら幸は眠たげな瞳を擦り疑問を提示する。だがやはり眠いのでその考えは吹き飛んでしまった。今日は集中して勉強が出来たからツケが回ったのだろう。
『…ふわぁ~…。まぁ~いいや~。そんな時もあるか~』
 俺はふらつきながら階段を下りてトイレへと向かう。
 …あぁ…歯磨きもしないと。…ション便出したらしなくちゃ。
 そんなことを考えながらトイレの電気を付けてドアを開けて閉めようとした…その時。
 ―――ガチャンッッ!!!
 トイレのドアが勝手に閉まった。…それでいて、俺は気付いたら便蓋べんふたに座るような態勢を取っていて…異様に笑っている哉太さんが目の前に居たのだ。俺はとてつもなく困惑をしてしまった。
『かなた…さん…なんで?』
『なんでって?』
 …いや、それはこっちの話なんだけど? 
 だから俺はニヤついている哉太さんへ再度尋ねた。
『…なんで、トイレに入って来たの?』
『……』
 …どうして答えないのかな。哉太さんの表情が分からない…。
 だから俺は目元をさらにこすって哉太さんの顔を見ようと意識をした。まだぼやけているけれど哉太さんの顔が見たかった。…哉太さんの顔を見ないと不安で堪らないから。
『…哉太さんも、行きたかったの?』
 次第に遠のいていた意識が明瞭になってくる。そんな俺の変化に気づいたのだろう。哉太さんは怖いくらい微笑んでいるんだ。
 …俺、何かしたっけ?
『その顔。…花ちゃん、いや…さちは分かっていないのかな~?』
 ―な~んで俺が怒っているのかって。
『はい…?』
 困惑と尿意で俺の意識がかなりはっきりしていくが、それでも分からなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...