記憶喪失少女

離月 あき

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突然の婚約破棄

「デリー王子様!ご婚約おめでとうございます!」
執事が私に祝福をしてくれている。が、そんなのどうでもいい。
「…どうせ…」
私は小声で言う。
流石に執事の耳には届かなかったようだ。
…どうせ婚約なんて興味ないのだから。バイオレットはただのお飾りだ。

「バイオレット!ご婚約おめでとう。」
「バイオレットが婚約か…あっという間だな。」
お母様とお父様は嬉しそうに話している。
…このケーキ変な味がするわ。誰が作ったのかしら?ほんっとにイライラするわ。
「ちょっと!」
さっきまで賑やかだったのに、わたくしが怒鳴ると皆静まり返った。
「このケーキを作ったのは誰?変な味がしたのだけれど。」
わたくしはその不味いケーキに指を刺しながら周りを見渡した。
だが、誰も名乗り出てこない。
「もう!!誰なのよ!!」
「あ…あの…わ、私です…。」
名乗り出たのは料理長だった。
「わたくしのケーキなぜか不味いのですけれど!これはわたくしへのいじめですわ!!!」
「そ、そんなわけないじゃないですか…。」
「じゃあなんなのよ!なんで不味いのよ!」
お母様はわたくしを止めようと立ち上がって、私の隣へ行った。
「落ち着きなさい。バイオレット。このケーキ、美味しいわよ?」
わたくしの持っていたフォークを持ってケーキを食べていた。
「でも、不味いったら不味いの!もういいわ。わたくしデリー王子様に会いに行きますわ。ジュリ、馬車の手配をして。」
「あ、ですがバイオレット様…。」
「わたくしの命令を聞けないの!?」
ジュリに怒鳴りつけたら手配をすぐにしてくれた。
…はぁ、もう疲れたわ。
「ジュリ、デリー王子様へのプレゼントも忘れずに持ってきて。」
「は、はい!」
私は自分の部屋でくつろぎ、馬車が来たので中で座っていた。
「あ、あのバイオレット様…わたくし、休みをいただきたいのですが…」
「ジュリ、その話は後で。」
「はい…。」
…もうっ!なんでみんな休みたがるの!?わたくしといるだけで楽しいでしょう?休みなんていらないじゃない!
「あ、バイオレット様、着きましたよ。…デリー王子様の館に…。」
「相変わらず不気味ね。けれどデリー王子様がいると思ったらそんなこと気にならないわ!」
わたくしは馬車から降りて執事と一緒に館へ向かった。
ノックをしたらデリー王子様が出迎えてくれるのだ。
…だから必ず私がノックしているの!
「バイオレット様。デリー王子様に会いに来たのですね。」
「えっ…。」
出迎えたのはデリー王子様…ではなくデリー王子様の執事だった。
…くぅぅ!なんでこんな時だけ出てこないのよ!だって今日はまさに正式に婚約した日よ!お母様とお父様に許可をもらうために必死だったのだから!
「バイオレット様?お顔がよろしくないですが大丈夫ですか?」
「…!あ、大丈夫よジュリ。」
…まぁでも、デリー王子様に会えるんだもの。大丈夫ですわ。二人きりで話せるし…!
わたくしは期待を胸にデリー王子様の部屋に入った。
この時点で二人きり。執事たちは外へ追いやってやっと二人きり!
手元にプレゼントがあるから渡せる。
わたくしはプレゼントを渡そうと話しかけた時。
「あの…!プレゼント…」
「婚約、やめないか?」
私の言葉をデリー王子様は遮った。


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